ブレイブ43「たましいのつるぎ!うなれストレイザー」

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 新春第一弾。今年もよろしくお願い致します。

 それなりに時事性を取り入れる作風のシリーズにも関わらず、新春編といった趣はほぼ皆無で、純粋にソウジへスポットを当てた好編となっていました。

 そして、サプライズゲストとしてソウジの母・丹波麗子役に萩原佐代子さん!

 更に、トリンの変身体としてトリンの声を担当されている森川智之さんが登場!

 いわゆるオーソドックスな「新春編」ではありませんが、ファンにとって嬉しい「お年玉」がさりげなく投入されていました。

 最終クールは、やはりそれぞれが最終決戦に向けた「最後の仕上げ」を行っていくというパターンのようで、まずは最年少のソウジをピックアップ。戦力や精神力に関する成長が、最も端的に分かり易く描かれたキャラクターだけあって、今回のダメ押し的な「強化」には、蛇足感が微塵も感じられませんでした。

 興味深いのは、トリン直伝の剣術の完成を単純に描くのではなく、最後のハードルとして精神的なものを採用している処でしょう。

 実は、最終段階に精神性を求める作劇自体、完全に定番の域を出ないものであり、それが心の中にある何らかの「引っかかり」を克服するものである事も非常に多いわけで、今回はそういったパターンの枠内に完全に収まるものであると言って良いでしょう。しかしながら、ソウジの会得する剣術が後見人のものであったり、「引っかかり」に該当するものが家族の問題に起因していたりと、アレンジの妙味が効いていて、使い古しの感覚を生じないものとして完成しています。

 ソウジは幼少の頃、厳しく強い絶対的な「師」としての父親が、家庭崩壊に直面して己の情けなさに涙するという光景を目の当たりにしており、それをきっかけに、母親でなく父親と共に暮らす事を選んだと、劇中にはあります。

 即ち、ソウジは「物凄く優しい」のであって、それは現在のようなクールかつ木訥とした剣士の「裏にある顔」です。シリーズ開始当初は父に反発していたソウジですが、それ故に、「父を哀しみから守りたかった」とする幼かりし頃を、いつの間にか彼自身忘れていたというエクスキューズも実に納得出来るものとなっています。人を哀しみから守りたいという奥底の衝動が、そのままソウジ自身の強さに転化される事で、踏み込みの甘さを克服し、トリン直伝のトリニティーストレイザーを完成させるというくだりは、縦糸が綺麗に繋がる名シーンとなっていました。

 なお、ソウジの強さの元となった衝動を、劇中では「魂」と呼称しており、これが最終編に向けたキーワードとなる事は間違いなさそうです。

 現在、劇場版の関係で「ジュウレンジャー」がにわかに脚光を浴びていますが、今回の「魂」は「ジュウレンジャー」における「使命」によく似ていると思います。「ジュウレンジャー」では、それぞれが正義、知恵、勇気、希望、愛、力といった「使命」を自覚する事で更なるパワーを手に入れるくだりがありますが、今回は明確な名称こそないものの、自覚するという意味では類似した観点であると言えるでしょう。面白い事に、「ジュウレンジャー」の使命の自覚によるパワーアップが、多分にマーチャンダイジングを意識していたのに対し、今回は年末商戦も終わって次回作にシフトし始める時期と割り切っているのか、パワーアップアイテムもなければ巨大戦でのアピールもない、単なる「技の完成」でした。これは良い意味で地味なパワーアップ譚であり、最終クールにおけるドラマ性の重視を予感させる作劇ではなかったかと思う処です。

 さて、敵側もエンドルフ復活によって勢力図が変化しています。

 まず、ドゴルドがエンドルフ配下の地位に堕し、卑怯者のレッテルの裏にあった強さへの誇りが、失われかけているという展開。かつて依代となっていた空蝉丸が、ドゴルドのプライドのなさに腹立たしさを覚えるという、皮肉の効いたポジショニングが絶妙です。当のドゴルドはアイデンティティと言える「腹立たしさ」すら捨てており、もはや怒りの戦騎を名乗る意味も失わせ、ただのデーボモンスター扱いにまで失墜させています。

 つまり、ラッキューロ、キャンデリラの「迷い」に続いて、ドゴルドに用意されたのは「失墜」であり、これは最終編における「裏切り要員」としての資格の一つとして相応であると言えそうです。

 更には、ダメ押し的展開として、デーボス側に新しいキャラクターを登場させるという念の入れようを見せてくれます。それが、今回登場した黒マントの男。非常にシンプルな出で立ちが、装飾過多なデーボス軍の中で却って不気味な存在感を醸し出しており、一見して異質なキャラクターである事をアピールしています。

 前回、エンドルフが「異端」である事に言及しましたが、それを超える「異端者」を登場させる辺り、敵側の引っ掻き回し具合を強めていて、「何が起こるか分からない」という期待度を高めてくれます。今回はソウジを中心としてストーリーが回っていましたが、次回は恐らく、デーボス軍をしてストーリーの牽引者たるものとなるでしょう。

 では最後に、スペシャルゲストに触れておきたいと思います。

 トリン役の森川さんは、鉄砕の幻術を使って鳥居なる人間に変身したトリン役として登場(ややこしい)。これで、キャンデリラに端を発した声優陣顔出しは四人目を数える事に。

 その衣装は、どう見ても「ジャッカー電撃隊」のビッグワンこと番場壮吉のもので、公式サイトを見てもそのようなオーダーによるものだったとか。トリン→鳥→白い鳥人の異名を取るビッグワンという連想だったものと思われますが、そのまんまではなく、絶妙なアレンジが効いていて、分かる人には分かるという匙加減が見事です。ヒーローに変身する後見人という役柄が、番場壮吉とトリンの間でオーバーラップして、何とも感慨深かったですね...。

 この鳥居、思わず両親を詰ってしまうソウジを叱るという美味しい役どころでの出演で、それをきっかけに父母の関係修復を予感させるに至るという、実にシンプルながら重要なシーンを勤め上げており、森川さんの顔出し役者としての実力を感じさせるものでした。

 そしてもう一人の重要なゲストは、ソウジの母・丹波麗子。

 明らかに立風館源流役の春田純一さんを意識し、萩原さんを登場させるという心憎いキャスティングが素晴らしい。このお二人は、言うまでも無くダイナマンであり、昨年が30周年であった事を考えるとやや微妙なタイミングではありますが、「ダイナマン」に必要以上のスポットを当てる事で「キョウリュウジャー」のパワーが霞まないように配慮された結果であるとも...言えないか(笑)。

 萩原さんは、「ウルトラマンメビウス」で歴代ウルトラマンがゲスト出演する中、オファーがなかった事を残念がっておられたらしく、「ウルトラマン80」の30周年関連では積極的にファンの前に姿を見せて下さり、後の劇場版ウルトラでユリアンの声を担当されるに至りました。その後、「ゴーカイジャー」の劇場版で歴代レジェンドと共に立花レイ=ダイナピンクとしてイメージシーンながら出演を果たします。ちなみにこの時、春田さんは黒田官平=ゴーグルブラックとしての出演でした。

 今回の麗子という名前は、立花レイを意識したものである事は間違いなく、名うてのファッションデザイナーながらも、やや強引で気の強いという性格設定は、立花レイの可憐かつ勇猛果敢な印象とダブる処があります。

 ダイナブラックである星川竜と立花レイが喧嘩をするというエピソードはありませんでしたが、二人が密に関わるエピソードとしては、お色気全開の異色作にして傑作である第29話「キメラの呪いの服」が挙げられるでしょう。星川が沐浴中のジャシンカ帝国王女キメラの装束を盗んで帰ってくるという、最初からトンデモな展開でぶっ飛ばし、キメラの衣装を着たレイが、呪いによって苦しむという展開を経て、星川が事態を収拾すべく活躍するというエピソードですが、最近の自主規制振りを考えるに、それらを軽~く逸脱するエピソードですので、未見の方々は必見です。

 それにしても、春田さんも萩原さんも実にお若いですよね。また頻繁に戦隊に出演して頂きたい処です。とりあえず、「キョウリュウジャー」に後一回くらいはご登場願いたい!

 次回はデーボス大変革編っぽいですね。メンバーのエピソードが続いていくと思っていたのでちょっと意外でしたが、楽しみです。