Space.27「オリオン号でインダベーパニック!?」

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 またまたシリアスムードから一転してのギャグテイストな一編。しかも、総集編を兼ねているという構成に驚き。

 ショウ・ロンポーとラプターがギャグの大半を担っている感はありますが、スパーダもツルギも超有能なギャグ要員になり得ることが分かり、大収穫! ダークナーガの一件が本格化する前に、肩の力を大いに抜いて楽しめるエピソードとなりました。

インダ

 戦闘員・インダベーの正体として突如設定された生命体。いつもの頭部は実はマスクであり、マスクを被ると言語が抑制されて余計な事をしゃべれなくなるという、非常に恐ろしい統制振りが悪辣です。

 当初はインダベーのブラック職振りをアピールする感じで登場。マスクを被せられ厳格な統制下でコントロールされる兵士団ということで、真っ先に「スター・ウォーズ」のストーム・トルーパーが想起させられますが、このあたりの「引用」は巧みに行われていて嬉しいですね。

 オリオン号の中に潜入した敵というシチュエーションからは、密室への侵入者によって危機に陥るパターンが容易に連想され、その最右翼の傑作としては「エイリアン」が挙げられるかと思います。東映特撮を振り返ると、「シャリバン」と「シャイダー」にて、それぞれ母艦に敵の潜入を許すエピソードが展開され、両者ともパートナーの女宇宙刑事が生命の危険に晒されるという点で非常に似通っているのですが、やはりSFテイストをアピールする上で外せないパターンということなのかも知れません。

 今回は、そのテイストを存分に展開するのかと思いきや、なんと初めからギャグテイスト! 潜入した五人のインダも、「逃亡者」の芝居の情けなさと、簡単に捕縛される弱さとが強調されていて、常時楽しい雰囲気で展開しました。

 実は、アキャンバーに過去への旅を阻止するミッションを与えられていた五人。五人ということで、戦隊のパロディも盛り込まれており、キュウレンジャー側で変身したのがツルギのみ(!!)だった一方、インダの五人は派手なエフェクト付きで名乗りまで披露し、ギャグ編の粋を体現していましたね。

ショウ・ロンポーとラプター

 潜入したインダを捕まえるため、多少シャッフルはあるものの、スパーダ&ツルギ、スティンガー&チャンプ、ラプター&ショウ・ロンポーというペアリングで進行。スティンガー&チャンプのコンビはいたって真面目なコンビとして描写されていましたが、スパーダは若干ツルギに振り回され気味、ラプター&ショウ・ロンポーは完全ギャグコンビとして機能していました。

 基本的にショウ・ロンポーは、張り切ったのは良いが腰を痛めるというギャグで全編を回しており、ラプターがそこにツッコミを入れることでさらにドライブさせていました。何度も繰り返されるショウ・ロンポーの腰痛描写も相当可笑しいですが、あらゆる声色でツッコミを入れてくるラプターにはさらに爆笑。M・A・Oさんの巧さを堪能できます。

 結局最後の最後まで腰痛に悩まされ、活躍の場に恵まれなかったショウ・ロンポー。不時着したオリオン号のメンテに手が離せないラプターにも目立ったアクションがなく(最初にインダを捕まえたときのクールなアクションは素直に格好良かったですが)、やはりこのペアはほぼ純粋なギャグ要員でした。

スパーダとツルギ

 今回、活躍が大いに目立ったのはスパーダ。総集編を回していくという重要な役割を担当すると共に、その「振り返り」がラッキーの凄さを再確認させることにもなり、ツルギがそれに驚きと賞賛を見せるという、閑話的エピソードでありながらも見逃せない描写があったのは良かったですね。

 インダの処遇を巡って他愛のない口喧嘩に終始するなど、ツルギとのコンビネーションも抜群の面白さで、この二人もギャグテイストの一翼を確実に担っていたと思います。傍から見ていて腹立たしいほどの言動を弄するツルギと、それに何となく歩調を合わせつつもツッコミを入れるスパーダの理知的な言動が、クールな楽しさを保証していました。ちょいちょい料理に例えるのも爽やかです。

 クライマックスのアクションでは、何故かツルギがインダベー相手に変身するまでもないと提案し、まさかの素面アクション推しに! ところがツルギは最後のトドメをホウオウソルジャーの姿で放つという反則技を繰り出し、自らの存在感を猛アピール。良い感じにツルギのキャラクター性が現れていますね。

 一方、スパーダはその類い稀なる身体能力を披露。バック宙から華麗なキックを繰り出すまでのダンサブルでキレのあるアクションには驚きの一言。只者ではない雰囲気を漂わせていました。ここ最近のスパーダ推しは実に良いですね!

 そして、ここでさらにまさかの素面名乗り! 近年は素面名乗りのハードルが下がっているようにも思いますが、やはり嬉しいものではありますね。ここでもスパーダが、一際高難度のポーズを披露しています。

ナーガ探索チーム

 一方のナーガ探索チームは沈痛ムード。特にハミィの落ち込み振りには、普段の彼女とのギャップもあって結構な衝撃がありました。前回、ナーガを焚き付けてしまったことへの後悔がかなり深いと分かります。

 小太郎は、その重苦しい雰囲気を察して会話を盛り上げたりしていて冷静な感も。やはり彼の成長振りが、キュウレンジャーの成長を端的に表現しているようです。総集編内の回想にも小太郎は登場していましたが、やはり見た目そのものの成長も実感しましたね。

次回

 前回の直接の続編という感じになるようです。衝撃的なサブタイトルに煽られますが、渦中のバランスに大注目ですね。