忍びの40「あぶないサンタクロース!」

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 ニチアサを観るために起きたら髪が爆発していて牙鬼萬月のようになっていたSirMilesです。

 さて、クリスマス編、天晴の身体を張ったシーン、霞の珍発明。要素だけ並べると完全にギャグ編ですが、描かれるテーマは意外と真面目なもので、天晴の強さの源流にも触れるものでした。

 もつれた糸が次々と解けていくようなテンポの良さは爽快で、霞の真の解決編のみならず、キンジについてもその苦悩の謎が解かれるとあって、年末に際しての団結編といった趣がありました。

ビンボウガミ

 貧乏神は、福の神と対を為す存在で、居着いた家に貧しさをもたらす「神様」として有名です。

 昔話で有名なのは、たとえ貧乏神といえども追い出すのではなく、もてなす心意気を以て接すれば、その家には幸せがやってくるというお話ですが、大抵モチーフに選択された時には、その「貧乏化」の特殊能力にスポットが当てられる事となります。無論今回も例外ではありません。

 先達である「カクレンジャー」にも登場した貧乏神。その登場編は今回の描写とは一線を画す徹底的なギャグ回となり、変身後までみすぼらしくなるというビジュアルショックをもたらし、当時のファンの度肝を抜きました。

 今回は完全なギャグ回ではないので、その能力の被害者は一般市民と素面の天晴のみ(戦闘では天晴の忍術が矮小化され、巨大戦ではオトモ忍が分離させられますが、見た目の変化はなし)となり、能力描写はそれほど徹底されていたわけではありません。ただ、この寒い時期に裸に近い状態で撮影している事を考えると、その過酷さこそが恐怖だったと言えそう(笑)。

 ところで、ビンボウガミのモチーフはクリスマスグッズとなっており、いわば「幸せの伝道師」が「不幸の伝道師」と化す皮肉になっています。人をみすぼらしい格好に変える指輪を地道に配り、巧みな言葉で口止めするという作戦が、姿を見られることなくプレゼントを置いていくサンタクロースのイメージとは真逆の貧乏臭さで、思わず笑ってしまいます。

霞のスランプ

 今回は、前回牙鬼萬月の作戦に騙された(=敗北した)事の悔しさを笑顔で隠し、発明に没頭する霞の姿が見られます。ただし、その空回りした様子は八雲達に気を遣わせる事となり、天晴にもバレバレ。嘘をつけない事が強調された天晴のみならず、実は霞も隠し事が出来ていない...という処に面白さがあります。霞は決してポーカーフェイスが得意なのではなく、常に先に自信があって冷静かつ余裕の表情を浮かべていたというわけですね。

 分身してまで発明に没頭し、それぞれがあまり役に立たないというギャグは、ちょっと気の毒に映りましたが、そこがちゃんとドラマの仕掛けとして機能していたのは見事。特に「ウソ発見器」は今回の主役ガジェットで、八雲達が霞に気を遣っている事をビジュアルで示す役割を果たしたり、八雲の魔法を得てビンボウガミの被害者に真相を白状させたり、後に牙鬼萬月に奪われて十六夜九衛門の正体を白状させる一歩手前まで見せたりと、大活躍でした。

 さて、霞のスランプは、正直者の天晴によって霞の感情が暴かれ、それによって霞の気持ちがスッキリした事で幾分解消される事になります。牙鬼萬月登場シーンではこれまでになく悔しさを爆発させていたり、エンディングにて晴れ晴れとした表情を見せたり、「天晴に負けない」とはっきり発言したりと、ここに来て霞に新しい魅力を付加する事になりました。恐らくは、また冷静で余裕綽々の霞に戻ると思いますが、時々弾ける機会が与えられたという点で、新しい魅力となるでしょう。残り話数も少ないので、是非そういった描写は増やしていただきたい処でございやしょう(笑)。

正直者の天晴

 最近は個人編が続いてきたので、天晴の性質にフォーカスするシーン自体が少なかったのですが、今回は天晴が「ニンニンジャー」のアイコンたるを見せる重要な回になったのではないでしょうか。

 「忍ぶどころか暴れるぜ」という口上を、スタンスで示したのが今回の天晴です。隠し事なんかしないで(出来ないので)進もうぜといった感覚が、行動の全てになっています。

 結果的に、霞の感情の抑制と、それに対する各人の遠慮を解き放ち、それを見たキンジも自分の隠し事を吐露してしまう等、ニンニンジャー再団結に向けての段取りが一気に進んでいきます。このスピード感は凄いですし、悪く言えば節操がないです。「キンジの引っかかりをもう解決しちゃったよ」という驚きがありました。

 そして、今回メンバー唯一貧乏神の被害者となった天晴...要するに西川さんは、寒空の元で上半身裸になり、それも数シーンに留まらず変身前まで継続するという根性を見せます。しかも変則名乗りまでやってしまうのですから、さぞ大変だったのではないかと察します。

暴走風花

 天晴が霞に全く気を遣わない事に対し、かなり腹を立てている様子の風花。いきなりスケバン口調になる辺りが超絶に可笑しい。これまでも天晴の態度に強い口調で迫る事はありましたが、あくまで育ちの良い女の子の範疇を出ていなかったので、これには驚きました。まあ、ギャグのつもりだったのでしょうけど...。

素面名乗り!

 近年の戦隊は、素面名乗りをあまり出し惜しみしなくなったようですね。

 今回は素面で変身しながら名乗るという変則的なシーンで披露していましたが、これがキマリ具合も合成の巧さも最上級。こういった工夫があると、やはり嬉しくなってしまいますね。

キンジ

 キンジの曇った表情が、数回前の引っかかりになっており、まだ苦悩から解放されないのか...と若干可哀想になっていました。

 今回で、実は十六夜九衛門と密かに通じていた事が後ろめたさとなり、天晴達に完全に心を開けない状態だった事が明らかになりました。そして、十六夜九衛門を単独で討ち、旋風の忍タリティを取り戻す事で、天晴達へのやや一方的な罪の意識を払拭出来ると考えていたようです。

 ある意味自分勝手な行動だったわけですが、そこも含めて天晴達に許容される事により、やっと伊賀崎の一員になれるかも...という処まで来ました。

 まだまだキンジに苦悩を持たせ、最終クールを盛り上げる為に利用するのかと思っていましたので、少々拍子抜けではありましたが、ネガティブなメンタル描写で盛り上げないのは「ニンニンジャー」としては正解なので、良かったと思います。

 なお、十六夜九衛門に関しては、予想を超えた正体がありそうなので、楽しみですね。

年末商戦!

 今回は巨大戦でオトモ忍を沢山登場させ、豪華な画作りで盛り上げていました。最近出てきてなかったガジェットとかが大挙して出て来ると、ああ年末だなあ...と思ってしまいます(笑)。

次回

 予告では完全にギャグ編。ですが、ここ数話では見事にミスリードされてしまってますので、油断は出来ません。