「しょうがない」で提示された要素が見事に開花した傑作アルバム。音の傾向としては、「コンストラクション~」から続くメタリックなオルタナティヴ・ロックであるが、そこはクリムゾン。見事に叙情性とユーモアが取り混ぜられ、惜しみなく各自のテクニックを投入した音作りがなされている。
「ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ」と題された小曲が散りばめられる構成は、かつての「ポセイドン」を連想させるが、「ポセイドン」ほど叙情性に流されることもなく、かえってクールな印象さえ与える。「ザ・パワー・トゥ・ビリーヴ3」はタイトルチューンとして機能するインプロヴィゼイションの色が強い曲だ。
さて、アルバムの本章として最初に登場するのは「レヴェル5」であるが、これは「太陽と戦慄パート5」と考えてほぼ差し支えないと思われる曲。テクノっぽいリズムにメタリックなリフが重ねられるメタル・クリムゾンの正統だ。「エレクトリック」は「コンストラクション~」のタイトルチューンを想起させる細かいアルペジォの掛け合いがクールな曲。同様にインストの「デンジャラス・カーヴス」は、プロジェクト・シリーズの集大成を思わせる即興的でありながら構築美にあふれたシリアスな曲である。
歌モノとしては、「しょうがない」に収録されたものの別バージョンを聞かせる「アイズ・ワイド・オープン」と「ハッピー~」、そして新曲「ファクツ・オブ・ライフ」がある。「アイズ・ワイド・オープン」は今回はアコースティックではないバージョンで収録。当アルバムのキャラクターにマッチしている。「ハッピー~」は同じ演奏をエディットしたものと思われるが、展開がスピーディでよりカッコいい。「ファクツ・オブ・ライフ」は最近のクリムゾン作品に必ず収録されているお遊び系の曲だ。
意外と話題にならなかったアルバムではあるが、私としては、クリムゾンのベスト・アルバムとして強く推挙したいところだ。











