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Live (ライヴ)

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ライヴ

 突如2001年に再編成されたロキシー・ミュージック。メンバー構成を見ると、ブライアン・フェリーは勿論、アンディ・マッケイ、フィル・マンザネラ、そして何とポール・トンプソンという布陣! これには驚くしかない。しかし、「アヴァロン」や「ハート・スティル・ビーティング」で完結した世界があるロキシーに対して、「再編成」というキーワードが馴染まなかったのも事実。

 ところが、2年後に届けられたライヴ盤の素晴らしさたるや、フェリーの美意識の高さ、マッケイやマンザネラといったメンバーのミュージシャンとしてのプライドをビシビシと感じさせるものであった。よくある昔のグループの再結成モノは、年季の入ったミュージシャンが往年の曲を「円熟味溢れる演奏で再現」し、「寄る年波」をファンに対して認識させる少々辛いものなのだが、ロキシーに関しては全く当てはまらない。

 まず「リ-メイク/リ-モデル」から始まる構成に度肝を抜かれる。ファースト・アルバムの一曲目だ。この曲のみならず、全体的にハイ・テンポで展開され、傑作「ストリート・ライフ」、「アウト・オブ・ザ・ブルー」、「ヨーロッパ哀歌」などなど、とても書き切れないが、オリジナルをハイ・レベルで再現し、さらにブラッシュ・アップさせた印象を受ける。

 ロキシーズ・ベストといった曲目、多数公演からの架空のライヴ構成といった「VIVA!」と同様の手法など、フェリーの計算高さに感服する。ロキシー・ファンは必聴中の必聴盤だ。

ハート・スティル・ビーティング(ライヴ・イン・フランス 1982)(紙ジャケット仕様)

 ロキシー・ミュージックのラスト・アルバムにしてライヴ盤。ただし、1990年に発売されており、実に「アヴァロン」から8年が経過している。正式には、「アヴァロン」がラスト・アルバムと言えよう。

 以前にもライヴ盤「VIVA!」があったが、こちらはよりストレートにライヴ・セットを伝える内容になっており、収録時間も長い。1990年と言えば、既にCDがLPに取って代わった時期だけに、この作品もCDで発売されたようだ。この紙ジャケは、その際欧州で限定リリースされた2枚組LPを元に作られている。

 いきなり内容よりジャケットの話になってしまうが、解散からかなり経って発売されたにもかかわらず、従来のロキシー・ミュージックが織り成すトータル・アートの世界が完璧に継承されているのが分かる。実に、フェリーの美学に唸らされる部分である。

 内容の方はと言うと、「アヴァロン」期のライヴの充実度がよく分かる名盤となっている。中期ロキシーのパワーと、後期ロキシーのイリュージョナルなサウンドが見事に合致し、これぞロキシーとしての完成形かと思わせる内容である。「フレッシュ・アンド・ブラッド」や「アヴァロン」が既にフェリーのソロ・プロジェクトに限りなく接近していたのに対し、このライヴ盤はロキシーのグループとしてのアイデンティティを強く感じさせる音を発しており、ライヴ自体が緻密なプロデュース・ワークの元に構成されているのは驚嘆に値する。

アヴァロン(紙ジャケット仕様)

 「サイレン」と並ぶ、ロキシー・ミュージック最高傑作にして、オリジナルに限ればラスト・アルバム。そして、ロック史上に残る名盤中の名盤である。

 「マニフェスト」、「フレッシュ・アンド・ブラッド」を経て、フェリーが得たものを総投入したプロダクション作品であり、ロキシー・ミュージックとしての個性というよりは、むしろブライアン・フェリーの個性を反映したアルバムと言える。すべての音が奥行きのある空間を漂い、それらを完全にコントロールすることから生まれる幻想に満ちた世界。ポップ・ミュージックの頂点であり、未だこの作品を超えるものはある意味存在しないのではないか、とも思える。

 完璧なプロダクション、緻密なアレンジ、シンプルでシャープなインスト、丁寧なミキシング、それらの総合芸術がこの作品を産み落としたことは間違いない。「夜に抱かれて」、「アヴァロン」、「タラ」などを聴くと、幻の空間に飛翔していくロキシーを感じ取ることができる。それはつまり、もうロキシーとしてやるべきことはやりつくし、開放された姿だ。勿論、前作までに見られたような16ビートの導入もごく自然で、幻想味溢れる空間に強力なグルーヴ感を加味していて素晴らしい。

 この後、フェリーはソロへと活動の中心を移行していく。そして、同様の手法を用いて「ボーイズ・アンド・ガールズ」のような傑作をモノにするのだ。

フレッシュ・アンド・ブラッド(紙ジャケット仕様)

 ロック史に残る傑作アルバム「アヴァロン」の陰に隠れて印象の薄い本作。だが、珠玉のナンバーが並ぶ隠れた傑作である。ロキシーではご法度(?)だったカヴァー曲が2曲(「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」と「霧の8マイル」)含まれており、いよいよブライアン・フェリー主導のプロジェクトは勢いを増してきた。

 前作よりも、格段にプロダクションの緻密さを感じさせ、全体の統一感も素晴らしい。また、16ビートのダンサブルなリズムが散りばめられており、「セイム・オールド・シーン」などはシンセ、ベース、ドラムス、ギターが完璧にグルーヴ感を演出、これ以上無いカッコ良さがたまらない。ここに透明感が加わるのだから、コアなブリティッシュ・ロック・ファンも思わずハッと聞き入るに違いない。

 一方、「オー・イエー」や「マイ・オンリー・ラヴ」といったバラッドが一層深みを増している点も見逃せない。従来のロキシーのバラッドと言えば、フェリー独特のヴォーカルがキャンプな世界を演出していたのだが、ここでは極限にまでソフィスティケイティドしたような、大人のロックを聞かせている。

 「アヴァロン」に繋がる重要なアルバムであると共に、ポップ・ミュージックが超えられない一線を引いたアルバムとして、高く評価されてしかるべきである。

マニフェスト(紙ジャケット仕様)

 「サイレン」で一旦解散したロキシー・ミュージックが、再結成してリリースしたアルバム。前作までの雰囲気を残しつつも、次作より展開されるダンサブルでクリアなサウンドへの変化を、つぶさに観察できる過渡期のアルバムである。

 過渡期とは言え、それなりに完成度が高いのがロキシー・ミュージックの凄いところ。全体的にフェリー主導の部分が強まってきており、「ブライアン・フェリーの音世界」とも言うべきサウンドが、段々と完成されていくのが分かる。従来のロキシーっぽい曲の代表は、「マニフェスト」や「トラッシュ」。ソウルっぽさが意欲的に導入され、次作からの重要な要素に発展していく様が見て取れるのが「ダンス・アウェイ」、「クライ、クライ、クライ」である。つまり、このアルバムを通して聴くと、従来のロキシーから次作からのロキシーへの変化が見られるということになる。

 「スピン・ミー・ラウンド」などは、何度聴いても鳥肌モノで、空間に漂う音符の流れに逆らわず、自由に操るフェリーの様子が見えてくるようだ。この雰囲気は、次作よりむしろ「アヴァロン」に近い。

 もし「サイレン」と「アヴァロン」を聴いた方は、この「マニフェスト」を聴いてみて頂きたい。なぜ「サイレン」のような音を作り出したグループが、「アヴァロン」のような音を創出したか、分かって頂ける筈だ。

VIVA!ロキシー・ミュージック(ザ・ライヴ・ロキシー・ミュージック・アルバム)(紙ジャケット仕様)

 ロキシー初のライヴ・アルバムは多分に戦略的な、「ライヴ・アルバムかくあるべき」とも言える素晴らしいものだ。一聴しただけでは、普通のライヴ・ドキュメントに聞こえてしまうが、実は緻密なプロデュース・ワークに彩られた準スタジオ盤と言えるような内容である。

 まず、各曲は必ずしも同日に収録されたものではないということ。クレジットを見ると1973年11月、1974年11月、1975年10月と実に広い期間に及んでいる。次に、オーヴァー・ダブが効果的に使用されていること。オーディエンス・ノイズにも同様のことが言える。

 音質の統一、オーディエンスの歓声のダビングなど、緻密なポスト・プロダクションによって、いかにも同日のライヴのような雰囲気が出されている為、長いスパンで収録されたことがにわかに信じ難いのだが、それが一流のプロデュース戦略というものだろう。ロキシーというグループが持つ、実体と幽体の間を揺れ動くような微妙な存在感を実に良く表している。

 虚の中に実を生む。昨今の安易なポスト・プロダクションを一蹴するだけの計算が、ここにはある。

Siren (サイレン)

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サイレン(紙ジャケット仕様)

 「アヴァロン」と人気を二分する、ロキシーの最高傑作推薦盤。

 ついにプログレ路線は「センティメンタル・フール」一曲のみとなり、他の曲はパワーに溢れたロック・ナンバーとなっている。前作にて展開されたシンプルな音像をより洗練させ、聴き手に各パートが直に伝わるようなミキシングが施されている。各メンバーの自信の表れでもあろうし、本作で一旦ロキシーの歴史にピリオドを打つことが分かった上での気迫が満ちた結果なのかも知れない。

 名曲が揃いに揃っており、特に「恋はドラッグ」はロキシーといえばこの曲というぐらいの名曲だ。「ワールウィンド」のようないかにもロキシー流ハード・ロックなナンバーや、「ボウス・エンズ・バーニング」のように後々までライヴで披露される傑作ナンバーも収められている。

 冒頭に「アヴァロン」と人気を二分するとしたが、雰囲気、方向性ともに全く異なる作品であることに注目しなければならない。「サイレン」は、ロキシー・ミュージックがバンドとして最高の形を示したアルバムであり、そのダイナミズムは「アヴァロン」に勝ると言っていいだろう。

カントリー・ライフ(紙ジャケット仕様)

 前作で新しい方向を示したロキシーが放った第4作。前作よりもさらにロック化。ハード・ロックとフェリーの美的感覚が最高の形で結実した傑作だ。

 各人の演奏も実に的確で素晴らしく、コーラス・ワークも充実している。全体的に音像がシンプルになっており、ミキシングのセンスもいい。このあたりは、次作「サイレン」でより鋭い形で示されることになる。

 ロキシーの代表曲「アウト・オブ・ザ・ブルー」は名曲で、ブレイクに入るベース・ソロが異様なカッコ良さを湛えている。退廃的なムードを漂わせているが、本作にあってはかえって異色である。このアルバムでは、「オール・アイ・ウォント・イズ・ユー」や、T・レックスっぽいリズムの「イフ・イット・テイクス・オール・ナイト」などのような明るい曲やロックのパワーを湛えたものが多い。

 ただし、まだプログレっぽい曲も残っており、次作からのようなシンプルなハード・ポップ・ロック第一主義になっていないところが面白く、聴き応えのある要素だ。

ストランデッド(紙ジャケット仕様)

 イーノが脱退、「美少年マルチ・プレイヤー」エディ・ジョブソンが加入しての、心機一転アルバム。前作A面の雰囲気を残しつつも、より「音楽的」になったのが特徴で、これはジョブソンの功績だろう。

 「ストリート・ライフ」のような、前作までの作風を継ぎつつもよりロックのダイナミズムをうかがわせる曲や、傑作「アマゾナ」のように落ち着いた雰囲気の中、フェリーの計算されたヴォーカルが飛び込んでくるところなど、一層の飛躍を感じさせる。

 リズムに関してもよりノリを追及した形となっており、後に展開される「ロキシー節」は、この作品にて既に現れていると言っていいだろう。一方、「祈り」、「ヨーロッパ哀歌」(名曲!)のように重厚な雰囲気を漂わせた曲もあり、後々失われていく要素もあって変化が楽しめるアルバムとなっている。

 本作は、「マザー・オブ・パール」に止めを刺す。これぞ「ロキシー節」いや「フェリー節」!全編ハード・ロックかと思いきや、突然耽美的感覚に溢れたキッチュなバラッドに。さぁ、酔ってください。

フォー・ユア・プレジャー(紙ジャケット仕様)

 ロキシー・ミュージックのセカンド・アルバム。基本的にはファーストの作風を受け継いでいるが、早くも変化を見せ始めている。

 オープニングを飾る「ドゥ・ザ・ストランド」を例に出すと、ファーストの1曲目と同様のリズムでありながら、よりダイナミックでキャッチーなロックへと変わっている。同様のことは、アルバム前半の曲にはすべて当てはまる。

 アルバム後半は、音の作りや流れがプログレっぽく、これはこれで斬新である。ただし、イーノがもたらすアヴァンギャルドな部分というのは希薄で、むしろこれはプロデューサーの志向だろう。実際、このアルバムはA面とB面でプロデューサーが異なっている。

 問題は、初期ロキシーをグラム・ロックと呼んでいいのかということだ。私としては、人工物の匂いが漂うアルバムのトータル・アートや、裏ジャケに見られるメンバーの格好から、グラム・ロックとして良いと思う。そもそもグラムには純粋に音楽的なジャンルの定義はないわけで、こうしたショーマンシップ的な精神が根底にあるか否かの問題だからだ。

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