第31話「ワスプの復讐」

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ワスプの復讐

 いよいよロングアーム包囲網が迫る、サスペンス編。ただし、主役はバンブルビー。ワスプの仕掛けた罠によって、窮地に陥ります。

 アイアンハイドですら、完全に騙されてしまう展開には戦慄。バンブルビーとの友情の力で、ワスプの変装を見破るなどという、甘い解決に持っていかないあたりがリアルでイイです。

 しかも、今回の話の構造は非常に素晴らしいものになっています。ロングアームがかつてスパイの汚名を着せたワスプ。彼が逃亡を果たす事でエリートガードが動き、ワスプがスパイとして疑われているという事実が、ウルトラマグナスにエリートガードへの直接指示の契機を与えます。さらに、ワスプが地球に向かった事により、エリートガードはオプティマス達と合う事になり、結果的にロングアームこそがスパイだという事が、エリートガードに知らされるのです。

 つまり、ロングアームは巡り巡って、自らの身にスパイの嫌疑が降りかかってしまったわけですね。

 ところが、ロングアームことショックウェーブは、さらに先手を打っていて...という具合に、実にもうサスペンスフル。

 G1ではあまり見る事の出来なかった、多重構造の展開は圧巻ですね。

 そして、新キャラも登場。ジェットファイアーとジェットストームなる、セーフガードの二人です。この二人がもう、完全に美味しい処を持ってっちゃいました。その理由は...。

 というわけで、続きの方に参りましょう。


 ワスプが地球に逃げ込んだという情報を得て、エリートガードが動き出します。このエリートガードの動きは、かなり後になってからロングアームの耳に入った様子。実は、ウルトラマグナスはワスプに情報が漏れる可能性を断つ為に、エリートガード以外の者に一切話を通す事なく、直接センチネル達を地球に送り込んだのでした。

ワスプの復讐

 一方、バンブルビーはオプティマスの指示により、モニターを監視中。サイバトロン星との通信が不能になった為、警戒を強める意味合いがあります。ワスプの逃亡についても言及されてはいましたが...

ワスプの復讐

 まさか、バンブルビーは、ワスプによって今回酷い目に遭うとは思いも寄らなかったでしょう。何しろ、あんまり真面目にモニター監視をしていないし、危機感としてはかなり薄い様子なのです。

 その頃、地球に到着するセンチネルとジャズ。

ワスプの復讐

 この二人、地球に対する態度は完全に正反対ですが、それ故に今回良いデコボココンビを演じてくれます。センチネルがボケ、ジャズが控えめなツッコミという具合ですが。

 エリートガードが地球にやって来るような事態とは知らず、バンブルビーはモニター監視に飽きてゲームを始めていました。

ワスプの復讐

 そう、この時もし、モニター監視をちゃんとやっていれば、エリートガードの飛来に気付き、ワスプに遭う事もなかったかも知れないのです。

 こういう、すれ違いによる話の回転が、実に巧い。基本的にサラリと流してしまうような処に、こういった仕掛けがしてあるので、深く納得出来るようになっているわけですね。

 そこに、突如ワスプが登場。薄暗い部屋で浮かび上がる姿が不気味です。

ワスプの復讐

 ちょっとしたホラーテイストが付加されているのも、雰囲気作りに貢献していますね。

 ワスプは「俺の人生を台無しにしたロボットに、復讐しに来ただけさ」と、ヘッドギア(?)を取り、バンブルビーに近付きます。

ワスプの復讐

 何やら麻酔銃のような物を手に取り、バンブルビーに発射するワスプ。

 何と、ワスプはバンブルビーに成り代わってしまいました。

ワスプの復讐
ワスプの復讐

 面白いのは、ワスプの化けたバンブルビーはマスクをしているという事。一方のバンブルビーは口を隠していないので、この違いは謎。何か理由があるのかも知れませんけど、少なくとも私が本編を見た限りでは分かりませんでした。

 もしかして、視聴者による見分けが容易になるようにという演出意図だけが一人歩き?

 さて、昏倒していた(ワスプ型)バンブルビーが気が付くと、オプティマス達が囲んでいました。勿論、バンブルビーに化けたワスプも一緒です。

 懸命に自分がバンブルビーである事を説明するのですが、当然周囲には信用されません。困惑したバンブルビーは、基地を飛び出していきました。ワスプ、してやったりの顔。

 直後、ワスプを追ってきたセンチネル達は、オプティマスと合流します。

ワスプの復讐

 ワスプの追跡よりも、ロングアームこそがスパイだという報告の方が重要だと考えるオプティマスでしたが、残念ながらセンチネルには戯言にしか聴こえず、全く信じていません。

 センチネルはエリートガードに入隊出来る程の実力を持っていますが、オプティマスと対比されるキャラクターとしてポジショニングされているので、どうしてもマヌケになってしまう。割と可哀想なキャラクターだと思います。

 一方サイバトロン星にて、ショックウェーブは、正体が露見する事を見越して、自らの判断で動く事をメガトロンへのメッセージとして残します。

ワスプの復讐

 これはつまり、今回の衝撃のラストへと繋がる事項なのですが、単にサイバトロン星を脱出するだけという意味ではなさそうですね。

 再び地球。バンブルビーは、何とか塗料を落とそうとしますが、全く落ちず。

ワスプの復讐

 他にも、マスタードを塗って黄色くしようとしたり、かなり冷静さを失っていますが、無理もないですね。なお、ワスプ色の塗料が何故落ちないかという理由が、ラストにちゃんと明かされます。細かい処まで丁寧ですな。

 続いて、ワスプ(実はバンブルビー)を捜索するオプティマスとラチェットの前に、二体のジェット機が出現。空を飛べるオートボットは、オメガスプリーム以外登場していないので、オプティマスとラチェットは、超アクロバティックな軌跡を描いて飛ぶ二体のジェット機を、ディセプティコンだと認識します。この二体、一応トランスフォーマーではあるのですが...。

 こちらは、ジェットファイアー。

ワスプの復讐

 そしてこちらは、ジェットストーム。

ワスプの復讐

 どこかで聴いた声。そう、「名探偵コナン」ですよ...って、まぁそれは冗談。確かに「コナン」にも出てますけど、ここはトランスフォーマーですから。

 そう、「ビースト」再来ですよ!

 ジェットファイアーに「ラットルくん」こと、山口勝平さん。

 ジェットストームに「チータスじゃん」こと、高木渉さん。

 もうアドリブ出まくり。やや際どいのも含めて、やっぱり現場を荒らしに来られましたね(笑)。明らかにリップシンクを無視した喋りを入れてきたりと、トランスフォーマーが自分達の庭みたいな状態で、何か凄いですわ。

 結局、サブキャラを全部集めてきたら、CG版「ビースト」のキャストは殆ど揃ったのでは。加藤賢崇さんも、後から出られるらしいという噂ですよ!

 後から気づいて申し訳ないのですが、ミックスマスターには中村大樹さん(ライノックス)が、スクラッパーには遠藤雅さん(スコルポス)がキャスティングされているんですよね~。聴いたことのある声だと思ってましたが、すっかり忘れてました...。

 ジェットファイアーとジェットストームは、オプティマス達と交戦状態になります。完全にディセプティコンと誤認しているオプティマス達と、邪魔者を無邪気に排除するといった趣のジェットファイアーとジェットストーム。「アニメイテッド」は、仲間のレコグニションがとれないという事態があっても、比較的違和感がないような気がします。

 なお、ジェットファイアーという名はG1にも登場。アニメではスカイファイアーでしたが、トイは「Jetfire」名義。なお、トイがバルキリーの輸出版だったのは有名な話です。一方のジェットストームは、「ビーストウォーズリターンズ」に登場。カラーリングが意識されていますね。

 この二人最大の特徴、それは、「お前と合体したい!」ということ(笑)。

ワスプの復讐

 二体がいわゆる「シンメトリカルドッキング」して、セーフガードになります。

ワスプの復讐

 「合体したい」というセリフは、まぁ「アクエリオン」のパロディなんでしょう。合体方式は、「エクスカイザー」や「ガオガイガー」における左右合体ロボを彷彿させます。

 合体シーンが割と長めだからか、お二人のアドリブが入る入る(笑)。いい意味でやかましいくらいです。

 合体すれば強くなるのが道理。セーフガードは、ラチェット達を圧倒します。

ワスプの復讐

 そこにセンチネルが登場。セーフガードが、実はセンチネルの部下だという事が判明します。

ワスプの復讐

 初の航空型オートボットをもの珍しがるラチェット。何と、監禁していたスタースクリームのデータを元に双子を改造し、空を飛べるオートボットが誕生したのだそうで。技術の盗用とか、普通にやってしまうあたりが、これまたリアルですね。情報戦、諜報戦の要素が入ってきている辺りが、妙に硬派です。

 早速、セーフガードの二人はセンチネルの指示でワスプ捜索へ。

 その頃、バンブルビーになりきる努力を怠らないワスプは、ゲームに手をつけます。が、その腕は最低。

ワスプの復讐

 これが後々足を引っ張るとは、ワスプにとって予想外だった筈。

 一方、ワスプ型のバンブルビーは、アイアンハイドとプロールに発見されてしまい、交戦状態となります。

 バンブルビーは、サイバトロン星でセンチネルを下敷きにしたアイアンハイドをかばい、自分が犯人だと名乗り出た出来事を話し、ようやくアイアンハイドに自分がバンブルビーである事を信じてもらえるのでした。

ワスプの復讐

 ところが、そこにセーフガードの二人の奇襲が!

ワスプの復讐

 必死にバンブルビーをかばうアイアンハイドでしたが、ジェットストームは「嘘を付くと園長先生怒るよ!」と容赦なく攻撃を加えます。

 この「園長先生」は、「ビースト」時代に高木渉さんが好んで用いていたネタで、当時は「校長先生」でした...って、まぁどうでもいいか(笑)。

 なお、戦闘中には、バスを被るアイアンハイドのお茶目な画が。

ワスプの復讐

 こういったデフォルメが似合うのも「アニメイテッド」の特徴。とは言え、実はここまで元々のサイズ感を崩したデフォルメは、この「アニメイテッド」でも珍しい部類ですが。

 その頃、オプティマス達はセンチネルやジャズと共にアイアンハイドの元へ向かっていました。小ネタとして、センチネルのタイヤのグリップ力が弱いというのがあり、濡れた路面を巧く走れずに、ロボットモードでドタドタと走るというシーンが見られます。

 オプティマスもそれに付き合い、「センチネル、ゆっくり話すよ。君が理解出来るようにね」と、オートボットのスパイに関する経緯を説明しようとするのですが...。

ワスプの復讐

 残念ながら、センチネルの硬い頭はそれを受け付けようとはしません。

 オプティマス達が現場に到着すると、バンブルビーは既にセーフガードによって電子手錠をはめられた後。ワスプとバンブルビーが入れ替わっていると説明するアイアンハイドとプロールでしたが、センチネルは興奮していて全く聞き耳を持ちません。

 とうとうジャズが、センチネルに落ち着くよう苦言を呈します。

ワスプの復讐

 ジャズは割と呑気なヤツという印象がありますけど、かなり頭も切れるし、冷静で落ち着いてます。G1での「副官」という肩書きは日本版独自のものですけど、意外と事情を汲んでいるのかも知れませんね。

 オプティマスは「誰も逮捕などさせないぞ、センチネル」と牽制。「お前も裏切り者ってワケか?」とセンチネル。これは多分本気で言ってますよ(笑)。オプティマスは「いや、そうじゃない。大切なのは信じる心だ」と返していますが、これは結構日本的なセリフだと思います。まぁ、ドライな中に多少ウェットな部分が出てくる事で、「オッ」と思わせるという技でもありますね。

 結局、疑念を抱いたまま、オプティマスの説得で基地に戻るセンチネル。彼はバンブルビーに化けたワスプを尋問しますが、ワスプは言葉巧みにかわしていきます。

ワスプの復讐

 アイアンハイドは、バンブルビーが本物かどうかを判別する術があると言い出します。何と、それはゲーム対決!

 そのアイディアに対する、ジャズの「最高だな」と、セーフガードの二人の「やっちゃってください!」という反応が愉快です。

ワスプの復讐

 ゲームの腕だけは誤魔化しようがなく、追い詰められるワスプ...。

ワスプの復讐

 とうとう万事休すとなったワスプは正体を表し、バンブルビーにスティンガーを突きつけて「人質」にとります。

ワスプの復讐

 ワスプは、「お前たちはワスプを逮捕した。ワスプはいいロボットだった!」と、センチネルやバンブルビー、アイアンハイドを非難しますが、「それは違う!君はいつも俺とバンブルビーに意地悪だった。裏切り者でもないけど、いいロボットでもなかったよ」とアイアンハイドは答えます。確かに意地悪なロボットでしたが、今回の過激な行動はスパイの濡れ衣を着せられたからであり、ワスプ本来の性分ではないでしょう。結構可哀想なキャラクターだと言えます。ただし、「意地悪」であった事によって疑惑を招いた事も否定出来ず、その意味では自業自得の要素も多少は認められるでしょう。

 結局、ワスプは逃亡。バンブルビーが被せられていたワスプのヘッドギアに、電子絵の具のスイッチがある事を、プロールが気付きます。

ワスプの復讐

 電子絵の具を使って色を変えられていた為に、いくらバンブルビーが色を落とそうとしても、落ちなかったわけですね。しかし、「電子絵の具」とは何ぞや(笑)。多分、原語版ではもっと難しいテクノロジーの名前が付けられているものと想像出来ます。電子的な色彩変換とか何とか。あくまで想像です。

 これにより、オートボットの置かれた状況をようやく理解したセンチネル達。

ワスプの復讐

 「ロングアームが本当のスパイで、ワスプをはめたなら...オートボットの情報長官はつまり」と、まずジャズが気付きます。オプティマスが「ディセプティコンのスパイということだ」と補足すると、センチネルは、「全く...何で最初にそう言ってくれなかったんだ?」とボケまくり(笑)。

 この直後、エリートガードは早速ウルトラマグナスに報告したものと思われます。

 そしてサイバトロン星。

 ロングアームがスパイだという報告を受け、ロングアームを尋問しにやって来たのは、アーマーハイドです。アーマーハイドが情報部の部屋に入ると、何とウルトラマグナスが無残な姿に!

ワスプの復讐
ワスプの復讐

 ハンマーも奪われており、「ショックウェーブ...」という言葉を残して昏倒するウルトラマグナス。

ワスプの復讐

 超衝撃のラストでした。「ウルトラマグナス~!!」という気合入れ過ぎなアーマーハイドの叫びが、逆に笑いを誘っちゃってるあたりが、「らしい」と言えば「らしい」ですね。

 果たしてウルトラマグナスは無事なのか...!?




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