第22話「覚醒か? カン違いか?」

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 前回はタスクとの関わりで心の扉を一つ開けたかに見えた操。しかし、彼の面倒臭い性格は全く改善されていないことが判明!

 改善されていないというよりは、面倒臭い一面がまた一つ露呈したと言った方が良いかも知れません。

 そして、何より久々の小悪魔アム発動編ということで、最近のおとなしい印象を払拭する一編となりました。

イルジオン

 毒々しい色遣いとソリッドなシルエットで、生物感を極限までスポイルしたかのようなデザインが鮮烈なプレイヤー。しかしながら、その言動は軽妙なエンターテイナーをイメージしています。

 マジシャンやイリュージョニストの感覚で振る舞ってはいますが、その能力はステッキで触れた物体を強力な爆弾に変化させるという、これまたえげつないもの。このギャップが愉快犯のイメージを喚起し、デスガリアンの悪辣さを強調しています。

 その被害描写も奮っていて、街中でドカンドカンと派手な爆発が連発するという、凄い描写になっていました。市井の人々が巻き込まれる様は、さながらテロのようでもあり、時事的な恐ろしさすら漂っていてなかなか衝撃的でした。勿論、ジュウオウジャーたちもその洗礼を受けることになるのですが、素面アクションの一環として撮影されているので、その迫力もピカイチとなっていました。

今週の操

 まずは冒頭、イルジオンが爆弾化した自転車を触り、ゾワッとした感覚を覚えた直後に爆発するという目に遭います。それを「自分が触ったから爆発した」と勘違いする操。この短絡的思考の源泉は、今回示されるとおり「単純さ」にあると思います。勿論、そこにネガティヴ思考が加算された結果ではありますが。

 巧いのは、冒頭のゾワッとする感覚が、ジューマンの能力(サイの鋭敏な触覚)の発露によるものとして説明されるくだりでしょう。当初は操を勘違いに陥れた能力が、実はポジティヴな能力であると分かった途端、彼は自信を持ち始めるのです。様々な事象の組み合わせが、捉え方によってはネガティヴにもポジティヴにも変換される、良い例でしょう。

 そして、その「自信」もまた、単純な思考の結果であると説明される辺り、やはり操は面倒臭い(笑)。

 後半、アムにおだてられた操は、さらなる自信過剰ぶりを発揮します。その変貌ときたら凄まじい限り。完全にギャグキャラです。それでも、大和たちがボーッと傍観する中(これが実に可笑しい)、イルジオンを圧倒しまくる様子は、ジニスの操り人形たるザワールド時の強さを彷彿させ、やはりザワールドだった頃の強さが失われているわけではなく、操の面倒臭い性格が彼の卓抜した戦闘力をスポイルしているに過ぎないことを示していました。この戦闘は爽快そのもので、最後の最後で大和たちを呼び寄せてとどめを刺すまで、目を離す暇のない見事な構成のアクションを披露してくれました。

 巨大戦では、まさかの新合体を編み出す快挙。そしてその処理が実に軽々しい描写で、何とも言えない絶妙かつ危ういバランスの上で成立していました。

アム

 前回は、その味覚が役に立つという意外性で魅せてくれたアム。今回は、元来の魅力が炸裂し、操をまんまと焚き付けるという活躍を見せてくれました。

 操の性格、そしてその本質を見事に見抜き、「おだて」が操の能力を引き出す最良の手段だと確信するアムは、セラをも利用して(!)操への期待を告げます。操は舞い上がり、妄想内でワニ男たち三人のジューマンからさらに盛り立てられ、力を発揮するに至るわけです。

 注目すべきシーンは、操に仕掛けた「小悪魔スマイル」が効いたと見た際の、あの不敵な笑み!! 操が完全なるギャグキャラなら、こちらは完全なる小悪魔キャラ。これまでのアムは、卓抜した空気を読む能力がありながらも、天然系な振る舞いで周囲に影響を与えるキャラでしたが、今回は完全なる策士に変貌を遂げており、少々驚きを覚えるところです。しかしながら、確実にそれは新たな魅力として映りましたね。

 また、変身後を含めて明らかに「あざとさ」を強調した仕草を繰り返していたのも面白いところ。分かってやっている感があるので、アムが次なるステージに到達したことが分かります(笑)。

ワイルドトウサイキング

 現状における全合体! こういった「スーパー合体」は、後がないほどの危機に直面した際に、極限の努力や奇跡によって誕生するのが常套句でしたが、近年は結構軽めのイベントにされてしまう傾向がありますね...。

 今回などは、違う意味で極限です。アムに極限までおだてられた操が、極限まで調子に乗り、キューブをジャグリングして偶然出来上がるんですから。

 その直前の描写もある意味極限です。イルジオンが周囲のビルを変化させて強化合体(?)を披露する中にあって、新合体を生み出すために積み木遊びの如くキューブを組み立てるジュウオウジャーの、何とも微笑ましい姿。危機感が極限までスポイルされていました。

 そのワイルドトウサイキングは、全合体ならではのボリューム溢れるシルエットが魅力的ではありましたが、正直インパクトの面で弱いような気がします。合体自体に有り難みがないというか...。

真理夫さん...

 エピローグでは、すっかり仲間気分で真理夫のアトリエに帰ってきた操を、またもやドン底に陥れる出来事が。それは真理夫が食事を自分を含めて六人分しか用意していなかったこと。真理夫にとって、まだ操は「お客さん」だったわけですね。

 そして、操の様子を見ていたアムは、操の操り方を心得たとばかりの感想を。どこまでもアムに転がされそうな操なのでした。いやはや、転がされたい男性諸氏の様子が目に浮かぶようです(笑)。

次回

 今回退屈そうにしていたジニスは、次回への伏線なのでしょうか? サブタイトルがなんだかジャスピオンっぽいのが気になりますが...。公式サイトで女性陣の先行イメージが公開されているので、その辺りもお楽しみに。