第25話「アンハッピー・カメラ」

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 まだ操と全面的には絡んでいなかったレオ。そんなレオと操のやり取りが楽しい一編。

 超ポジティヴなレオと、超ネガティヴな操は、例えばセラに言わせればどちらも面倒臭いヤツなのかも知れませんが、この両極端な両者が関わり合うことで起きる化学反応は、互いにとって、そしてジュウオウジャーたちにとっても価値あるものとなったようです。

 一方で、異分子であるバングレイを招聘したことで、デスガリアン側にもちょっとした化学反応が起きることとなりました。

暗い大和

 冒頭では、前回の出来事を引き摺っていると思しき大和の姿が見られます。

 基本的に大和は「配慮の人」なので、他人に心配をかけることを回避すべく、自らの暗い部分をなるべく隠蔽してきたはずですが、前回の出来事はさすがに大和にとってもある種のターニングポイントになったと言えるようです。これまでの大和は、利他的ではあるのですが、それだけに他人との間に無意識のうちに造り上げた壁は、高かったのかも知れません。人とのつながりを強く意識するようになったことで、より身近な仲間との繋がりもより一層意識することになったわけで、今後はもっと深層を露わにする場面が増えてくるかも知れませんね。

 ただ、今回に限ってはこの「暗い大和」は早々に解消されてしまいます。レオや操たちが何とか大和を元気付けようとする様子を目の当たりにし、自分が暗い気持ちにとらわれてはいけないと思ったわけです。ここではやはり、「放っておいてくれ」などとは言わない、利他的な大和が顔を覗かせています。イイヤツですね...。

ジャシンガー

 今回のプレイヤーは、明確にカメラがモチーフとなっているジャシンガー。カメラモチーフの怪人は、枚挙に暇がないくらい多数存在していますが、大抵が写真の中に幽閉するとか、古の都市伝説よろしく魂を奪うとか、そういった定番パターンが多く見られます。

 個人的に最強(最恐)のカメラ怪人は「デンジマン」のルパンカメラーだと思っています。ルパンカメラーは写真家に化けて美女の写真を撮りまくり、それをパネルにしてヘドリアン女王に献上するという怪人。字面にするとギャグですが、献上されたパネルは、ヘドリアン女王が壁に埋め込んだり割ったり燃やしたりして、それが被写体にも直接影響するという、ホラーテイスト全開な代物。さすがに現代においては、そんな描写はできないでしょうね...。

 さて、ジャシンガーの能力は、ごくごくシンプルに被写体を写真の中に閉じ込めるというものです。惑星の名を冠したアルバムにコレクションするという、いかにもゲーム的な味付けが巧いところ。そのシンプルさ故に描写はなかなか凝っていて、被写体は三原色にぼやけた後、光となって吸い込まれるという美しいものになっていました。

 ジャシンガーのデザインは、フィルムやカメラを各所に配した、写真家風の出で立ち。モチーフの分かり易さと分かり難さを同居させているという点で、デスガリアンのデザインラインを踏襲していますが、今回は分かり易さの方が勝っているように思えます。前述のルパンカメラーは、元々デザインを手がけた野口竜さんのストックデザインだそうで、後から胸にレンズが付けられ、唐突にカメラの怪人にされたという経緯があり、実は「分かり難いデザイン」方面の怪人だったりします。

 モチーフが分かり易いものは、弱点も分かり易いというのが定石で、このジャシンガーも右肩のカメラが破壊されただけで、閉じ込められた人々が開放されるという、実に単純明瞭なものでした。今回は動けるキャラクターを操とレオ「だけ」にする必要があり、またバングレイとクバルのバトルもあったので、この単純さが非常に有効だったと思います。

 等身大戦では、ジュウオウライオンとジュウオウザワールドの楽しい連携アクションが見られ、また劇場版を意識したのか、アクロバティックでエンターテインメント性溢れるアクションが繰り広げられました。特に、ジャシンガーの背中を軸にクルクルと回してしまう楽しいビジュアルが印象に残りましたね。

クバルとバングレイ

 バングレイは所詮よそ者であるが故に、ジニスへの遠慮や忠誠といったものは皆無。クバルはそれが気に入らない...と思いきや、前回バングレイにその心中を読まれた所為で、焦りを感じていたことが判明します。

 どうやら、クバルはジニスによって故郷の惑星を滅ぼされたようで。もしかすると、ジニスへの復讐を虎視眈々と狙っていて、それを悟られないように忠誠を装っているのかも知れません。

 この、ボスによって故郷を滅ぼされて従っているという構図は、「チェンジマン」のゴズマが戦隊におけるオリジンとして燦然と輝いています。ゴズマは、チェンジマンとの戦いだけでなく、ゴズマの被害者たる宇宙人たちの参戦も加わり、徐々に内部から瓦解していくというドラマチックな展開を生みましたが、デスガリアンでは、どこまでその辺りを突き詰めていくのか楽しみではありますね。やはり、敵側に不穏な動きがあると緊張感が高まるというものです。

レオと操

 すぐにネガティヴな感情にとらわれて落ち込む操。彼は今回、大和を励まそうと自分が最も大事にしているという「最初の釣り竿」を持参し、大和に手渡そうとしました。その手作り感溢れる釣り竿に、大和は当然ながら困惑。この時はまだ、大和が物思いに耽っている最中だったということもありますが、それでも手渡されて困る代物だったのは確かです(笑)。

 そこにガッツリ突っ込んでいくのがレオ。自分の感性に合わない事象は明確に否定するレオの前にあっては、操自身が否定された気になってもおかしくはないわけです。ここでまず軽く落ち込む。

 続いて、怪しすぎる「撮ると幸せになるカメラ」を手に、再び大和の元へ。当然ジャシンガーの罠なのですが、こういったものをすぐに真に受けてしまう辺りが、感情の起伏に左右されやすい操の弱点だと言えるでしょう。このカメラは当然の如く、大和、セラ、タスク、アムを次々と写真に閉じ込めてしまうわけで、操はその結果を目の当たりにしてさらに落ち込んでしまうわけです。

 可笑しいのは、操がレオにカメラを向けなかったところ。このことから、操はレオを苦手としていることを伺わせます。他の四人とは何らかの繋がりを持ち(あるいは利用され)ましたが、レオだけはまだだったので、距離感を図りかねていたのかも知れませんね。

 結果として、すぐに落ち込む操を正面切って大嫌いなタイプだと明言するレオに対し、操も同じく大嫌いだと言い返すことで、二人の距離感は急激に縮まることとなりました。レオは正直にものを言うタイプを信用するたちで、ここでは操のことを好くか嫌うかについては問わず、操を信用できるか否かに重点を置いているように見えます。大声で大嫌いだと言われても、それを手放しで賞賛して受容するレオの男気は素直に格好良いですよね。正に好漢という感じです。

 ジャシンガー攻略戦では、息が合っているのか合っていないのかさっぱり分からないという、楽しいコンビネーションを見ることが出来ました。コミカルながらも、パワフルなファイターコンビの勢いあるアクションが素晴らしい立体感を見せてくれましたね。

 エピローグでは、仲良く釣りをする姿が。しかし、短気なレオにとって釣りは退屈そのものだったようです。こういった「いかにも」な反応が見られるのも嬉しいところで、レオをフィーチュアしたエピソードは、やはり安心して見られますよね。

次回

 次回は大和の友人のお話。他の面々の「正装」が眩しいこと間違いなしなので、いわゆるコスプレ編としても期待したいところです。