第44話「人類の王者」

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 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 というわけで、新年第一弾の「ジュウオウジャー」。真理夫にこれまでの経緯を説明するという構成で、いわゆる「総集編」を展開しました。

総集編の醍醐味

 後見人キャラを中心に据えた総集編は完成度の高いものが多く、古くは「バトルフィーバー」における中盤の総集編的挿話(慢心したヒーローたちに初心を思い出させるべく、各々の戦いを振り返るというもの)から始まり、「ダイナマン」のように最終話のワンシーンを司令官の回想に割くなど、総じて切れ味があります。ベテラン俳優が語るという意味での完成度の高さもありますね。特に「ダイナマン」における島田順司さんの語り口は素晴らしかったです。

 今回は、真理夫に語らせるわけではなく、真理夫に大和たちが説明するという構成だったため、寺島さんの語りで引っ張る構成ではありませんでしたが、正に一般人の代表として、そして後見人キャラらしい類い稀なる包容力と好奇心により、視聴者の目線を代表していました。この真理夫と視聴者の一体感が、今回の面白い視点になっていると思います。

 そして、色々な要素が錯綜している「ジュウオウジャー」本編ですが、テンポ良くコンパクトに、そしてハイライトをちゃんと抽出した編集技術の高さも素晴らしいものでした。最終決戦に向けてのおさらいとしても一級の完成度だったと思います。

人類の王者・ジュウオウヒューマン!!

 「アバレンジャー」のアバレピンクあたりを意識した、いわゆるコスプレヒーローでした(笑)。この起源を探っていくと、「カーレンジャー」のホワイトレーサーになるでしょうか。

 頭部こそマスクではなく顔出し仕様のヘルメットですが、スーツは正式な素材を使用していると思しき質感になっていて、なかなかの完成度。胸にあしらわれた絵柄が真理夫さん本人というのも素晴らしいです。また、寺島さんの見事なポージングもあって、ウケ狙いにも関わらず、意外とヒロイックでしたよね(笑)。

 この寺島さんのピンクのスーツに既視感があったのですが、なるほど「イン・ザ・ヒーロー」でしたか。本編は未見なのですが、リンク張っときます。 → http://www.cinematoday.jp/page/A0004042

 単なるネタに留まらず、「人類の王者」として大和たちの「日常」を守るというポジションを明言するあたり、熱いですよね。戦いに疲れても、そして本来の故郷に帰れなくても、ふと帰ってこれる場所がある。そして、その場所を作り上げ守っているのが、真理夫という存在。いわゆる指令型の後見人キャラクターとは全く違う立場ですが、「基地」に相当する場所の守り人であるというだけで、充分な存在感の理由になるかと思います。

アザルドの謎

 単なる総集編に留まらず、ちゃんと最終編への仕掛けを用意していました。それがアザルドの謎です。

 操が王者の資格なしにどうやって変身能力を獲得したのか、アザルドはなぜキューブで構成されているのか、そしてバドが落としたキューブがなぜアザルドに吸収されたのか。この「キューブ」を巡る三つの謎が、最終編への鍵です。ジニスの持つテクノロジーと、ジューランドのテクノロジーの接近は何がきっかけだったのか、そして結果的に何を生んだのか、そのあたりがすべて明かされようとしています。

 バドとラリーがこの謎の牽引役を引き受けているあたりも巧いところで、大和たちにはあくまで個々人のドラマと戦いを担当してもらい、謎解きのシークェンスをセミレギュラーのキャラクターに任せるという、見事なストーリーテリングとなっています。

 予告でほぼネタバレしちゃってますが、まさか最も単純明快かつ粗暴な悪役であるアザルドに「含み」があったとは...。中田譲治さんをキャスティングした意味がこれで分かろうというものですね。

次回

 今回は総集編がメインなのでこのくらいで。

 アザルドが正に因縁の仇敵となり、ジニス様のお立場が...(笑)。まあ、そのあたりは心配せず期待しておきましょう!