第9話「終わらない一日」

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 時間の無限ループからどう抜け出すのか、サスペンスフルに描く...と思いきや、何とループが夢の中の出来事で、夢から覚めるきっかけをハートフルなタッチで描くという、意外性満載のエピソードでした。

 メインはセラで、普段のクールで勝ち気な面の奥に潜む、やや弱い感情を垣間見る事が出来ます。ここに来て大和を関わらせるのも巧い処で、ジューランドへの郷愁を改めて強調しておくという側面もあったと思います。

ハナヤイダー

 えーと...假屋崎先生がモデルなのでしょうか(笑)。

 悪夢の中の巨大戦で何度も断末魔を披露したり、オネエ言葉で相手を罵ったりと、コミカルな面が強調されていますが、結構やっている事はエグいです。

 その花弁から噴出する香りは、嗅いだ者を無限ループの夢に誘います。被害者は眠ったまま食肉植物「カニバリブルボ」の餌食になるのを静かに待つという、文字にすると何とも悪逆非道なゲーム。この罠には、ジュウオウジャーもまんまとかかってしまい、表層的な印象よりも遥かに危機的状況を迎えています。小さい違和感を感じていなければ、セラの郷愁がなければ、大和がブローチを受け取っていなければ、この悪夢から抜け出す事は出来なかったわけで、かなりギリギリの逆転劇だったと言えます。

 ちなみに、香りの攻撃なので嗅覚に優れるタスクには効果覿面。それを防ぐ為、アムによってティッシュを鼻に突っ込まれるという別の「悪夢」が実にユーモラスでした。

 さらに、カニバリブルボの猛威の前には、ジュウオウジャーと言えど手も足も出ませんでした。こちらも逆転の兆しを一気に奈落へと突き落とす危機であり、そこにキューブモグラが捉えられていなければ、カニバリブルボに対抗出来ないどころか、そのカニバリブルボ自体を発見出来ずに手遅れになっていた恐れがあります。正に運任せ!

 そんな素晴らしい実力を有するハナヤイダーですが、戦闘力には乏しく(強固な鉢を繰り出すなど防御力は高い模様)、勢いに乗るジュウオウジャーにかかっては立つ瀬無しとなりました。悪夢の中の断末魔と、現実の断末魔とでは、セリフが違う辺りも可笑しいですね。

郷愁のセラ

 今回は、セラというキャラクターの、グッと厚みを増した瞬間を目撃する回でもありました。

 ヒロイン二人体制なので、セラとアムのキャラクター付けにはかなり腐心されているものと想像出来ます。ただし、現状ではアムが気ままなキャラクターとして、楽しく、時に意外な振る舞いを披露する事で、キャラクターの深みを与えられる機会に恵まれていたのに対し、セラは主にレオとの絡みでイライラしているか、タスクに次いで几帳面な姿を見せているか...といった具合。性格以外では聴覚の鋭さがギャグにされる事が多い為、アムに比べてかなり美味しい場面をさらっていくのですが、やはり性格面での厚みという面では物足りない感がありました。

 それがここに来て、今回の涙。

 いやあ、反則ギリギリですよね(笑)。

 あの一筋で重厚な感情描写を与えてしまいました。

 メンバーの家族について描かれるのも初めての事なので、余計にインパクトがありましたね。可愛い弟の面倒を見る姉というポジションが、セラのイメージにピッタリ合致しており、彼女に不思議なリアリティを与える事にも成功しました。

 事件当日はセラの両親の結婚記念日(このタームがジューマンと人間の距離を一気に縮める)となる日。結婚記念日までにジューランドへ帰れるように、前日は遅くまで王者の資格を必死で探していたというから、最高に健気じゃないですか。家族思いという処が実に効いてます。それを果たせなかった事で、つい寂しくなってしまったセラが思わず一筋の涙を...。実に美しいです。

 前にも書きましたが、セラだけが恒温動物ではないモチーフなので、やや冷たい印象があるわけです。そこに、高まる感情の発露がふと描かれる事で、物凄いインパクトを持つわけですよ。正に反則ギリギリですよね。

 この結婚記念日の話は大和にも強烈な印象(恐らくは照れ隠しする可愛い表情を含めて)を残したようで、その記憶がきっかけとなってハナヤイダーの悪夢から脱するに至るのですから、センチメンタルな面とタクティカルな面のバランスと結び付きに快感すら覚えます。実際には、セラの家族のビジョンを映し出すブローチの針が大和の指に刺さって、フィジカルな痛みで目が覚めるという「現実味」が付加されており、こちらもすこぶる鋭い演出だと思いました。ちゃんと血が出ている辺り、今シーズンの「痛み」に対する遠慮のなさが出てますよね。

キューブモグラ

 鼻ドリルという定番デザインが実に可愛らしいキューブモグラ。

 登場プロセス自体は予定調和丸出しの筈なのですが、周囲のドラマの追い詰め方が巧いので、「偶然」が必然に見える流れが作られ、違和感を完全に払拭していました。

 巨大戦では、早速武装に変形して初陣を飾ります。固いガードを打ち抜くパワフルさは、さすがドリルですよね。

 ところでキューブキリンもですが、武装系のキューブは「キリン」や「モグラ」といった日本語縛りになるのでしょうか。今後の動向を見守るとしましょう(笑)。

次回

 ジニス自らゲームを展開するそうで。序盤でボスの強大さをチラ見せするのも定番ですが、「ジュウオウジャー」ならではの巧い見せ方を期待しますねー。