第30話「ヴェルソー、暴走!」

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ストーリー

 涼子は、大学時代のサークルの同窓会に出席するときのドレスを仁に依頼しており、それを受け取りに来た。涼子に褒められ有頂天の仁。その時、ラジオからニュースが流れる。新東京空輸のパイロットが謎の飛行物体と衝突、墜落したというのだ。事故に遭ったパイロットの名は、川島巧。涼子のサークル仲間だった。ところが、死亡が伝えられた巧は、現場に向おうとする涼子の前に、突然現れた・・・。

 その折、堀口の知人で宇宙物理学者である鹿沼博士が、新たなオーパーツ・マッドストーンを発見、鹿沼博士の見解によれば、プロトニウムの組成に酷似した爆弾だという。直ちに国防省の管轄下に置かれることになった。ところが、鹿沼博士は謎の異星人によって殺害され、その身体を乗っ取られてしまう。一方、実はストーン星人・ジャドに憑依されていた巧は京南大学病院より脱出、仁を人質にとり、涼子にマッドストーンの奪取を要求する。

 国防省の警備を突破し、マッドストーンを奪取する涼子。心配して涼子を止めようとする天馬も、事情を聴くとすぐさま国防省の妨害に。ジャドは実はウオフ・マナフの反逆者で、地球破壊に疑問を持つ若者だった。そこへ鹿沼博士に憑依した別のストーン星人が出現! ヴェルソーとタリアスで撃退する。一瞬、巧の意識が優勢になったジャド。涼子との再会を果たしたのも束の間、マッドストーンを手に宇宙に散った・・・。

解説

 待ちに待った涼子メイン編。メインらしく、涼子の魅力を前面に押し出す数々の演出が「暴走(?)」。このエピソードだけで、涼子の泣き笑いを一気に堪能できる贅沢な一編となっている。まず、涼子の大学時代のエピソードが、各キャラクターより断片的に語られる。NGOに参加していたこと、ボスニアの戦火をくぐり抜けたこと、仲間とアフリカに旅立つ直前、カリンに出会ってグランセイザーに覚醒、仲間とはアフリカに旅立てなかったこと。興味深いのはアフリカ渡航の件を、洸が3年前と語っていたことで、涼子がかなりベテランのグランセイザーであることがチラリと匂わされている。

 ストーリーに関しては、ジャドを敵と思わせて実は・・・という点など、ヒネリが効いている部分もあるが、そこに涼子と巧のエピソードを重ねることによって、より悲壮感を高めており、シリーズ屈指の感動編に仕上がっている。しかしながら、今回はボケ役に甘んじた天馬のポジション(戦闘ではバッチリ決めてくれるが)や、豪や仁との絡みによって、爽やかな印象を残しているのも重要。この爽やかさは、グランセイザーの特色とも言えるものだ。

 アクションとしては、ヴェルソーの華麗な立ち回りが堪能できる一方、締めとしてタリアスがハイスピードなアクションを繰り広げており、良いコントラスト。特に、疾走しながらストーン星人の放つ光線とファルコンボウが激突するところ、高層ビルをフレームにおさめつつアクションを撮るなど、シーンを立体化する試みがなされていて興味深い。