第47話「滅亡の序曲」

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ストーリー

 地球攻略を足がかりに、全宇宙を掌中に納めるという野望を抱くベルゼウスは、ブライトンに「交信者」の抹殺を急ぐよう命ずる。ウオフ・マナフの宇宙艦隊はいつでも地球攻撃が出来る状態にあった。その頃、必死でグランセイザーの仲間を避ける蘭は、ルビーに出会う。ルビーはブライトンを信用するなと告げる。現れた洸にも、蘭の命が失われれば地球が滅ぶと告げ、姿を消すのだった。しかし、自分の身柄と引き換えに地球を救うというブライトンの言葉を信用した蘭は、アルゴウルに襲われる。そこに直人と豪が助けに入るが、アルゴウルに手痛い敗北を喫してしまうのだった。すでに蘭は自己犠牲の志のもと、死を覚悟していた。アルゴウルの一撃が蘭に向けられた時、間一髪で天馬が阻止。加勢しようとしたブライトンを阻止したのは、何とロギアだった。ロギアはベルゼウスへの復讐を考えていたのだ。ロギアは、蘭の命が失われれば地球が滅ぶと言って姿を消した。

 天馬は、ロギアの言葉を受けてブライトンに猛然と抗議する。しかしブライトンは、あくまで蘭がボスキートであり、蘭を渡さなければ地球が滅ぶと主張するのだった。件の蘭は豪によって「安全な場所」警察署に監禁されていた。戦わないで済む平和への道は、自分が犠牲になることだと主張する蘭だったが・・・。その頃、宇宙からの電波を解析していた堀口博士は、蘭ならばその電波の解読が出来ると、御園木に報告していた。ブライトンはその話を影ながら聞いており、地球人が平和を望まないならば、実力行使に出るといって巨大な怪獣トロイアスを出撃させた! トロイアスには、ドルクルスとグランビークルが立ち向かったが、他のトライブは行動が滅裂なため、超星神が終結しない。

 一方、蘭は一人ウオフ・マナフの元へ向かうべく飛び出して行ってしまう。アルゴウルに討たれようとした蘭を、突然ルビーが現れ、身を挺して救う。蘭の勝手な行動に怒る天馬。「戦いをおしまいにしたいのは、お前らだけじゃないんだ!!」

解説

 いよいよ迫るウオフ・マナフの艦隊。焦る御園木は判断を二転三転させてしまい、蘭はひたすら自己犠牲を追い求める。蘭の行動にかき回される大地のトライブと愛、巨大な怪獣トロイアス出現・・・。すべてが敵側優勢の筋運び、一方でグランセイザーはチームワークや意思が空転。その行く末を蘭の行動が決定していくという、衝撃の展開。これまで数々の危機が訪れはしたが、それは主に敵とグランセイザーのパワーバランスに起因するものだった。その度に、グランセイザーは結束することでパワーバランスを逆転させてきたのだ。しかし今回の危機はそれらより絶望的な趣向を感じさせる。敵は決して心理戦を展開しているわけではないのだが、心理的な効果でグランセイザーは危機に陥っているのだ。

 前回は情報のみが錯綜し、不気味な前兆を演出していたのだが、今回はトロイアスの出現や、より邪悪な視線を発するブライトン、感情が爆発しそれに流されていくグランセイザーと、より動的な危機感を煽っているような演出が数々見られる。さらにロギア再登場という衝撃もあり、物語はどんどん加速していく。出来ればロギア登場は前回の予告編では伏せておいて欲しかったのだが・・・。

 アクション面は、人間ドラマにより比重を置いた所為か、少なめ。しかもアルゴウルが常に優勢というもの。しかしながら、ストーリーには完全にマッチしており、アクションのプランには善意が感じられるものとなっている。一方で、見事な巨大感を見せるトロイアスに、特撮番組としての充分なアイデンティティを感じることができる。かつてないスピード感と危機感を持ったクライマックス編は、贅沢な特撮によっても彩られていく。