ある意味、ダブルオーライザーよりも「ガンダム00」の世界を象徴していると言えるガンダムエクシア。それをここで復活させることに関する劇中での意義は、実は殆どありません。
勿論、大破したダブルオーガンダムの代替機という流れではありますが、この後のバトルが、オリジナルGNドライヴを1基ずつ搭載したガンダム同士の大喧嘩といった趣なので、別にダブルオーライザーとリボーンズガンダムの一騎打ちで終わらせても良かったわけです。
まぁ、いわゆるファンサービスと、マーチャンダイジングの要請、ですね。
Oガンダムは見ての通り、大河原先生によるRX-78ガンダムのリファインですから、アムロの声にあまりにもそっくりな(笑)リボンズに乗ってもらわなければならない。
ならば、刹那は人気のあるガンダムエクシアに乗せてしまおう。R2ならバージョン違いでプラモも発売出来るぞ!
といった思惑があったかどうかは分かりませんが、少なくとも、マーチャンダイジング方面の事情はあったものと推測されます。
では、ひき続き見ていきましょう。
]]> リボンズはダブルオーライザーのGNドライヴ1基を入手。何だか大事そうに抱っこしていて、可愛らしいポーズに見えてしまいます。
「遂に手に入れた。オリジナルの太陽炉を。これさえあれば、僕はイオリア計画の体現者に。いや、それすらも超越した存在になる」
やはり、リボンズはオリジナルGNドライヴの力による、自らの更なる進化を望んでいるようです。
意気揚々のリボンズですが、リボーンズガンダムのダメージは大きく、これ以上の運用は不可能。
手段を考えるリボンズの眼前に、かつて自らが駆ったOガンダムが!
「これは、運命だ!まだ僕は、戦える!」
これもどっかで聞いたようなセリフですね。これを蒼月さんに言わせていいのか(笑)。
しかも、主人公じゃなくて、敵のボスのセリフですよ、これ。嬉しいととるか、やり過ぎととるか、人それぞれでしょうねぇ、感じ方は。
さて、Oガンダムを駆り、刹那を探すリボンズ。GNドライヴを欠いたダブルオーガンダムが浮遊しています。
自分が入手しなかった方のGNドライヴがないことで、リボンズは直感します。刹那が自分と同様、他のガンダムに乗り換えたと。
その刹那が乗り換えた機体こそ、ガンダムエクシアR2!
おーい!登場の仕方がΖガンダムのアイキャッチみたいだぞ。ファーストガンダム的でもあります。
何だか、ここに来てパロディのオンパレードとは。笑わせる場面じゃないんですけど...。
とりあえず、「嬉しい」と感じておきましょう。
「ガンダムエクシア、刹那・F・セイエイ!未来を切り開く!」
「人間風情が!」
ここからは、壮絶なロボットプロレスが見られます。
まさか、「ガンダム00」でGガンダムみたいな格闘戦が見られるとは思いもよりませんでした。
こんなカットや、
こ~んなカット。
こんなカットもあり。
とにかく、こんな高レベルの作画でGガンダムを見たいという気持ちにさせてくれました(何か違う?)。
そして、互いの刃を突き刺し合い、2体のガンダムはその動きを止めるのでした。
Oガンダム「死」の瞬間。
ガンダムエクシアにRX-78ガンダムが倒される感覚。何とも寂しいというか、「いいのかこれ」ってな感じでした。
劇中の意義としては、第1世代のガンダムが、第3世代のガンダムと渡り合うだけのポテンシャルを持っていたということになるかと思います。
Oガンダムの爆発に、ガンダムエクシアも巻き込まれ、刹那は気を失って浮遊。
なお、この決戦の間、マリナの手紙がナレーション的にフィーチュアされました。
マリナは、志を同じくしながら、決して交わることのない刹那への思いを手紙につづったのです。
「自分の中にある幸せを、他者と共有し、その輪を広げていくことが、本当の平和につながると、私は考えています。だから、どうかあなたも、あなたの幸せを掴んで下さい。刹那、あなたに幸せが訪れることを、私は祈っています」
この手紙が刹那に届いたかどうかは不明ですが、シチュエーションとしては、ファースト・シーズン最終話の逆。既視感はそこから来ているものと思われます。
結局、マリナはヒロインであったとは言い難いキャラクターになりましたが、主人公と同じ意志を持つ人物として、その存在をアピールしたわけです。
さて、ここからはエピローグ。
むしろ、ここからがメインと言ってもいい程、密度は濃いです。しかしながら、刹那とリボンズの対決こそが本来のメインであった為、やっぱり充実度的にはエピローグの延長です。
それでも、色々な要素があって嬉しいです。
マリナは地球連邦政府の支援を受け、アザディスタン再建を果たすことが出来ました。
連邦非参加国であるアザディスタンに、連邦政府が手を差し伸べたということで、リボンズが牛耳っていた頃の連邦政府とは毛色が違うことを強調。
カタロンの子供達が、アザディスタンの王宮にいるのも微笑ましいですね。きっと、養子か何かの配慮をマリナは行ったのでしょう。
あれ?アザディスタンにデヴァインが。
左上にリボンズっぽい人も。
周囲の人々の髪の色が現実に近いものなので、目立ちます。わざと目立たせているとしか思えません。
ティエリアが、穏健な目的を以って作り出したイノベイドか?
ルイスは、細胞異常から完全に回復。沙慈が見守る中、療養しています。
左腕がどうなったかは触れられていませんが、義手が超高性能なので、完治の有無に関わらず、沙慈とは手を取り合って生きて行けるでしょう。
新しい連邦大統領は女性。何となくヒラリー・クリントン女史を思わせる出で立ち。声はまさかの藤田淑子さん。
実に貫禄ある台詞回しで、連邦大統領としての存在感を三割増くらいしてます。昔、一休さんとかキテレツだったのを知ってる人は、それ相応の年代の人ですね(笑)。
え?月影先生?
大統領は、アロウズ解体を宣言。非連邦参加国への援助と、連邦参加の推進を提言しています。
ファースト・シーズン最終話でも宣言がありましたが、今回は武力ではなく、援助という形による地球の意思統一を企図しており、確実に世界は変わったわけです。真の地球連邦樹立が高らかに宣言されました。
そのアロウズを指揮していたホーマー・カタギリは、切腹という末路を。
彼はイノベイターの傀儡となって暴走したアロウズの咎を、全て自分の身に受けて自害したのでしょう。
しかしこれは、やや虚無感を伴って描かれています。止め絵をスクロールさせるという傍観的描写で。
ホーマーは、別の形で責任を果たすべきだったのではないかという疑問が、このような描写で伝えられたと考えていいと思います。
あれ?アニュー?
この大統領宣言の傍聴には、クラウスやシーリンも参加。
「これで、世界は変わるのね」
「ああ。だがまだ始まったばかりだ。互いが理解し合い、手を結べる平和な世界。言葉にするのは簡単だ。だが我々は、目指さなければならない。生まれ来る子供達の為にも」
「ええ。そうね、クラウス。私達から変わっていかなければ」
「ああ」
クラウスは類稀なる楽観・理想主義者だと私は思っていますが、彼がそのような人物であるからこそ、カタロンという所謂ゲリラでありながら、こういった席にも参加できるのではないかと思います。
勿論、ゲリラをも受け入れるという受容性を、新連邦政府が手に入れたという見方も出来ようかと思います。
沙慈とルイスは、悲しく辛い経験を経て、世界についてもっと考えなければならないという決意を固めます。
これが、彼等なりの、「未来のため」にすべきことでした。
さて、カティは准将に昇進。
ソレスタルビーイングを、腐敗したアロウズを叩いた功労者と認めつつも、武力放棄をするまで油断できないという立場を、一応崩しません。
スメラギ=クジョウとの融和があるかとも思いましたが、このポジショニングの方がしっくり来ますね。
そして、遂にパトリックとカティは結婚式を挙げます。
「いやぁ、不死身のコーラサワー改め、幸せのコーラサワーになりましたぁ」
「やれやれ、全くだ」
今回最大のサプライズはこれ。
パトリックの階級はよく分かりませんが、カティは准将という高官ですから、まぁ、所謂格差婚ってやつですな(笑)。
カティのブーケを、スメラギにキャッチして欲しかったとも思う私はヌルいですかね(笑)。
アンドレイは父と母が目指した、市民を守り、平和を脅かす者と戦う軍人になることを決意。
このアンドレイ、最もイデオロギーをふらつかせていたキャラクターですが、これでようやく足元を固めたということになりそうです。
勿論、ルイスのことは、もう諦めたでしょう(笑)。
ビリーは、研究を続けていました。デスクには、クジョウと一緒に撮った写真が。
そして、その背後にはグラハムが。
この2人、あらゆる歪みをソレスタルビーイングによって是正されたということになるわけで、これからは、真に平和の為に働いてくれることでしょう。
スメラギとの仲が発展するかどうかは、まるで予測不可能ですが。
ライルは、カタロンを離れ、この世界と向き合う為に、ガンダムマイスターとして生きる覚悟を決めました。
ディランディ家の墓の隣には、アニューの墓も。
「たとえ世界から疎まれようと、その罰が下されるまで、戦い続ける。そっちへ行くのは、もう少し先だ。その時まで、待っててくれよな、アニュー」
前回私は、ライル・ディランディが真のロックオン・ストラトスになったという点に言及しましたが、それが自身の口からはっきりと語られました。
ライルの決意は、アニューがソレスタルビーイングの一員であったことと、無縁ではありません。恐らく、アニュー・リターナーの存在がなければ、ライルは迷わずカタロンに戻ったものと考えます。ライルが異種であるアニューと出会って、分かり合えたと実感したからこそ、ライルはソレスタルビーイングの理念に共感できたのですから。
アレルヤはマリーと共に、巡礼の旅に。
「この世界は、矛盾に満ちていて、僕自身も矛盾していて...。でも、それを変えていかなくちゃいけない。見つけるんだ。僕達が生きる意味を、その答えを」
色んな方面のネタを総合すると、アレルヤはソレスタルビーイングを抜けたわけではなさそうです。
超兵である彼とマリーは、そのアイデンティティを戦闘においてのみ発揮できるという悲しき存在。それ故に、戦いのない世界で自分達が生きる意味を見出す必要があります。それを見つけた時、今度こそ一抹の迷いもなく、ソレスタルビーイングの戦いに舞い戻れるのだと思います。
ティエリアは、ヴェーダの中に同化していきます。
「これで、未来は人類に委ねられた。僕はヴェーダの一部となり、君達を見守ることにしよう。来るべき対話の時まで、さようなら、みんな...」
これは、来るべき対話の時が来れば、またティエリアが出現するということです。
というわけで、劇場版をお楽しみに(笑)。
そして、沙慈とルイスの会話が、物語を締め括ります。
「過去は変えられなくても、未来は変えられる。僕達が望む世界へ」
「もし、間違ってしまったら?」
「悲しいすれ違いが起きて、戦いになってしまったら、きっと、彼等が立ちあがる。すべての矛盾を抱え込んでも、きっと」
「行こう。俺達にはまだ、やることがある」
「うん。皆が命を引き換えにして変えた世界を、見続けなくちゃ」
「そうね」
俺達はソレスタルビーイング。戦争根絶を目指す者。世界から見放されようとも、俺達は、世界と対峙し続ける。武力を行使してでも、世界の抑止力となって生きる。だからこそ、俺達は存在し続けなければならない。未来の為に。
ファースト・シーズン当初の理念へと、また帰結していきます。
また「繰り返す」のか。
多分それは違います。ソレスタルビーイングもまた、変わったのです。繰り返すように見えても、螺旋のように上昇していく筈です。
罪とか咎というタームが一切失われてしまってますが、好意的に解釈するならば、まだ咎を受けるのは早い、ということでしょう。
まだまだ、彼等がやらなければならないことは続くのです。
彼らが目指すは、木星。
そして、「The Childhood of Humankind Ends」。
その行く先は、劇場版にて。
一応補足説明。
「The Childhood of Humankind Ends」は、「Childhood's End(幼年期の終り)」という、アーサー・C・クラークSFの傑作からの拝借。
「人類の幼年期が終わる」という意味ですが、劇場版のキャッチコピー的な文言だと考えていいと思います。
外宇宙で異種と交流することで、人類は次なるステージへとステップアップするということでしょうか。
やっぱり、スター・トレック的な世界、はたまた、それこそクラーク的な世界を想定しているような気がしますね、これは。
いかがでしたでしょうか。
セカンド・シーズン後半は、何となく評価が低くなってしまったようですが、私としては綺麗にやや肯定寄りでまとめてみました。
確かに、ご都合主義な面は多々ありましたが、私は我慢しなくても素直に見られましたし、逆に、批判が挙がるということは、それだけ見ている人も多いということで、少なくとも、何も語られず無視される作品ではなかったということが言えるでしょう。
ごくごく私的な感想としては、「楽しませてもらった」になります。
ファースト・シーズンとセカンド・シーズンの間はやきもきしましたし、刊行物をつい手にとってみたり。
前作(SEEDシリーズ)で大いに挫折して、ガンダム・ムーブメントから外れてしまった私を引き戻してくれた作品ですから、思い入れもあります。
というわけで、このブログも一旦お開きになりますが、ガンダム00関係のプラモを作ったりしたら、ここに載せようと思ってますので、気が向いたら覗いてみて下さい。
これまで、色々と意見を下さった方々、また、定期的に訪れて下さった方々に感謝いたします。
また、劇場版公開の頃に盛り上がれたら、と思います。
]]>しかし、劇場版を見据えた作りになっている為、異種が何なのか、対話とは何なのか、イオリア計画の目指すところは結局何なのかといった、数々の疑問は解消されず、とりあえず刹那とリボンズの対決に終止符を打つことと、各キャラクターのその後をチラッと描くに留まりました。
そういった意味では、若干消化不良気味ではありますが、劇場版へ繋げていくという前提で見れば、シンプルでとにかく勢いのある回として評価できます。
また、ファースト・シーズンの最終回にあった、何ともいえない寂寥感というか、暗さといったものがあまり感じられず、割と明るい結末に持っていったところも評価に値します。私自身、あまり主要キャラクターを殺しまくるといったラストは、それほど好きではないので、見ていてかなりホッとするものになっていました。
「ガンダム00」全体に言えることですが、今回も作画レベルが高く、このまま劇場版にブラッシュアップ公開されてもおかしくない出来。
ダブルオーライザーとリボーンズガンダムの戦闘が延々と続き、さらには復活したガンダムエクシア VS Oガンダムという、もうファンサービスなのか悪ノリなのか分からないようなシーンへと繋がっていくわけですが、前述の作画レベルの高さや、テンポの良いカット割りによって、飽きさせません。
目まぐるしさすら感じられるスピードでの戦闘描写にも関わらず、何が起こっているかちゃんと分かるという、緩急取り混ぜたコンテの切り方も、見事という他ありません。
では、最終回ということで、出し惜しみなく、ふんだんにキャプ画を大放出しつつお届けいたします。
]]> 冒頭は、勿論ダブルオーライザー VS リボンズキャノン。堂々と救世主を名乗るリボンズと、それをエゴだと断言する刹那。シリーズを経て、辿り着いた互いのイデオロギーのぶつかり合いが壮絶です。
「感謝して欲しいな。君がその力を手に入れたのは、僕のおかげなんだよ。刹那・F・セイエイ」
「俺を救い、俺を導き、そして今また、俺の前で神を気取るつもりか!」
「いいや、神そのものだよ」
「そこまで人類を支配したいのか!」
「そうしなければ人類は戦いをやめられず、滅びてしまう。救世主なんだよ、僕は」
「共に歩む気はないと、分かり合う気はないのか!」
「人間が自分達の都合で、動物達を管理しているのと一緒さ。それに、純粋種となった君に打ち勝てば、僕の有用性は不動のものとなる」
「そのエゴが世界を歪ませる。貴様が行った再生を、この俺が破壊する!」
「いい覚悟だ」
「ダブルオーライザー」
「リボンズキャノン」
「刹那・F・セイエイ...」
「リボンズ・アルマーク...」
「出る!」
「行く!」
結局、リボンズがクルジスで刹那を助けた理由は明かされないまま。
リボンズは、刹那をガンダムマイスターにも推薦していますが、結局刹那が純粋種に覚醒し、リボンズはそれによって滅びの道を歩んでしまったわけです。
刹那が純粋種に覚醒するのを知っており、それを超える存在となることで、自分の優位性に箔をつけようとしたのではないかとも考えられますが、ファースト・シーズン終了の時点で刹那は用済みだったと発言したり、純粋種覚醒に大いに関与したツインドライヴの存在を知らなかったりなので、リボンズは常に気まぐれで行動しているように見えてしまいます。
どうなんでしょうねぇ。劇場版にもリボンズが登場すれば、そのあたりが解消されるのかも知れませんが。
さて、トレミーにも動きが。
回復したラッセがブリッジに戻ってきます。ビリーに気付き、ふと睨みを利かせるが、スメラギに止められるという一連の動作がイイ。
ラッセはスメラギのことを...と勘ぐってしまうようなシーンですが、私としては、単に「アロウズの者が何故ここに?」という、ラッセの保安的行動の現れだと解釈してます。
治療中のマリーを見つめるアレルヤは、スメラギの指示で刹那の援護に向かいます。
そして、サーシェスを討ち取ったロックオンも、トレミーからの連絡を受けて戦場に舞い戻っていきます。
このカット、ポスターになりそうな完成度だと思いませんか?カッコ良過ぎます。
ヴェーダの中に存在するティエリアも、
「刹那...」
と呟き、戦場を見守るのでした。
今回のメインは刹那とリボンズの対決ですが、ガンダムマイスター達も美味しい感じにフィーチュアされていて、「空気とは呼ばせない」的な気概が感じられます。
一方、刹那とリボンズの対決は続き、刹那が間合いを詰めるものの、ビームサーベルの一閃に吹き飛ばされるという様子が描かれます。
純粋種としての力も凄いことになっていますが、神を豪語するだけあって、リボンズ自体も至極強力です。さすがはア○ロ。
そして、このリボンズキャノン。最終ボスに相応しいギミックを搭載していました。
これが裏返って、別の頭部が出てきて...。
リボーンズガンダムに!
何と、ガンキャノンとガンダムのコンパチ。しかもリバーシブルだったのです(笑)。
セカンド・シーズンのプラモは金銭的事情もあって一切入手してませんが、このリボーンズガンダムは欲しいなぁ。
アイデアも奇抜ながら、何気にフェイスのデザインがファースト・シーズン系のガンダム顔なのもポイントです。
「あれは、ガンダム!」
「ツインドライヴシステムが、自分だけのものと思っては困るな。そうとも、この機体こそ、人類を導く、ガンダムだ!」
リボーンズ~再生の~ガンダムとはよく言ったものです。
リボーンズガンダムの前に、刹那は苦戦を強いられ始めます。しかも、リヴァイヴとヒリングが援護にやって来ます。
「援護しますよ。リボンズ・アルマーク」
「フッ、余計な事を」
「ヴェーダのバックアップがなくたって、人間なんかに!」
この時点で、リボンズはリヴァイヴやヒリングなど、どうでも良くなっていることが分かります。
それにしても、リボンズとヒリング、同タイプだけに、喋らなかったらどっちか区別が付かないですな...。
そして、リヴァイヴのガデッサの砲撃が、ダブルオーライザーを襲った時、ケルディムガンダムのシールドビットがそれを救う!
同時にアリオスガンダムも飛来。
「ハハハーッ!超兵復活と行こうぜ!」
「戦うさ!僕達の行動に、未来がかかっている!」
ダブルオーライザーの粒子干渉を受けてのハレルヤ復活なのか、それとも、自在に出てこれるようになったのかは、今ひとつ判然としません。
ただ、雰囲気重視という点では、ここでのハレルヤ登場は盛り上がること必至です。
何と言っても、ガラッゾを圧倒するハレルヤは凶悪でカッコいい。
一方、ボロボロのケルディムガンダムで、ロックオンはリヴァイヴのガデッサを翻弄します。
「システムの助けがなきゃ、イノベイターもその程度かよ!」
これまで、イノベイター(イノベイド)に苦戦しっぱなしだったガンダムマイスター達。しかし、ヴェーダを抜きにした場合、真の実力はイノベイドを凌駕していたわけです。
ファースト・シーズンでは、ガンダムマイスター達がヴェーダのバックアップを受けて戦っていましたから、ある意味立場が逆になったと言えますし、それを考えると、ファースト・シーズンにおけるグラハムやセルゲイの実力は半端でなかったと考えられるのです。
凶悪なハレルヤは、殆どガラッゾをなぶり殺し状態に。
「ヴェーダに依存しっぱなしで、俺達に勝てるわけねぇだろぉっ!」
「た、助けて!リボンズ!」
ヒリングは、恐らく初めて感じたであろう恐怖の中、散っていきます。
リボンズに助けを求めるあたり、少しだけ少女的な面を見せたように思えます。常に尊大な態度を見せていたヒリングならではの最期とも言えるでしょう。
ハレルヤはヒリングを倒しましたが、リボーンズガンダムのファングによって戦闘不能に。
一方で、このファングを刹那が全て撃墜することにより、超兵をも超えた純粋種の力を見せるところが巧い。
トレミーも援護に入ってきますが、リボンズキャノンの攻撃が炸裂。派手に被弾しますが、人員は全て無事です。
スメラギはスモーク弾の発射を決行。スモークによって、刹那の視界をも奪うことになりますが、スメラギには、
「今の刹那なら!」
という確信がありました。
その確信どおり、ダブルオーライザーはリボーンズガンダムの腕を落とします。
リボンズは、刹那の力に戦慄を覚えるのです。
「この力...純粋種の力か!」
その頃、ロックオンも奮闘中。
ロックオンは、「ワンセコンド可能」なトランザムを使い、ガデッサの背後に回って超至近距離で銃弾を撃ち込みます。
限定された機能を効果的に使うという描写は、ニールとライルの双方に見られますが、盛り上がりますね。
リヴァイヴの最期は、ヒリング程凄絶ではありませんでしたが、イノベイドの中では、リヴァイヴが理知的で、割とまともなキャラだったからかも知れません。
「これが、ソレスタルビーイングだ...あ、アニュー...」
このリヴァイヴさえいなければ、アニューはイノベイドとして覚醒しなかったかも知れないわけで、図らずもライルは復讐を果たしたことになるのです。
ただし、この時点でのライルは復讐心にとらわれていないと思われる為、私怨を抱えた敵討ちというよりは、イノベイド殲滅作戦を真っ当に果たしたという印象が強くなっています。ライルの心情的に、それは的確な描写でしょう。
アニューの名を呟くところは、少しだけ敵討ちの心情があったと解釈しても、正解だと思います。ライルの人間臭さを感じさせていますよね。
なお、ライルは右目を負傷したわけではなく、頭部からの流血によって右目を閉じているという描写になっており、ニールとの対比が効果的に為されています。
ガデッサ、ガラッゾの撃墜を確認したスメラギは、ここで、
「R2の射出準備をお願い」
とイアンに指示。
この「R2」の意味は、後で分かります。
己の存在意義をかけて、リボンズはオリジナルGNドライヴを奪おうとします。
リボンズは、オリジナルのGNドライヴのみが、決定的に自分に欠けているものだと考えています。徹底的にオリジナルGNドライヴにこだわっていますが、擬似GNドライヴにはない、特殊な粒子の力によって、リボンズ自身が更なる進化を望んでいるのかも知れません。
リボンズの主張する己の存在意義を、ヴェーダの中に存在するティエリアが否定します。
「人類を導くのではなく、人類と共に、未来を作る。それが、僕達イノベイドの、あるべき道だ!」
「下等な人類などと一緒に!」
「そうやって人を見下し続けるから、分かり合えない!」
「その気はないよ!」
どこかで聞いたようなセリフが登場(笑)。
リボンズとティエリアの主張の違いは、この際とりたてて言及する必要はないかと。
刹那とリボンズは、両者トランザムを発動。ほぼ相討ちとなります。
見ると、ダブルオーライザーの方がかなり破損率高いですね。実力は拮抗しています。
とりあえず、ここで一旦休憩。
続いて、ガンダムエクシア VS Oガンダムの対決です。
]]>極端なご都合主義と揶揄されても仕方ないと思える面はありますが、この物語の落とし処として、刹那の純粋なイノベイターへの覚醒がある為、純粋イノベイターの力を存分に誇示する描写は、私は「有り」だと思っています。
刹那・F・セイエイ。ガンダム史上、最も飛び抜けて特殊なキャラクターではないでしょうか。
では、続けます。
]]> マリナは、シーリンや子供達と共にGN粒子の光を目撃します。「刹那...この光はきっと、刹那の戦いの光...命の輝き」
う~む、マリナの存在はすっかり薄くなってしまいました。一応、ファースト・シーズン開始時点ではメインのヒロインとしてプッシュされていた筈ですが...。
主人公を遠くから見つめることしか出来ないヒロインってのは、どうも。何となく「Ζ」以降のシャアとセイラみたいです。
と、思っていたら、
「そうだ。未来を作る為に、俺たちは変わるんだぁぁぁっ!」
マリナの思いに呼応するかのように雄叫びを上げる刹那。
決して呼応したわけではないでしょうけど、そう見えるように仕掛けられているのは間違いなさそうです。
リヴァイヴは、ダブルオーライザーさえあれば自分達にもこの現象が起こせると考えます。
しかし、それを否定するリジェネの声が響きます。
「純粋なるイノベイターの脳量子波が、ツインドライヴと連動し、純度を増したGN粒子が、人々の意識を拡張させる。完全なる進化を遂げたか、刹那・F・セイエイ。君こそが、真のイノベイターだ」
これがトランザム・バーストの原理、そして効果です。
リヴァイヴは、イノベイターであれば、同様のことが可能だと思ったわけです。残念ながら、リヴァイヴはイノベイドなのですが。
ここで一つ謎が。
前回、リジェネはリボンズのように、意識をヴェーダと直接リンクさせる術を知らなかったかのように描かれました。
ところが、今回死んでいるにも関わらず、思いっきりヴェーダの中で喋っています。これは一体どういうことか。
前回の会話を再度振り返ってみると、
「僕の意識はヴェーダと直接つながっている。肉体はただの器にしか過ぎない」
「そんなことが!?」
「君に出来ないことが、僕にはできる。言ったはずだよ。僕は君たちの上位種だと」
となっています。
ここで、リジェネの「そんなことが!?」というセリフがキーになるかと思います。
これ、「自分にないリボンズの能力」に驚いたのではなく、「自分の能力をリボンズも持ち合わせていること」に驚いたのではないでしょうか。
つまりは、元々イノベイドの中でヴェーダへの意識リンク能力を持っていたのは、ティエリアとリジェネの紫髪タイプであって、リボンズの能力ではなかったにも関わらず、リボンズはそれを身につけていた、という解釈です。
これで、リボンズの「進化」が示されることになり、リジェネやティエリアの能力も説明がつきます。
これならば、リジェネが秘密裏に、リボンズの達することが出来ないレベルの情報(トランザム・バースト等)をヴェーダから得ていたとしても、おかしくありません。
さて、このトランザム・バーストの効果は、色々な場所へ現れます。
シーサェスはこのGN粒子を「気持ち悪い感じ」と表現。
リヴァイヴやヒリングを除く他のキャラクターが、一様に「温かい感じ」を得ている(換言すれば、分かり合える感情に浸れる)のに対し、サーシェスだけは受け入れ難い感覚のようです。
「分かり合うこと」とは真逆にあるキャラクターであることを、端的に表現していますね。
そして、ライルがニールの弟であると知ったサーシェスは、
「殺し甲斐があるぜ!」
と再度戦意を高揚させていきます。
サーシェスはクールな戦争屋というイメージで売ってきましたが、ここに来て単なる殺戮者になってしまいました。
もっと明かされざる内面を見てみたかった気がします。
ロックオンは、
「ぶっ潰す!」
と叫びつつ、改めてサーシェスへの怒りを爆発させます。
その間、トランザム・バーストによって脳量子波を乱されたガガ部隊は、次々に自爆していきます。
このあたり、トレミー勢が一気に優勢になっていく為に必要な措置ですが、ちょっと急ぎすぎかなぁ。
アレルヤにも変化が。
それはハレルヤの出現。ハレルヤは、
「余所見すんなアレルヤ!マリーだけ見てりゃいいんだろ!?」
と言います。
後の「マリー元通り」の方がインパクトが強いので、見過ごしてしまいがちですが、「超兵」を最大限に嫌悪するハレルヤが、マリーという存在を認めたということであり、重要なシーンです。
アレルヤは意を決したように、トランザムで敵に対抗していきます。
そして、スメラギとビリーにも変化が。
ビリーは、ブツブツと恒久和平が云々といった具合に自分を納得させようとするのですが、遂にビリーの脳内に直接スメラギ=クジョウの声が響くのです。
「ごめんなさいビリー。あなたの気持ちを知っていながら、それに甘えて」
スメラギがビリーに近寄り、ビリーにそっと抱きつきます。
ビリーは、
「ずっと君のことが好きだった...」
とその謝罪に近い思いに答えるのでした。
このシーン、最も近いようで最も遠かったスメラギとビリーが、トランザム・バーストの光に救われたというシーンなのでしょう。
しかし、私的にはスメラギの生来的な「小悪魔っぷり」が出てしまったという印象も。いや、口先でない意志によるクジョウの正直な告白を、今度こそビリーはちゃんと受け止めたという、好意的解釈をしといた方がいいですよね。
そして、マリーとアンドレイにも変化が。
マリーは、アンドレイを討ってもセルゲイは喜ばないと悟ります。この時点で、口調が完全にマリーのものに戻っていますので、ソーマ・ピーリスは短絡的、マリーは情緒性に富むと捉えれば分かり易いかも知れません。
アンドレイは、
「あいつは、あの男は、何も言ってくれなかった!言い訳も、謝罪も!僕の気持ちなんて知ろうともしなかった!だから殺したんだ!この手で!」
と、マリーを裏切り者呼ばわりしつつ、セルゲイを非難します。
以前、ルイスに身内であろうと軍規を乱す者は放置出来ないと説き、敢えて肉親の手で止めを刺したと言ってましたが、その実、ただ単に「分からず屋の父親が疎ましいから」殺したのだと告白してしまったのです。
こうなると、トランザム・バーストによる「意識の拡張」とは、建前を暴くということも含まれるように思えてきます。
「自分のことを分かって欲しいなら、何故大佐のことを分かってあげようとしなかったの?きっと大佐は、あなたのことを思ってくれてた筈よ」
とマリー。アンドレイは、セルゲイが自機の爆発寸前、アンドレイを安全圏に追いやったのを思い出します。
「言ってくれなきゃ、何も分からないじゃないか!」
と、凄まじい後悔の念に苛まれるアンドレイ。マリーも、
「大佐...」
と呟きつつ、セルゲイのことを噛み締めるように考えるのでした。
一方、純度の高いGN粒子は、ラッセの細胞異常をも正常に戻していきます。
ルイスが目を開け、
「沙慈、私...もう」
と、「あの頃」に戻れなくなった自分を、沙慈から遠ざけようとします。しかし沙慈は、
「何も言わなくていいさ。分かってる」
とルイスを抱きしめるのです。
「ねぇ、この温かな光は...何?心が溶けていきそうな」
「刹那だよ」
「刹那...」
「そうだよ。彼の心の光、未来を照らす光だ」
ようやく、ルイスはリボンズの呪縛より解放され、沙慈と本当の再会を果たしたのでした。
ルイスの左手は、細胞異常によって再生医療を施せなかった部位です。ということは、ラッセと同様にその細胞異常も消え、描かれればですが、失った左手を取り戻し、沙慈のくれた指輪をはめるかも知れません。
ソレスタルビーイングに、勝機と言い換えてもいい希望をもたらした刹那は、ヴェーダ本体のある場所へと潜入していきます。
その頃、死んだ筈のティエリアも静かに動き始めていました。
リジェネの、
「リボンズ、君の思い通りにはさせない。そうだろ?ティエリア」
という声が響き、リボンズはヴェーダとのリンクを断たれます。
同時に、セラフィムガンダムのトライアルフィールドが発生。
ヴェーダのバックアップを必要とするシステムは全てダウンし、オートマトンも機能を停止します。
ナドレのトライアルシステムは、ガンダムを自らの制御下に置くというものでしたが、セラフィムのトライアルシステムは、そのフィールド内に存在する機器がヴェーダの影響下にあった場合、これを無効化するという能力があるようです。
前者は、ガンダム同士の戦いになった場合の切り札、後者は、ヴェーダが敵になった場合の切り札でしょう。
劇中の各キャラクターの発言から察するに、セラフィムのトライアルシステムは、ティエリアがヴェーダ奪還を果たした際に、発動させる作戦だったようです。
ここからは、各ガンダムマイスター達の動向へ。
「大丈夫。もう大丈夫よ。ありがとう、アレルヤ」
ソーマ・ピーリスは完全にマリーへ戻り、アレルヤも安堵。
一方、サーシェスのアルケーガンダムも、ヴェーダのバックアップを失って停止します。
ロックオンは呟きます。
「兄さんのことは責められねぇな。こいつだけは、許せねぇ!」
この時点で復讐という2文字が愚かしいことであると、充分に分かっていながら、サーシェスのような「分かり合えない」人間に対する怒りは消えない。そういうことだと思います。
ケルディムガンダムは、アルケーガンダムを爆破しますが、サーシェスは脱出。ロックオンはサーシェスを追います。
「こいつが...こいつが、父さんも、母さんも、エイミーも...兄さんも!」
サーシェスを狙うライルの銃口。そこに、アニューの声が響きます。
「ライル...私達、分かり合えてるよね。分かり合えたよね」
ライルが一瞬銃を下ろそうとした隙に、サーシェスは、
「馬鹿がぁっ!」
と不意打ち!
しかし、ライルはその不意打ちを予見して、すぐさまサーシェスの眉間を撃ち抜くのでした。
「アニュー、お前のおかげで、人と人が分かり合える世界も、不可能じゃないと思えたんだ。だから、世界から疎まれても、咎めを受けようと、俺は戦う!ソレスタルビーイングの、ガンダムマイスターとして」
この決意は、「人と人が分かり合える世界」に害を為す敵を、非難されようとも打ち倒していくという決意でしょう。
カタロンではなく、ソレスタルビーイングのガンダムマイスターとしての決意ですから、ここに来てようやく、ライル・ディランディはロックオン・ストラトスになったのです。
刹那がヴェーダの本体へと辿り着くと、そこにはティエリアの亡骸が。
「仇は討つ」
「勝手に殺してもらっては困るな」
「どこだ?どこに居る?ティエリア」
「今僕の意識は、完全にヴェーダとリンクしている」
「ヴェーダ...」
「僕は、イノベイター。いや、イノベイドで良かったと思う。この能力で、君たちを救うことが出来たのだから。ヴェーダとつながったことで、僕は全てを知ることが出来た。今こそ話そう。イオリア計画の全貌を」
ティエリアとリジェネは、肉体的な死の瞬間にヴェーダとの完全リンクを果たしており、いわばヴェーダと一体になったようです。
「我々の武力介入行動は、矛盾をはらみつつも、世界の統合を促し、例え滅びようとも、人類の意志を統一させることにあった。それは、人類が争いの火種を抱えたまま、外宇宙へ進出することを防ぐためだ。人類は、変わらなければ未来を紡ぐことは出来ない。いずれ巡り合う、異種との対話に備える為にも。その為にも、僕達は...」
「分かり合う必要がある」
この辺りの会話については後ほど。
にしても、「仇は討つ」「勝手に殺してもらっては困るな」というくだりはちょっと笑えますね。彼等らしさがよく出ています。
刹那は一旦トレミーへ戻ることに。
ところが、リボンズは次なる手を打ってきました。
セラフィムガンダムが、リボンズの砲撃によって大破してしまいます。
スメラギ「トライアルフィールドの中で、動ける敵が居る?」
ビリー「彼だ」
スメラギ「彼?」
ビリー「イノベイターを超えた、イノベイター」
ビリーはエイフマン教授のように、色々なことを熟知しているらしく、劇中で非常に巧く機能しています。
ホーマー・カタギリの甥であることや、その卓越した頭脳からして、納得です。
「そこか!リボンズ・アルマーク!」
刹那がリボンズを感知します。そこには、リボンズのモビルスーツが。
ガンダムっぽいディテールが各所に配された、ガンキャノン的な趣。
「感謝して欲しいな。君がその力を手に入れたのは、僕のおかげなんだよ。刹那・F・セイエイ」
さて、リボンズが少年時代の刹那を生かし、ガンダムマイスターに仕立て上げた裏には何があるのか。次回、いよいよ最終話です。
ここで、サブタイトル「BEYOND」の意を再考。
ティエリアが(リジェネも)語った「イオリア計画の全貌」には、異種との対話というキーワードがあります。
また、刹那が人間からイノベイターに進化したり、傷ついた人間が一瞬で癒えたり、ティエリア達がコンピュータに意識体を預けたりと、「ガンダム」の枠から大きくはみ出した要素が目立ちます。
ここから読み取れるのは、「ガンダム」というリアルロボットのシリーズから、SFの世界へ一歩踏み出そうという姿勢です。
もっと下世話な言い方をすれば、「ガンダム」で「スター・トレック」をやろうというもの。
外宇宙の異種とか、意志を持つコンピュータとか、人間を進化させる光量子とか、正に「スタトレ」の世界。
和平を探っていくというテーマも、やっぱり「スタトレ」的です。
で、「BEYOND」が何を現すかと言うと、「ガンダムを超えること」ではなく、「ガンダムシリーズの持つ境界を越境すること」ではないか。
それが今回はっきりと見えた気がします。
私は「スタトレ」大好きなので、この展開は受容できますが、かなり違和感を感じる方も多いのではないでしょうか。ある意味、「Gガンダム」より挑戦的に枠外へと飛び出したシリーズかも知れません。
あと1話。
結末は大体見えてきましたが、美しく、そして意外性を伴って終わってくれることを願います。
]]>この異様さは何か、と考えた時、サブタイトルを振り替えると、ある一つのテーゼが分かります。
それは後回しにするとして、お話的なサブタイトルの意味を考えると、
といったところ。
あらゆるキャラクター主体のドラマや、用意された謎といった要素を、一気に回収していこうという姿勢が見られるので、やや駆け足というか、詰め込んでいる印象は拭えません。
しかしながら、ある程度ハッピーエンドを予見させる作劇法は評価できます。ソレスタルビーイングのテーマの一つである「咎を受ける」が、最終話でどのように描かれるかに期待がかかりますね。
そして、以前リジェネが語っていたイオリア計画の全貌は、殆ど真実だったことも明らかに。ある意味拍子抜けっぽいですが。
リジェネが言ったことをおさらいしておくと、
第1段階:ソレスタルビーイングの武力介入を発端とする世界の統合
第2段階:アロウズによる人類意志の統一
第3段階:人類を外宇宙に進出させ、来るべき対話に備える
となります。
第2段階におけるアロウズが、リボンズの傀儡になってしまったことを除けば、ほぼそのまま同じことをティエリアが言っています。
このあたりの詳しいことについては、本文中で触れてみたいと思います。
今回はキャラクタードラマ完結への道標を用意する展開なので、かなり場面転換が錯綜しています。
よって、ある程度整理しつつ、まとめてみたいと思います。
]]> まずは前回の続きから。ダブルオーライザーとレグナントの対戦です。アンドレイは、
「沙慈とかいう男!貴様がいる所為で、准尉は!」
と、少なくとも私が受けた印象としては、嫉妬丸出しなセリフ。
刹那は、邪魔だとばかりにアンドレイのアヘッドを戦闘不能にします。このシーン、アンドレイ機が撃墜されたように見えるのですが、実は大破を免れています。
「よくも中尉を!死ねぇぇっ!」
もう既にルイス・ハレヴィの発言ではなくなっています。
レグナントのビーム直撃を受けても、ダブルオーライザーはダメージを受けません。セラヴィーガンダム並の、あるいはそれを凌駕するGNフィールドを発生できるまでに、刹那の力=ダブルオーライザーの力は高まっています。
すると、ルイスはレグナントでダブルオーライザーを羽交い絞めにし、ガガ部隊の特攻を受けてもろとも滅びようとするのです。
つまり、ルイスはガガに登場しているイノベイド(デヴァインの皆さん)と殆ど同等になってしまったわけですね。
「人類初のイノベイター」とリボンズに吹き込まれながら、実際にはイノベイド化され、リボンズの傀儡にされていたということです。
本編はここでシーン切替ですが、流れを分かりやすくする為に、ルイス関係のシーンを続けます。
レグナントを破壊して脱出した刹那は、同時にルイスを救出しており、沙慈にダブルオーライザーを降りて安全な場所へ行くよう指示します。
この「安全な場所」が何処なのかは不明ですが、宇宙艇等を使用せず、遊泳で近場に漂着しており、しかも生命維持装置の有効な区画があることから、リボンズの母艦であるソレスタルビーイングの内部かと思われます。
ルイスの意識が戻り、沙慈は喜ぶものの、ルイスは突如沙慈の首を締め始めます。
「ソレスタルビーイング、パパとママの敵。死ねぇぇっ!」
ルイスは沙慈の首を絞めつつも涙を流し、沙慈の名を呟きます。沙慈の婚約指輪を目にしたルイスは...。
ここでひとまず、ティエリア関係に移ります。
リボンズに銃口を向けるティエリア。
「ティエリア・アーデ、君はイノベイターの分際で...」
「違う!僕達はイノベイターではない。僕達は、イノベイターの出現を促すために、人造的に生み出された存在、イノベイドだ!ヴェーダを返してもらうぞ。リボンズ・アルマーク」
「フフ...。そのイノベイドが進化を果たしていたとしたら?」
「何?」
「僕はイノベイドを超え、真のイノベイターすら凌ぐ存在となった」
「世迷言を!」
このやり取りで重要な部分をピックアップしてみましょう。
まず、リボンズの「イノベイターの分際で」というセリフに注目。
「イノベイターを凌ぐ存在」とも発言しており、これまで「イノベイター」である自分こそ、人類を導く存在だと豪語していたリボンズが、既にイノベイターをも下に見る存在になったと考えているからこその発言です。
続いて、ティエリアの言う「イノベイド」。
ガガ部隊に乗っているデヴァインの皆さんは、クレジット上「イノベイド」となっていましたが、ティエリアも、リボンズですらも本来「イノベイター」ではなく「イノベイド」。
即ち、真に「イノベイター」という言葉が指す存在は、人類から自然発生的に現れた純粋種イノベイターのみであり、リボンズ達は単なる自称に過ぎなかったということ。ややこしい。
ただ、リボンズはイノベイドでありながら、イノベイターとして自分が遜色ない存在だと常に考えていたであろうことは確か。それ故、自らを頂点とするイノベイド達を、イノベイターと称したのでしょう。
リボンズは、
「ヴェーダは渡さない。そうさ、人類を導くのはこの僕だ」
と言い、ティエリアは射殺。この銃撃シーンが凄惨そのもの。
ティエリアのファンは大いにショックを受けたのではないでしょうか。直後の展開は、なかなか想像できる類のものではありませんでしたからね。
ティエリアの「死」が描かれたことで、他のガンダムマイスターももしや...と危機感を抱かせる構成に。しかし、結構淡々と進行していくので、その辺りの危機感はやや薄味です。
今度は、スメラギとビリー関連。
ビリーはスメラギに銃を向け、投降を促します。
オートマトンと共に現れたことから、ビリーはスメラギを抹殺しにやって来たかのような印象を与えましたが、投降を求めるなど、実はかなり懐柔派だったようです。
後から判明することと併せると、ビリーはスメラギ=クジョウへの思いを断ち切った筈が、実はまだ断ち切れていなかったということなのかも知れません。
恒久和平実現のため、より優れた存在(リボンズ)によって統率されるのは論理的に正しいと考えるビリー。
「完全なる自由はモラルの放棄。その先には滅びしかないよ。秩序ある社会構造の中、限定された自由を満喫する。檻の中で守られた方が居心地がいい。それが平和ということだ」
「未来は、私達で作り出さないと意味がないわ。過去に犯した過ちを、自分たちで払拭しなくちゃ。本当の未来は訪れない。だから、私は戦う!」
こういったコスモスとケイオスの対立構造は、あらゆる作品で取り上げられており、作品的にもコスモスへと帰結してめでたしとなるものと、ケイオスへと帰結してめでたしとなるもの、2通りあります。「ガンダム00」は、後者を選択する物語というわけ。少なくともスメラギの中では。
そして、各キャラクターの行動も少しずつ描かれていきます。
ロックオンとサーシェスの死闘。そして、アレルヤのマリーを守る戦い。
Oガンダムの粒子残量もわずかとなり、ラッセの体も遂に限界へ。
細胞異常、吐血、痛みといった症状から推察するに、再生医療では根治できない悪性新生物であると推測できます。
つまりは、2009年時点におけるあらゆる疾病は、再生医療によって300年後に克服されるも、擬似GN粒子が現代における放射能のように作用し、新たな疾病を生んだというわけです。
ここで、1つ目の転機が訪れます。
リヴァイヴとヒリングがダブルオーライザーに圧倒され、トランザムアタック(何というベタなネーミング・笑)をかけます。
刹那も対抗してトランザム発動。ギリギリまで粘っていることから、対リボンズ用にトランザムの余力を残したかったのかも知れません。
トランザムの発動によって、あらゆる人物の声が届きます。
ルイスの悲鳴、そして沙慈の悲痛な叫びが聞こえる...。
沙慈はルイスの左薬指の指輪を見て、自分とルイスがこの広い宇宙に隔てられつつも、繋がっていたことを思い知るのです。
ルイスは沙慈への思いを、保存していた写真等の消去によって一旦断ち切った筈でしたが、指輪はそうさせてくれなかったという、何ともセンチメンタルな展開。でも、これでOKです。
ルイスは、激しい頭痛に襲われて意識を失ってしまいます。
まるで、ルイスが死んでしまったかのような沙慈の表情。
ティエリアやアンドレイもそうですが、今回はこういったフェイクの嵐が吹き荒れます。
次に、スメラギの声が聞こえる...。
「私は戦う!自分達の手で、未来を作る為に!」
「どうしてお前達は...どうして君は、分かってくれないんだ...そうやっていつも...」
この時点で、ビリーは自分の理論武装の牙城を崩壊させています。
「お前達は」と呼びかける時点では、かろうじてアロウズ仕官としての意志を保っていますが、「君は」とクジョウ自身を指してしまってからは、もう個人的な事情にシフトしてます。
分かりやすく、そして効果的なセリフです。
続いて、アレルヤの、マリーを呼ぶ絶叫が聞こえる...。
GNアーチャーは殆ど機能できないまでに破壊されてしまいました。
これは、マリー絶命かと思わせるフェイクです。
ラッセの苦悶が、ミレイナ、フェルト、イアン、リンダの声が聞こえる...。
ラッセはバイタルの低下を思わせる発言をし、他の面々は、苦闘の中、絶望感に苛まれ始めています。
そして、
「くそったれがぁぁぁぁっ!」
というロックオンの叫びが聞こえる...。
とにかく殺し合い至上主義のサーシェスを前にして、ライルの怒りとやるせなさ、そして違和感が爆発します。
戦場の叫びを聞いた刹那は、
「皆の命が消えていく...そんなこと、させるかぁぁぁぁっ!」
と感情を爆発させます。すると、その声にダブルオーライザーが反応。
ダブルオーライザー TRANS-AM BURST。
宇宙に広がっていくGN粒子。
「トランザム・バースト(TRANS-AM BURST)」は、イオリアが仕込んでいた更なる隠し玉だと思われます。
これについては、後にリジェネが説明しています。
初めてダブルオーガンダムに乗った時、刹那の叫びに呼応してツインドライヴが起動しましたが、あの場面はこのシーンに繋がるものだったと言っても過言ではないでしょう。
あれは、起動までのタイムラグではなく、刹那が乗らなければならなかったということを表現したように思えるのです。
トランザム・バースト発動後については、その2で。
]]>一大攻防戦の中、それぞれのキャラクターがどう動いて、それがどう次に繋がっていくかが、目まぐるしくも丁寧に描かれています。
ただし、今回の主たる動きをまとめると、実はかなりシンプル。
超簡素に要約すると、リボンズがコロニー型巨大母艦を披露し、トレミーが、カタロンとカティらクーデター派の協力を得つつそこに進撃していくという流れ。本当にそれだけです。
しかも、主要キャラの死亡を予感させた「命の華」というサブタイトルの割には、対象者はリジェネとパトリック(2人共本当に死んでいれば、ですが)のみ。
一方で、小ネタは結構充実しています。実はその小ネタの方が面白かったり。
というより、激しく継続していく戦闘をバックに、それぞれの人間模様が小出しにされているという見方の方が、しっくり来るでしょうね。
そういう訳で、今回の小ネタはここで一気に列挙するのではなく、順を追って振り返る中で、何となく触れてみたいと思います。
その方が、今回の雰囲気に合致していると思うので。
また、話自体はシンプルそのものなので、今回は記事を「その1」と「その2」に分けませんでした。
では、行ってみましょう。
]]> 冒頭は、前回の衝撃ラストの続き。リジェネがリボンズを射殺し、喜びの高笑いから始まります。
「これで、イオリア計画の全てが僕のものに」
「それは、傲慢だよ」
「!」
何と、リボンズが2人!
...って、やっぱりというか、容易に予想出来てしまいましたが。
「僕の意識はヴェーダと直接つながっている。肉体はただの器にしか過ぎない」
「そんなことが!?」
「君に出来ないことが、僕にはできる。言ったはずだよ。僕は君たちの上位種だと」
えー、つまりですね、リボンズはヴェーダに意識体のバックアップを常態的に確保しており、多数のクローンに移すことで、それぞれがリボンズ・アルマークというイノベイターとして行動できる。
そんなところだと思います。
単なるクローンが同じ意識を持たないということは明白ですので、この設定は結構的を射ていると思います。
「意識」なるものが、脳神経の活動によって生まれる現象だと仮定するならば、ヴェーダからクローンに意識を移送する過程で、脳神経を形成しなおす必要がありますが、幸いイノベイターは脳量子波によるリンケージシステムを有しているので、高速に意識に関するデータをクローン側が受信すれば、それがそのまま経験として脳神経に残るというわけです。
とまぁ、根拠のない解説をしておりますが、SFで言う「睡眠学習」と似たようなものだと思います。実は多数のリボンズ・アルマークが存在しているのかも知れませんね。
一方、リジェネの真意は結局分からずじまい。
イオリア計画の全貌を知る者は、多分リボンズとリジェネだけだと思いますが、リボンズは自分が思う方向へと計画を改変していったのに対し、リジェネはもしかすると、イオリア計画に忠実であろうとしたのかも知れません。
動揺するリジェネは再びリボンズに銃を向けますが、返り討ちに遭います。
リジェネを撃ったのはサーシェス。
「大将!アロウズさんはヤバそうだ。そろそろ、俺の出番かな」
「期待しているよ」
アロウズはグッドマンの艦が既に落ちてしまい、戦力がガタついています。
リジェネを撃つという役目をサーシェスが担ったのは意外でしたが、以前に刹那を撃ったのもサーシェスですし、流れとしては案外普通なのかも。
リジェネが本当に死んだのか、それはまだ分かりません。イノベイターですから、言ってしまえば何でもアリです。
さて、一大攻防戦は続きます。
アロウズ旗艦が落ち、勢いに乗ったカティは敵艦隊の分断作戦に入ります。
「よっしゃぁ!任せて下さい大佐ぁ!」
パトリックが相変わらずいい味を出しています。
しかも、少しばかり苦戦した際、ダブルオーライザーが到着すると、
「遅いんだよ!ガンダム!」
とまで言います。
実はパトリック・コーラサワーこそが、「分かり合う未来」に最も近い人間なのかも知れません。
ファースト・シーズンの最初、初めてガンダムに落とされたのが、このパトリックですからね。変われば変わるもんです。
戦いの中、刹那はイノベイターを探し、沙慈はルイスを探します。
大きなうねりの中でも、こういう個人的な描写を含むのは、セカンド・シーズンならではと言えるでしょう。
そんな中、スメラギはカティの戦術に気付き、正面中央の艦隊に砲撃を集中し、突破口を開くようイアンに指示します。
それを感知したアレルヤも、突破主体の行動をとろうとしますが、そこにカティの通信が。
「ガンダムは母艦の防衛に専念せよ」
カティはアレルヤ達ガンダムマイスターに、トレミー防衛主体の行動を指示するのでした。
そして、遂にカティとスメラギの直接対話が。
「やっぱり、マネキン!」
「久しぶりだな、クジョウ」
「カティ・マネキン、どうしてあなたが」
「勘違いしてもらっては困る。我々は、アロウズを断罪する為、お前達を利用したまでのこと。この戦いを終えた後、改めてお前達の罪を問わせてもらう」
「カティ...」
このカティの言に関して気付くのは、ハーキュリーの発言に近いということ。
しかし、カティとスメラギは互いの手の内を読むことが出来る、優秀な戦術士同士であり、また旧知の間柄であるというのが、ハーキュリーと全く違う要素になります。
なので、カティの表向きは「利用」ですが、実際は限りなく「連係」に近いものだと言えるでしょう。
この「連係」により、勝機が見えたかと思われたところで、刹那からの通信が。
「禍々しい光」を察知した刹那は、味方の全艦隊に回避行動を指示します。
この恐るべき光線は、勿論リボンズの仕業です。
アロウズ艦隊も大半が無残に消滅。アロウズは撤退を開始します。
この一大攻防戦、実態はアロウズのソレスタルビーイング殲滅ではなく、イノベイターのヴェーダ防衛だったことが、如実に示されたのです。
まさに捨て駒となったアロウズ。
一同は、イノベイターの蛮行に改めて強い怒りを覚えます。
この「禍々しい光」の実態は、疑似GNドライヴを利用した超破壊兵器。
リボンズの指示により、第2射に向けて次の擬似GNドライヴが装填されます。待機ドライヴはかなりの数に及ぶものと考えられます。
「ガンダム00」の象徴とも言うべきGNドライヴを、擬似とは言え簡単に交換可能な、言わば「乾電池」のような感覚に貶めているところが不気味です。
リボンズが光学迷彩を解除すると、コロニー型外宇宙航行母艦・ソレスタルビーイングが姿を現します。
リボンズの母艦が、よりによって「ソレスタルビーイング」という名前というのが、あざといですね。
思いっきり驚く人と、思いっきり白ける人に二分されるんじゃないかと、思ってしまいますが...。
「イオリアは2世紀以上も前に予見していた。未知なる種との遭遇を、来るべき対話を。GNドライヴ、ヴェーダ、イノベイター。そして、この船こそ人類の希望。人類を滅亡から救う、まさに方舟だよ」
ここに来て、色々な謎が一気に氷解するのかと思いきや、残念ながらまだまだ引っ張るようです。
なお、「未知なる種」という言葉が新たに(?)登場しており、宇宙人や地球人(イノベイター含む)以外の種の登場も、強ち可能性ゼロとは言い切れなくなってきました。
ヴェーダにリボンズが意識をバックアップ出来るという仮説に則れば、精神体といった線も有り得ます。
状況を鑑みて、スメラギは次なる作戦への移行を判断します。
その前に、ということで、
「各艦に通達します。これより、我々ソレスタルビーイングは、これより敵大型母艦に侵攻し、そこにある量子型演算システム、ヴェーダの奪回作戦を開始します。ここに、これまで協力していただいた多くの方々への感謝と、戦死された方々への哀悼の意を表します」
と表明を出します。
何から何まで秘密・秘匿主義だったソレスタルビーイングですが、ヴェーダの存在や、自らの存在、感情を露にする行動からは、土壇場ならではの緊張感と、敵がイノベイター唯一つという決意のようなものが見られます。
「リーサ...」
と呟くカティ。「クジョウ」でないところがミソで、スメラギの覚悟を受け止めて、少しだけセンチメンタルな感情が出たように見受けられました。
トレミーは敵母艦に針路をとることに。そして、最悪破壊してでも動きを止めるという目標を掲げます。
既に、ヴェーダ奪回というより、ヴェーダを掌握するイノベイターを止める為には、ヴェーダの存在そのものをイノベイターから切り離すしかない、というところまで来ているのです。
リボンズは、
「さぁ始めよう。来るべき未来の為に」
と余裕の表情。
対するスメラギは、
「イノベイターの支配から世界を解放し、再び世界を変えましょう。未来の為に!」
と高らかに宣言。
「GNフィールド、最大展開!」
「ラスト・ミッション、スタート!」
やっぱりスメラギがミッション開始を告げるカットは、どのパターンでもカッコいいですね。
スメラギのとった作戦は、「トレミーは侵入ポイントを探りつつ進行し、ガンダムが敵母艦の砲台を叩いてトレミーの進行ルートを確保する」というものです。
その戦闘の中で、ロックオンをティエリアが庇ったり。
ニールにこだわりのあったティエリアですが、ライルに対しても信頼に近い感情が生まれていたことを伺わせます。
次々と砲台が破壊され、さすがのリボンズも、
「なかなかやるね」
と一言。そこにヒリングの通信が。
「あたしらの出番まだぁ?」
「ガガ部隊で十分さ。君たちはとっておきにさせてもらうよ。ヒリング」
「了解」
ガガ部隊。
これが今回のビックリドッキリメカになるわけですが、何だかもうギャグとしか(笑)。
このガガなるモビルスーツは、ビリーが、
「自らの技術で滅びるがいい。ソレスタルビーイング」
と言っていることから、元々はソレスタルビーイング由来の産物ということになるようです。
「トランザム!」
「トランザム!」
「トランザム!」
「トランザム!」
「トランザム!」
「トランザム!」
「トランザム!」
「トランザム!」
今回最大のギャグ(違う?)がこれ。
なお、このガガ部隊の皆さんは(ブリングではなく)デヴァインの皆さんということらしいのですが、エンドクレジットを見ると置鮎さんの役は「イノベイド」になってました。
きっと、イノベイドという名の量産兵士なのでしょう。イノベイターズドロイドの略か?
そして、ここからが凄い。
トランザムで特攻する無数のガガ部隊!
この意外性たっぷりの攻撃により、トレミーはいきなり危機へと陥れられてしまいます。
しかし、トレミーが孤軍奮闘しているわけではなく、カタロン部隊とカティの加勢により、ミッションの続行は何とか継続できる状態に。
「何をしているクジョウ!早く任務を遂行しろ!」
カティとスメラギの立ち位置の違いが分かる、効果的なセリフです。
ところが、カティの輸送艦にガガが特攻!
ここからが今回の白眉。
トレミーがヴェーダ母艦に突っ込もうが、Oガンダムが懐かしいポーズでビームライフルを撃とうが、ティエリアが単独で潜入しようが、それらが些細なことに思えてしまう名場面。
「俺の大佐に手を出すなぁぁぁっ!」
とガガの特攻を阻止するパトリック!
ジンクスIIIのランスで、トランザム状態のガガの頭部をピンポイント狙い射ちという、凄まじく高スキルな攻撃を繰り出します。
「パトリック!」
これですよ。これ。
カティが劇中初めて「パトリック」と叫んだ瞬間ですよ(多分)。
鉄の女、カティ・マネキンが見せる女性としての弱さ、動揺。それがこの一言に集約されています。高山みなみさんの名演が光る瞬間です。
「大好きです。カティ」
風前の灯たるパトリックも、「大佐」ではなく「カティ」と呼び、その瞬間、パトリックのジンクスIIIが大破!
「パトリック!」
そして、この絶叫ですよ。
軍人でないカティの内面が、クーデター派の指揮官としての立場を凌駕したモーメント!
すみません。ちょっと舞い上がってしまいました。
ホント、もう、ここで「次回に続く」でいいじゃんと思った瞬間でしたよ。
で、パトリックの話ですが、私はまだ、彼は死んでいないと考えています。
あれだけ「不死身のコーラサワー」をアピールしておきながら、ここで虚しい死を迎える意味が、果たしてどのくらいあるのかを考えてみると、その答えが見えるような気がします。
もし本当に死んだとして、戦場の虚しさを語れるかと言われれば、それは否でしょう。パトリックはあくまでコメディの担い手ですからね。
生きていれば、エピローグで笑わせてくれる存在になるじゃないですか。パトリック・コーラサワーに関しては、リアリティが云々といったことを追求する必要性をあまり感じません。存在そのものが嬉しいというか。
ということで、私はパトリック・コーラサワー生存説に一票。
さて、ここからは急転直下。
一応、パトリックとカティの一件があっても、インパクトを失わないよう、しっかりドライブ感は維持しています。
トレミーはリボンズの母艦に強制着艦。
元々ソレスタルビーイングの技術の根は一つですから、母艦ドックにトレミーがきっちり収まる事に関しての、違和感はありません。
フェルトは早速母艦の構造を分析し、ヴェーダ捜索を開始。
ラッセはOガンダムで出ます。Oガンダムのパイロットをラッセが務めるとは思いませんでしたが、元々ラッセはガンダムマイスター候補だったという設定があるので、これに関しても違和感はありません。
各ガンダムも敵母艦に侵入していきます。
ところが、トレミーにはガガ部隊だけでなく、オートマトンまで投入されることに。
一方で、既にアロウズというよりリボンズ配下にあるルイスがエンプラスを駆り、ダブルオーライザーに迫ります。
さらにさらに、こちらもリボンズに雇われたサーシェスが、アルケーガンダムに搭乗して、ケルディムガンダムと対峙します。
「あの機体は、兄さんの!」
とロックオン=ライルは、兄の仇たるサーシェスに、新兵器ライフルビットで対抗します。
しかし、サーシェスには押され気味。
「また殺してやるよ!ええ?ガンダムさんよ!」
とのサーシェスの煽り文句も凄いです。
それぞれの戦いが始まりつつあるその間に、フェルトがヴェーダを発見し、各マイスターにデータ転送を果たします。
真っ先にティエリアがヴェーダへの接近を試みますが、リヴァイヴとヒリングが追ってきます。
「真打登場ってとこね」
「これ以上はやらせん」
何と、ガデッサとガラッゾもトランザムを発動。これはビリーの執念といったところでしょうか。もう何でもありです。
驚いたティエリアもトランザムで対抗しますが、敵母艦に激突してしまいます。
その頃、マリーがガガの特攻を受け、絶叫するアレルヤの姿が。
ただし、予告にはマリーが出ていたので、これは一種のフェイクです。
オートマトン侵入によって危機が迫るトレミーのブリッジ。
スメラギは戦術通りに対応するようフェルトとミレイナに告げ、自らオートマトン迎撃に向かいます。
「守ってみせる。今度こそ!」
ファースト・シーズンにおける、ニール、リヒティ、クリス、そしてモレノの悲劇を繰り返すまいと、自らが銃器をとって赴く覚悟ですね。
スメラギの守る対象は、ここではフェルトとミレイナと見て間違いないでしょう。
オートマトンに対峙したスメラギは、意外な人物に出会います。それは、ビリー・カタギリ。
ビリーは「クジョウ」と呟きつつ銃口を向けますが、今回は銃声ナシ(笑)。同じことを何度もやってはいけません。
それにしても、オートマトンがキルモードなら、基本的に無差別なのでビリーが銃撃を受けてもおかしくないのですが...。
きっと識別信号か何かを携帯していれば、オートマトンの攻撃対象外になるんでしょう。
果たして、ビリーの真意は?
一方、刹那はエンプラス戦で無類の強さを発揮。ガンダムシリーズ終盤の主人公らしく、向かう所敵なしの状態です。これはこれで爽快ですね、やはり。
「お前達さえいなくなれば!」
とルイス。
「幸せになれるの!?戦いで勝ち取る未来なんて、本当の未来じゃないよ!僕達は分かり合うことで、未来を築くんだ!」
と沙慈。
いつの間にか、沙慈は終盤のテーマを語るまでに、キャラクターとして成長を遂げたのでした。
刹那の変革を促したのは、実は沙慈という存在だったかも知れません。
沙慈の「平穏への無垢な(無思慮な)願い」は、現実直視を避ける人々への皮肉であったと同時に、そんな人々が持つ平和希求への讃歌でもあったわけです。
そして、エンディング後は、ティエリアによる、ア・バオア・クー敵母艦・ソレスタルビーイング潜入。
ヒリングは、ティエリアがセラヴィーのコクピットから出ているのを見つけて驚きます。
リボンズは母艦内を移動し、何かの準備をしようとしているらしい。
「人類は試されている。滅びか、それとも再生か」
このリボンズの呟きを聞いていた人物、それは...。
「だが、それを決めるのは君じゃない」
「ティエリア・アーデ...」
ここで今回は終了。
ヴェーダに大接近、ティエリアとリボンズの直接対決の予感など、終盤の雰囲気作りは充分ですが、肝心の刹那が殆ど目立っていなかったり、如何せん次回までの時間稼ぎ的な面もなきにしもあらず。
各キャラクターの伏線解決も全くありませんでしたし、一体あと2話でどうやって収拾を付けていくのか、些か不安がないでもありません。
しかしながら、やっぱりバトルシーンの作画の美麗さや描き込みの徹底振りは本当に凄い。
このクォリティを維持したまま、最終回まで突っ走って頂きたいところです。あと2話ですよ、2話。早いものですねぇ。
]]>とにかくずっとハイテンションな戦闘シーンが展開され、しかもそれが高い作画レベルを維持しているという、今回最大の見所。
そして、カティ・マネキンの再登場も嬉しいところ。
では、ミッション・スタート。
]]> バトル前に、ちょっとした息抜きシーンがあります。まず、カタロン陣営。
マリナと子供達はカタロンと共に宇宙に上がりました。刹那を思うマリナ。
クラウス達カタロンの上層部は、ロックオン=ライルよりアロウズの動向と、ソレスタルビーイングの作戦内容の報告を受けていました。
同時に、クーデター派からも連絡が入っており、そこには詳細な戦術プランが添えられていました。
クーデター派、詳細な戦術プラン、そして大佐と呼ばれる眼鏡の女性...。
そう、クーデター派のトップはカティ・マネキンです。
親セルゲイ派だった彼女は、アロウズに在籍しつつもセルゲイとは連絡を取り合っていたものと思われます。
ブレイク・ピラーの際にすぐ姿を消したのも、セルゲイやハーキュリーの遺志を継承する為の行動でしょう。
戦術をカタロンに提供するというところが、カティらしくてまた燃えさせてくれます。
一方、リボンズは、
「ついに審判が下される。純粋種として変革した刹那・F・セイエイか、僕達か。そのどちらかが人類の行く末を決める。それでいい」
と呟き、ほぼ自分の勝利(あるいは、刹那の変革も見越しての、計画の完遂)を確信している様子。
その背後には、無数のデヴァイン・ノヴァ(あるいはブリング・スタビティ)が!
これは衝撃的なビジュアルです。
デヴァインやブリングは、特に見せ場もないまま早々に退場させられてしまいましたが、要するにイノベイターの中では最下級クラスだったということでしょうか。
とうとう特撮モノでいう「戦闘員」扱いです(笑)。
彼らは、今回のラストシーンでは既にこの部屋から居なくなっており、次回以降の作戦の準備の為、配置に就いたものと推測されます。
ここで再びトレミー。
出撃前の刹那をフェルトが待っていました。
「リンダさんがラボで育てたんだって。あなたに、あげたくて」
「ありがとう、フェルト」
「マリナさんに怒られるかな」
「彼女とは、そんな関係じゃない。ガンダムに行く」
「あっ...死なないでね、刹那」
「了解」
どういう心情の動きがあったのか、フェルトは刹那がやや気になっている様子。
マリーを非難したのを最後に、フェルトの存在はどんどん薄くなっていったのですが、ここでちょっと回復です。
しかし、唐突と言えば唐突。そんなそぶり、全く見せていなかったじゃないか。もしかして気付かなかっただけでしょうか?
そして、ガンダムマイスター達は出撃していきます。
ティエリアが、
「何としてもヴェーダを取り戻す。導いてくれ、ロックオン」
と祈りつつ出撃。
「準備はいいか、ソーマ・ピーリス」
と呼びかけるアレルヤに、
「マリーでいい」
と応える彼女。
「えっ?」
「そう呼びたければ、それでいい。しかし、私は」
「分かってるよ」
「...!」
マリーとソーマの人格は、かなりの確率で融合し始めているように思われます。
アンドレイへの復讐を誓った頃から、冷淡な超兵であることを身上としてきたマリーですが、アレルヤの優しさが、かなり彼女の心に響いているようです。
ロックオンは、
「アニュー、俺はやるぜ...」
と一言。前回では「カタロンでもソレスタルビーイングでもない」と言ってましたが、今回はやや感情を抑制し、カタロンのメンバーとしての使命を果たすことが、アニューの死に報いると考えている様子が伺われます。
最後は刹那と沙慈。
「本当にいいんだな、沙慈」
「心配しないでくれ。僕だって、未来を見つけたいんだ」
「了解」
短い会話ですが、既に2人の間には、このような短い会話でも通ずるだけの信頼関係があることを、見て取れるのではないでしょうか。
いよいよ、激戦開始!
グッドマンは、
「特務艦、うまくやれよ」
と罠を示す発言。
興醒めとも思いましたが、見直してみると、このセリフがあるのとないのでは、後の展開の理解度がかなり変わりますね。
このセリフは恐らく親切心で入れてあります。
アレルヤとマリーは良いコンビネーション。
出撃の際の絶妙なやり取りは、ここに繋がっています。
これまでは、マリーが勝手に離脱してバンバン撃ちまくってましたが、アレルヤと互いがサポートしあっている様子がきちんと描かれ、ハイスピードながらも2人の在り方を感じさせるエモーショナルな場面になっています。
ロックオンの駆るケルディムガンダムは、新装備で順調にモビルスーツ隊を撃ち落とします。
「ガンダム00」では、プラモ発売後に新装備が追加されたりして、結構困ったものなんですが、今回もそのパターンですねぇ。
その間、トレミーに特攻してくる敵艦が!
スメラギは直ちに刹那に指示。
指示を受けた刹那は、新装備のライザーソードで、特攻してくる敵艦を真っ二つに!
しかし、メメントモリを切断したビームサーベルとは、どう違うのか?
で、グッドマンの言う特務艦とはコレのことで、刹那がぶった切ったことによってトラップが発動されます。
破壊された艦から、粒子撹乱の為のアンチフィールドが、広範囲に展開されるのです。
艦の中は無人だったものと思われますが、後で味方の人命を軽視するグッドマンの発言があったので、本当に「特務」を帯びた兵が操舵していたのかも?
「至近距離で展開されなかっただけましよ」
とスメラギ。
強がりではなく、対応が早かったことで次の戦術に移行する時間を、少しでも稼げたことを言っています。
ところが、待ち構えていたアロウズ主力部隊が多数展開し、ガンダムをじわじわと圧倒していきます。
トレミーも被弾し始めます。が、スメラギは有効な手段を講じることなく、じっと耐える姿勢を見せています。
いよいよトレミーのブリッジを狙うアヘッドが出現。
しかし、そのアヘッドは銃撃を受けて大破。
カタロンが到着したのです。
スメラギは、多分ライルがカタロンへ連絡したことを知っていたのだと思われます。
「よく来てくれた!いいタイミングだ!」
とロックオン。作劇的にもいいタイミングです。
目前の危機を脱したスメラギはカタロンの行動を分析し、
「カタロンの武装、アンチフィールドを予測していた?だとすると...トレミーを敵艦隊へ!」
と決断を下します。
ここで、アンチフィールドを予測して戦術を立てた人物が、カティであると気付いたのでしょう。
カティの次なる手も読んだ上で、トレミーをどう動かせばよいか判断したことが分かります。
万年ザコキャラ扱いを受けてきたカタロンが、妙に強いのはご愛嬌。
ただ、これは裏を返せば、カタロンに優秀な戦術士官がいなかったということの証明でもあります。
やがてグッドマンの艦にアロウズの輸送艦が迫り、粒子ビームを発射します。
「我が方の輸送艦」という呼称に、混乱振りが伺えるのですが、ちょっと分かりにくいシーンです。
輸送艦の艦長はカティであり、彼女はクーデター派としてグッドマンらに勧告します。
「アロウズ艦隊に勧告する。我々は決起する。悪政を行う連邦の傀儡となったアロウズはもはや、軍隊ではない!世界の行く末は、市民の総意によってのみ決められるものだ。我々は貴様らの蛮行を断罪し、市民にその是非を問う!」
シビリアン・コントロールの思想がはっきりとセリフで語られたのは、「ガンダム00」劇中では初めてだと思います。
ブレイク・ピラーの際、自然に市民を守るべく結束した瞬間から、カティはこの思想で迷わないと決したのでしょう。
「あの女狐め!叩け!奴等は反政府勢力だ!」
とグッドマンの悪役化は急激に進んでいきますよ。
「不死身のコーラサワー!只今参上!」
パトリック・コーラサワーも期待を裏切ることなく、登場してくれました。
更にグッドマンの悪役化は徹底され、カティの輸送艦が僚艦の影に隠れている為、砲撃できないのを見た彼は、
「動けん味方など不要だ!敵共々撃ち落としてしまえ!」
「味方の兵が居ます!」
「いいから撃てと!」
と人命軽視発言。
既にグッドマンの主義は、アロウズという強大な権力を振り回すことにシフトしており、その為には、アロウズを構成する人員でさえも犠牲になって当然だと考えているようです。
結局、トレミーはアンチフィールドを突破し、さらにはアロウズ艦隊突破にかかります。
グッドマンの艦に刹那が接近!
「ダブルオーライザー!目標を駆逐する!」
「な、何とかせんかぁぁぁぁ!」
グッドマンの最期は、リント少佐並に哀れなものでした。
戦争の光を見つめるマリナ。
子供達は無邪気に喜ぶのですが、マリナの心中はかなり複雑な筈。
なお、クラウス達の率いるカタロンの宇宙艦隊とは離れた、別の艦に居るようです(当たり前か)。
エンディング後は、再びイノベイター。
アロウズの防衛線が突破されたことを、傍観者のように呟くリボンズ。
それはお望みどおりだろうと言うリジェネ。
逆にリボンズは、リジェネが仕掛けたことだろうと返します。
動揺するリジェネにリボンズは、
「言っただろ?僕は君たちの上位種にあたる。創造主とも言える。だからさ、野心に捕らわれた君の考えは、脳量子波を通して僕に筒抜けなんだ」
「...!」
「残念だったね。リジェネ・レジェッタ」
「リボンズ・アルマーク!」
脳量子波で干渉され、動揺して怒りの頂点に達したリジェネは、銃を抜き、リボンズの頭を撃ち抜いてしまいます!
今回最大の衝撃シーン。
「僕だ。僕なんだ。人類を導くのは、この僕...リジェネ・レジェッタだ!」
何と、「ガンダム00」最大の敵と思われたリボンズは、あっさり殺されてしまいました。
ファースト・ガンダムが∀ガンダムに否定された瞬間...というのは中の人に関する冗談ですけど、これにはビックリです。
しかし。
デヴァイン型のクローンが沢山出てきたので、このリボンズはオリジナルではないのかも、とも思えるんですよね。
野心が筒抜けだったということは、いつかリボンズを亡き者にしようと企んでいたことも読めてたわけで。
リボンズは手段を講じて、影武者を用意していたのではないかと予想できます。
ここでいきなり、「リジェネがラスボスです」って、何だか拍子抜けというか、セカンド・シーズンのキャラにいいところ持って行かれてしまうのか、みたいな。
というわけで、私は「リボンズは生きている」に一票。
次回、倒れたリボンズが何もなかったかのように起き上がるとか、怖いシーンがあったりして(笑)。
]]>しかしながら、キャラクターがフィーチュアされた部分では、以前にも描かれた「各々の思いを口にするシーン」がまた繰り返され、ちょっと食傷気味なのは否めないところ。
確かに、アロウズが総力戦を仕掛けてきて、トレミーはヴェーダ奪回の為にそれを突破しなければならないという展開なので、各人の動向を描くも何もないわけですが、それにしても、刹那の達観振りに周囲がもっと驚くとか、そういった場面は欲しかった気もします。いつの間にか刹那がメンタルな部分でのリーダーシップを発揮していたので、それに至るプロセスは多少なりとも描いてもらいたかったのが正直なところですね。
尺の問題は如何ともし難いのでしょう。
逆に、刹那の悟りっぷりが、前回と今回を通してあまりにも急激に描写された為、「純粋種への覚醒」というキーワードがセンセーショナルに響くという効果も。
「イノベイターの純粋種」なる存在が、果たして「人類の道標」に成り得る存在なのかも曖昧で、少し危険な匂いをにじませているあたりも良い匙加減(「危険」は展開上ありえないと思いますが)。
それにしても、ガンダムの主人公が特殊な存在ってのは、珍しい趣向なのではないでしょうか。
アムロやカミーユ達は、突出したニュータイプ能力の発現者ではありましたが、マスレベルでの影響者ではなく、あくまで人類の導き手はシャアやハマーンといった敵役でしたし、それ以降のシリーズでも「救世主」的な扱いは皆無だったように思います。
刹那が「人類の導き手」にまで格上げされたのは異例で、その担い手は本来、マリナあたりに当てられるのではなかろうかと。...それだと「Vガンダム」になっちゃうか。
さて、今回の流れをまとめてみると、
となります。
グラハムが切腹未遂とか、フェルトが怪しい動きを見せる(笑)とか、色々細かいことはありますが、大まかな流れはこんなところです。
個人的にはカティ・マネキン万歳だったり。
では、今回も順を追ってみたいと思います。
後半は混迷していくので、若干セリフが分かりにくい箇所がありますが、その辺もちゃんとフォローしてみたいと思います。
]]> 冒頭は、前回の続きの裸空間(笑)。「俺は、変革しようとしている」
「変革?それが君が会得した極みだというのか」
刹那の「覚醒」を「極み」と表現するグラハム。
和風かぶれを表現するにあたり、他にはないと言えそうな程ピッタリ来る言葉です。
で、グラハムが何故武士道を求めるようになったかを、すこしだけ垣間見ることのできる回想シーンが登場。
ファースト・シーズン最終話で、刹那に「歪みがある」と指摘されたグラハムは、「戦う者のみが到達する極み」を求めて刹那に戦いを挑んでいるのですが、その思想の着火点になったのは、何とホーマー・カタギリ。
ソレスタルビーイング再来を予感していたグラハムは、ホーマー・カタギリの元を訪れ、自分の戦う場を所望するのです。
このホーマー・カタギリ、「カタギリ」だけに日本由来の家系であるらしく、この時代にして和装で日本家屋に住まうなど、伝統を重んじる人物(あるいはマニア)だったのです。
そして、グラハムは、ホーマー・カタギリに影響されたのか、滝に打たれたりして武士道が何たるかを、4年の間探求していたようなのです。
私は、ホーマー・カタギリがこのような人物だとは想像しておらず、少し戸惑いを覚えました。
ある意味これは、制作陣が仕込んだ「ネタ」だと思うのですが、敢えてそうではないと解釈すると、「武士道」を旨とするホーマー・カタギリがアロウズを率いているという事実が、興味深いということになります。
武士道の定義に関しては詳しくないので触れませんが、それを日本的価値観や倫理観と交換可能であるとした場合、ホーマー・カタギリがアロウズを通じてやろうとしていることは、一見矛盾しているように見えます。
しかし、彼が「和(融和)」の追及者だとすれば、相容れないものを村八分にする思想はアロウズそのものであり、意外に納得出来るような気がするのです。
何となく、戦時中の日本軍の体制批判を暗に行っている感覚があります。
...はい、これは深読みです。
で、戦いは続き、グラハムと刹那は互いの主張をぶつけ合います。
「その極みにある勝利を!」
「勝利だけが望みか!」
「他に何がある!」
「決まっている!未来へと繋がる、明日だ!」
これはもう通信で会話しているのではなく、ツインドライヴの作用で互いの意思が確認できる状態にあると見ていいでしょう。
この時点で刹那は「未来」とか「明日」とか言い始めているわけで、それを以って「覚醒」に到達したと言えそうです。
ダブルオーライザーは、白刃取りでスサノオの刀を折ります。
白刃取りとか、もうギャグ寸前なのですが、このくらいのテンションはアリでしょう。
「これが俺の戦いだ!」
と叫びつつ、スサノオを戦闘不能に追い込んでいくダブルオーライザー。
兜にあたる装飾が取れ、フラッグの顔になるあたりもいいですね。
これは、戦いにとり憑かれた男、ミスター・ブシドーの鎧が剥ぎ取られ、グラハムに戻ったことを象徴している...のかな。
「私を斬り裂き、その手に勝利を掴んで見せろ!」
と息巻くグラハムを前に、トランザムを解く刹那。
「何故だ!何故とどめを刺さん!」
「俺は、生きる。生きて明日を掴む。それが、俺の戦いだ。生きる為に、戦え!」
刹那の言葉に、歯噛みするグラハム。
いわば、このセカンド・シーズンにおける自分全てが否定されたわけで、その上、体感的にも圧倒的説得力を以って刹那の主張が示されたわけですから、グラハムもグゥの音が出ない状態なのです。
これまでの彼なら、衝撃を受けつつも余裕を装い、妙なセリフで見栄を切りつつ退散していくでしょう。
何も言い返せないということは、アイデンティティを打ち砕かれたということです。
後に出てくる切腹未遂シーンも、ここでまとめておきます。
「武士道とは、死ぬことと見つけたり」
と、懐刀を抜いて切腹を試みるグラハム。脳裏をよぎる刹那の声。
「生きる為に、戦え」
「...武士道とは...」
「武士道とは、死ぬことと見つけたり」とは、ルパン三世で石川五ェ門が口癖のように繰り返したものですが、ここでは勿論ギャグではなく、アイデンティティ(と自分が認識しているもの)を打ち砕かれた末の、失意の死を覚悟しての言葉です。つまりは、本来の意味とはかなり異なるものです。
それ故、刹那の言葉によって思い留まらされてしまうという、二重の屈辱を味わうことになります。
これで、グラハムの志向性としての武士道は、粉砕されたことになります。彼は果たしてどこに向かうのか。
沙慈は、
「ありがとう」
と刹那に礼を言います。
「な、何を?」
と戸惑う刹那がちょっと可愛い。
「そう言いたい気分なんだ」
という沙慈のシンプルな理由もいいですね。
リジェネは、この様子を眺めて、
「純粋種として覚醒したか、刹那・F・セイエイ。それは人類の命運を握る力だ」
と微笑むのですが、その真意は...?
トータルな所感ですが、沙慈はアロウズを断罪する為に戦うことを、許し始めているのではないでしょうか。
逆に、刹那との因縁を持つ者達の生命を、刹那が断ってしまうということに関しては、基本的に嫌悪感を抱いているようなのです。
従って、グラハムに止めを刺さずに言葉を用いて説く刹那に、沙慈は感心したのではないでしょうか。
沙慈の感覚は、結局周囲の人々の命が大事という感覚に言い換えることが出来るのですが、それはそれで自然な感情であり、特段批判には値しないと考えます。
刹那についても、「アロウズもイノベイターも含めて全部が等しく生命を」といった感覚は、扱いにくさも手伝ってか、一切描写されません。
そりゃそうでしょう。そんなのでは話が終わらないし、終わったとしても主人公である刹那がデウス・エクス・マキナとして振舞うという、陳腐極まりないものになります。
ここは、人類全ての生命を尊重する未来を見通しつつも、目前の敵を排除しなければならない刹那自身の矛盾を感じてみる方が、余程面白いだろうと。
終結まで、そういう視点で見てみようと思います。
さて、グラハム関係で随分と長く書いてしまったので、ここからはやや飛ばし気味で。
というか、特筆すべきことはあまりないので...(笑)。
アロウズは21隻の艦隊に108機のモビルスーツで総力戦を敢行。
私は、グッドマン自身はヴェーダのことを知らず、この作戦が実質ヴェーダ防衛だということは認知していないのだと思います。
ソレスタルビーイングを叩くという目的だけが、彼の中ではクローズアップされており、これまで圧倒的な武力を行使してきたグッドマンが、その牙城を次々と崩されて自信を喪失していく様が圧巻です。
リヴァイヴ、ヒリング、ルイスと、ついて来たアンドレイは独立行動をとることに。
それは、リボンズからの帰投命令でした。
リボンズの覚悟か、焦りか、それとも...リボンズの感情を読むことの出来ないリヴァイヴとヒリング。
一方、ルイスは消滅したネーナに「ザマ見ろ」と呟き、冷酷な人格への変化が見え始めています。
リボンズが告げた「人類初のイノベイター」は結局刹那が担うことになったのですが、リボンズの真意は、ルイスのように自由に操れる人間を作り出す実験だったのかも知れません。
さて、その頃トレミーでもヴェーダ奪還作戦に向けて準備を進めていました。
ヴェーダのポイント解析が終了し、それが月の裏側であるということが判明。
開発が殆ど行われておらず、隠れるにはうってつけの場所だとイアンが指摘します。「月」とは地球の月だと思われるので、いわゆる灯台下暗しというやつですね。
なお、直径15kmの光学迷彩が施されていることが分かり、隠蔽されているものが恐ろしく巨大なものであることを匂わせています。
そこに、イアンの奥様・リンダが新装備を携えて合流するとの連絡が。
イアンとミレイナは、リンダが「戦力になりそうな物は全て持って来たわ」という各種装備を見ながら歓喜。
Oガンダムも登場。しかも、粒子貯蔵タンクを付けられ、一定時間の稼働が可能になったらしい。
GNドライヴがなくても活躍できるよう、巧いエクスキューズを考えたものです。が、何となくご都合主義的な匂いも...。
しかしながら、このカラーリング、とんでもないですね。
確か以前は、もっとモノトーンなカラーリングだったような気がします。こんなにはっきりトリコロールに塗っちゃって、サービスしすぎです(笑)。
これでツインアイが黄色だったら、ホントに完璧だったんですけどね。
そして、装備や作戦が固まったところで、ブリーフィング開始。
ヴェーダに到達するには、アロウズの大艦隊を突破しなければならないわけで、激戦が容易に予測されます。
しかし、沙慈は戦闘に参加する覚悟を決めており、
「決めたんです。もう迷いません」
と宣言。
沙慈には戦闘技能こそありませんが、戦場に出られるだけの度胸なんかは、普通に持ち合わせていたんでしょうね。
「私も参加させてもらう」
「ソーマ・ピーリス...」
「私にも、そうするだけの理由がある」
操舵士の話をあっさり断り、マリーはソーマ・ピーリスとして戦場へ出ようとします。
この時点では、未だアンドレイへの復讐を考えているように思われます。
ロックオンはソーマの言葉を聞き、
「そうだな。目的は違っても、俺達はあそこに向かう理由がある」
と、自分の目的もヴェーダ奪還とはやや異なる所にあることを匂わせる発言。
しかしそれらを誰一人否定する者はおらず、刹那の、
「そして、その思いは未来に繋がっている。俺達は、未来の為に戦うんだ」
という言葉でまとめられてしまいます。
ただ、これは私は批判しません。前回まではかなりバラバラだった個々人の思惑が、刹那によって一つのベクトルに集約されたと見ることができるからです。
刹那の覚醒は先に指摘したようにやや唐突ではあるのですが、終盤に向けて話をまとめていくにあたり、多少強引にならざるを得ないのは、この際看過しておきたいと思います。
主人公を中心にまとまっていくのは、ある意味ロボットアニメの王道的展開と言えるのではないでしょうか。
そのあたりは、微笑むスメラギが象徴しています。
基本的にトレミーは、スメラギの意思決定によって動いているものですから、刹那の言葉に黙って微笑むスメラギは、彼を意思決定者として認めたということに他なりません。
「イノベイターの支配から、人類を解放する為に」
「僕や、ソーマ・ピーリスのような存在が、二度と世界に現れないようにする為に」
「連邦政府打倒が俺の任務だ。イノベイターを狙い撃つ。そして」
「俺達は変わる。変わらなければ、未来とは向き合えない。」
「刹那...」
このフェルトの態度も、やや唐突ですが、花を渡さなければならないので、善しとします(笑)。
各々の意志確認が終わったところで、スメラギが、
「補給が済み次第、トレミーを発進させるわ。いいわね」
と一言。ロックオンが了承し、アレルヤが、
「でも、今のトレミーには操舵士が」
と心配したところで、ラッセが登場。
「ここに居るだろ」
と元気な姿を見せてくれます。が、多少無理をしているようにも見えます。
刹那を見つめる、勢揃いした一同。
「行こう。月の向こうへ...」
という、ロマン溢れるセリフでブリーフィングを終えるのですが。
この時、一同が刹那の一言を待つかのように見つめるというシーンが、刹那中心体制を補完していると言えます。
このセリフは...カッコいいんだけど、ちょっとやり過ぎかなぁ。
後半は、月の向こうへ進撃していきます。
]]>そして、グラハム・エーカーの再来と盛り沢山な内容です。
特に王留美とネーナの醜怪なやり取りは、演者のテンションも高く、必見です。
では、行ってみましょう。
]]> ラグランジュ5の建設途中コロニーで、ソレスタルビーイングを待つ王留美と紅龍。何とあの大爆発から無事に脱出してました。ホントかよ(笑)。王留美は、世界がリボンズのものとなるのを、何としても阻止したいようです。
ソレスタルビーイングは果たしてやって来るのか、ネーナはいつからイノベイターに付いたのか、と紅龍が次々と王留美に質問。
王留美はとうとうキレて、自分で考えろと言い出します。
「お兄様に当主としての器がなかったから、私の人生は歪んだ!だから私は世界の変革を望んだの...地位や名誉、資産すら引き換えにしても。そう、私は人生をやり直し、私だけの未来を手に入れる!最後まで付き合ってもらうわよ、紅龍。あなたには、その責任があるわ」
土壇場で初めて語られる王家の真実!
王家当主の正統な後継者は実は紅龍だったのだが、紅龍にはカリスマ性等、資産家としての資質がなかった為に、留美が当主にまつり上げられたということらしい。
何となくマリナの境遇に似ています。
しかし、
「何そのベッタベタな理由。くっだらない。やっぱりあんたバカよ」
とネーナが言い放つまでもなく、その理由は下らないものだと私も思いました。
結局、ソレスタルビーイングそしてイノベイターの有力な出資者である彼女も、単に私欲の為に動いていた、と。
ファースト・シーズンでは、イオリアの理想が云々言ってましたが、結局のところ、それは理論武装だったことになります。
言うなれば、王留美はアレハンドロ・コーナーあたりに極めて近い人物だったということですね。
ここからはネーナの独壇場。
ネーナは王留美を撃ち、紅龍がそれを庇います。
「留美、生きて...」
という紅龍が切ないですね。
ずっと留美に負い目があったのでしょう。最後は、身を挺して留美を庇うことで、「肉親として」というよりは忠義の為に散ったという印象を持ちました。
ネーナが、とどめとして紅龍の頭部を撃ち抜くという凄惨なシーンがありますが、まだ「イデオン」には及びません(笑)。
そして、ネーナの背後にはリジェネが。
「これで計画は加速する。イオリアでもなくリボンズでもない、この僕の計画が」
リジェネにはやはり、別の考えがあったようです。
当面は、ソレスタルビーイングにヴェーダを奪還させるという目的を果たそうとしているように見えます。
そこに、ダブルオーライザーが登場。
ちょっと待てよ?
刹那がここに到着するまで数日かかると言っていた筈。
ということは、王留美と紅龍がネーナの襲撃を受けて大爆発した艦から逃れ、ラグランジュ5に辿り着くまで、数日かかったという事か。
制御不能になった艦から脱出艇等で脱したとも考えにくいし、あのパイロットスーツのまま漂流して辿り着くなど、いくらなんでも無理があるでしょう。
しかも、王留美の怪我を考慮すると、数日経過してあの状態というのも不自然。
やっぱりここでも時間経過の描写が不徹底です。
もう、こういう些細なことを気にしてはいけないんだろうか...。
さて、刹那はダブルオーの制御を沙慈に預けてコロニーの中へ。
王留美を見つけた刹那は、ヴェーダの位置を記した紙片を受け取ります。
共に脱出することを提案する刹那でしたが、王留美は断ります。
「あなた達とは行けないのよ。求めてるものが違うのだから」
という留美のセリフの意味するところは後で判明しますが、先に書いておくと、ソレスタルビーイングも要らない(犠牲になってもらわなければならない)ということです。
この留美には、刹那の「変革」に気付く事の出来ない者という、突き放した視点が注がれています。
そして、コロニーを出た刹那を待っていたのは、ダブルオーライザーを「人質」にとったブシドー!
「4年振りだな、少年!」
仮面を外している!
遂に、謎だったミスター・ブシドーの正体が、グラハム・エーカーだったことが明らかになったのです。
ってのは冗談ですけど。
まぁ、一応、劇中では謎扱いだったわけですしね。
以下、刹那とのやり取りを完全採録。
「真剣なる勝負を!」
「何?」
「この私、グラハム・エーカーは、君との果たし合いを所望する!」
「そうまでして決着をつけたいか!」
「無論だ!私の空を汚し、同胞や恩師を奪い、フラッグファイターとしての矜持すら打ち砕いたのは他でもない、君とガンダムだ!そうだとも、もはや愛を超え、憎しみも超越し、宿命となった!」
「宿命!?」
「一方的と笑うか...。だが、最初に武力介入を行ったのはガンダムだということを忘れるな!」
「この男もまた、俺たちによって歪められた存在...分かった。果たし合いを受けよう」
「全力を望む!」
ここで、グラハムが吐いたセリフは「宿命」のくだり以外、割とまともです。
逆に、刹那が「果たし合いを受けよう」と言っているところが可笑しい。グラハムの「趣味」にノッてあげたところが笑えます。
ここ、笑い処ですよね?
リジェネは、ブシドーがリボンズの差し金であることを見抜き、自らの計画の停滞を一瞬憂慮します。
グラハムは、ブシドーの仮面を付け、
「これが私の望む道。修羅の道だ!」
と高らかに宣言。
「ダブルオーライザー!」
「マスラオ改めスサノオ!」
「目標を...」
「いざ尋常に...」
「駆逐する!」
「勝負!」
と、スーパーロボット系アニメに匹敵する名乗り合戦を繰り広げてくれます。
ドラマのテンションを上げていこうとする意図は、よ~く分かるのですが、ちょっとやり過ぎ感は否めないところ。
一方(って目まぐるしいな...)、小型艇(王兄妹は例の大爆発からこれで脱出したんでしょうか?)で脱出する王留美。
「ソレスタルビーイングも、イノベイターも、お兄様の命も捧げて、変革は達成される!私はその先にある、素晴らしい未来を...」
「そんなもの、あるわけないじゃない」
と、小型艇を木端微塵に破壊するネーナ!キャプしていませんが、この時の両者の表情が非常に凶悪。
遂に、王留美が退場。今度は引っ張りませんでした。しかしながら、ネーナに襲撃されるのはこれ1回で充分だったのでは...。
「散々人を物のように扱ってきた罰よ!あたしは生きる為なら何でもやるの。あたしが幸せになる為ならね。そうよ。イノベイターに従ってるのはその為。兄兄ズの仇だって討っちゃいないんだから。その時が来たら、盛大に喉元食いちぎってやるから」
「そういう君の役目も終わったよ。勝手をするものには罰を与えないと」
突如低い声で話し始めるハロ。
その言葉の主はリボンズ。
「君を裁くものが現れるよ」
無論、HAROはヴェーダの端末であるからして、リボンズはヴェーダ経由でHAROを操ったのでしょう。
ただ、画面の印象からすると、機械に対しても脳量子波を送って操作してしまう怪しげなエスパーになってしまってます。
ここでふと、サーシェスがネーナの脳裏に浮かびます。
「まさか、あいつが...面白い。兄兄ズの仇を...」
「そうだね、ある意味仇ではある」
現れたのはレグナントを駆るルイスでした。
レグナントは奇怪なモビルスーツ形態に変形し、為す術のないスローネドライをいたぶるように破壊していきます。
ルイスに気付く刹那は、
「やめろ!ルイス・ハレヴィ!そんな復讐は!」
と叫ぶのですが、当然ルイスには届きません。いや、届いたかも知れませんが、聞く耳を持ちません。
ルイスは、戦闘不能になるまでスローネドライを破壊し、ネーナを狙います。
ネーナは、
「あたしは作られて...戦わされて...こんな所で、死ねるかぁっ!」
と抗う姿勢を見せるのですが、ルイスは、
「そうね。死にたくないね。でも、パパとママは、そんな言葉すら言えなかったぁぁっ!」
と復讐の牙を全開に。それにしても、ルイス、凄い表情ですな。「Vガンダム」のカテジナを思い出させます。まぁ、ルイス自体カテジナの投影キャラに見えますが。
死に際のネーナの、
「畜生ぉぉぉぉぉっ!」
というセリフが、何ともネーナらしくていいです。
ただ、ネーナ・トリニティというキャラクター、どうも消化不良な感じがしますね。
結局、ルイスの敵という以上の役割は与えられなかったようです。出生等、謎が巧く機能しそうなキャラクターだっただけに、何となく残念です。
王留美が言うところの、ネーナに「イノベイターを欺く為に働いてもらう」という点も、当人達が完全に退場してしまった為、真相は推測の領域へと追いやられてしまいました。
「やったよ...パパ、ママ、仇をとったよ...ガンダムを倒したよ!褒めてよ。よくやったって、言って!」
ルイスは精神を崩壊させます。
「Ζガンダム」の最終話を思わせる場面です。まぁ、カミーユ本人の精神状態は、本人からすると幸福感に満たされていた印象がありますが、ルイスは逆ですね。
エンディング後は、再び刹那 VS ブシドー。
「生きてきた!私はこの為に生きてきた!たとえイノベイターの傀儡に成り果てようとも!この武士道だけは!」
と劇的に熱いセリフを吐くブシドー。
最初「このブシドーだけは!」と勘違いして、この人は「ミスター・ブシドー」という名をとうとう気に入ったのかと思ってしまいました(笑)。
刹那と真剣勝負をする為だけに生きてきて、その為ならどういう境遇に置かれようと構わないというのは、ある意味ネーナと似ています。
このセリフから、ファースト・シーズンのグラハムは「愛に生きる騎士」でしたが、セカンド・シーズンの彼は「宿命に殉ずる武士」を標榜していることが分かります。何となく。
勝負は付かず、両者トランザムを発動。
DNAの螺旋構造のような軌跡を描いて衝突!
「遂に、覚醒が...」
と呟くリジェネ。
既に刹那に関する何かを掴んでいる様子です。
そして、例のトランザムライザー全裸空間(笑)。
「ここは一体...私は既に涅槃に居るというのか」
「違う」
「少年!?」
涅槃とか、随分アジアンな文化にかぶれてますね。
一応、ニルヴァーナといった語句が西欧にあるので、特に違和感は感じませんけど。
「ここは、量子が集中する場所だ」
「何を世迷言を」
ほぅ、量子が集中...。もはや、科学的思考の入る余地はないような。
でも、何となく納得してしまうのは、やっぱり刹那が「悟り」の境地に入っているような描写故か。
「分かるような気がする。イオリア・シュヘンベルグがガンダムを、いや、GNドライヴを作った訳が」
「何!?」
「武力介入はこの為の布石。イオリアの目的は、人類を革新に導くこと。そう、俺は、変革しようとしている」
つまり刹那は、自分の今の状態こそが、イオリアの求めたものだと考えている、あるいは確信している様子なのです。
となると、イオリアの言う変革とは、戦いの果てに悟った(「悟り」を開いた)者こそが変革の代表者(=人類初のイノベイター)となり、人類全体の変革を導いていく、ということでしょうか。
さすれば、グラハムの言う「宿命」は正に宿命で、刹那との真剣勝負もまた、刹那を覚醒させる為に必要な道だったことになります。
刹那は、グラハムをして「俺たちによって歪められた存在」と評しています(この発言こそ、刹那の「悟り」を象徴してます)が、その評をも正しいと考えると、ソレスタルビーイングこそが、実は世界を歪める為の存在であり、それによって生じた歪みを幾つも目の当たりにした何者かが、ツインドライヴに触れることで「悟り」を開き、歪んだ世界が反作用で一気に平滑なものへ変質するのを見届ける。
そんな風に考えられはしないだろうか...と半ば深読みも交えて考えます。
別にその真偽を議論する気はないんですけどね。あと4話見れば大体は片付く筈ですから。
あくまで考えることを楽しんでいるだけです。
ということで、この部分に関しては議論が不毛になるのは明らかなので、反論なしの方向で(笑)。
]]>あの人が、この人が、と矢継ぎ早に繰り出されるそれぞれの人生模様。ファースト・シーズンの終盤並に死亡者が出る鬱展開が圧巻です。
今回は「ガンダム00」の世界においては、何にも進展がないというか、プライベートな話の積み重なりでホントに大したことのない話なのですが、各キャラクター個々人の世界に限定すると、随分と大きな動きがありました。
ざっと挙げてみると...、
という感じですね。
何となく「Ζガンダム」終盤のムードに似ているような気がします。
今回一番のトピックは、刹那の変革。でも、これって「ボトムズ」なんですよねぇ。
前例として「ボトムズ」があるだけに、展開が読めちゃったというか、主人公がやっぱり特別でなければ、お話の落とし処がないよねぇ、だとか。
ただ、落とし処にイノベイターを持ってきたことで見えてくるのは、イノベイターという存在が富野監督のガンダムにおける「ニュータイプ」の翻案であろうということ。
その点は、一応巧妙に隠されてはいます。
例えば、ニュータイプは宇宙に上がった人々の中で自然発生し、強化人間はそのニュータイプを人工的に再現したものなのに対し、イノベイターは(現時点では)元々イオリア由来で人工的に作られたものであり、刹那はそこに向かって自己進化する存在。
つまり、出処と後続の存在が逆転しているわけです。
しかし、その本質を見れば、「宇宙という広い空間でも円滑にコミュニケーションが取れる存在」という根幹は全く同じです。
アムロやシャアはその能力の片鱗を見せながら、結局はエゴイズムを相手にぶつけることしか出来なかった。大幅に端折れば、「ファーストガンダム」~「逆襲のシャア」はそういう物語です。
ガンダムが「ファーストガンダム」だけで終わっていれば、「宇宙という広い空間でも円滑にコミュニケーションが取れる存在」を予感させるラストで幕切れを迎えられたのですが、その辺の論議は長くなるのでやめておきます。
では、この「ガンダム00」はどうなるのか。
ニュータイプの新しい解釈を見せて、綺麗に終わるのか、はたまた単なるマクガフィンで終わるのか。
刹那をあんな風に描写し、イノベイターを落とし処にした以上、マクガフィンでは許されないでしょう。物語の根幹ですから。
それでは、今回のお話を追ってみましょう。
]]> 冒頭は、前回ラストの直後と思われるシーンで、沙慈と刹那の会話。アニューを撃った刹那に、別の方法は無かったのかと問う沙慈に、刹那はあれしか方法が無かったと答えます。
刹那は、アニューが何者かに操られていたと感じており、ルイスも同様だと言います。
沙慈は、戦場の模様を感覚で把握する刹那を怪訝に思い、
「最近の君はどこかおかしいよ。今までとは何かが...」
と思わず口に。
その時、調整の為トレミーが停電。
暗闇の中、瞳を輝かせる刹那...。
この金色瞳、イノベイターの記号としてすっかり定着した感がありますが、振り返ってみるとファースト・シーズンでは、ティエリアがヴェーダにアクセスする時ぐらいしか、この描写がないんですよね。
それから、脳量子波を使っている際の視覚的描写としても使われていますが、実は超兵が脳量子波を使う際には明確な描写がないんですよね。
マリーの瞳と、アレルヤの右目は金色に近い色をしていますが、一応その辺りを考慮した上で、色指定されているのかも知れません。
前回のアニューのセリフでちょっと気になったのですが、アニューはマリーを「Cレベルの脳量子使い」と言ってました。
要するに、イノベイターより脳量子波のレベルが劣ると言いたかったのだと思いますが、以前リジェネが「GN粒子を触媒とする脳量子波によるコミュニケーション」とか何とか言っており、私はずっと触媒を必要としない超兵の脳量子波を全くの別物だと解釈していました。
何となくそのあたりの設定が曖昧になっているのが気になります。最近はリボンズも、GN粒子があろうがなかろうが、構わず色んなキャラを遠隔操作しているし。
一方、とりあえず危機を脱して安堵するブリッジクルー一同。
しかし、ティエリアはイノベイターがまた卑劣な手段を使って来ないとも限らないと警戒します。
スメラギはティエリアの言をそれとなく諌めるのですが、アニューのような「仲間の裏切り」を目の当たりにして、クルーの中に疑惑に似たイヤなムードが漂っており、それをこれ以上盛り上げて士気を下げるのは得策ではないと考えたのでしょう。
フェルトは先の停電の際、謎の暗号通信(実は王留美が発信したもの)を受信。
ラグランジュ5に、建設途中のまま放置されているコロニーがあり、暗号通信はそのポイントを指していました。
刹那がどうしても行きたいとスメラギに言っており、またイアンも「リンダがラグランジュ5で研究を続けており、うまくいけば新装備も手に入る」と賛成したことを受け、トレミーは針路をとることに。
で、今回はどうも時間経過に関して分かり辛い面が多々あるのですが、まずはこの部分。
刹那とイアンが暗号通信のことを知る描写が一切抜け落ちている為、フェルトが通信を受け取ってからどのくらいの時間が経過したのか、今ひとつ分かりにくい。
もっと言うと、暗号通信が届いていた時に、既に刹那とイアンはそのことを知っていたかのように見えてしまいます。
一方(なのか?)、アレルヤはマリーに、ラッセの代わりに艦の操舵をやって欲しいと提案します。
戦場に出させないという、セルゲイとの約束を守る為には、マリーをブリッジに縛っておくしかないと、アレルヤは考えたのです。
当然、マリー(というよりソーマ)は反対。
アレルヤは「ソーマ・ピーリス」と呼んでまで、彼女を説得しようとするのですが...。
まだマリーはアンドレイを激しく憎悪しており、彼を討つ為に戦場に出ようとしているようです。
それで、ここでも時間経過がよく分からないのですが、刹那はダブルオーライザーで一足先にラグランジュ5へ向かうことに。
ライルが現れ、刹那に先の事(ボコボコ)を謝るのですが、パッと見、このシーンは冒頭から数時間とて経過していない印象を受けます。
ところが、ライルは「この間は、すまなかったな」(記憶不明瞭)と言っているので、冒頭からはそれなりに(数日単位で)経過しているのではないかと思われます。
何となく非建設的な端折りが目立つような。
ライルは「戦うぜ」と刹那に宣言するのですが、その本心は、カタロンでもソレスタルビーイングでもなく、自分の意志でイノベイターを潰すというものでした。
そして、刹那の背中に銃を向けるのですが...。
結局引き金を引くことはありません。
「兄さん...」
と呟くライル。
ここでニールの存在がいきなりクローズアップされるのには、ちょっとビックリ。
ここでニールを思い浮かべたライルの心情は全然分からないのですが、一つ解釈を立てるとすると、
『ニールの仇も刹那、ライルの仇も刹那』
ということではなかろうかと。
ニールはファーストシーズンで刹那に銃口を向けていますが、それは刹那が両親の命を奪ったKPSAの一員だったから。この時ニールは笑って銃を収めています。
ライルは、アニューを撃った刹那に少なからず憎悪を抱いており、詫びていつつも銃口を向けるという行動に出ています。銃を収めたニールの心境はどうだったのか、とライルは考え、「兄さん」と呟いてしまったのではないでしょうか。
続いて、その頃のアロウズの動きが一気に描写されます。
グッドマンは圧倒的な戦力でソレスタルビーイングを叩き、カタギリ司令の期待に応えるつもり。
この時点で、既に連邦軍はアロウズに吸収された格好なので、「圧倒的な戦力」も調達できるわけですね。
彼は、イノベイターやブシドー達ライセンサーを疎ましく思っており、指令どおりに動いてくれる優秀な人材を欲しています。
ただ、グッドマンの浅薄なところは、イノベイターを疎ましく思いつつも、アロウズがイノベイターの傀儡軍隊であることには深慮がないということ。
典型的な「井の中の蛙」なのです。
先の戦いでダブルオーライザーに一撃でやられたリヴァイヴとヒリング。
2人の回想により、刹那がアニューを撃った後、どう行動して戦況を終局に導いたかが判明します。
前回はアニューとライルのシーンが強力すぎて、この辺のことをすっかり忘れてました。
なお、ルイスのレグナントも早々にダブルオーライザーによって無力化されてます。レグナントを破壊しなかった理由は...もう分かりますよね。
「あの戦い方、モビルスーツの性能だけじゃない。ダブルオーのパイロットは革新を始めている」
「はぁ!?何を言って...」
「そうでなければ、説明がつかない」
「純粋種だと言いたいわけ?」
「刹那・F・セイエイ。彼が人類初のイノベイターとなるのか?」
リヴァイヴのセリフが、何となくシャアっぽいのはご愛嬌。
2人の会話にて初登場したターム「純粋種」。人類から自然発生的に出現するイノベイターという解釈でよろし?
リボンズが選民思想の持ち主なら、刹那は救世主ということか。何だかテーマが宗教的だなぁ。
ところで、ルイスはガンダムへの憎しみをさらに募らせており、アンドレイが話しかけるも邪魔者扱い。
アンドレイ、可哀想な人街道を爆走中ですな。
そこにブシドーが現れ、ブシドーとルイスに特命が下ったことを告げるのですが。
ルイス、ブシドー共にリボンズの影響下にあるのはご承知の通り。
リボンズが何をしたかったのかは、今回のお話を見てもさっぱり分かりませんが、私は、終盤に向けて人員整理をしているんだと思います(笑)。
つまり、制作陣の分身として、リストラの大鉈を振るっていると。
なお、アンドレイは、その特命に同行したいと進言。
ブシドーは、
「好きにすればいい。私と准尉の機体に付いて来れるとは思えんがな」
とアンドレイに言います。
思ったのですが、ブシドーは皮肉を言ってもあまりイヤミにならないですよね。
そういう魅力って、なかなか計算じゃ出せないと思うのです。中村悠一さんの演技が素晴らしいということなのだろうか。
さて、ここで少しだけカタロン陣営のことが語られます。
シーリンは無事クラウスに合流しました。死亡の予感を漂わせていましたが、例のマリナとの別行動のシーンは、特にそのあたりを考慮したものではなかったようです。
クラウスは、地上にとどまるのは危険だと考えており、宇宙に上がると言います。
シーリンはいつものように不安視するのですが、クラウスは、
「私は悲観しない。現に、我々やソレスタルビーイングとは、違うやり方で、自分達の思いを伝えようとしている者も居る」
と答え、マリナと子供達の歌が世界に広まっていることを示すのでした。
「人々が平和を求めているんだと思う。マリナ姫の歌を通して、争いがなくなることを。共に生きることを。我々は、人を否定することばかり考えて、人と人が分かり合えることを、その道を、見失っていたのかもしれない」
「分かり合う気持ち...マリナはずっとそれを止めて、その先にあるものを信じて...」
クラウスは結構な理想(楽観)主義者ですが、ここに来て、それが爆発。
これまで散々互いに被害者を出しておきながら、相互理解を掲げるとは...と、ちょっと首を傾げざるを得ません。
ここで思い出して欲しいのは、ライルがカタロンと精神的に決別し、個人的な意志でイノベイター殲滅を目標にし始めたということ。
一番近い思想の持ち主だった(と勝手に私が思っていた)、クラウスとライルは、もう同じ方向に視線を向けていないわけです。
逆に、マリナと子供達の歌。
これは意外に自然な流れなのかな、という印象。マリナは徹頭徹尾、銃を握ることはなかったし、「こんなことしか出来ない」と自覚しながら歌を作っていたし。
ここで思い出されるのは沙慈の存在。つまり、刹那はマリナと沙慈という、2人の徹底的な平和主義者(この呼び方は適当でないかも知れませんが)に囲まれ、変革を余儀なくされたように見えるのです。これはなかなか巧いところ。
既にマリナにはメインヒロインたる風格や扱いはないように思われますが、主人公に影響を与える者としては、充分に機能していると考えられます。
後半は、生きていた王留美、紅龍と、さらに追い討ちをかけるネーナ。
そして、グラハム・エーカーの再来と盛り沢山な内容です。
]]>ルイスの駆るレグナントが、エンプラスに比べて異常に強すぎて、クライマックス感を盛り上げまくってくれます(笑)。
では、続きをどうぞ。
]]> イノベイターの襲撃が開始されます。出撃したのは、ヒリング、リヴァイヴ、ルイス、そしてアニューです。
リヴァイヴ「ヒリング、我々の目的は、ダブルオーの鹵獲だよ」
ヒリング「分かってるわよ。だから、あの子にも手伝ってもらわなきゃね」
リヴァイヴ「悪趣味だな...」
話の流れから言って、アニューに手伝わせることは、リヴァイヴにとって悪趣味と映ったらしい。
ヒリングはあらゆる事象を面白がる傾向にあるようです。
逆に、リヴァイヴはある程度、情なんかを理解しているのかも。
そして、ルイスの駆るレグナントの粒子ビームは、なんと湾曲してガンダムを追尾するという、何ともトンデモな兵器なのです。
あんまりリアルじゃないなぁ。
湾曲ポイントの粒子加速度を、ポイント内外で変えることで曲げている...って、どうでもいいや(笑)。
「興奮しないでライル!いい男が台無しよ!」
「アニュー!」
この小悪魔なセリフ、何ともアニューらしくないと思いませんか?
これ、私は本心としては戦いたくないアニューが、自分を鼓舞する為にわざとこんなセリフを吐いたのだと解釈しましたが、どうなのでしょう?
こういう曖昧な部分が、今回のちょっと落ちるところなんですよねぇ。
こういうテンションアップを煽る場面で心情解釈を強いるのは、どうかと思ってしまうんですけど...。
逆に、ヒリングの、
「劇的な再会よね!愛した女はイノベイターで自らの敵。正に、命がけの恋ってヤツだね」
というセリフと、スメラギの
「何てことを」
という反応は実に素晴らしい。
大したやり取りではないですが、これから起こることを嘲笑してみせるという毒々しさが効きます。
また、スメラギの反応は、以前恋人を失っていることから来る同情、という点で見逃せません。
レグナントには、セラヴィーガンダムのハイパーバーストも通用せず。
もうパワーインフレがハチャメチャです(すみません、どうもレグナントの湾曲ビームが好きになれないようです)。
アリオスガンダムも損傷。もうアレルヤは戦場でどうでもいい人になっちゃってるなぁ。
一方、ダブルオーガンダムもまだ出られない状態。
そして、いよいよ今回のクライマックスであるライルとアニューの悲劇。
「何故だ!何故俺たちが戦わなければならない!」
「それはあなたが人間で、私がイノベイターだからよ!」
「分かり合ってた!」
「偽りの世界でね!」
「ウソだと言うのか。俺の思いも、お前の気持ちも!」
「...」
「ならよ!」
トランザムでアニュー機の武装を破壊し、コクピットをこじ開けるライル!
「な、何を?」
「決まってんだろ!もう一度お前を、俺の女にする!イヤとは、言わせねぇ!」
「ライル...」
「欲しいもんは奪う。たとえお前が、イノベイターだとしても」
実に熱い!
三木さんの演技のテンションは最高潮です。この辺りのセリフ、ニールには望めないわけで、ちゃんとライルとニール、別人になってます。
先の戦闘では悔やみまくっていましたが、今はソレスタルビーイングよりも、カタロンよりも、アニューとの恋を優先します。
そして、ライルの元へ行こうとするアニューですが...。
「愚かな人間だ」
「アニュー?」
突如豹変。
ファングでケルディムガンダムを徹底的に攻撃し始めます。
「イノベイターは人類を導く者。そう、上位種であり、絶対者だ。人間と対等に見られるのは、我慢ならないな。力の違いを見せ付けてあげるよ」
つまり、リボンズはアニューの(ひいては他のイノベイターの)思考を完全に掌握できるということ。
ここでのアニューの行動は、もはや彼女自身の人格が失われた上でのものです。
リボンズの悪役っぷりが凄まじい加速度で上昇してます。
宣言どおり、刹那がアニューを撃ち抜く...。
そして刹那は、2人の傍をかすめるように飛び、ダブルオーライザーのGN粒子を放出。
その効果により、2人は思念の中で会話。
「ライル、あたし、イノベイターで良かったと思ってる」
「何でだよ」
「そうじゃなかったら、あなたに逢えなかった。この世界のどこかですれ違ったままになってた」
「いいじゃねぇか。それで生きていられるんだから」
「あなたが居ないと、生きてる張りがないわ」
「アニュー...」
「ねぇ、私達、分かり合えてたよね」
「あぁ、もちろんだとも」
「良かった...」
そしてアニューの機体は爆発...。
サブタイトルである「アニュー・リターン」とは、一体なんだったのか。
二つ意味がありそうです。
一つは、イノベイターへの帰還。
もう一つは、ライルの腕の中への帰還。脳量子波が見せる思念の世界の中ですけど。
考えてみれば、イノベイターである自我が目覚め、それで尚且つ「分かり合えてたよね」と言えたことこそが、イノベイターと人間の共感の端緒を思わせることに繋がっているわけで。
それを刹那のダブルオーライザーが担うといった点がまた、重要です。
刹那自身は十字架をまた一つ背負ったのですが、刹那が撃たなければ、リボンズの干渉を止めることはできずに、ライル自身が命を落としていたかも知れず、結果は同じでしょう。
つまり、あの時点で刹那はベストの選択をした...ということになるのではないでしょうか。
エンディング後、ライルが刹那を何度も殴り付けるという、ある意味凄惨な場面が。
これまでは、それぞれの親しい人の仇は、それぞれ敵対するポジションの中に存在していたのですが、何と身内に仇が存在するという事態に。
勿論、ライルが刹那に復讐するという展開は有り得ませんが、なかなか示唆に富む構図ではあります。
その様子を見て、沙慈は、
「分かり合ってるのに...なのに、いつか僕も、ルイスと...」
と覚悟ともとれる言葉を。
刹那は、
「声が響く...彼女の声が...彼女の歌が...」
とモノローグで。
遂に刹那は遠く離れたマリナの歌声を脳量子波で受け止められるまでになった...か?
]]>演出もそこにターゲットを絞ったものと見え、あまりにツボにハマるカットやBGMの間が秀逸。これはこれで実に感動的です。
けれども、そこにフォーカスしすぎて、「そこはどうなの」的なポイントも多々。
特に、ソレスタルビーイングの意識とかイデオロギーとかの感覚は、もうどうでも良くなっているような気がします。
トレミーのクルーは、それぞれの目的がバラバラであり、私情でしか行動していない印象すら抱かせます。現在はかろうじて結果を同じベクトルに向けてますが。
ソレスタルビーイングはトレミーだけでなく、他にも多数の人員を抱えているものであり、ファースト・シーズンにあった「監視者」といった存在は、ほぼ完全に無効化されているきらいがあります。
つまり、最前線で行動するトレミーがこんな調子では、ソレスタルビーイングの理念も何もないわけで、そこを封印してキャラクタードラマにひた走る感覚は、ちょっとどうかなと。
一方、イノベイター関連は残り話数が少ないながらも、謎を上乗せして興味を引いており、このあたりはラストへの期待を加速させます。
しかし、ここに来て私は一つのペシミスティックな予想を立てつつあります。
それは、「来るべき対話」という言葉が、実はマクガフィンではないか、ということ。
考えてみれば、「来るべき対話」の中身は何でもいいわけで、イノベイターはその言葉を信じてリボンズの思惑に従い動いており、ソレスタルビーイングはそうやって動くイノベイターを何とかしようと奮闘しているだけです。
イオリアの思想すら、ソレスタルビーイングとイノベイター双方の動機付けになっているに過ぎず、思想の中身は、極端に言えば何でもいいのです。
作劇上、イノベイター(=リボンズ)の完全勝利が有り得ないことは明らか。
となれば、リボンズの言う「来るべき対話」は果たされないことになる。
刹那が何かにブレイクスルーを果たし、その「来るべき対話」を担うことになったとしても、実際はそこを描かずとも物語を終わらせることは十分可能です。
つまり、その辺の謎は曖昧なまま完結するのではないかと思うのです。
私は、別にそれでいいと思います。
後から明かされて拍子抜けとか、よくある話じゃないですか。
話が逸れました。
さて、今回のお話は...。
アニューがイノベイターとして覚醒し、リヴァイヴと共にダブルオーライザー奪取を企むも、スメラギの戦術によって失敗。
しかし、ただでは起きないイノベイターは、トレミーやオーライザーに重大な被害をもたらし、それを好機に攻撃を加えてきます。
その中で、ライルとアニューは...。
...といった感じ。
では、順にストーリーを追ってみます。
]]> リヴァイヴにヴェーダの所在を尋問する一同。ヴェーダは本来、イノベイターが使う為に用意されたものだと言うリヴァイヴに、スメラギはイオリア計画の真意を問います。
リヴァイヴは、「来るべき対話の為」と答えるのですが、すかさずアレルヤが、
「話が見えないな」
と畳み掛けます。しかし、リヴァイヴは余裕で、
「それが人間の限界ですよ」
と応答。ロックオンは、
「てめぇが万能だとは思えないがな。現にこうして捕まってる」
と皮肉たっぷりに揶揄するのですが、リヴァイヴは、
「わざと、だとしたら?」
と答えます。
そこに、ラッセがアニューに撃たれ、ミレイナが人質にとられたというフェルトの連絡が!
アニューがイノベイターだと知り、驚く一同。
ラッセ撃たれてしまいましたね。ただ、急所は外れていたようで、もしかするとアニューの中に残っていた罪悪感といったものが、そうさせたのかも知れません。
アニューはリヴァイヴと同タイプであり、思考を繋ぐことが出来るといいます。
ロックオンは、薄々感づいていたのでしょう。遂にこの時が来たかといった感じの、厳しい表情を浮かべます。
リヴァイヴが男性型ということからか、ロックオン以外はアニューとの容貌の近似性に気付かなかったようですが、キャラクターデザイン的には瓜二つなので、仕掛けとしては少々弱かったかな。
リヴァイヴは、自分に何かあればアニューがミレイナを手にかけると脅迫し、余裕綽々で行動を開始。
「アニュー、後は手筈どおりに」
と脳量子波で指示しています。
この時、アニューはダブルオーガンダムを強制発進させようとしていたようです。アニューがダブルオーガンダムを、リヴァイヴがオーライザーを奪取する予定だったのでしょう。
館内システムはウイルスに汚染され、照明などが制御不能に。アニューは、その卓抜した頭脳でトレミーのシステムを熟知している筈ですから、このくらいのハッキングは当然ですね。
一同は手分けしてミレイナを探し始めます。
刹那はすぐに「こっちだ」と言ってミレイナのところへ辿り着いていますが、脳量子波を感知したものと推測出来ます。
はっきりとは描かれていませんけれど。
ここでマリーが登場。脳量子波を感知してアニューの元へ。
アニュー「あなたの存在を失念していたわ。Cレベルの脳量子使い。出来損ないの超兵」
マリー「全ての元凶はお前たちだ。大佐の仇を!」
しかし、ロックオンが止めに入ります。
「ライル...」
あからさまに動揺するところが、何となく可愛らしいですね。
「俺を置いて行っちまう気か」
「私と一緒に来る?世界の変革が見られるわよ」
「オーライ、乗ったぜその話。おまけにケルディムも付けてやるよ。そういうわけだ刹那。今まで世話になったな」
「そうか、分かった!」
ロックオンを撃つ刹那。
一瞬ロックオンを心配するアニュー。
ロックオンは、隙を見せたアニューからミレイナを奪います。
刹那「大丈夫か?」
ロックオン「当てることねぇだろう...ったく」
一流の芝居でした。
「人質を奪還された?...女なんかに作るから、情に流されたりする」
と、リヴァイヴはオーライザーを奪って発進させます。
リヴァイヴはイノベイターの性差について、ある種の差別意識を抱いているようです。
確かにヒリングに対しても、リヴァイヴはあまりいい印象を抱いていない感じがします。
ダブルオーガンダムを牽引し、ケルディムガンダムがトランザムを発動させてリヴァイヴのオーライザーに追いつきます。
リヴァイヴ「この機体を傷つけるつもりかい?」
刹那「俺たちには、優れた戦術予報士が居る」
直後、赤ハロがオーライザーの制御を奪い、ダブルオーライザーへのドッキングモードに移行。
このあたり、なかなか爽快に事が進んでいきます。
「ロックオンの言った通り、万能には程遠いようだな」
と刹那。
「仕方ない、オーライザーは諦めるよ。でも、手土産の一つぐらいは、欲しいな!」
と、オーライザーのコクピットを破壊して脱出するリヴァイヴ。
当然、オーライザーの出力がダウンします。
タダでは起きないイノベイターという感覚が活写されていますね。
しかも、これは単なる腹いせではなく、ちゃんと後の襲撃に意味をもたらします。
一方、アニューの乗る小型艇を狙うロックオン。
しかし、
「私を撃つの?」
というアニューの幻影に、ロックオンはトリガーを引けません。
「何て情けない男だ!ライル・ディランディ!俺の覚悟はこんなものか!こんなぁっ!」
三木さんの演技のテンションが凄まじい為、このロックオンは実に痛々しい。
「ホントは愛してるのよ...ライル」
アニューのこの言葉の真意は何か。
再三、私はアニューを無自覚スパイだと言ってきましたが、このセリフに触れても、結局その説は揺らぎません。
恐らく、アニューが一般人として放たれた際、イノベイターとしての自我を抑制する処置を施されたものと思われます。
リヴァイヴが近くに来るまで、本当に無自覚であり、リヴァイヴが接近した後のアニューはイノベイターとしての自我が覚醒しつつも、それまでのアニューの自我と同一です。
難しいですが、突如「元々はイノベイターである」という記憶が蘇った、とでも言えばいいでしょうか。
引き合いに出す話がちょっとズレるかも知れませんが、「スパイ大作戦」という古いアメリカのTVドラマに、主人公の女スパイが事故で記憶を失い、そのまま罠にはめる筈の男と恋に落ちるというエピソードがあります。
そのエピソードは、最終的に記憶が戻り、立場を利用してミッションを達成するという筋書きなのですが、エンディングで、女スパイがふと悲しげな表情をするのです。
アニューの様子は、この女スパイによく似ています。
ただ、アニューの場合そのあたりの心情描写があまり徹底されてなくて、それが今回の「?」な感覚を助長している気がします。
愛していると宣言する割には、結構ライルを揶揄するような事を平気で言っているし、躊躇する時とそうでない時の差が激しすぎます。
一応、脳量子波の影響を受けている描写を挿入して、アニューの性格描写を切り替えたりしているのですが、実際はどこまで本気なのか分からないような描写になってもいます。
さてその頃、リボンズはルイスを自室に呼んでいました。
この2人の会話で、ルイスの常用していた薬が細胞異常を抑制する薬だったことが判明。
そして、モビルアーマー・レグナントがルイスに与えられます。
エンプラスはこれのプロトタイプだったということですね。
「人類初のイノベイターとなって、この世界を導いて欲しい。いいね、ルイス・ハレヴィ」
「分かってるわ、アルマーク」
「アルマーク」と言うあたりに、2人の関係の特殊性が現れています。
それにしても、ルイスが「人類初のイノベイター」とされているとは。明確に脳量子波を使う描写も登場しました。
なお、薬の効能が判明したことで、ルイスの強化人間っぽい発作はフェイクだった...と言いたいところですが、この薬、ルイスのイノベイター化に伴う苦痛を取り除くものかも知れません。
ルイスのイノベイター化に関しては、サプライズとして用意された要素であり、あんまり深く物語には関わってこないのではないか、と勝手に予想してますが。
どうなんでしょう?
一方、トレミーのシステムはズタズタにされ、復旧までかなりの時間を要することに。
しばらくダブルオーガンダムも出せないというイアンの報告も。
しかし、イアンはオーライザーのコクピットをユニットごと取り替えて、復旧をなるべく早く済ませるんですから、大したものです。
その頃、ロックオンと刹那は。
「アニュー、どうしてなんだよ、くそっ!」
「彼女は、戦場に出てくるぞ。この機会を逃すとは思えない」
「分かってるよ。言われなくてもやる事はやる。相手はイノベイターだ。俺たちの敵だ。トリガーぐらい...」
「強がるな。もしもの時は俺が引く。その時は俺を恨めばいい」
「カッコつけんなよ、ガキが」
「お前には、彼女と戦う理由がない」
「あるだろう!」
「戦えない理由のほうが強い」
「...」
このシーンのロックオンは、三木さんがわざと狙っているとしか思えないほど、イタいキャラになっています。特に「ガキが」と揶揄するあたり、なかなか衝撃的です。
アニューがイノベイターだったことに関しては、薄々感づいていつつも、やはりショックが大きかったという展開がいいです。
ファースト・シーズンと比べ、私情挟みまくりなガンダム・マイスターですが、そこが良いという人と、そこが悪いという人、両方があると思います。
なお、この間のトレミーの操舵はティエリアが担当していましたが、
「心許ないのは分かってるわ」
と言いつつスメラギが操舵を担当することに。一応、艦の操舵技術を持っているようです。
交代したティエリアは迎撃に就きます。
後半は、イノベイター達の追撃です。
]]>ダブルオーライザーに翻弄されっぱなしのイノベイターと見せかけておいて、実は静かに恐ろしい作戦が進行していた...というもの。
では、なるべくその雰囲気を再現してみます。
]]> ソレスタルビーイング追撃作戦としては、ガデッサもガラッゾも落とされ、リヴァイヴは捕虜になってしまったとあって、イノベイターの働きは「失敗」。グッドマンはここぞとばかり、痛烈に皮肉りますが、ヒリングは、
「次の作戦は、私たちだけでやらせてもらうわ」
と余裕かつ冷ややかな態度。
何かある、と視聴者に思わせているのですが、まさかあんなに大胆な作戦だったとは。
一方、捕虜にしたリヴァイヴを尋問するスメラギ達。
リヴァイヴがヘルメットを取ると、既に脳量子波発信中。
そして、リヴァイヴの顔を見て驚くロックオン。
他のメンバーはそれ程気にしていなかったようですが、ロックオンはアニューに似ていたことに関して、かなり反応していましたね。
ここでもう、ロックオンの中で、アニューがイノベイターであるということが確信に変わったのではなかろうかと。
そしてその頃、アニューはリヴァイヴの脳量子波を受信。トレミーが予定針路から外れていることを指摘するラッセに、銃を向けます。
「何をする?そんなこと決まってるわ。だって私は、イノベイターなんだから」
そして銃声と共に画面がブラックアウト!
「ガンダム00」において、このパターン、ちょっと乱用しすぎのような気が。
次回になれば結果は分かるのですが、恐らくラッセは撃たれていないのではないかと。
一応、対極の結果も覚悟はしといた方がいいかも知れませんけど。
アニューがイノベイターであることを自覚していないキャラクターであることは、この時点でも揺らぎません。
リヴァイヴがわざわざ捕まってトレミーに乗船してきたのは、近くからより強く脳量子波を発信して、アニューのイノベイターとしての自己を目覚めさせる必要があったからでしょう。恐らく。
遠隔ではせいぜい位置把握くらいでしたが、接近すれば、アニューの人格を変えてしまうことも可能だという説は、強ち外れていないような気がします。
その頃、王留美と紅龍はトレミーからの連絡を待っていました。
トレミーに合流するつもりだったのか、それともヴェーダの所へ行くつもりだったのかは、はっきりしません。
そんな中、操舵が制御不能に。
一方、リボンズとリジェネの会話。
「ダブルオーガンダムは、この僕にこそふさわしい。君もそう思うだろ?リジェネ」
「勿論だよ、リボンズ」
「フッ、心にもないことを」
リボンズがリジェネを平手打ち!
「君はやんちゃが過ぎる。今度勝手な真似をしたら、分かってるね」
リボンズには、リジェネの行動が筒抜けでした。
この後、王留美と紅龍が遭遇する悲劇に、果たしてリボンズが関わっていたのかどうかは不明瞭。
ただ、リボンズがヴェーダを駆使して、ネーナを差し向けた可能性も充分有り得ます。
何しろ、多数の人間を擁する国家の情報統制を難なく行える高性能振りですから。
そして、今回のクライマックスはこれ。
王留美の艦を制御不能にしたのは、ネーナでした。
「何でも持ってるくせに、もっともっと欲しがって...そのクセ中身は空っぽ。私ね、そんなあんたがずうっと嫌いだったの。だからさ、死んじゃえばいいよ!」
ネーナが呪いの言葉を吐きながら、リィアンよりスローネドライ(と思われるモビルスーツ)を出現させる!
まさかリィアンの中にガンダムが入っているとは。
「私は、私は世界の」
「留美!」
「...変革を!」
最後の最後で「お嬢様」ではなく「留美」と名を呼んで庇う紅龍がカッコいいですね。
「アハハハハッ!最高!もぉたまんない!」
正にネーナの本領発揮です。
この流れからすると、ネーナは当初より、王留美に従順に仕えつつも反感を抱いていたようです。
結果的に、ネーナはファースト・シーズンから特に性質は変わっておらず、気に入らないものを排除するという嗜好性は、そのままだということが露呈。
王留美は、前回リボンズから支配層故の無頓着さを指摘されていましたが、最も近いところに居た人物にこそ気をつけるべきだという、一種の皮肉だったのかも知れません。
あの状況で脱出できたとは思えないので、これはクライマックスに至る「人員整理」の一環であろうと思われます。
アニューとネーナ、この2人がどう動くか。
それが今後の展開の「鍵」になりそうです。
]]>イノベイターからヴェーダの奪還を目論むソレスタルビーイング。作戦はほぼ順調に進行するかに思えたが...という筋書き。
ただ、それに全員が一丸となって邁進するわけではなく、刹那はあくまで沙慈のルイス奪還をサポートするという役割を重視。実質的にイノベイター確保を担当したのはティエリアのみで、ロックオンやアレルヤ、そしてマリーはトレミー防衛戦に徹しています。
ドラマとしては、沙慈とルイスがらみが見応えある話ではありましたが、スメラギを中心とした戦術モノとして見た場合、結構ちぐはぐというか、力押しな作戦で、トリッキーな面白味といったものが感じられなくて残念。
また、ちょっと沙慈&刹那の出撃が個人的動機になり過ぎていて、トランザムライザーもその為だけの落とし処として機能しています。その割には、結局、沙慈の戦いの意味を再確認するというヌルい展開に帰結してしまい、カタルシスもない。
むしろ、エンディング前のアニューと、エンディング後の王留美が鮮烈だった為、何となく本編がそこに至るまでの消化エピソードに見えなくもない。
画面は派手なのですが、ドラマの充実度は逆にやや低かったかな、と思わせるエピソードでした。
さて、基本的な流れとしては、アロウズの追撃を逆手に取り、イノベイターを確保し、ヴェーダの所在等を尋問しようという作戦を展開するというもの。
その一方で、沙慈と刹那は敵に切り込みつつ、ルイスを奪還するという行動をとります。
では、流れを追ってみましょう。
]]> マリナやクラウス達の隠れ家が保安局に見つかって襲撃されたのは、前回ラスト。マリナが子供を庇って撃たれるか...という引っ張りでしたが、当然というか、拍子抜けというか、銃声はクラウスのものでした。
クラウスが怒りに燃えながら抵抗している間、マリナとシーリン、そして子供達は20世紀に作られた防空壕で脱出します。
途中、シーリンがマリナに護身用の銃を手渡すのですが、マリナはシーリンの銃を受け取りません。
「それを持ったら、この子たちの瞳を、真っ直ぐ見られなくなるから...」
いいセリフなんですが、もしもの時に子供達を守ることが出来ないという矛盾もはらんでいます。
マリナ周りは、とりあえず美談にしておくという方針なのかも知れませんが、その辺りには触れられていません。
シーリンも、マリナの態度を批判するのですが、主に「銃を取らない戦い」への理解度が低い故の批判という雰囲気になっています。
その頃、トレミーとアロウズの戦闘がたけなわに。
臨戦態勢をとるガンダム。
刹那と沙慈の乗るダブルオーライザーが、先行して敵を叩きに行きます。
そして、リヴァイヴのガデッサに、ティエリアのセラヴィーガンダムが迫る!
一方で、勝手に先行してアンドレイを探すマリー。
「どこに居る!アンドレイ少尉!」
ロックオンはアニューを思いつつアロウズのモビルスーツを次々と撃破していきます。
「お前らをぶちのめせば、アニューが何処の誰だろうが!」
このセリフ、アニューの出自の曖昧さに疑問を抱きつつ、それを否定するライルの葛藤が見え隠れします。
あまり目立たないセリフですが、今回のエンディングへとダイレクトにリンクしていきます。
その頃、リボンズは、脳量子波で戦況の報告を受けていました。
刹那の細胞異常が致死レベルに達しているはず、というヴェーダの予測がありながら、刹那が特に不足なく戦闘に参加していることを知り、
「まさか、変革を始めたというのか。刹那・F・セイエイ」
と呟きます。
このセリフの意味は非常に曖昧で、というよりわざと曖昧にされているようで、刹那自身は「意識の変革」を自覚しており、一方のリボンズは刹那の「肉体的な変革」を示唆しているように見えます。
前回、脳量子波に反応を見せる刹那の描写があったのですが、刹那はやはりイノベイターに近い者、あるいはそれを超える者として設定されているような印象が、少なからず出てきていますね。
その刹那は、ヒリングの急襲にトランザムを発動。そして、トレミーに接近する隕石を排除すべく急行します。
偽装隕石に気付いたのは沙慈。ルイスだと直感するあたりで、沙慈のキャラを立てています。
このトランザムライザーの加速粒子の影響で、ハレルヤがお目覚め。
隕石からはアンドレイとルイスのアヘッドが出現。
スメラギの指示でラッセが迎撃ミサイル発射しようとしたその時、刹那と沙慈の「やめろぉぉぉっ!」という脳量子波が!
「ずっと待ってた!会いたかった!」
「兵器ではなく、破壊者でもなく、俺と、ガンダムは、変わる!」
このシーンなんですよね、問題は。
刹那はルイス以外のモビルスーツをかなり落としているように見えるのですが、ルイスだけは落とさせまいとしているのです。
ドラマの流れ的に、これは当たり前と言えば当たり前のことなんですが、
「兵器ではなく、破壊者でもなく、俺と、ガンダムは、変わる!」
とまでは言えないんじゃないかと。
引き金を引けない沙慈に影響されて、あらゆるモビルスーツのパイロット生還率を上げつつ無力化するという戦い方を展開するのなら分かるのですが、ちょっと中途半端なんですよね。
私情に流されない刹那が、私情で行動する刹那へと「変革」していくのでした...(う~む)。
ルイスは、脳量子波を通じて沙慈の声を聞きます。
トランザムライザーの粒子放出量が、通常の7倍を示しており、結果として、刹那の声はトレミーのクルーにも聞こえたのです。
「聴こえたわ刹那。あなたの声が、あなたの想いが...」
沙慈に影響された刹那に、更にスメラギが影響されるという流れなのか。
残り話数が少ないながらも、そのあたりは膨らませてくるのではないでしょうか。
互いの意識に干渉し合い、幻覚の中にある、沙慈とルイスの二人。
「この景色を、もう一度君と見ようと、そう思ったんだ」
「もう、会わないと決めていたのに」
「でも、僕たちはこうして出会えた。ずっと待っていたんだ。君を...この宇宙で。戻ろう、ルイス。あの頃へ」
この後の沙慈のセリフも、「ちょっと待て」な感じがしました。
というのも、散々沙慈は現実を見てきているわけで、自分達がここで戦場からリタイアしても、「日常」と呼べるものには戻れないのではないか、という気がしたからです。
沙慈もルイスも、最前線のあらゆるものを見過ぎて来た以上、それらを無視して連邦政府の庇護に預かることは出来ないのではないかと思うのです。
私は、これに対するルイスの答えを期待しました。勿論、
「出来ない」
とルイスは答えます。
しかし、前述のような理由で「戻れない」と言うのではなく、あくまで「ソレスタルビーイングを倒す為、そして両親の敵を討つために」という私怨を振りかざすのです。
つまり、この2人、こうやって数奇な再会を果たしても、結局「何も変わってねぇ」ということです。
終盤、沙慈は「何も変わらない」と呟くのですが、この状況とリンクさせているのなら、手放しで「凄い」と言いたい。
この「幻覚」には続きがあって、「自分の意志で変わった」と言うルイスに、沙慈が「ウソだ」と言うくだりがあります。
ルイスが本当は優しいこと、わがままを言って相手の気を引く不器用なところ、本当は寂しがり屋なことなどを並べて、沙慈はルイスにアピールしていきます。
こういう極々プライベートなアプローチには、好感が持てるところで、大袈裟なイデオロギーを振りかざすルイスに対し、徹底的に個人的な事柄で切り込んでいく様子は、素直に涙を誘うものでしょう。
ここでアンドレイが登場。
「奇怪な幻術で、准尉を惑わして!」
と、どこかで聞いたようなセリフ。
「邪魔だ」とダブルオーライザーに跳ね飛ばされる姿が、やや可哀想です。
一方、リヴァイヴのガデッサと相まみえるティエリアのセラヴィーガンダム。
ティエリアはトランザムを発動させ、一気にガデッサを破壊します。
当然の如く脱出するリヴァイヴ。しかし、機動性に勝るセラフィムガンダムが脱出艇を追い、遂に確保。
「君には聞きたいことがある。答えてもらうぞ、イノベイター!」
と詰め寄るティエリア。
リヴァイヴは、沈黙して素直に従っています。勿論「ある目的の為」にわざと捕まったわけです。
実際ソレスタルビーイングは、本作戦の当初の目的をここで果たしたことになります。
しかし、まだルイスとアンドレイを巡る戦闘は継続中でした。
マリーがGNアーチャーでアンドレイを襲撃します。
「何故だ!何故大佐を殺した!」
「ピーリス中尉...なぜ生きて!」
「答えろ!」
「あなたも、裏切り者かぁっ!」
「貴様が言うセリフかぁっ!」
もはや両者とも作戦などお構いなしになっているのですが、それだけ私怨絡みが増大している様子が伺えて、なかなか迫力があります。
結局、アンドレイはルイスのアヘッドを牽引して撤退していきます。
マリーは「大佐の敵」であるアンドレイをなおも追おうとするのですが、我に返った(?)アレルヤが制止します。
「やめろぉぉっ!」
という沙慈の声と共に迫るダブルオーライザー。
「もうやめてくれ...何も、変わらない。敵を討っても、誰も生き返ったりしない。悲しみが増えるだけだ。こんなことしてたら、皆どんどんおかしくなって、どこにも、行けなくなる。前にすら進めずに...」
この沙慈の訴えが、各々の心に響いていきます。
今回のこのバトル、沙慈がソレスタルビーイングにおけるキーパーソンになっていく過程だったんですね。
遠くからこの戦闘を眺めていたブシドーさんは、
「とんだ茶番だ。あのようなぬるい戦い。私の好敵手であることを拒むか、少年。ならば、私にも考えがある」
と何やら意味深な発言。
刹那の戦闘は決してぬるいものではなかったと思いますが、ルイス関係の行動に関して、何か思うところがあったのでしょう。
修羅の如く、戦場で破壊の権化と化す刹那であって欲しかった、というところか。
その頃、シーリンはあらかじめ決めておいた、クラウスとの合流ポイントへ、マリナや子供達と共に向かっていました。
マリナは子供達と、先に休憩の為の小屋へ行くよう、シーリンに言われます。
シーリンは、様子を見る為別の道へ。
何となくイヤな予感がするのは私だけでしょうか。
そして、戦闘後のトレミー。
「沙慈...」
という心配そうな刹那の呼びかけに対し、
「戦うよ。ルイスを取り戻す為に、僕は、僕の戦いをする!」
と沙慈。
ここで、刹那は沙慈の、沙慈は刹那の影響を受けていることが明確に。
極端に戦闘へ特化した人間と、極端に戦闘から逃避しようとする人間が出会い、互いが異なる自分を模索するという図式ですね。
そしてこちらは、戦闘後のアロウズ。
ルイスは沙慈を思い、膝を抱えて漂っています。
その様子を見るアンドレイ。
アンドレイの、
「准尉、思いを断ち切れないのか。ならば私が果たそう。君が望むことを。君の願いを」
というモノローグが登場。
勘違い男道まっしぐらですね(笑)。もう、ブシドーとは違うキレっぷりで、このまま突っ走って欲しいところです。
後半は、イノベイターの策略が本格化します。
]]>そして、ロックオンとアニューがとうとう...。
次に来る一大イベントへの助走をとくとご覧あれ!
]]> まず、アロウズ関連。アンドレイは中尉に昇進。
ハーキュリーを落とし、セルゲイを落とした功績が上層部に認められたとのこと。
リヴァイヴとヒリングは、実の父親を殺して昇進した男だと揶揄します。
ルイスは、アンドレイが「父親を殺した」ことを聞いて驚きます。
アンドレイは、セルゲイがクーデター派に加担していたところを、せめてもの情けとして肉親である自分の手で葬ったと言っていますが、これは明らかに欺瞞ですね。行動を正当化してます。
何しろ、実際は「情け」で撃ったのではなく、単に父親を恨んでいて撃っただけですから。
確かに、セルゲイがクーデター派に加担していたと誤解しての行動ではありますが、「母の仇」と明言してますからね。明らかに私怨です。
「父親殺しの男と、家族の敵を討とうとする女。お似合いよ、あんたら」
「彼女のことが大切なら、君が守ってやることだ」
イノベイターの2人は皮肉たっぷりに言い放ちますが、恐らくこの2人が肉親絡みの私怨でアロウズに所属しているのを感付いているのでしょう。
沈黙するルイスを抱きしめるアンドレイ!
アンドレイは遂にルイスを自分の手の内に納めたと思っていることでしょう。
しかし当のルイスは、期が到来したとき、果たして沙慈を撃てるかどうか、自らに疑問を抱いているのでした。
結局、沙慈を断ち切ることは出来なかったわけです。
それとシンクロするように、トレミーに居る沙慈は、「ルイスを取り戻す戦い」こそが、自分の戦いだと認識するようになっていきます。
トレミーのクルーの会話から、4ヶ月の間にアロウズは20回を超える攻撃を繰り出してきたことを伺い知ることが出来ます。
「私達ジリ貧ですぅ」
ラッセは、アロウズがトレミーの位置を特定できるのではないかと推測するに至っており、4ヶ月間執拗に追い回されたことが分かります。
「ジリ貧」は、戦力を蓄える為に逃げ回っている間、同時に消耗戦の様相を呈していた様を、端的に表現してます。
ティエリアは「例の作戦」を早急に実行へと移すべきだと主張。
例の作戦とはヴェーダ奪還作戦。
しかも、ヴェーダの所在はイノベイターから聞き出すという大胆なもの。
その頃、アニューとライルが一つのベッドに!
アニューはライルの兄であるニールのことを尋ねます。
ここで、ようやくニールとライルの関係の一端が明らかに。
それによると、ライルはジュニアスクールのころから寄宿舎に居たようで、出来のいい兄と比べられたくなかったといいます。
情報はそれだけですが、ニールに対する視線が醒めているのは、そんなところが原因のようです。
なお、ライルはニールから金銭的な支援を受けていたという設定があるらしい。
一方、アニューは自分の家族が思い出せません。
アニューがイノベイターであることは、もはや疑う余地もありませんが、どうやらファースト・シーズンのティエリアと同じく、自分がイノベイターであることを知らないようです。
恐らくリボンズに作られたであろう彼女が、家族の記憶を持たないのは当然ですね。
「言いたくないなら言わないでいいさ。アニューは今ここに居る。俺は、それだけでいい」
「ライル...」
ロックオンとアニューはキスを交わしますが、突如アニューの瞳が光ります。
脳量子波です。
この時、ソーマ(とりあえずマリーとは表記しません)が脳量子波に気付き、刹那も何か感じています。
刹那に脳量子波の関知能力がある!?
代謝異常の緩和と何か関係あるかも知れませんね。
なお、アニューは脳量子波での交信中のことは一切覚えていない様子。
ロックオンは、多分ここで何かを感じたものと思われます。
アニューの「無自覚スパイ」説は、ほぼ確実になりました。
当然、リヴァイヴはトレミーの位置を特定し、トレミーに対して攻勢を仕掛けてきます。
トレミーにとっては、イノベイターが向こうからやって来るとあって、ヴェーダ奪還作戦を行うにあたり、願ってもないチャンスが巡ってきたことになります。
しかし、ヴェーダ奪還作戦とは別に、同様の動向が意外なところでも。
王留美の前にリジェネが現れ、紙片を手渡します。
紙片を見た王留美は、トレミーとの合流を紅龍に指示。
この紙片の内容は、エンディング後に判明します。
アンドレイ達も発進準備に入っていきます。
「ようやくアヘッドに乗れるか...フッ」
というアンドレイのセリフには、アロウズの理想が云々というよりも野心の方が見えてきて、どうもイヤな気分。
私はあまりキャラクターを嫌いにならない方なのですが、どうもこのアンドレイは好かん(笑)。
ということは、意図的に嫌われキャラに仕立てようとしているのかも。
一方で、こちらは愛すべきキャラクターのお二人。
ビリー「機体の整備は万全だ。君の言う奥儀とやらもさらに磨きをかけておいたよ。だから...」
ブシドー「皆まで言うな。先刻承知だ」
はっきり言うとビリーはボンボンで浅薄なヤツ、ブシドーは挙動不審で執着心の塊みたいなヤツなんですけど、「ガンダム00」のギャグ部分を担っているだけに(?)、イヤミはあまりないですねぇ。
まぁ、人気キャラは人気なりの扱いを受け、不人気キャラは不人気なりの扱いになっていくものなのでしょう。
その頃、トレミーでは、戦闘態勢をとるクルーの様子が描かれます。
ティエリアは刹那の肩の具合を心配。
ロックオンはアニューを呼び止めるが、「何でもねぇよ」と言う。
「行くのかい?」
「無論だ」
無機質なソーマの返事と、曇りがちなアレルヤの表情の対比がいい感じです。
「...分かった」
という気のないアレルヤの返事も、彼の悲壮感を表現してます。
そして、刹那の前には沙慈が。
沙慈はアロウズのモビルスーツ隊の中にルイス機を見つけており、意を決して刹那の前に立ったようです。
沙慈「ルイスを撃つつもり?」
刹那「それは、お前次第だ。戦いは、破壊することだけじゃない。創り出すことだって出来る。俺は信じている。俺たちのガンダムならそれが出来ると。後は、お前次第だ」
沙慈「僕は、引き金を引けない」
刹那「分かっている」
沙慈「ルイスに叫び続けることしかできない」
刹那「分かっている」
沙慈「それでも、僕は...僕は...」
刹那「会いに行こう。ルイス・ハレヴィに!」
沙慈「あぁ...。あぁ!」
このやり取り、とっても観念的でありながら定番っぽさすら感じられ、何だか鳥肌が立ってしまいました。
「引き金しか引けなかった」刹那と「引き金を引けない」沙慈のコンビネーションというところが、ダブルオーライザーの真の意味を問うているような気がします。
刹那が「俺たちのガンダム」と言っていますが、これは文脈からして刹那と沙慈のガンダムと言ってますね!これは!
ここからは、殆ど告白タイム。
アレルヤ「君を守るよ、マリー。アーチャーアリオス。アレルヤ・ハプティズム、ソーマ・ピーリス、迎撃行動に向かう!」
アレルヤ自ら「ソーマ・ピーリス」と呼称しているところがミソ。
ソーマの人格も、マリーの一部だとアレルヤは完全に納得できないながらも受け入れているようです。
さながら、アレルヤとハレルヤのようではないですか。
ロックオン「アニュー、聞いてるか?」
アニュー「どうかしたの?」
ロックオン「愛してるよ」
アニュー「えっ?」
ミレイナ「おぉ~っ!」
ラッセ「正に狙い撃ちだな!」
スメラギ「っていうか、いつの間に?」
ミレイナ「凄いですぅ!恋の花が咲いたですぅ!」
フェルト「おめでとうございます」
アニュー「...いいから行って!」
ロックオン「オーライ!ケルディム、ロックオン・ストラトス、狙い撃つぜ!」
今回唯一と言っていいギャグシーン。頬を赤らめるアニューの可愛さが凄まじいです。
ラッセのオヤジギャグ的発言もいい感じ。
フェルトの真の心境はどうなのか...。
刹那「会いに行くぞ、沙慈!」
沙慈「あぁ、行こう!刹那!」
刹那「ダブルオー、刹那・F・セイエイ、出る!」
沙慈「オーライザー、沙慈・クロスロード、発進します!」
そして、すぐさまダブルオーライザーにドッキング。
「沙慈・クロスロード」と常にフルネームで呼んでいた刹那が、ここで「沙慈」と呼んでいるのに注目。
この瞬間、2人は共にダブルオーライザーに乗るパートナーとなったと言えそうです。
そして、各々それぞれが想い描く者(あるいは物)を、一言ずつ。
沙慈「ルイス...」
ルイス「沙慈...」
アンドレイ「母さん...」
ソーマ「大佐...」
アレルヤ「マリー...」
ロックオン「アニュー...」
ティエリア「ヴェーダ...」
刹那「ガンダム...」
それを締めるのは、スメラギの
「ミッション・スタート!」
素晴らしいテンポ!
それぞれの一言が、それぞれの戦う意味を端的に示しています。
エンディング後は、やや不気味な動きが。
マリナやクラウスの隠れ家に、ケニーというカタロンメンバーが逃げ込んできます。
しかし、嗅ぎつけた保安局に撃たれてしまいます。
ケニーの銃を拾って撃とうとする子供を、マリナは必死に止めるのですが、マリナに向けられた保安局員の銃口から...!
マリナがここで撃たれるという事態にはならないと思いますが、果たして?
そして、リジェネからの情報を手に入れた王留美。
「この情報は必ず、あなたが彼らに伝えなさい」
リジェネから渡された紙片にはそう記してありました。
そこに記されたポイントに、ヴェーダがあるのです。
色々と動き始めました。
次回は沙慈とルイスが再会し、そして何かあるようですが...毎度のことながら楽しみですね。
]]>タイトルが示すように、各キャラクターが特定の相手に対する想いを抱くものの、なかなかクロスしていかないという状況を描き、今後の展開に繋げていく感じです。
やや唐突に、前回ラストから4ヶ月を経過させ、その間を少し曖昧にすることで、各キャラクターの変化を如実に見せるという手法がとられています。
これにより、4ヶ月の間何があったかを緩やかに想像させ、また、その辺の描写を省くことで、別の重要事項に時間を割くといったことが可能になります。
「ガンダム00」の油断ならんところは、こういう地味なエピソードに新情報をポンポンと入れてくること。
なので、その辺りを取りこぼしの無いよう、取り上げてみようと思います。
]]> 冒頭は、連邦政府大統領の演説から。アフリカタワー崩落事件は「ブレイク・ピラー」と名付けられ、そこから4ヶ月が経過し、ようやく復興、送電が再開されたと語られます。
この発表がなかなか曲者で、「メメントモリによって、軌道エレベーターの完全崩壊は免れた」とされています。
連邦政府内で、実際にメメントモリがどのように使われたかを知る者は多かったものと思われますが、この辺りもちゃんとヴェーダによって情報統制されたのでしょうか。
連邦軍の指揮権は、アロウズに完全に集約されたと発表しており、軍内部でもある種の「口止め」が行われたものと想像できます。
ここで重要なのは、カティが行方不明であるということ。
カティはメメントモリの真実を知っており、またセルゲイが死んだことで、自らの身の危険を感じたか、あるいはいよいよ反連邦の意志を固めて準備に入ったか...。
この状況を考えると、セルゲイが密使としてハーキュリーの元へ送られたのは、「親友」としての交渉力に期待したわけでなく、口封じだった可能性が高いということでしょうね。
沙慈を逃がし、マリーを逃がし、ハーキュリーのクーデターを事前に知っていたというセルゲイの行動は、ヴェーダに、そしてアロウズ上層部には筒抜けだったのでしょう。
カティの思想も、ある程度関知されていたと見ていいのではないでしょうか。
一方、トレミーはメメントモリ2号機を破壊すべく活動を開始。
今回唯一の、本格的バトルシーンになります。
ロックオンのケルディムガンダムが後方支援、ティエリアのセラヴィーガンダムが突破口を開き、そこにアレルヤのアリオスガンダムが切り込み、刹那のダブルオーライザーが目標破壊を担うという、定石な戦術がスピーディ。
アリオスガンダムとGNアーチャーのドッキング形態である、アーチャーアリオスにはアレルヤとマリーが乗っています。
戦闘中、マリーが勝手にGNアーチャーを分離させ、突入していきます。
心配するアレルヤに、マリーのフォローを指示する刹那が良い感じ。
図らずもアレルヤのヘタレっぷり(笑)と刹那の頼もしさが強調される結果に...。
沙慈は刹那と共にダブルオーライザーに搭乗しています。
「協力するのは今回だけだ。衛星兵器を破壊する為なら...」
と沙慈のモノローグが。
後で分かることですが、どうも4ヶ月の間、トレミーは戦闘行為を最小限にとどめて逃亡に明け暮れていたらしいのです。
つまり、前回の出撃以来、沙慈がオーライザーに乗るのは久々ということ。
沙慈は「衛星兵器の破壊」という、生命を損なわない作戦ならば、何とか出撃を決意できるようです。この時点では。
刹那はトランザムライザーでメメントモリを破壊!
例の巨大ビームサーベルですね。
さて、ここで場面転換。
各地に潜伏しているカタロンの内の一つと思われる場所が登場。
親ソレスタルビーイング派のクラウスばかりがクローズアップされてきましたが、中には「ソレスタルビーイングのメメントモリ攻撃により、アロウズの目がそちらに向く」と、別の実効性を期待している者が居ます。
結局そこは、オートマトンによる襲撃を受けてしまうのですが...。
アロウズの反連邦勢力殲滅は本格的であるようです。
一方、クラウス、シーリン、マリナ達は片田舎の家屋に隠れています。
戦力の建て直し等を熱弁するクラウスに対し、シーリンは、
「怖いのよクラウス。私達は、抗えない大きなうねりの中にいるような気がして...」
と不安げ。
その時、ラジオから何故かマリナと子供達の「TOMMOROW」が流れ始めます。
どういうルートで流しているのかは不明。マスコミ関係に明るい池田が関与しているのかも知れませんが。
メメントモリ破壊作戦の後のトレミー。
マリーは厳しい目つきで、
「何か?」
と沙慈に。
マリーのシーンは続き、今度はアレルヤが、
「マリー!」
と呼びかけると、マリーは、
「その名で呼ぶなと何度言えば分かる!私はソーマ・ピーリス。超人機関の超兵1号だ!」
と返します。
セルゲイを目前で失い、それを討ったのがアンドレイだと知ったマリーは、ソーマ・ピーリスに戻ったのか。
アレルヤのかわいそうな表情。
「私が欲しくても手に入れられないものを、なぜそう簡単に捨てられるの?どうして...」
と呟くマリーの表情は、ソーマ・ピーリスというよりは、マリー・パーファシーのものに見えましたが...。
アレルヤは、
「大佐に、彼女を二度と戦わせないと誓ったというのに、僕は...」
と後悔しきり。それに対し、ロックオンは、
「しばらくそっとしておけ。心の整理をつけるのに、時間は必要だ」
と言います。さらに会話は続き、
「しかし彼女に危険な真似を...」
「自分の考えだけを押しつけんなよ。大切に思ってるなら、理解してやれ。戦いたいという彼女の気持ちを」
とロックオンが締めます。
ロックオンは、マリーが「ソーマ・ピーリス」を名乗るのは、虚勢を張っている所為ではないかと考えているようです。
マリーは、自らを超兵と呼ぶことで、セルゲイを死に追いやった戦場に、身を投じたかったのか。
また、セルゲイの死にショックを受け、自分を娘だと言ってくれたセルゲイの為に、セルゲイが父性愛を注いでくれた「ソーマ・ピーリス」でありたいと考えたのか。
キャスト・クレジットが一貫して「ソーマ・ピーリス」だったのは、暗に今回の事態を示していたのかも。
なお、アレルヤがウジウジしている間、沙慈もウジウジしています...。
その頃、刹那は医療カプセルの中。
擬似GN粒子の影響で、刹那の肩口の傷を中心に、代謝障害が広がっているというアニューの見解。さすがは再生医療の権威と言われるだけあります。
ただ、刹那の場合、代謝障害の進行は極めて緩やからしい。しかも、ラッセの症状とはまるで違うとアニューは言います。
「何かの抑制が働いているとしか...」
というアニューの呟き。
それが意味するところを無理矢理考えてみましたが、ダブルオーライザーのトランザムにその抑制効果があるのか、はたまた刹那に実はイノベイター的資質があったりして、とか。
「ボトムズ」におけるキリコ・キュービィが生まれながらの「パーフェクト・ソルジャー」であったように、後者の展開もなくはないですね。
ティエリアの、
「こういう時に、ヴェーダにアクセスできれば...」
というモノローグから察するに、ヴェーダならば、刹那の症状について、何らかの情報を保有しているかも知れません。
なお、このティエリアのモノローグは、そのまま今回のラストとリンクします。
刹那は治療中、ダブルオーガンダムを手に入れようとするイノベイターの策略を思い起こし、ツインドライヴの情報を手に入れたがっていると推測します。
つまりは、リボンズがツインドライヴの情報を握っていないわけで、
「切り札は、俺の...ガンダム!」
ということになるのです。
この「切り札」の意味は、イノベイターに対抗する際に優位に立つ為の切り札という意味でしょう。
続いて、そのイノベイターに関する描写が挿入されます。
王留美とリボンズの会話は興味深いので、ほぼ全て採録。
王留美「正直なところ、今の状況に落胆していますわ」
リボンズ「落胆?」
王留美「情報統制と軍備増強。旧世代のやり方を世界規模に広げただけ。この後どうするおつもりです?」
リボンズ「人間が知る必要はないね。」
王留美「いずれ、全ての人類はイノベイターとなるのではなくて?」
リボンズ「それは違うよ。時代の変革期には、古きもの悪しきものを切り捨てねばならない。例えば富や権力を当たり前のように持ち、同種でありながら、大衆を上から見下ろす旧世代の考え方とか」
王留美「私のことを仰っているの?」
リボンズ「望まぬとも時代に取り残されていくのさ。君の美貌が時と共に劣化して行くように。華やかかりし頃の過去に固執し、他者を傷つけて安寧を得る。いけないことだと分かっているのに、やめることすら出来ないんだ。誰かが諭してやる必要があると思わないかい?」
王留美「それが、あなた方だと?」
リボンズ「人間の価値観は狭すぎるんだ。僕らはもっと広い視野で物事を考えている」
王留美「そうですか。なら、その広い世界の変革、期待しておりますわ」
リボンズ「一つ言っておくよ。君はイノベイターにはなれない」
王留美「!」
リボンズ「悲しいけど、それが現実なんだよ」
この中で特に興味深いのは、王留美が「全ての人類はイノベイターになる」と思っていた点。
王留美は理想主義者であって妄想主義者ではないので、「人類がイノベイターになる」為の技術や手法なりをある程度確認しているのだと思います。
ネーナがその被検体のようなものであったとして、なおかつ失敗作だったとすれば、王留美がネーナを「使えない子」扱いしているのも納得できるような気がします。
もしかすると刹那もイノベイター化の被検体とか...?
妄想はさておき、リボンズは、王留美の利用価値はないと判断しています。
そしてそのリボンズに、王留美と4ヶ月の間頻繁に会っていたことを指摘されるリジェネ。
リジェネ「ソレスタルビーイングの情報を聞き出していたんだよ」
リボンズ「そうかい。なら、そういうことにしとくさ」
リジェネ「クッ...」
リボンズとリジェネの溝は深まっているようですね。
しかも、この4ヶ月間、リジェネは完全に単独で動いていたことになります。
リヴァイヴやヒリングが、比較的リボンズに忠実であるのに比べ、リジェネとティエリア兄弟(?)はどうも反逆型のようです。
う~ん、実際に動いているところを見ると結構面白いのに、どうも文章では伝わらない。
それだけ基本構造が地味ってことですかね。
後半は、アロウズの行動開始とトレミーのミッション開始を。
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