第3話 ひとつきりの命

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ストーリー

 マリナは、カドクラにしばしの別れを告げてきていた。コノミは、GUYSが休みの日には保育園に来ると、園児に言い残してきた。ジョージは、マスコミから引退を囁かれていた。三者三様の未練。

 一方、まだ学校から帰っていないことになっているテッペイは、ウルトラマンのカラータイマーについて疑問を持っていた。その時、GUYSスペーシーが大熊山の火口付近に巨大な影を捉えたという報告が入った。直ちに調査のため出動するCREW GUYS。

 着陸して大熊山での調査を開始したミライとマリナは、ごく小規模の一帯だけが立ち枯れをおこしているのに気付く。程なくミライとマリナの周囲だけに地震が起こり、巨大な怪鳥が出現した。コノミがドキュメントZATに照会したところ、それは火山怪鳥バードンと同種と判明した。テッペイは、すぐに補足する。「ウルトラマンの命を奪ったことのある怪獣」だと。

 バードンの前に、ウルトラマンメビウスが出現するが、バードンの嘴の攻撃を受け、頬袋に蓄積された猛毒を注入されてしまう。カラータイマーが点滅しはじめ、苦しむメビウス。「毒を受けて消耗するということは、ウルトラマンが生物であり、不死身ではないのでは」と推測するテッペイ。メビウスはなす術もないまま、バードンを逃がしてしまう。ミライは毒に犯された状態で発見された。

 サコミズ隊長の提案で、仮眠をとるCREW GUYSの面々だったが、テッペイだけは徹夜でウルトラマンの死について調べるべく、過去のアーカイブを洗った。ウルトラマンの死は数件確認されたが、その後、復活しているという記録から、ジョージは不死身なのと同じだとする。ミライは「絶対に生き返る保証はない」と反論、それを受けてサコミズ隊長は「要するに奇跡的なこと」と付け加えた。

 その頃、バードンはGUYSオーシャンと交戦後、日本へと再び向かっていた。「考えがある」として出撃志願するテッペイ。スペシウム弾頭弾を頬袋の静脈に命中させ、バードンの体内に猛毒を逆流させる作戦だ。「ウルトラマンに倒せなくても、俺達に倒せない道理はねぇ!」 リュウはメテオールを発動させて作戦を開始。ジョージ、マリナもそれに続く。しかし、あと一歩のところでタイムリミットとなってしまい、バードンの上陸を許してしまう。

 リュウ達はより命中精度の高い地上攻撃を選択する。一方、回復途上のミライは、フェニックスネストを飛び出しウルトラマンメビウスに変身。しかし、カラータイマーは既に点滅している。「あの輝きこそがウルトラマンが生きている証」と言うテッペイ。リュウはそれに「わずか3分間の命を削って戦っているのか」と答える。

 士気の高まったCREW GUYSは、アキュートアローで頬袋の静脈を狙撃。弱ったバードンにメビウスはメビュームシュートを叩き込む。それによる爆発の被害を、CREW GUYSはキャプチャー・キューブで閉じ込めた。

 「カラータイマーがなければ、ウルトラマンが命を削って戦っていることに気付けなかった」と言うテッペイに、「ウルトラマンも一人では戦えない」とミライが答える。「ウルトラマンメビウスもそう考えているんじゃないかな」という咄嗟のミライの言葉から、ウルトラマンのレジストコードは、「メビウス」に決定した。

解説

 前回のグドンに続き、今回もバードンという、ウルトラ史上に残る人気怪獣が登場。

 バードンと言えば、ウルトラマンタロウやゾフィーを倒した怪獣として、絶大なインパクトを誇る怪獣である。しかし、今回はバードンというキャラクターそのものよりも、バードンが「ウルトラマンの命を奪った」という劇中の史実を元に、ウルトラマンの命の有限性を考えるストーリーとなっている。

 ウルトラマンの命の有限性は、そのままカラータイマーの輝きに置き換えて語られるのだが、ウルトラでは公然であるこの設定を、あえてCREW GUYSたちの発見として描いたのは何故だろうか。実際、「歴代特捜チームの記録が残されている」というメビウスの世界において、カラータイマーと生命の関係が考察・記録されていないのは妙である。勿論、作劇上、このカラータイマーについての議論が起こり、ウルトラマンの生命の有限性を確かめることで、感動が生まれるのは明白である。だが、それでは単なる言い訳になってしまうので、もっと内部に入り込んで設定を考察してみたい。

 本エピソードを見て感じたのは、人類はウルトラマンに対して、それほど研究熱心ではなかったのではないか、ということである。「過去に数件、ウルトラマンが命を落としている例がある」、「死が確認された際の、カラータイマーは点滅していない」ということから、ウルトラマンの生命とカラータイマーの因果関係自体は考察されている。しかし、「ウルトラマンが生物かどうか明瞭な記録がない」ということからは、ウルトラマン自体を深く研究分析した形跡が見られない。「光の国の遣いだよ」かつて、ウルトラマンに登場した岩本博士は、ゾフィーをこう呼んだ。人類は押しなべて、そういう漠然とした捉え方をしていたのではないだろうか。

 「ウルトラマンも一人では戦えない」というミライの言葉は、かつてない程に人類との共闘を呼びかけるものである。つまり、メビウスは「光の国の遣い」から「宇宙から地球に飛来した生命体」へと定義が遷移したのだ。ウルトラマンが絶対の存在ではないことを強調し、より一層CREW GUYSとの一体感を図った本エピソードは、実はウルトラ史上でも、エポックメイキングな位置づけがなされるべきものだ。メビウス世界的に解釈すれば、それは人類にとって新たなる一歩であるという言い方が出来る。

 さて、映像的な面に触れてみよう。まず、バードンの造形は、多少造形技術の向上を感じさせるも、かつてのイメージそのものといった印象。鳴き声も当然「ウルトラマンタロウ」登場時と同じものが使われており、羽ばたき方も旧バードンを踏襲。海上でのガンウインガー、ガンローダーとのバトルは、さすがに隔世の感があるが、怪獣モノとしてウルトラシリーズの持つ、ある種の雰囲気が感じられて嬉しい。

 また、トライガーショットのメテオールが登場し、これまでウルトラマンにしか成し得なかった特殊兵器が鮮烈に描写される。特にバリアを発生するキャプチャー・キューブのイメージは秀逸である。メビウスの必殺技による爆発を、特定の空間内に収めるということが可能になり、特撮コスト面でも有利であると思われる。

 一方で、バードンの凶暴性自体は抑えられており、少々残念。「ウルトラマンタロウ」登場時は、ゾフィーの頭部を燃やしてしまったり、タロウを「血塗れ」状態にしてしまったりと、凄惨なバトルシーンを作り出した。現在の放送コードの制限内で、怪獣の凶暴性を描写するのは、非常に難しいということを、図らずも思い知らされる結果となった。

データ


監督

村石宏實

特技監督

村石宏實

脚本

赤星政尚