第8話 戦慄の捕食者

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ストーリー

 ボガールの弱点が電流であることを突き止めた結果、GUYSでは、マケット怪獣のミクラスに、電気怪獣の属性を付加する実験が行われていた。ミサキ総監代行が、ボガール及びツルギに対抗するための、戦力増強プランを提唱したのである。リュウはツルギに変身するセリザワを目撃したことで、一人悩んでいた。

 ミライは司令室を出たリュウを追う。その一方で、粒子加速器が故障し、分子ミストが漏れ出すという事故が発生。小型のマケット怪獣・リムエレキングがサコミズ隊長の肩の上に突如現れた。ミクラスがエレキングに倒された過去を持つため、ミクラスの分子ミストがエレキングの分子ミストを弾き出したのだと、テッペイは分析する。リムエレキングは1分で消滅した。

 リュウはミライに、セリザワとの思い出を語る。かつてリュウは、防衛チームが単独で怪獣を倒したという記録が殆どないことに、悩んだ時期があった。そんなリュウに、セリザワは「防衛チームが限界まで戦い抜いたとき、ウルトラマンが力を貸してくれた」と告げ、ウルトラ五つの誓いを教えたのだった。

 その頃、セリザワはボガール変身体である「謎の女」と一戦を交えていた。ミライがその気配に気付いて現場に向かう。謎の女は逃亡、ミライはセリザワに「君の青い体、宇宙警備隊員でない君が、何故この星で戦っているんだ?」と詰め寄る。セリザワは「ボガールはすべてを喰らい尽くすもの。この星もヤツの餌場だ」と答える。同じ時期、リムエレキングがフェニックスネスト内に出現、ジョージが派手に感電してしまう。

 ボガールは敦賀山山中に出現し、怪獣一体を捕食。サコミズ隊長は、ミクラスの実戦運用を決定し、コノミを出動させた。リュウとマリナは空で、ミライとコノミは地上で戦線を展開する。ボガールはガンウインガーを念動力で捉えてしまったため、コノミはミクラスを実体化させた。念動力からの脱出の際にエンジンを痛めたガンウインガーは着陸を余儀なくされる。

 ミクラスは体力勝負でボガールに劣勢となり、消滅してしまう。しかし、テッペイは電気属性の怪獣がエレキングだけでないことに気付いた。テッペイの予想通り、ミクラスは消滅したのではなく透明化しており、接近して電流攻撃を始めた。ミクラスには「ネロンガ」と「エレドータス」の透明化能力が付加されていたのである。

 セリザワはツルギに変身しようとするが、ミライは「その体は君のものじゃないだろう! セリザワさんを待っている人がいるんだ」と言って、それを阻止。ミライはウルトラマンメビウスに変身し、ボガールに戦いを挑む。セリザワはリュウの目前でまたもツルギに変身。メビウスもろともボガールを殲滅しようと光線を放つ。外したツルギは再度光線を放とうとするが、リュウの呼びかけに一瞬躊躇し、ボガールに隙を突かれてしまう。メビウスはそれを機に形勢逆転を図り、見事ボガールを爆散せしめた。

解説

 メビウス、ツルギ、そしてボガールの戦況に変化が訪れる重要なエピソード。しかしながら、前回のコメディタッチの雰囲気から大きく乖離することを防ぐ意味か、リムエレキングを登場させ、緊張感溢れるツルギ周辺の雰囲気を緩和している。

 連続エピソードのポイントとなるエピソード故に、特定のキャラクターが主役ではないというパターンになっており、純粋にストーリーの流れで見せていくスタイルをとっている。強いて言えば、セリザワに縁の深いリュウが主役ということになろうか。

 今回はツルギとボガールに関する、様々な要素が語られる。

 まずはツルギに関して。ミライのセリフ等から、ツルギがM78星雲人であることが分かる。かつて、ウルトラ兄弟華やかなりし頃、ウルトラの種族は4種設定されており、初代ウルトラマンに代表される「シルバー族」、ウルトラセブンに代表される「レッド族」の他に、劇中に登場しない「ブルー族」と「ホワイト族」があった。ミライの「君の青い体、宇宙警備隊員でない」というセリフからは、ブルー族が連想される。さらに、ボガールに対して尋常ならぬ執念を燃やしていることも分かる。もう一つ重要なのは、ツルギはセリザワの体を借りている(つまり、ミライのような「変身」ではない)ということ。しかもセリザワには自我がなく、意志はツルギそのものであるということだ。

 続いてボガールに関して。これは今回だけで判明したというわけではないが、幾つもの星々を滅ぼしてきた経緯を有することが、セリザワ=ツルギの口から明確に語られる。また、変身体である「謎の女」の様子から、ツルギとの深い因縁があるようだ。

 さて、これらツルギとボガールに関するシーンは、一様に暗い画面作りが意図されていて、並ならぬ緊張感が漂っているが、GUYS周りは意外とコメディ色が強い。

 その大部分を担っているのは、リムエレキングである。エレキングをマスコット化するという大胆な発想に驚かされるが、設定も使い方も上手く、マスコットとしての存在価値は水準に達しているだろう。また、リムエレキングの行動に伴い、ジョージがコメディリリーフとしての地位を確立したかも知れない。ジョージの今後の動向が期待される。その他にも、サコミズ隊長が、リムエレキングから思わずコーヒーメーカーを守ってしまうシーンなど、細かいコメディ演出も見られる。

 旧来のファンにとって嬉しいのは、豊富なアーカイブドキュメントであろう。いきなりドキュメントZATから「再生エレキング」がディスプレイ上に呼び出されるサプライズに続き、ドキュメントUGから「エレキング」、同じくSSSPから「ネロンガ」、MATから「エレドータス」という、なかなかコアなセレクトに狂喜。こういう楽しい遊びが、ちゃんとエピソードの流れに結びついているので、破綻もない。アーカイブドキュメントに、今後も注目だ。

データ


監督

梶研吾

特技監督

菊地雄一

脚本

小林雄次