第34話 故郷のない男

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ストーリー

 リフレクト星人とウルトラマンメビウスが戦っている。カラータイマーは点滅し、万策尽きたメビウスはメビュームシュートを放つが、光線は跳ね返されてしまう。メビウスブレイブにチェンジし、メビュームナイトブレードを放つも、それすら無効に。リフレクト星人はガンウインガーの攻撃によって戦意を殺がれ退却したものの、メビウスの完敗であった。悔しさのあまり大地を殴りつけるメビウス。

 ミライは、リフレクト星人ではない何者かが呼んでいると言い、伊豆諸島南端の黒潮島へと飛ぶ。リュウ、ジョージ、テッペイがそれに同行した。黒潮島に到着した面々は、そこで島民を弔う行脚僧姿の男と出会う。「俺は地球での最初の戦いで、沈むこの島を守れなかった。ここは絶対に忘れてはならない場所だ」そう言う男の正体を、ミライは察した。男はメビウスと戦うために地球に来たのだと言う。男はおおとりゲン=ウルトラマンレオであった。ゲンはレオに変身、ミライもメビウスに変身した。メビウスはレオに立ち向かうが、レオの圧倒的な格闘術に劣勢を強いられ、伝家の宝刀レオキックを浴びて敗れてしまう。

 ゲンに銃口を向けるリュウとジョージ。ゲンは「武器に頼れば、隙が生じる。最後に頼るべきは自分自身だ」と心得を説いた。ゲン=レオは現在任務で地球を遠く離れているが、この地球が第二の、否、本当の故郷だと言う。「タロウ兄さんは許したらしいが、俺は許さん! お前には地球を託せない」ゲンはメビウスに地球を託せるかを試しに来たのだった。リュウはこれまで地球を守ってきたというプライドを見せる。ゲンはそんなリュウに「お前たちの戦いは必ず勝たねばならない戦いなのだ」と説く。ミライは悔しさのあまり涙を流した。ゲンはさらに畳み掛ける。「その顔は何だ。その目は、その涙は何だ! そのお前の涙で、この地球が救えるのか」ゲンはリフレクト星人を打倒して見せれば地球を託すと言い、ミライに自分の道着を渡した。

 ミサキ総監代行は、ドキュメントMACを精査し、レオが幾度も怪獣や宇宙人に敗れつつも、その都度新しい技を会得して勝利してきたことを報告する。しかも、防衛チームが全滅した後も、レオは一人で戦い抜いていた。ミライは、レオの故郷の星が全滅したことも付け加える。サコミズ隊長は「孤独を力に変え、それだけの覚悟で戦い抜いたからこそ、他人の星を故郷と言い切れるんじゃないかな」と言った。再戦での勝利を模索するミライに、テッペイが光線技以外ならば勝てると進言。レオはそれを教える為に、メビウスに対しレオキックを放ったのだ。今のミライの身体能力でレオキックと同等の破壊力を得るには、特訓しかない。ミライはゲンから受け取った道着を着て「他人の力を頼りにせず」山奥で特訓に励む。物陰からそれを見守るゲンの姿があった。

 ミライが特訓に行き詰った頃、リュウ達が現れ、ミライが特訓で折った木片を集めて焚き火をすることになった。テッペイがマッチを忘れたと言ったのを受け、リュウは摩擦を用いた原始的な方法で火を起こすことに。それを見たミライは、何かを思いついた。

 リフレクト星人が再び出現。一人で戦わせて欲しいというミライは、メビウスに変身する。メビウスは開戦一番、いきなり高空からキックを放つ。そして、リュウの火起こしからヒントを得て、ドリルのような高速回転を加えることでダメージを与えた。リフレクト星人より離脱したメビウスの姿はバーニングブレイブに変わっている。怒ったリフレクト星人は、ガンフェニックスをチェーンで捕らえ人質にした。戦いの行方を見ていたゲンは、レオに変身しメビウスに加勢。見事な連携により戦局を優勢に運び、レオキックとドリルキックの連携によってリフレクト星人を粉砕した。

 ミライはゲンに道着を返し、礼を言う。ゲンは「お前たちになら託せそうだ。俺の故郷を」と答え、ミライに初めて笑顔を見せた。

解説

 ファンが待ちに待ったウルトラマンレオ登場編。さらに、おおとりゲン登場編でもある。おおとりゲン登場となれば、ファンが誰しも期待するであろうキーワードがある。それは「特訓」だ。

 然るに、本編では存分に「特訓」の二文字が踊った。まずは、冒頭いきなり「レオ対メビウス」が実現。当時のポージングを意識したレオの華麗なアクションと、極端に狙ったカット割によって表現されたスピーディさ。そしておおとりゲンを演ずる真夏氏自身によって新録されたレオの掛け声は興奮必至。実に30年振りとなる「レオーーーッ!」という変身時の掛け声は、当時と変わらないトーンであり、感涙モノだ(レオを目の当たりにしたときの、テッペイの表情もイイ)。

 冒頭で十分にアクションを見せた為、後半の登場はないものかと思われたが、リフレクト星人の卑怯な作戦により、メビウスとのタッグが実現。「一人で戦う」とミライが宣言した後を受けている為、少々予定調和的ではあるが、やはりこういう構図は嬉しい。リフレクト星人とのバトルでは、格闘技が冴えに冴え、両雄の必殺キック(真夏氏によるレオの「ハイャーーーッ!」という気合の掛け声があまりにも凄い)が決まった直後の構図は鳥肌モノのカッコ良さに仕上げられている。なお、レオの変身シーンは、映画におけるウルトラ兄弟の新撮による変身シーンとは異なり、当時のバンクがそのまま使用されていた。

 一方、おおとりゲンの「特訓」は、かつてモロボシ・ダンが苛烈な特訓をゲンに施したのとは異なり、専らメンタルな面が重視された。畳み掛けるような叱責によって、ミライのプライドをことごとく打ち砕く様は壮絶で、凄絶な戦いを勝ち抜いてきた男のみが語れるという雰囲気を、見事に表現している。「必ず勝たねばならない戦いなのだ」「その顔は何だ。その目は、その涙は何だ! そのお前の涙で、この地球が救えるのか」というセリフは、かつてダンがゲンに対して放ったセリフからの引用である。ゲンはウルトラマンレオというシリーズを通して、導かれる者から導く者へと成長したが、時代を超え、そのスタンスがメビウスに対して発揮されるのを目の当たりにすることが出来たのだ。ウルトラファンで良かったと思える贅沢な瞬間である。蛇足だが「タロウ兄さんは許したらしいが、俺は許さん!」というセリフは、(ある意味温和な)タロウとの性格の違いを如実に示す面白いセリフだった。

 さて、本エピソードがストーリー的に非常に優れているかという話になると、それは少々疑問である。逆に、「ウルトラマンレオ」の続編として見た場合どうかという話になっても、それはやはり中途半端だと言わざるを得ない。その原因は、殆どリフレクト星人にある。リフレクト星人が愉快犯っぽいという部分は、この際どうでもいいことである。問題は、リフレクト星人がメビウスに仇為す者以上でも以下でもないことであろう。リフレクト星人は都市部で暴れるわけでもなく、地球人に実害を及ぼす様子が全く描かれない。「地球を救う=リフレクト星人を倒す」という図式が、今一つ成立し難い。それが、やや上滑り感に包まれている要因である。かつてのゲンの特訓は、常に時間との戦いも含まれていた。今回のミライの特訓は、不運なことに見事「焼き芋」にシンボライズされてしまった。つまり、ストーリー全体にあまり緊張感がないのである。

 とは言え、これがウルトラマンメビウスのカラーなのだろう。ウルトラマンレオの初期編は、ともすれば息苦しくなるような緊張感の連続であった。ウルトラマンメビウスというシリーズは、苛烈な状況下にありながらも、どこか牧歌的な、「光の国」のファンタジーをバックボーンに持つ作品だと言える。それ故に、レオを登場させるエピソードは、このような形で成立して然るべきなのかも知れない。

 本エピソードを素直に見てみると、おおとりゲンとウルトラマンレオが本当にカッコ良い。レオファンは後続のウルトラシリーズで長らく苦汁を舐めて来た訳で、今回の過剰な(?)サービス振りにより、たった一本のエピソードでもフラストレーションを解消するに十分なものであっただろう。さりげなく黒潮島やMAC全滅にも触れられ、マニア向けの要素もフォローされている。紛れもなく、本エピソードはウルトラマンレオという男の現在を映し出したものであった。

データ


監督

小原直樹

特技監督

菊地雄一

脚本

赤星政尚