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第二十九幕「家出提灯」

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 前回初登場のダイゴヨウ。そのキャラクターを掘り下げるエピソードです。ダイゴヨウが主役となれば、当然源太が前面にフィーチュアされるべきところを、そうしないのが「シンケンジャー」流か。


 というわけで、今回のメインは茉子。茉子の「ほっとけない」性格を全面的に利用して、いわゆる人情話に仕立て上げています。茉子の行動は彼女のキャラクターとして実に的確であり、それ故に茉子の魅力はかなり高い水準で発揮されているのですが、他の面で所々不徹底があり、そこが残念。詳しくは本編の方で述べますが、目立つ場所を挙げるならば、源太の方に茉子の思いがはっきり伝わったシーンを欠いていることや、スーパーシンケンピンクになる必然性がないこと等です。


 それにしても、ダイゴヨウのキャラクターの立ちっぷりは素晴らしいものがあります。遠近さんの声質が合致しているというのが最も大きいですが、「町人」たる源太とのコンビネーションの魅力こそが最大の要因でしょう。この2人は、正に岡っ引きの親分とその子分がモチーフ。往年の威勢のいい「銭形平次」的な時代劇ドラマを彷彿させて楽しいです。人情物が似合うのも当然といったところでしょう。


 では、本編の見所をまとめてみましたので、ご覧下さい。

第二十八幕「提灯侍」

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 いわゆる新アイテム・新キャラクター登場編なのですが、かなりギャグテイスト寄りに振っている為、バラエティ編の香りも非常に高い一編に。しかしながら、「シンケンジャー」ならではのシリアスな部分も盛り込まれており、そちらは主に筋殻アクマロの恐るべき能力に翻弄されるシンケンジャーの姿に集約されます。


 今回のメインは、寿司恐怖症にのたうつ源太。ただし、千明もかなりメインに近いポジショニングです。源太のコミカルな寿司恐怖症については本編の方でじっくり振り返るとして、ここでは千明に注目。


 千明が、源太登場当初から彼に親しみを感じ続けていたのは、これまでのエピソードでかなり充実して描かれてきたので、それを振り返る今回のシーンには、非常に説得力がありました。このシーンだけでなく、率先して「苦手克服大会」をリードしたりと(でも、自分は「苦手克服」そのものに参加していない!)、源太を思いやる気持ちの強さが印象付けられます。その理由がまた説得力大で、源太を除く5人の中で最も「侍らしくない」千明が、「元来侍ではない」源太にシンパシィを感じるというものになっています。


 源太自身は、クライマックスでのダイゴヨウを携えての登場が異常なまでにサマになっている様子を見るにつけ、「侍」を名乗りつつも「町人」に近いポジションであることは明らかですから、本来千明とは相容れない立場にあります。しかし、千明のように侍という立場を軽く飛び越えてしまう者は、源太のように侍になりたい者と容易に接近することが出来ます。これは、寿司恐怖症が露呈した志葉家の屋敷のシーンで明確に表現されており、彦馬や流ノ介は単に源太を「情けない」としか評価出来ません。丈瑠は黙していましたが、表情から彦馬とあまり変わらない評価を持っていたようですし、ことはは源太へのシンパシィというよりは、単に純粋な心配性故の表情を見せ、茉子に至っては、「スイッチが入って」源太の世話を焼き始める始末。呆れ顔を見せつつも、本当に本気で心配していたのは千明だけだったように見えます。

 千明のキャラクター性が発揮されれば、即ち傑作エピソードと言っても良いくらいですが(今のところ「シンケンジャー」のどのエピソードにもハズレはありませんけど)、今回も正にそれが当てはまりそうです。


 では、コミカルで新要素盛り沢山の今回を、振り返ってみましょう。

第二十七幕「入替人生」

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 予告編での滑稽な映像の連発から、息抜き的なバラエティ編かと思いきや、千明とことはのコンビに活躍させるというシチュエーションで展開し、二人の成長振りと名コンビ振りを活写するという、正に一筋縄ではいかない素晴らしさを見せてくれます。

 やっぱり「シンケンジャー」は油断出来ません。中身自体はバラエティ編として成立しており、実際コミカルな描写は満載なのですが、それでも異様な緊張感を漂わせたり、千明の知恵の深さを見せたりと、笑いだけでない要素を存分に提示。一歩間違えれば「おふざけ」になる「無機物と入れ替わる」というパターンを、しっかりとシリアスに振っていく手腕は見事です。


 見所は勿論、千明とことはの頑張りであり、殆ど全編にわたって二人の活躍がフィーチュアされているのですが、そこは本編の解説に譲るとして、ここで隠れた見所として触れておきたいのは、外道衆関連。意外に骨のシタリが穏健派であるということ、薄皮太夫がなおも人間界を彷徨っていること、血祭ドウコクの目の届かないアヤカシが存在すること、それに関連する新キャラのチラ見せ。シーン数は圧倒的に少ないですが、重要な要素が多数盛り込まれています。折り返し点を過ぎ、外道衆側の描写も強化していくことによって、物語のテンポアップが図られているようでもあります。


 それでは、「年下コンビ」の熱く爽やかな奮闘をまとめてみましたので、ご覧下さい。

第二十六幕「決戦大一番」

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 ユメバクラ以外、非常にシリアスな雰囲気で進行し、凄まじい緊張感を漂わせる2クール最終編の後編。

 殆ど全ての登場人物がピリピリしたムードを持ち、まさかの丈瑠と流ノ介の一触即発や、茉子の半ば捨て鉢的に悲壮な決意、薄皮太夫の凄絶な「外道としての決意」など、子供向け番組であることを逆手に取って(つまり、現実世界にあり得ないシチュエーションで)、子供向け番組を逸脱した凄味を見せました。


 勿論、今回最大の見所は丈瑠と十臓の決闘。静と動が織り交ぜられたテンションの高い殺陣に魅せられ、見た目にも存分以上に満足できる決着で締め括られました。


 一方で茉子が割を食ってしまったのは残念。丈瑠の決意に水を差さないという、ここ一番での役回りはしっかり押さえられていましたが、料理というトピックが若干弱くなってしまったのは否定出来ません。

 ただ、論理的な思考を持つ茉子が、非論理的な(=死に急ぐ)丈瑠に同調するあたり、茉子の精神の脆さの一端が垣間見られるという展開は素晴らしいものがありました。


 では、見所満載の本編を何とかまとめてみましたので、ご覧下さい。

第二十五幕「夢世界」

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 茉子の料理ギャグで引っ張るコメディ編なのかと思いきや、メインでフィーチュアされたのは何と薄皮太夫で、しかも実に重苦しく物悲しい過去が、これでもかと描かれる凄いエピソードでした。

 その分、茉子の料理に関するトピックは割を食ってしまったきらいがあるものの、薄皮太夫のエピソードだけでは、本当に子供向けの番組を逸脱してしまうので、ユメバクラ関連と併せ、必要なコメディシーンだったものと思われます。


 茉子と薄皮太夫(薄雪)の邂逅の他にも、丈瑠と源太、流ノ介と千明といった具合にチームでストーリーを進行させ、それぞれが力の限り奮闘する様子を描いて大充実。特に丈瑠と源太がモヂカラを使い果たすという展開は、視覚的にかなり曖昧なモヂカラという要素を、リアリティ豊かに見せることに成功しており、2クール最終編として大きく展開しつつも、原点を見つめ直す姿勢が垣間見られるものとなっています。


 今回最大のトピックは、何といっても薄皮太夫役の朴璐美さんが、自ら顔出し出演を敢行したということでしょう。朴さんは元々舞台経験も豊富な女優さんですから(しかも実にお美しい!)、いつかは顔出しがあるだろうと予想していましたが、まさかこんな形での出演になるとは思いませんでした。てっきり、幹部が人間に化けるといったテイストで軽~く出演されるものと思ってましたから。

 しかも、朴さんの芝居のテンションの高さが凄まじく、女の情念の恐ろしさが思いっきり前面に出ています。はっきり言って怖いくらいです。詳しくは本編の方で述べますが、「ジャスピオン」での高畑淳子さんの芝居に恐れおののいた記憶が蘇る程、凄いです。朴さん自体が怖いというより、その表現する感情の深さが恐ろしさを感じさせるのです。


 では、見所たっぷりでまとめるのが大変でしたが、そこそこまとまったのでご覧下さい。

第二十四幕「真侍合体」

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 インロウマル、スーパーシンケンレッド、ダイカイシンケンオー、イカテンクウバスターと、新アイテム目白押しの今回。前回における丈瑠の危機と、流ノ介達4人の負傷といった状況を引っ張り、今回の大逆転に繋いで来ました。


 内容的には順当なパワーアップ劇になっているのですが、そこに至るまでのプロセスが実に秀逸。源太の凄まじい努力を伴う孤軍奮闘振りに加え、十臓の荒療治による丈瑠の治癒、流ノ介の諦めと立ち直りといった要素が並行して展開され、クライマックスに繋がっていく様子は見事です。また、主役側だけのドラマに留まらず、十臓の過去が明かされたり、薄皮太夫との関係を匂わせたりと、敵側のドラマも充実。さらに、丈瑠との斬り合いを所望する理由にも言及し、後半戦への突入に対する準備は、かなり整ってきた印象があります。


 今回最大のトピックは、勿論前述の通りインロウマルなのですが、これの完成に関わるのが、あくまで源太であるというところがポイント。源太は喜怒哀楽を激しく表現するお調子者ですが、そのモヂカラに関する才能は天賦のものがあるという設定で、それが非常に巧く活かされています。スシチェンジャー、海老折神といった発明で、既にその才能の一端は見えていましたが、今回はパワーアップに関するアイテムの完成を一手に引き受けるという役どころ。過去にインロウマルを完成出来なかったのは、いわばモヂカラの天才が居なかったからというエクスキューズは、予定調和やご都合主義を軽く飛び越えたものとして響いてきます。

 その印象を決定づけているのは、不眠不休で頑張る源太の姿と、その姿で闘志を蘇らせる流ノ介の姿です。単なる技術の開花でも充分ドラマは成立しますが、そこに源太と流ノ介という、半ば反目する2人の新しい絆を持ち込むことで、「シンケンジャー」のテーマをシーンに反映させているのが良いのです。


 では、ド派手なビジュアルとダークなトーンが見事なコントラストを生んでいる、本編の見所をまとめてみましたので、ご覧下さい。

第二十三幕「暴走外道衆」

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 「シンケンジャー」はもとより、戦隊シリーズの基本フォーマットを崩して注意深く表現された、転機となるエピソード。基本フォーマット崩しは、いきなりの巨大戦や、次々と倒れるシンケンジャー達、そして今回のアヤカシであるゴズナグモが、シンケンジャーではなく血祭ドウコクに倒される(?)といった辺りに見る事が出来ます。


 今回最大のトピックとしては、浄寛役に高橋元太郎さん(言わずと知れた「うっかり八兵衛」)がキャスティングされたことにありますが、高橋さんの基本的なイメージである、明るくユーモラスなキャラクターは鳴りを潜めており、却ってシリアスな雰囲気を醸し出すキャラクターとして演じられ、その存在感を見せつけています。しかも、ユーモラスな面を抑制することは、全編に緊張感が漲りという効果をもたらし、転機となるに相応しい完成度となっています。

 志葉家の菩提寺を舞台とすることで、清涼な雰囲気と悲壮な雰囲気とが同居し、丈瑠の表情にも爽やかさと翳りの両面が発露。このことで、丈瑠のキャラクターに深みが生まれており、また寺院という、外道衆が嫌いそうな場所であるということで、わずかな油断も見せています。あらゆる要素が物語にドライヴをかけていくテンポは、正に圧巻です。


 最近、血祭ドウコクが一切登場しなかったのは、夏になって力が増大するのを懸命に抑え込んでいたからだということも判明。血祭ドウコクがこのような状態に置かれる事で、アヤカシ達が好き勝手に行動し始めていたという流れも見事です。骨のシタリの幹部らしい強力な様子も描写され、敵側の描写も非常に満足度が高くなっています。十臓の動きも気になるところ。


 では、「印籠」なんていう素晴らしいアイテムも登場した今回の見所を、ご覧下さい。

 なお、志葉家の菩提寺の名称は、今回時間がなくて字幕を確認できませんでしたので、「テンゲン寺」と表記します。

第二十二幕「殿執事」

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 「仮面ライダーディケイド」とのコラボレーションというお祭りの余韻も冷めやらぬまま(とはいえ、「シンケンジャー」側ではチラ見せ程度でしたが)、迎えた今回。「祭りの後」状態に陥ることもなく、非常に充実度の高いエピソードとして登場しました。

 タイトルは「殿執事」ですから、丈瑠メインのエピソードかと思いきや、スポットが当てられたのは、ことは。丈瑠の執事振りと、ことはのお嬢様振りを普段とのギャップを前面に押し出してユーモラスに描くのかと想像させつつ、実はもっと重厚でメンタルなドラマを展開。これには見事にやられました。


 前回が、千明のポジションを再確認するという位置付けがなされていたのに対応してか、今回は、ことはに対して同様の趣向が適用されているように感じられます。

 ことはは、侍としての能力はかなり完成されている設定なのですが、とかく丈瑠を絶対的な存在として見ている節があり、その点では流ノ介も同様だという理解を、私を含め、視聴者はしていたものと思われます。しかし今回、流ノ介とことはの違いを丈瑠の発言によって明確化。流ノ介が丈瑠を絶対的な存在だとしつつも、たまに自ら丈瑠を追い抜いてしまう思考・行動力を見せるのに対し、ことはは丈瑠の思考のままに動く感覚で捉えられます。

 結局、それは丈瑠の杞憂であり、ことははことはなりの考えや行動責任を有していたわけですが、そういった面を活写する事こそ、キャラクター掘り下げの巧い手法だと言えるでしょう。そこに淡い恋心といった、ちょっとくすぐったいシチュエーションを持ち込むことで、ことはの微妙な心理を描写しているのも素晴らしいものがあります。

 義久というキャラクターの使い方も実に良く、こういった「お坊ちゃま」はとかく絵空事になりがちなのですが、義久役・永嶋柊吾さんの好演もあって、実在感のある雰囲気を醸し出しています。


 さらに特筆すべきは、ここにイカダイカイオー登場を絡ませるというサービス振りでしょう。ただ、これまでのパワーアップ譚が割とストーリーに密接に関わっているのに対し、今回はかなりドライな扱いであり、実際、ことはとイカダイカイオーにリレーションが全くありません。それでも、「ディケイド」の海東から烏賊折神を取り返したことで、イカダイカイオーの完成に繋がったとしていることや、大空ナナシ連中を巧く利用して、テンクウシンケンオーの出番をそちらに固定するなど、手際の良さは安心レベルに達しています。


 では、本編の方に移りましょう。

第二十一幕「親子熊」

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 一週お休みの間も、「仮面ライダーディケイド」においてそれなりに話が進行していたので、どんな風に整合性や連続性を確保するのかと思いましたが、こう来ましたか!

 とりあえず、冒頭とエピローグで「ディケイド」関連のシーンをチラリと登場させておいて、あとはそれなりに同時進行させつつ、あまり関係ない部分で双方を展開していくという、実に巧みな構成でした。気になる「ディケイド」関連のお話は、「ディケイド」本編をご覧頂くとして、今回の本筋に話を移します。


 「ディケイド」とのコラボレーションが、文字通りお祭りの様相を呈している為、それと同時進行となる今回はさぞ地味な展開になるかと思いきや、千明を中心に据え、茉子をそれに絡ませるとともに、千明の父親を登場させることで、父子という普遍性のあるテーマを重厚に描ききりました。しかも、千明の父・蔵人がかなり軽い感じの人物として描かれる為、逆に爽やかな雰囲気も感じさせています。

 千明と蔵人、互いが面と向かって口にすることなく、互いに強さを認めるあたりも素晴らしく、両者の間に位置する茉子の存在も実に効果的です。


 これまでの展開で、千明の強さそのものは、ある程度完成されてきた感じになっていましたが、ここで再び発展途上キャラの属性を再認識させることで、千明の成長物語を継続させているのも巧い処置。しかしながら、千明には千明自身の独特の強さがあることもちゃんと匂わせており、まだ丈瑠達を超えるまでには至らないものの、確実にその強さは本物になっているという雰囲気が伝わってきます。


 では、見所をまとめてみましたので、ご覧下さい。

第二十幕「海老折神変化」

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 海老折神登場がメインのエピソード。ところが、ことはが魂を奪われて、冒頭の戦い以外一切戦闘に参加しなかったり、一時的に丈瑠達の迷いが描かれる等、一筋縄ではいかないものとなっています。


 特に凄まじいのは、十臓が現れて外道への道へ誘おうとするくだり。

 十臓の誘い自体に他意はなく、単に「丈瑠に戦うことの出来る状態になって欲しい」というだけなのですが、ことはを助ける為の手段を見出す事の出来ない丈瑠達は、十臓の唱える方法をそのまま実践してしまうかも...という所まで追い込まれていきます。このシーンには割と長い尺が割り当てられており、悲嘆にくれる人々のシーンを挟んだりして悲壮感を煽っています。その迫力たるや、「外道に落ちない」という、ある種の予定調和を分かっていても、それを一時忘却させるもの。「もしかして...」と思わせる程の状況描写に唸らされます。


 一方、ことはの誕生日パーティの準備に勤しんだり、源太が海老折神の完成をその日にぶつけようと目論んでいる等、微笑ましいシーンもそれなりに盛り込まれ、陽性の雰囲気もバランス良く感じさせます。特に、ダイカイオーのフェイスチェンジの愉快さは、陰性の雰囲気の中では浮いてしまうので、こういったバランス感覚は殊に重要であると思います。


 ここであれこれ論じるより、本編を見れば今回の完成度の高さは一目瞭然。

 というわけで、本編の見所を抽出してみましたので、どうぞ。先頃、更新がままならないかも知れないというお知らせをしましたが、何とか頑張ってみました。今回は、いつもよりキャプ画も多めです(笑)。

第十九幕「侍心手習中」

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 源太がシンケンジャーの仲間入りをする際、どうしても避けて通れないのが、侍の権化たる流ノ介の存在。当然の如く、源太と流ノ介の対立が描かれます。

 この対立構造の萌芽は、源太初登場回において既に見られます。他の面々は源太の剣術が我流でも、彼の実力を認めるのに対し、流ノ介は源太の構えを見て邪道だと言い、形式と実力が密接に結びついた厳しい視点を持っていることが分かります。


 今回は、その流ノ介の凝固した視点に源太が風穴を開ける...わけではなく、あくまで流ノ介のスタンスは流ノ介のスタンスであるところが徹底されていて素晴らしいものになっており、和解編としては一筋縄ではいかないものになっています。強いて言えば、源太の覚悟は、流ノ介も認めざるを得ない本物の侍スピリットだったということなのですが、ここでも、あくまで源太は源太として描かれます。流ノ介に歩み寄ろうとはするのですが、それは表面的な源太の悪ノリとして描かれ、源太自身の本質は何ら変質しないのです。


 こうしたキャラクターのどっしりとした安定性に安心感を覚えると共に、予定調和に陥らないことで緊張感も醸し出され、非常に完成度の高いものとなっています。


 もう一つのテーマは、流ノ介の生真面目さであり、規則正しい生活は自分自身を律するだけでなく、周囲にも良い影響を及ぼすという典型例が描かれます。そこに「命を預けあった関係」を絡めて、理解や信頼といった表現を超えた絆を描写している点も秀逸です。


 では、流ノ介と源太を中心に見所をまとめてみましたので、続きをどうぞ。

第十八幕「侍襲名」

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 丈瑠と源太の「約束」とは何かが明かされる、ちょっとした感動編。

 子供の頃の約束というのは、ある意味ありがちな設定なのですが、それを逆手にとって、丈瑠と源太の純粋さを強調しているのが巧いところ。幼少の丈瑠の心情と、現在の丈瑠の心情の微妙なズレを活写しつつ、昔とちっとも変わっていない源太を対比させることで、丈瑠の中の不変な部分を導き出すという、手の込んだ展開と演出が冴えます。


 冴えると言えば、今回最も冴えたキャラクターになっているのは茉子。これまでも頻繁に指摘してきたことですが、茉子は丈瑠の心情を最も理解しているキャラクターであり、大抵丈瑠の苦悩や内情をズバリ簡潔なセリフで言い当ててしまうといった展開がよくありました。

 今回は、そういった茉子の重要な面が、かなりクローズアップされた形になっており、稽古中に丈瑠の内心を射抜いて怯ませるなど、突出した魅力を放っています。特にこの稽古のシーンでは、2人のポジションがアングル的にも立場的にも、一貫して「茉子が姉貴っぽい」形になっており、これぞ茉子の妥当なポジションだと言える格好になっています。


 追加戦士の登場によって、メンバーの役割シフトが起こるシリーズは多く、例えば極端な例では「ジャッカー電撃隊」のビッグワン登場による、事実上のリーダー交代。他にも、初の追加戦士が登場する「ジュウレンジャー」では、主人公の助言者(兄)的キャラクターがマンモスレンジャーからドラゴンレンジャーへとスライドしています。

 この「シンケンジャー」では、源太の登場によってキャラクターのシフトが起こることなく、むしろ元々のキャラクター性が強調される結果になっているのが面白いところ。一見、源太と同種のお調子者に見える千明も、源太にノリが近いことから誰よりもシンパシィを抱くという、元々の性格を強調した面が見られ、同種キャラクターの食い合いになっていません。また、流ノ介とことはは勿論のこと、茉子や丈瑠に至っても、元来の性格がより掘り下げられるという方向性を示したことで、源太を追加戦士として受容するに充分な下地が出来ているのは、特筆すべきことでしょう。


 源太は実にステロタイプなキャラクターであり、ややシリアスなトーンで展開してきた「シンケンジャー」では、かなり突飛な印象を持っています。前述のように源太を受容する基礎は充分に固まっているので、元来の世界観を壊すことはありませんが、ややもすると完全に浮いてしまい、全くの別世界で本編の尺を食ってしまうということになりかねません。

 しかし、丈瑠と源太の子供の頃に築かれた絆が強固であり、源太もまた、流ノ介達と同様に覚悟を決めて丈瑠の前に現れ、しかもモヂカラを持つことが出来ないことを「発明」と「特訓」によって補完するという根性の持ち主であることが描かれている為、彼も間違いなくシンケンジャーであると結論付けることが可能になっているのです。


 では、見所たっぷりの本編を整理してみましたので、ご覧下さい。

第十七幕「寿司侍」

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 シンケンゴールド=梅盛源太(演:相馬圭祐)登場編。メインライターである小林靖子さんが担当し、シリーズ構成を磐石たるものにするという意図が見えますが、その試みは十二分に達成されたのではないでしょうか。


 基本的に源太のキャラクターは、設定もビジュアルも突飛であり、静かなる侍のイメージを完全に突き抜けています。それ故に、従来のレギュラー5人のキャラクター性は絶対にブレてはならないと言えます。その部分は、丈瑠の冷静さと聡明さを強調して描くことで確固たるものとし、流ノ介と茉子、千明とことはというチーム編成でキャラクターを動かすことによって、これまでのエピソードから地続きであることを再確認しています。この基盤の強固さは、源太という「異分子」の登場を得ても揺らぐことはなく、むしろ丈瑠達5人と源太双方を際立たせることに成功しています。


 今回は源太のインパクトもさることながら、実は最も素晴らしいのは、丈瑠に関するストーリーです。

 スキマセンサーの反応、姿を見せないアヤカシ、丈瑠に付き纏う気配、丈瑠の鋭い直感。こういったミステリータッチの筋運びに、源太の「近日見参」といった矢文を絡ませ、源太とアヤカシの正体不明な様子を多重的に見せる手法は、非常に完成度が高く、見応えがあります。丈瑠が入浴中に直感した対処法を、後から効果的に利用する様子も素晴らしく、決してシンケンゴールドだけに華を奪われない演出が秀逸なのです。


 一方で、新戦士登場編に相応しく、シンケンゴールドに主役を勤めさせる段取りも完璧。インパクトあるアクション、メタリック戦士の伝統である、メッキとフラットのスーツの使い分け、突飛過ぎるアイテム群をカッコ良く見せてしまう演出。どれをとっても一級品です。


 それでは、インパクト大の今回を見ていきましょう。

第十六幕「黒子力」

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 黒子にスポットを当てた回としては、第七幕「舵木一本釣」という重厚な傑作がありましたが、今回は至って陽性な雰囲気で黒子にスポットを当てています。何となく「黒子さん達の1日」といった趣もあり、黒子一人一人の内情よりも、表立った仕事っぷりを活写しています。


 そこに絡んでいくのは、流ノ介、千明、ことは。

 黒子達が街の評判になっているのを知り、自分達も、と張り切って空回りする様子が面白おかしく描写されます。今回からは、陰性の雰囲気が一切感じられず、一言で言えば「明るいシンケンジャー」ということになりそうですが、「適材適所」というキーワードがフィーチュアされ、更に突き詰めれば「領分を侵さない」というポリシーまでもが見えてきます。こういった精神論に至れば、やはり「シンケンジャー」ならではという感じになります。

 ただし一方で、「シンケンジャー」であれば、黒子の邪魔をしたことで、危機を招くといった展開にすることも可能でありながら、それを「掟」にまでは突き詰めず、「黒子に見習う必要はある」といった結論に導くことで、ライトな教訓譚にまとめあげているのは面白いところ。これにより、終始ライトな雰囲気に包まれています。


 今回やっていることはギャグに近いものですが、それでも「ギャグだけ」にならないバランス感覚は秀逸で、「シンケンジャー」の雰囲気を破壊することなく成立しています。シリーズ構成には、かなりの力が入れられているものと想像できます。


 次回予告を見ると、新戦士登場ということらしいので、ここで一旦バラエティ編は終了ということになりますが、これから先に何度か挿入されるであろうバラエティ編の礎は、充分に出揃ったのではないかと感じました。


 では、コミカルな雰囲気をなるべく伝えられるようまとめてみましたので、ご覧下さい。

第十五幕「偽物本物大捕物」

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 スーパー戦隊シリーズならば、大体1シリーズにつき1エピソードは制作される「偽者編」。そのターゲットに選ばれたのは千明でした。

 通常、「偽者編」はややコミカルなエピソードになり、ドタバタ劇に収斂していくケースが多いという印象がありますが、本エピソードは意外と重くて真面目。それは、千明をターゲットにしたからに他なりません。


 千明が選抜されたことにより、千明のチーム内における微妙な立場が強調されます。この時点で、シンケンジャー5人は強い結束を固めてはいたものの、千明は稽古中にふざけることもあれば、和を乱す行動をとることもあったわけです。そんな千明が偽者と摩り替わり、今度はその和から逸脱するような行動をとったとしたら...。

 劇中では、それがシミュレーション的に展開され、千明はどんどん孤立していきます。偽者で大騒動になるのではなく、静かに千明の信用が失われていくのがそら恐ろしいわけで、そのある種の静けさが本エピソードに重厚な雰囲気をもたらしているのです。


 ただ、そうやって孤立していく千明を見るにつけ、やや寂しい気持ちになるのも確か。これまで綿密な計算の元で築かれてきた強い結束、仲間意識といった要素は、千明の表面的な言動だけで崩壊していくわけで、やや軽薄です。普段の千明と何かが違うと気付く者が誰も居ないのは、少々底が浅いのではないかと思えます。丈瑠にしても、一応内心引っ掛かっているという描写があるにしろ、それは卓抜した侍としての勘という印象でまとめられ、信頼関係の表出という雰囲気は、結局最後まで登場しません。

 累積してきた心情描写が、バラエティ編でやや異なる傾向を示すことは、まぁよくあることなのですが、「シンケンジャー」はあまりにも心情描写が深かった為、ちょっと違和感を感じてしまうのは致し方ないところでしょう。そういった意味でも、バラエティ編の在り方を感じさせる一編でした。


 全体的な演出や演技プランといったところでは、もう職人芸の域に達していますので、安心して見られる高い水準です。特に、千明役の鈴木さんの本物と偽者の微妙な演じ分けは素晴らしく、本来の千明にある大胆不敵さが、違う面を見せるあたりは是非注目したいところです。勿論、特撮による自然なドッペルゲンガー描写も秀逸。


 では、見所をまとめてみましたので、どうぞ。

第十四幕「異国侍」

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 侍という、いかにも日本的な世界観の中に、典型的な外国人を飛び込ませて笑いを得る、コメディの王道をなぞるエピソードです。


 メインは流ノ介。しかし、ゲストであるリチャードのインパクトがあまりにも強すぎて、やや霞んでしまった面も否めません。一方の、リチャード関連のコミカルな描写は完成度も高く、シニカルでない直球の笑いを提供。誤解したり逸ったり名乗りに乱入したりと、戦隊シリーズにおける異色コメディ編の要素を巧く散りばめ、その彩りを華やかにしています。


 メインライターを離れたバラエティ編突入ということで、シリーズの色の濃さをどれだけ踏襲しているかという興味もあるところですが、それに関しては及第点だと概ね評価できるでしょう。ただし、小林脚本程の「キャラクター愛」が感じられるかと言えば、そうでもなく、むしろスーパー戦隊シリーズの基本的な語法で「シンケンジャー」を語ってみたという趣。逆に言えば、「シンケンジャー」の世界観の上で、こうも作れるというサンプル的な感覚でもあります。サラッとしているんですね。

 それが良いか悪いかは別としても、4クールの長丁場を乗り切るには、一貫したテーマの周囲を様々な変化球が飛び交う必要があるわけで、その変化球1球だけをとって路線の安定性を論じることは出来ません。むしろ、「こう来たか」と楽しんでみるのが正しい見方でしょう。何だか毎年同じようなことを言ってるような気もしますが(笑)。


 それと、流ノ介がセンターに立つ図には、かなり違和感が。

 他の戦隊ならば、特にセンターが入れ替わっても、ちょっとしたパターン破りで済まされるのですが、「シンケンジャー」ではセンターが特別な位置であり、それは丈瑠という「殿」の「座」ですから、物凄く違和感があるわけです。ここはあまりパターン破りして欲しくなかったというのが本音です。


 とりあえず、リチャードと流ノ介のやり取りが面白く、そしてちょっとジーンと来る(これ大事)一編。

 見所をまとめてみましたので、ご覧下さい。

 なお、当方3日程寝込んだ後の病み上がりですので、ややパンチがなくとりとめのない文章になってしまっていますが、何卒ご容赦下さい。

第十三幕「重泣声」

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 今回より雰囲気はバラエティ編ですが、メインライターである小林靖子さんが、文字通りメインライターらしい仕事をしてくれた快作になりました。

 全編にギャグが散りばめられて、華やかかつ楽しい雰囲気なのですが、しっかり茉子の新しい面も引き出し、ことはとの絆の深さも描写。男性陣を行動不能にしておくことで、ダブルヒロイン大活躍編としても仕上がっています。正に快作。


 結局、小林さんはメインライターとして、1クール丸々執筆されたわけですが、第十二幕までで各キャラクターの機微を丁寧に描きながら、シンケンジャー全体の結束を含めていく様子を描き出してきました。

 今回は、これまでとはちょっと趣が異なり、結束といった重いテーマは扱っていません。しかしながら、茉子の凛とした佇まいからふとこぼれ出す「弱気」を描き、逆に気丈なことはを描くことで、支える-支えられる関係を双方向とし、重層化しています。


 振り替えれば、1クールの肝は、「双方向」ということであり、それは、主従関係という一方的なものに対するアンチテーゼでありながら、その主従関係を補強するものでもありました。

 前回までで丈瑠と他のメンバーの双方向性が遺憾なく描かれたのはご周知の通り。今回は、擬似的な姉妹関係を構築している茉子とことはの双方向性を見せたエピソードとして、高く評価出来るかと思います。


 こんなことを書いてしまうと、何だか重そうな感じになってしまいますが、見所の大多数はユーモラスなシーンであり、特に丈瑠が意外な表情を見せるあたりは特筆すべき点でしょう。このエピソードの凄いところは、それらがユーモラスでも全体が緊張感を失わないことで、しかも、単なるおふざけではなくちゃんと物語上で機能していることです。このあたりにしっかり視線を向けることにより、メインライターが果たした秀逸な仕事を垣間見ることが出来ます。


 散りばめられたネタが、いわゆる「古典」からの引用で成り立っているのを見つけるのも一興。

 料理、子供とのお遊戯、怒るヒロイン...。それぞれが円熟した面白味を発揮しています。


 では、その「いい仕事」を見ていきたいと思います。

第十二幕「史上初超侍合体」

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 1クールは通常13話ほどになるのですが、次回の話の骨子を眺めた時、一応、今回で一旦の一区切りとなるようです。

 というわけで、今回は前後編の後編でもあり、「シンケンジャー結成編」の最終話でもあると言えます。


 これまで、殿と家臣という特殊な関係を巡り、様々なドラマが繰り広げられてきました。

 ある者は主従関係に反発し、ある者は主従関係に苦悩したわけですが、それでも各々が感じるままに結束を固めていったのです。


 ところが、丈瑠だけに特殊な能力があることが判明したことで、この結束に揺れが生じました。それが前回です。

 志葉家独自の能力が分かり、尚更丈瑠を守らなければと決意した、流ノ介とことは。茉子と千明もそれは同じですが、流ノ介達とは微妙に丈瑠に対する感情が異なります。

 それは、流ノ介とことはに見られる、丈瑠との直列的な関係と、茉子と千明に見られる、丈瑠との並列的な関係とに分類出来ます。つまり、主従か仲間か。これが、今回のシンケンジャー再結束のキーとなります。


 結果だけ言ってしまえば、主従関係は絶対的に存在したわけですが、それは一方的なものではなく、双方向に作用する関係であるからして、仲間という並列的な関係にも置換可能なものだという方向性が示されたのです。

 これはスーパー戦隊シリーズにおける、レッドの突出性と全メンバーの等価性を巧く解決してみせる新しい手法だと私は思いました。ここに至るまでを、各々のエピソードのカタルシスや完結性を損なうことなく、1クールかけて丁寧に描いてきたことを振り返ると、非常に感慨深いものがあります。


 では、この屈指の感動作を見ていきましょう。今回も見所を頑張ってまとめました。

第十一幕「三巴大騒動」

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 何話かにわたって爽やかな成長物語を描いてきましたが、ここにきて突如重苦しい雰囲気のエピソードが登場。

 丈瑠の秘密を明かし、それに対する敵味方各々の反応をつまびらかに描き、それが折り重なっていくことで壮絶な戦いが生まれるという様子を重厚に描いていきます。


 一応メインを張るのは丈瑠。しかし、丈瑠の心情描写に関するセリフやモノローグといったものは一切なく、その心情は丈瑠の表情や行動から読み取るしかありません。

 メインに据えながら、視聴者との距離を一旦離して見せることにより、丈瑠の「殿」という特殊な存在としての苦悩や葛藤といったものを、より強調しています。これは巧い。


 また、今回は、重要な「志葉家の秘密」が明らかになり、先代シンケンジャーの戦いも少しだけ回想という形で描写されます。

 これが実に悲壮で悲惨。「シンケンジャー」のバックボーンは非常に重いドラマになっていますが、今回はそれがこれまでで最も活写されたと見ていいでしょう。


 後半は、丈瑠を狙うウシロブシと十臓を交え、サブタイトルどおり「三つ巴戦」に。

 この三つ巴アクションが本当に凄まじく、JAEアクションの新しい可能性を垣間見せた歴史的瞬間だと断言出来ます。勿論、アクションの内容自体は熟達したオーソドックスなアクションテクニックの組み合わせになっていますが、その組み合わせ方の巧さ、完璧に計算された三者の動きなど、見た目で戦いの意味を納得させるパワーが凄いのです。

 この三つ巴戦を見るだけでも、価値があります。


 では、見所満載の今回を整理してみましたので、どうぞ。

第十幕「大天空合体」

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 シンケンジャーで最も実力に後れを取っているという設定の千明。故に千明編は順当な成長物語として制作される為、その熱さや爽やかさも一際です。

 今回は、千明だけではなく彦馬にもスポットが当てられており、千明と彦馬の関係がクローズアップされてきます。


 物語も10話を数えてきた故か、既に千明の実力は相当なレベルへと達しており、決して一歩遅れているというわけではないことも描かれます。その陰に隠れた千明の努力にも触れられており、彼のキャラクターに大きな強さが備わり始めています。

 そんな千明のブレイクスルーに至る過程を、ダイテンクウと絡めて描くことで、人間ドラマと新メカのプロモーションを巧く融合させており、これまた完成度の高い一編に仕上がりました。


 今回の千明と彦馬の物語は、かなりスポ根モノの展開を踏襲しているように思います。

 とにかく根性根性のコーチと、なかなかスランプを抜け出せない選手。こんな感じの、スポ根モノの構図に当てはまるのです。この場合、スランプを抜け出す為にさらなる練習を積むパターンと、視点を変えることでスランプを突破するパターンとがあるわけですが、今回の千明は後者に該当すると言えます。

 視点を変えるというのは、例えばクサいところで言えば木の葉が舞い落ちる様子を見てヒントを得るとか、そんな感じなのですが、今回その役割は、丈瑠が担っています。といっても、実際には丈瑠の態度によって考えを変えてみた彦馬が、千明にヒントを与えるという展開です。この重層感が非常に良いのです。


 一方で、ダイテンクウの存在は冒頭から丈瑠の口より語られ、ダイテンクウを到達点とすることが明言されます。つまり今回は、紆余曲折ありつつもダイテンクウへの道が初めから厳然と通されており、文字通り一本筋の通った物語を形成しているわけです。

 当エピソードの完成度の高さは、そんな強固な物語構造からも伺えます。


 千明ファンのみならず、彦馬ファンも大満足の今回。

 千明と彦馬の見所を中心に振り返ってみました。