Episode 23 宿命 -サティスファクション-

 姫矢はウルトラマンに変身、ビーストを迎撃する。だが極度にエネルギーを消耗したウルトラマンは、ビーストにダメージを与えることなく姿を消してしまった。姫矢は孤門の救助を断り、ストーンフリューゲルで姿を消す。必死に止める孤門だったが、凪は彼が望むようにさせるべきだと言う。

 姫矢が普通の人間ではないのを知りながら、孤門が彼を信用することが出来たのは、子供の頃に溺れかけたとき、宇宙人に助けられたからだと言う。一方の凪は子供の頃人間に擬態したビーストを見ており、それが姫矢を簡単に信じられなかった原因なのだが…。

 イラストレーターは、ビーストの出現ポイントが溝呂木からのメッセージだと解き、「ゲマトリア解釈法」で「七つ目の封印が解かれしとき、深夜0時、闇の扉は開き、終焉の地へと通じる」というメッセージを導き出した。同じ頃、根来が会ったUFO研究家たちも、東京地下の秘密通路の配置から同じメッセージを解いていた。終焉の地への扉は、新宿中央公園。

 午前0時を前にナイトレイダーはスクランブル。一方、東京地下を探索する根来はビーストに襲われるが姫矢に助けられる。「もう誰の死も見たくない」と言う姫矢は、宿命と戦っているのだと根来に告げ、ウルトラマンへと変身する。「終焉の地」で始まるウルトラマンの死闘。恵は溝呂木によってその光景を見せられている。ナイトレイダーは開いた闇の扉を抜け、「終焉の地」への突入に成功する。

 だが、ウルトラマンの命はもはや風前の灯であった…! 突入を果たしたナイトレイダーが見たものは、磔にされたウルトラマンだった。

解説

 前回の静けさとは打って変わって劇的に話が展開する「姫矢編クライマックス・前編」。実は今回の構造は、前回とは全く逆の構造。前回は姫矢の時間がゆっくり流れている間に周囲が展開していったが、今回は周囲の時間がほぼストップしている間に姫矢の「危機・決意・迎撃・敗北」が圧倒的なスピード感を伴って描かれる。

 今回はとにかく、痛々しい姫矢とカッコいい姫矢が存分に堪能できるエピソードである。極度に消耗して歩行もままならないウルトラマンの人間体という描写は、ウルトラシリーズ中では意外と多いのだが、姫矢ほどの危機感を伴ったものは他に類を見ない。それは、従来のシリーズにあった「ウルトラマン=主役」の図式に依存しない姫矢ならではだろう。一方で、ここまでの消耗ぶりが姫矢の決意を極限にまでひき立てる。これは「セブン」最終回でダンが見せた自己犠牲の精神と同じように見えるが、姫矢の場合は少し異なる。

 姫矢が、自ら宣言しているように「自己の宿命」と戦っているのだとすれば、自己犠牲というよりむしろ自己の崇高な欲求に素直に従ったと解釈できないだろうか。姫矢は大きなトラウマを抱えた人間であり、突然大きな力を持ってしまった彼が、そのトラウマから逃れるために自らの命を厭わず戦ってきたのである。彼にとっての「宿命」とは、「自分の周囲が危険に晒されること」であり、そこから抜け出す為には自らが周囲の人を危険から遠ざけるべく戦わなければならない。「宿命」という日本語タイトルに「サティスファクション」という全く意味の違う横文字タイトルを付けたのは、字面どおり彼の「欲求」を「満足」させるための戦いだということなのかもしれない(本当は「贖罪」というキリスト教的な由来なのだろうけど)。

 ところで、今回はファンがニヤリと来そうなシーンが色々と散りばめられていた。まず、姫矢が凪に見せた笑顔。分かり合えたわけではないが、何となく互いの内面を理解したかのような一時だった。また、溺れかけて何者かに助けられた過去を、何と「宇宙人に助けられた」という突拍子もない解釈で秘めていた孤門。これはある意味ウルトラらしいシーンだった。さらに、根来が何気なく抱えた器物が「ティガ」に出てきた「ユザレのタイムカプセル」に激似だったこと! そして、ウルトラマンが磔にされたこと。「磔」はセブン、帰マン、A(の兄弟)など枚挙に暇がないが、ウルトラヒーローの危機の代名詞的な意味合いを充分理解した上での演出が嬉しい。

 さて、いよいよ次回は姫矢編のクライマックスだ!