世界観

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  • トランスフォーマーの世界

     トランスフォーマー(以下TF)とは、惑星セイバートロン(英名 : Cybertron)で誕生した、超ロボット生命体である。そのオリジンはクインテッサ人(英名 : Quintessons)の手によると伝えられ、元々はクインテッサ人の労役ロボットであった。

     やがて、労役ロボットの中から変形能力と武装を持つ新世代のロボットが誕生する。それが後のデストロン(英名 : Decepticons)であり、クインテッサ人はセイバートロン星を追われてしまう。

     デストロン軍団には、カリスマ性と最強の武力を兼ね備えたリーダー・メガトロン(英名 : Megatron)が現れ、セイバートロン星の支配を進めていった。この武力による支配に対し、密かに反旗を翻そうと画策したのが、最初期のTF・長老アルファートリン(英名 : Alpha Trion)であった。

     アルファートリンは、勇敢にもメガトロンに立ち向かって瀕死となった青年オライオン・パックス(英名 : Orion Pax)とその恋人エイリアル(英名 : Arial)を、それぞれコンボイ(英名 : Optimus Prime)とエリータ・ワン(英名 : Elita-One)に改造して蘇生させた。

     新たな能力を得たコンボイは有志によりサイバトロン軍団(英名 : Autobots)を結成。エリータ・ワンはその女性部隊を率い、長きにわたる戦いは始まった。

     戦いが長引くにつれ、セイバートロン星ではエネルギーが枯渇。新たなエネルギー・フロンティアを求めて、サイバトロン軍団はセイバートロン星を飛び立つ。しかし、デストロン軍団がそれを追撃。両軍の船は相討ちとなり、地球へと落下した。両軍のTFは、その機能を停止してしまう。

     

     そして、400万年後の1984年、TFたちは火山の噴火によって覚醒し、地球において、エネルギー強奪を目論むメガトロン率いるデストロン軍団と、それを阻止しようとするコンボイ司令官率いるサイバトロン軍団の戦いが開始された。

     

     時は過ぎ、バイナルテック計画が実行に移されたのは2003年。

     

     戦闘で重傷を負ったスモークスクリーンが、バイナルテック・プロジェクトの被験者第1号に選出された・・・。


  • バイナルテックとマスターピースの位置づけ

     バイナルテック・シリーズは、上に掲載したストーリーのように、1984年に開始された初代TFのアニメとその続編である「トランスフォーマー・ザ・ムービー」・「トランスフォーマー2010」の間に位置付けられている。ただし、「ザ・ムービー」は海外版設定では2005年、「2010」の海外版設定は2006年の出来事となっており、「ザ・ムービー」では大半のキャラがそのままの姿で登場することから、明確に外伝的な扱いとしても差し支えないであろう。

     しかしながら、実時間とリンクしつつ、TF時間軸のある意味「隙間」とも言える位置に設定することにより、その現実感を飛躍的に高めている点は特筆に価する。この絶妙な現実感が、トイ実物のリアル感との相乗効果で独特の世界を作り出していることに異論はないだろう。バイナルテック・シリーズは、まさにタイミングと技術の蓄積が生んだ奇跡なのだ。

     もう一つ、バイナルテック・シリーズの世界観については特殊な事項が存在する。それは、「セイバートロン・テクノロジーと地球人のテクノロジーの産物」という点。TFでは「2010」のあと「リバース」というエピソードで、ロボット生命体としての限界値を突破すべく人間と一体となるというストーリーが展開されるが、それとは全く違う形でTFと人間の協力体制が実現するという夢のある世界観だ。具体的には、世界の自動車メーカーの協力を得て、より駆動力の高いカーモードと、エネルギー効率の高いエンジンを手に入れるというものなのだが、実際のトイの開発においても自動車メーカーの協力を強調している。ストーリー面と開発面を両立させた、タイアップの美しい形と言ってよいだろう。

     

     そして、マスターピース・コンボイの登場である。

     タカラ公式サイトでも、「バイナルテックと同スケール」という記述が存在することから、マスターピース・コンボイにはバイナルテック・シリーズと絡ませる意図があったことは明白。発売されたトイも、ダイキャストをふんだんに使った贅沢な仕様が示すとおり、バイナルテックの仕様と共通する点が多い。

     これは素直に、「バイナルテックの世界に存在するコンボイ司令官」という認識に立って良いのではないか。ただし、コンボイ自身が自動車メーカーの協力によって生まれ変わったわけではないので、「本来のコンボイの姿に忠実なトイ」として開発されたと考えれば、納得がいくというものだ。バイナルテックの世界に立ちながら、最もオリジナル(アニメ)に近いという、まさに「究極のコンボイ」。それがマスターピース・コンボイである。


  • バイナルテックとマスターピースのその後

     何とバイナルテックにデストロン陣営が登場した。初代TFで、スタントロン部隊の一員として活躍したデッドエンドがそれだ。さらにその後、元コンバットロン部隊のスィンドルもラインナップ。

     デストロンが登場することについては歓迎なのだが、初代TFにおけるデストロン軍団には車に変形するメンバーが少ないため、あまりデストロン側での広い展開は期待できない。ただし、サイバトロン側ではグリムロックという恐竜ロボがラインナップに加わり、ビークルモードを持つキャラクターにこだわる必要もなくなりつつある。となれば、デストロン軍団の充実もある意味期待できると言えよう。その証拠に、元カセットロンのジャガーが、その未来の姿であるメタルス・ジャガー(ビーストウォーズに登場)との融合を果たしてバイナルテックで復活した!

     また、バイナルテック・アスタリスクなる派生シリーズも登場。そのマニアックなキャラクターセレクトにより、世界を広げた。

     実はマスターピースでもデストロン側にはかなり不利である。マスターピースについては、アメリカの情勢を考えると、第一候補たるメガトロンのように実在の銃に変形するようなアイテムは発売しにくいという背景があるからだ。

     ならばガルバトロンなら! と思う向きもあるが、コンボイがいるならば相手はメガトロンではないかとするファンの思い入れもあるため、ラインナップのプランについてはかなり苦慮されているのではないか、と推察する・・・。

     なお、デストロン側のマスターピースは、ファン待望のスタースクリームが発売されている。しかも、あらゆる障壁を乗り越えてマスターピース・メガトロンが発売された! マスターピース・シリーズの未来は明るい。


  • トランスフォーマー・キスぷれ

     一時沈黙状態となったバイナルテック・シリーズの次なる展開を待ちわびていたファンは、新たな展開に驚愕した。

     文化放送でオンエアされるプログラムの1コーナーとして、ラジオドラマ「トランスフォーマー・キスぷれ」が放送されたのだ。それに伴い、バイナルテック・アスタリスクに酷似したフォーマットの元にトイ展開が成された。第一弾は、何とコンボイである。

     実際のラジオドラマでは、「キスプレイヤー」と呼ばれる少女達が、トランスフォーマーにキスすることで、特殊能力を付加するという設定が展開され、それ故の「萌え」要素にスポットがあてられている。

     ところが、裏に存在する設定は相当にハードなもので、ユニクロン戦争は回避されておらず、バイナルテック世界とは全く異なる世界観で展開している。

     

     さて、今後いかなる展開を見せるのか…。