Episode 35 反乱 -リボルト-

 メガフラシが市街地に現れたことで、来訪者のポテンシャルバリアは弱まってしまった。来訪者たちの怯えを聴く吉良沢。その頃、海本はプロメテの子たちから「ラファエル」完成の報を受け取るが、何者かによって狙撃されてしまった。さらに、松永管理官は絶命寸前の憐を回収し、姫矢の時と同様に徹底的な調査を行おうとしていた。孤門は瑞生から連絡を受け、実験を止めさせようと決意。その決意は隊長をはじめナイトレイダー全隊員に伝わった。

 松永は、「デュナミストは光の容れ物」と主張するが、和倉は「光を力に変えるのは人の意志」として反論する。ナイトレイダーは突入を決行し、憐を確保。フォートレスフリーダムの管制を掌握した石堀のバックアップを得て、憐をフォートレスフリーダムから連れ出すことに成功する。必死になる松永に、吉良沢はナイトレイダーの拘束よりも有効活用を優先すべきだとアドバイスする。脱出したナイトレイダーは林の中に身を隠した。石堀は一人コンソールを操作し微笑む。それを訝しげに見つめる詩織…。

 憐の元へ駆けつけてきた瑞生に、孤門は憐の命が短いことを告げる。憐は見守る二人に語った…。ただ人を心配させて悲しませ、「ラファエル」が出来るまでひたすら待つという日々に耐えられず、憐は日本へと逃げ出してきたと言う。突如自分に光が降り注ぎ、人を守ることができるようになった充実感を感じていたのだとも。長くない命を知りながら、憐は戦いたいのだった。

 メガフラシは再び活動を開始。ニュータウンにはアンノウンハンドの反応が。戦地に向かう憐に、凪は「生きる為に戦いなさい」とアドバイスする。ウルトラマンとなった憐は、メタフィールドを展開しようとするが、ガルベロスに阻まれる。2大ビーストとの苦しい戦いが始まった。しかし、死に急がない戦いを展開するウルトラマン=憐と、ナイトレイダーとの素晴らしい連携によって、2体のビーストは粉砕された!

 ところが、勝利の余韻を感じる間もなく、新たなビーストが空の裂け目より舞い降りる…!!

解説

 前回に続いて鳥肌ポイント満載のエピソード。「怒涛のクライマックス」というコピーがまさにピッタリはまる。

 前回は謎の解明に次ぐ解明によってそのテンションを凄まじく高めていくという、フィジカルな面を強調していたが、今回は憐のドラマ完結に向けて、憐自身の過去に関する情報の決着をつけつつ、憐の周囲の人々の「絆」を描くという、メンタルな面を強調していたと言えよう。それは、名ゼリフ大放出というとんでもない結果となって現れている。

 まず筆頭は孤門の「僕たちは何かを守っていると信じて戦ってきた。憐もそうです。憐はずっと僕たちと一緒に戦ってきたんです!」と言うセリフ。これは実はナイトレイダーに配属された当初からの一貫した姿勢だ。時に様々な闇の誘惑に惑わされながらも、モチヴェーションとして抱き続けてきたポリシーが、ここに来てウルトラマン(デュナミスト)とナイトレイダーの固い絆をもたらすという結果を生む。

 続いては和倉隊長の「彼は我々の仲間です」「我々はウルトラマンを解放する!」という熱いセリフ。和倉は命令に忠実な男でありながら、自らの信念や感覚といったものには絶対の自信を持っていた。これも当初から変わらない姿勢であり、TLTに反旗を翻す結果になったとしても、正しいと信じたことは貫き通すという今回の行動に何ら違和感を感じることはない。また、松永とやりあった時の「デュナミストは単なる光の器なんかじゃない」という言葉は、姫矢との出会いがもたらしたものであるのは明白で、ことさら感慨深いものだ。

 次は凪の「生きる為に戦いなさい。たとえ明日がなくても」というセリフ。溝呂木の死に際して言った「人間として生きて罪を償って」というセリフからの繋がりが色濃く感じられるが、溝呂木に対して言ったセリフは、あくまで凪の感情が素直に吐露されたものであり、今回のセリフは重みが全く違う。姫矢、(再登場時の)溝呂木、沙羅と出会っていき、「憎しみ」から開放された凪は、「何かを守る」という目的を共有する憐との「絆」を確認したのだ。

 他にも細かい秀逸なセリフは色々あるが、あえて吉良沢の「よしっ!!」に止めを刺す。憐に対する思いが非常に強く伝わる一言だったからだ。次点は詩織の「いっしー」か(笑)。

 さて、前回の解説でも述べたが、もう狙っているとしか思えないウルトラマンのバトルシーンについて。夕日が浮かぶ情景で、2大ビーストにはさまれるウルトラマン! これは言うまでもなく「帰マン」のグドンとツインテール編と同じ構図だ。ウルトラマンの仕草まで似ているのが凄い。さらに格闘ではガイアのスプリームバージョンを思わせるラリアットが決まり、ガルベロスを両断した流れ斬りは初代マンがジラースに決めた技を思わせる。「狙っている」のはほぼ明白。しかしそんなシーンを喜々として見つめてしまうのはウルトラファンの悲しいサガ。ここは素直に喜びたい。

 なお、バトルシーンには、ドラマで描かれたウルトラマンとナイトレイダーの固い絆が持ち込まれ、ウルトラ史上1、2を争う美しい連携プレイが炸裂する。この特撮と本編の繋がりこそが円谷特撮の真骨頂。特撮版と本編版の「固い絆」が成せる業だ!