SirMilesのマニアックな日々

ドラえもん劇伴のひみつ?

 レンタルで、

 ↑を聴いているのですが、以前から気になっていた事が、概ね正解だったのです。

 それは、「大山ドラの劇伴は、殆どハ長調である」という事。

 主題歌の最も有名なバージョン(大杉久美子、山野さと子版)は、ニ長調なのですが、この主題歌アレンジを含め、殆どの劇伴音楽がハ長調なのです。

 初期ドラをレンタルDVD等で見ると、エキセントリックな作画があったりする割に、物凄い安心感が根底に流れていたりするのですが、その一端は、この「ハ長調」が担っている気がしてなりません。

 大山ドラの劇伴は、名匠・菊池俊輔先生の手によるもので、ダイナミックプロ作品や昭和ライダー、暴れん坊将軍を始めとする時代劇作品といった、錚々たる作品群で有名ですが、菊池先生の真骨頂は、実はギャグアニメ劇伴の優美なメロディではないかと思うほど、ドラえもんの劇伴は神懸っております。

 その菊池先生の方針だったのか、それとも単なる偶然なのかどうかは不明ですが、大山ドラ期の劇伴は、基本的にハ長調で統一されているのではないかと思うのです。

 スリル・サスペンス用の曲は、必然的に短調になるものが用意されていますが、ここにはハ短調が使われており、ハ長調とは同主調。かなり徹底されているように感じます。

 しかも、サブタイトルや1小節程度のブリッジでさえ、ハ長調(という解釈に無理がない)。

 ちなみに、エンディングテーマは、「青い空はポケットさ」、「まる顔のうた」がハ長調。「ドラえもん音頭」はイ短調(ハ長調の平行調)。最初期はかなり意識されているように見受けられます。ついでに「ぼくドラえもん(あたまテカテ~カ♪)」もハ長調です。

 ある時点から、キャラクターソングのアレンジバージョンが登場してきますが、頻出するのび太のテーマ(の~んびりのび太の毎日は~♪)もハ長調。

 面白いのは、ジャイアンのテーマ(おっれ~はジャイア~ン♪)だけ劇中アレンジバージョンはニ長調(原曲は変ホ長調でハ短調の平行調)。なので、ジャイアンが登場した時だけ、異様な緊張感が醸し出されるという、面白い効果が発揮されます。

 単なる偶然かも知れませんが、結果的に概ねハ長調で統一されている為、ドラえもんを見ていると、劇伴が組曲のごとくスムーズに繋がっており、見る者に大きな安心感を与えます。

 ハ長調自体は、鋭角でも鈍角でもない響きを持っているのですが、ある意味、音楽教育上、最初に触れる調である為、それ自体も安心感に繋がっているのかも知れません。音楽心理学を知っているわけではないので、あくまで推測ですけど。

 あと、主題歌である「ドラえもんのうた」は、前述のとおりニ長調ですが、これが劇中に流れると、突如クライマックス感が生じるんですよ。同じ作曲者、同じアレンジャーであっても、「特別感」が漂うのは、いきなり違う調の曲が流れるから…ではないかと思うのです。

 というわけで、菊池先生の「計算」を感じたわけですが、真相はどうなんでしょうかねぇ?

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