SirMilesのマニアックな日々

快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー #9「もう一度会うために」

 新ガジェット登場編のフォーマットではありますが、近年は新ガジェットが数回に一度の頻度で登場することもあって、一工夫も二工夫も必要になっています。

 今回はその「工夫」がドラマ重視という方針に振り切られており、三つ巴構造が織りなす重層的なドラマに目を奪われっぱなしになりました。

狙われるゲスト

 正に定番のシチュエーションです。

 戦隊シリーズでも、ゲストとして現れる人物の持つアイテムが、何かしらパワーアップの鍵として機能する設定となっていて、それをなかなか渡してくれない & 察知した敵に狙われるという状況は百出しており、ある意味この状況に則ればドラマは自ずと生じるという面すらあります。

 今回が一味違うのは、そのアイテムが収集を一片たりとも欠くことのできない一群(要はルパンコレクション)の中の一つであること、そして、その入手のために主人公が誠実な態度でゲストの説得を試みるのではなく、ゲストの隙を窺うこと。

 これらの違いが今シーズンならではの空気感にマッチしていて、ギャングラーからの奪取一辺倒からは外れたエピソードでありながら、魁利のメンタリティにまで斬り込む迫力を醸し出していました。

 ゲストであるエマ・ゴルディーニの持つペンダントが、実はルパンコレクションではなかった…というオチを私は予想していたので、本当にルパンコレクションだったことに驚くわけですが、なるほど、ルパンコレクションじゃなかったら、魁利のトラウマと、姉との関係をこじらせているエマとを巧く対比できませんよね。

 なお、今回の隠れた見所は、警備員に素早くなりすます魁利の変装術。変装術と言っても、コグレさんのように完全に顔を変えてしまうわけではなく、「スパイ大作戦」におけるマスクなしでの潜入のようなテクニック。痺れますね。しかし、あんな髪の色の警備員は滅多にいないようにも思いますが(笑)。

罠を張る国際警察

 今回の怪人であるブレッツ・アレニシカをおびき出すべく、ニセのペンダントを用いて大々的な催しを打ち立て、見事に成功するパトレンジャー。

 エマと魁利の駆け引きが行われている間に、別立てで警察のシナリオが進行していき、それが成功して彼らの優秀さも際立つというのが素晴らしい。

 三人の「変装」も三者三様で良く、つかさの麗らかな「正装」にときめいた諸氏も多かろうと思います(笑)。

 そして、いつもならば警察の罠をまんまと利用するはずの快盗ですが…。

許されざる失敗

 これまで、ギャングラーから常に華麗な盗みを達成してきたルパンレンジャー。折に触れ、彼らの失った大切な人物がクローズアップされ、例えば今回は魁利が兄の間に壁を作っていたが故に、二度と会えない深い悔恨の念が生じたと回想されていましたが、それら苦悩の部分は華麗な盗みによってカバーされてきました。

 しかし、その華麗な立ち振る舞いの裏で、ルパンコレクションの収集は、一つとして欠くべからざるものだったのだと印象付けられたのが今回の「収穫」です。

 ブレッツは事情を与り知ることのないパトレンジャーによって、コレクションごと撃破されてしまい、これで「一つを欠いた」ことになってしまいました。

 それはつまり、失った人々が戻らないことを意味します。一度の失敗が目的の破滅を招く。それ故、魁利たちの「戦い」は常に背水の陣だったことを物語るわけです。

 今回の顛末により、イデオロギーの面でパトレンジャーが完全に「敵対者」たる存在になったのも大きいですね。欠くべからざるものを跡形もなく破壊してしまったのですから。

 はっきり言って、凄絶です。

 紆余曲折あったとは言え、エマを(心身共に)救い、新しいコレクションを手に入れて意気揚々とジュレに帰ってきた魁利を待つ絶望…という落差が形容しがたい冷ややかなショットで捉えられ、次回へと繋いでいます。

 透真と初美花が「失敗」し、魁利が「成功」したという状況が、次回のドラマにどう作用していくのか、楽しみですね。

次回

 というわけで、エマ関連の爽やかなシーンを一転させて実に陰鬱な幕引きとなった今回ですが、次回はいよいよ「仇敵」との邂逅。この、早すぎるとも思えるタイミングで、どう展開するのか興味は尽きません。

 

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