SirMilesのマニアックな日々

快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー #10「まだ終わってない」

 前回のラスト、衝撃のルパンコレクション消滅には、驚かされました。

 ここからどう体制を立て直すのか…が今回の肝となるわけですが、ブレッツ生存という悪く言えば「ぬるま湯」な解決を採用しつつも、ドラマは見事に重厚。

 そこには仇敵ザミーゴの本格登場が効いたわけですね。

まだブレッツは死んでない

 いわゆる今回の「優しいオチ」を体現したブレッツ。瞬時に脱皮する能力があり、死を偽装していました。鹿モチーフで脱皮? と思いましたが、角の皮を剥く習性がモチーフなのでしょうか。

 その偽装がほぼ完璧だったのは、快盗も警察も欺かれていたことから一目瞭然。ルパン側に至っては、一旦絶望に叩き込まれたのですから、実に罪深いヤツです。

 巧いのは、その「偽装」に快盗・警察双方が違和感を感じ、ブレッツの生存を確信するくだり。しかも、それが「巨大化しなかった」というパターン逸脱に基づいているあたり、戦隊ならではと言えるのが熱い。

 黎明期にして、バトルケニアが敵の巨大ロボを目にし、毎回「また出やがった」とグチる定番シーンがあったように、シリーズの長い歴史の中でいくつかの例外を盛り込みつつも、定番化している「巨大化」。今回はいわゆるマンネリなパターンを逆手にとって、違和感の根拠とするところにセルフパロディすらも視野に入っているような、そんな凄味を感じました。

まだ途は閉ざされてない

 魁利は、ルパンコレクション収集の途が閉ざされても、ザミーゴ自体の打倒でルパンレンジャーの目的を果たすことができるのではと考えます。

 そのヒントを授けたのが、圭一郎だったというのが良い!

 魁利がルパンレッドであることを知らない圭一郎は、純粋に行き着けの店に居る一風変わった青年を心配し声を掛ける(いいヤツ…)わけですが、その何気ない会話の中にヒントが織り込まれている(春にはヘンなヤツが現れる → 氷を喰いながら歩いているヤツが目撃された)という淀みなさ。

 魁利はその「情報提供」にちょっとした恩義を感じ、エピローグで来店した圭一郎に親しみを込めたもてなし(「圭ちゃん」呼ばわり! 中川かよ! 宮本充さんいらっしゃいますし・笑)をするという、実に良いシーンも見られました。

 基本的にポリシーを違えて明確な対立構造を取る二人が、急激に精神面でも接近したような、何とも形容し難い余韻がありましたね。

まだ諦めてない

 一方、初美花はルパンコレクションの破片でも残っていないかと、現場をつぶさに調べ始めます。この「往生際の悪さ」に呆れていた透真も、やがて破片一つないことに違和感を感じるに至るわけです。

 初美花はさらに、咲也に近付いてブレッツが巨大化したか否かを聞き出し、遂にブレッツ生存を確信。パトレンジャーを利用して生きていたブレッツの元に辿り着くに至ります。咲也を利用する初美花の小悪魔ぶりが良い!

 魁利にザミーゴを単独で追わせておき、責任を感じている二人がコレクション再収集の可能性を探る。優秀なメンバーが各々やるべきことをやるという、実に戦隊らしい筋運びが素晴らしいですね。

 結果的に、魁利と透真&初美花が辿り着いたのは同じ場所だったという予定調和的な展開には到達しますが、それでも別々に各々の目的を達成していく「並行戦」に見応えが有り過ぎて、逆に同じフィールドの少し離れた場所でなければ成立し得ない熱さに、まんまと視聴者は当てられることになるわけです。

まだ倒せない

 ザミーゴとの一戦は、ルパンレッドの防戦一方となりました。一発でも当たれば即座に凍死が訪れるという、「銃撃を受けてもスーツがあれば大したことない」戦隊においては、かなり珍しいシチュエーションで展開されます。

 新ガジェットが武装となり、巨大な盾でその銃撃を防ぐことができるようになる一方、やはりダメージを与えるような攻撃は未だ繰り出せないあたり、仇敵ならではの描写でした。そりゃあ、こんな序盤で退場しませんよね(笑)。

 愉快犯的な味付けもあり、引き際も「遊び終わった」という感覚。故に撤退のタイミングも容易となりました。実に不気味な雰囲気を入江甚儀さんが的確に演じていましたね。一発毎に銃を投げ捨てるのも面白いです。

まだ信用してない

 ラスト、コグレさんにザミーゴの情報を所望しようとして口を塞がれる初美花。魁利はコグレさんを全面的に信用しているわけではなく、ルパンコレクション関連で何かあった際の切り札として、ザミーゴの打倒という手段を温存しておくことにしたわけです。

 魁利のこの切れ者としての描写、彼の視線の強さも相俟って、結構怖い感じになっていると思うのですが、いかがでしょうか。やはり警察戦隊のクリーンでブライトなイメージと、コントラストを付ける意図を感じます。

 これまでのエピソードで、パトレンジャーがそのイメージ形成に寄与するシーンに恵まれたのに対し、ルパンレンジャーは情報を少なめにしてミステリアスな雰囲気を出していたので、今回は魁利、透真、初美花のパーソナリティを物語る多くの要素が盛り込まれており、その充実度に満足することになりました。

まだ今回のルパンコレクションについて語ってない

 今回のルパンコレクションは、ほぼそのまんま獣電池ですね。デザインと大きさはかなり違いますが。

次回

 次回はコスプレ回。しかもパトレンジャー側がそれを先にやってしまうという…。勿論、メチャクチャ楽しみですけどね。

 

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