SirMilesのマニアックな日々

快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー #39「こいつに賭ける」

 一週のブランクを経て、見応え充分のアクション編を展開。

 ザミーゴ絡みの要素がかなり明確になってきたことで、逆にこれまでのテーマが揺らぐという仕掛けが実に面白く、39話という3クール目のピリオドに相応しい動きが見られましたね。

イセロブ・スターフライド

 やっぱり生きていた海老怪人! まあ大方の予想どおりだったのですが、彼が生きているということ自体、ザミーゴの能力に関する情報を覆すものだったわけです。

 前回でも披露した基本能力は、エビフライ型ミサイルを大量に発射するという、これまでのギャングラー怪人群の中でも屈指の危険なヤツ。さらに巨大化後は、天ぷら油(?)を撒いて辺り一面を火の海にしてしまうという、絵面としてもなかなかの危険度を誇ります。本人は見た目も言動もギャグ怪人なので、地獄絵図の割に緊張感に欠けるという、変なアンバランス振りが際立っていました。

 コレクションの能力は、相手を空中に浮かせて自由を奪ってしまうというもの。パトレンジャーにとってはかなり相性の悪い能力として、片や魁利にとってはワイヤーで回避すれば良い程度に描写され、それぞれのチームの得手不得手を鮮やかに描出していました。ルパンレッドのワイヤーアクションの華麗さは、今シーズンでも随一の完成度で、「今」の技術で再び東映スパイダーマンを見たくなりました(笑)。

 基本的にザミーゴとルパンレッドの対決に添えられた「副菜」に過ぎず、再登場のきっかけもザミーゴの気まぐれ、等身大戦退場もザミーゴの盾。結構可哀想な扱いでした。

鳥人!

 先にそのルパンコレクションに触れておきます。

 今回のコレクションは珍しくガジェット系ではなく図案系。ジェットマン5人が手を携えてスカイダイビングしている様子を図案化しています。ジェットマン辺りの戦隊だと、変身アイテムや武器が割と取り回し含めてリアリティ重視のデザインになっているので、なかなか派手な見た目のコレクションに仕立てるのは難しいと思いますが、こういう処理もあったんですね。ちょっと感動しました。

ザミーゴ・デルマ

 仇敵の割には出番の少ないザミーゴ。しかも出番がやって来てもインパクトには乏しく、印象に残りにくい感は否めません。しかしながら、今回は「一時追い詰められる」というシーンがあったことで、逆にその印象を強めました。

 愉快犯以外の顔を持たなかったザミーゴは、演者の入江さんの見事な「怪演」にも関わらず、また細かいギミックはあっても単なる仇敵というポジションのみがメインとなっていたので、今回のような狼狽によって、やっと「人間味」が表出したな…という印象ですね。

 さて、基本的に快盗の関心事は、ルパンコレクションをコンプリートして奇跡を起こすか、あるいはザミーゴを倒して目的を達成するかということに集約されます。今回、ノエルがザミーゴの存在を認識したことで、ここに少し変化が訪れました。

 というのも、ノエルの仇敵はザミーゴではない人物(思わせぶりなエピローグからすると、デストラっぽい)らしく、しかも、ザミーゴの氷結銃は対象を凍らせて破壊するのではなく、とある場所に転送する能力を持っていることがわかり(つまり消えた人々の生存確率が飛躍的に上がったわけで)、魁利たちにとってはザミーゴを倒すことこそが第一目的になってしまったからです。

 ノエルにとっては、「仇敵を倒すこと=そのまま大切な人を取り戻すこと」とは限らないので、ルパンコレクションをコンプリートする方が理にかなっています。こうなるとノエルと魁利たちの間に微妙な溝が生じるのは明らかで、今後の展開への引きになっているのではないかと思います。

スーパールパンレッド

 ビクトリーストライカーの能力でパワーアップしたルパンレッド。スーパールパンエックスの件を踏まえて、その能力を確信しているあたり、魁利の高い知性と決断力が感じられます。

 その能力は、相手の行動を先読みしてしまうというもので、「チート能力」とも言えるわけですが、巧いのは動きが読めてもその結果までは予測できないという面で、実際にザミーゴはイセロブを盾にすることでその攻撃を回避してしまいました。

 しかしながら、ザミーゴは明らかに余裕を失っていましたので、かなりのカタルシスがありましたね。それだけザミーゴへの憎さが喚起されていた証左であり、見事に私の心も操られていたわけです(笑)。

 今回は逃がしましたが、魁利は勝利の可能性をかなり感じることができたのでは。次回以降の行動に、少なからず変化をもたらしそうです。

圭一郎

 今回の圭一郎は、冒頭で魁利を見つけるなり声をかけて嫌がられ、ルパンレッドのザミーゴに対する異様なまでの気迫に違和感を感じるといった風に、さらっと重要な要素を振りまいています。

 冒頭でのやり取りは、さすがにちょっとやり過ぎな感も。魁利と圭一郎の距離を接近させる段取りだと見え過ぎてしまい、あくまで個人の感想ですが、やや白けてしまいました。「難しいな」という呟きは良かったですけどね。

 一方、ルパンレッド VS ザミーゴに感じた違和感は、圭一郎の推理力を以てすれば、例の行方不明事件を辿って魁利たちに着地してもおかしくはないわけで、ここはじっくり引っ張って欲しいところですね。素晴らしいことに、未だに両チームの間にある緊張感は失われてないので、このセンシティヴな要素は是非とも大事にして頂きたいです。

初美花と咲也

 ザミーゴのことをノエルに相談するか否かで悩んでいる初美花に、咲也が出会うというシーンがありました。

 例え話を交えて自身の悩みを巧く相談する初美花と、軽いノリながら要点をズバリ答える咲也。両者の会話は今回の会話劇の中でも白眉と言えるでしょう。

 その後、咲也のアドバイスに背中を押された初美花は、ノエルへの相談を断固反対する透真を強い口調で説き伏せることになりますが、ここに来て、初美花に秘められた激しさが表出したのは特筆すべきでしょう。最早、軽いノリを演じている場合ではないというのが、快盗側に課せられた試練とも言え、物語が一気に加速していく予兆を感じさせてくれます。

次回

 ところが、次回は公式サイトによれば「爆笑編」とあり、なかなか一筋縄では行きません(笑)。なんとなく常套句である「勘違いコメディ」を予感させますが、果たして……??

 

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