SirMilesのマニアックな日々

快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー #49「快盗として、警察として」

 どこからどう見てもクライマックスな雰囲気満載の一編。ドグラニオが好き勝手に暴れて街を壊滅させ、ザミーゴが魁利との一戦を狙って暗躍し、快盗に隠匿生活の暇を与えません。そして国際警察は…。

ドグラニオとザミーゴ

 最終編を牽引するのは、当然この二人。ギャングラーのボスと、ギャングラー屈指のはぐれ者です。

 このままドグラニオに好き勝手に行動されると、ルパンレッドまですぐに殺されかねないと考えたザミーゴ。結局はドグラニオに巨大化までされて「遊ばれた」結果、ルパンレンジャーは壊滅状態に。何とか魁利だけが辛うじて動ける状態で隠れ家へと帰って来ました。

 本編終盤では、ザミーゴと魁利の一戦の火蓋が切って落とされることになりましたが、その勝敗の行方は次回へ…。

 今回のザミーゴの特筆すべき点は、魁利たちの大切な人の存在を探り当て、存分に利用したところでしょう。古典的な人質作戦を昇華、シーズン通して描かれて来た伏線を絡めて切り札として登場させ、魁利たちの心に焦りを生じさせる展開は、愉快犯的なキャラクター性に彩られたザミーゴに、策士と卑怯者の属性を付与し、倒すべき仇敵としての存在感をワンステージ上へと押し上げました。これにより、魁利の戦いの目的に、大切な人を取り戻す以上の、ある意味ヒーローの王道としての「許せない敵を倒すこと」が加わりました。冒頭で「容疑者」というショッキングな肩書を与えられた魁利に、巧くヒーロー性を奪還させましたね。

 一方、ドグラニオに関しては、その特殊な金庫に、残りのルパンコレクションが一気に収納されているという設定が開示されました。いわば「便利な予定調和」の一環として映ってしまうのはご愛敬といったところ。倒せばコンプリート間違いなしですからね。代わりに「絶対に倒せない巨敵」であることを印象付ける場面が続出。いきなり巨大化して特撮セットを爆破して壊しまくり、街の一帯を焦土と化すシーンは素直に恐ろしいものでした。故に、その後圭一郎が魁利の元へ現れるシーンの「違和感」が存分に機能することになります。

快盗戦隊の危機

 冒頭では、前述のとおり「容疑者」と放映されるショッキングなカットが用意され、いよいよ包囲網も本格化して来ました。しかし隠れ家にて対策を練る間もなく、巨大ドグラニオが出現。ルパンカイザーもエックスエンペラーもまるで歯が立たないという、絶望的な状況に追い込まれます。

 魁利はやっとのことで隠れ家に帰還(血糊のついた掌をドアにぶつけるシーンが衝撃的)、透真と初美花は国際警察に身柄を確保され、意識不明のままという、これまでにないシリアスムードに彩られます。この辺り、正に最終章といった雰囲気で、クライマックスで待っている怒濤のバトルの前の静けさを、否応なく感じることになりました。

 ノエルの立場も特筆モノ。

 特に咲也には初美花の件で詰られ、そもそもノエルが国際警察に籍を置けていること自体に「特例」っぽさが出ていて、いかに緊急事態であるかを印象付けてくれます。そして、咲也への返答が「快盗と警察が本当に仲良くなって欲しかった」という理想論だったのも凄く、中間に位置するノエルならではの考えであると共に、この時点ではどこまでも虚しく悲しく響く言葉でした。

魁利と圭一郎

 魁利の立場が完全に明らかになるも、二人の関係性はそれほど変化がない。それが今回見せられた重要なテーマでした。

 魁利は圭一郎の前に堂々と現れて挑発し、圭一郎はそんな魁利を逮捕することもなく、ただひたすらに自分の非力さを悔いる。快盗の正体がバレようと、結局二人の会話の大筋はこれまでと変わりません。ただし、魁利は圭一郎を騙していたことに大きな負い目があり、それが怒りとなって表出します。二人の凄まじいまでの迫力に満ちた芝居合戦には、完全に引き込まれてしまいました。悲しさと怒りが混ざり合って涙になるシーンは、今シーズン屈指の名場面と言っても良いでしょう。

 そしてドグラニオ戦の後、再度二人が邂逅した際には、またも変化のない関係を垣間見ることになります。

 魁利は大切な人を取り戻すために身を賭し、圭一郎はそんな魁利の力になりたいと切望するも、その前に救わなければならない多数の命が待っています。今回のサブタイトルは、首尾一貫してこの二人のためにあるセンテンスであり、実はシーズン当初から変わっていないテーマでもあります。クライマックスバトルの前に、それをややエキセントリックな形で再提示(再定義)して見せたのが、今回でした。

クライマックス前に

 ちょっとまとめてしまいますが、最終的な「敵」をドグラニオとザミーゴに絞ったのは英断でした。

 そもそも快盗と警察の対立構造が前提にあって、ギャングラーは倒される絶対悪として機能する「ヒーロー性の担保」に過ぎません。それを示すかのように、最も強大な力を持ちつつ大した目的も持たない「物語の端緒となる人物(アルセーヌ、そして魁利たちの大切な人々)の仇敵」という属性を持つ二人の敵役を残したのです。正に「倒せば万事丸く収まる」に収斂させたのは鮮やかでした。

 そして、快盗と警察の問題は、ギャングラーが滅んでからの話になります。そこに至ることで、今シーズンの完結を迎えます。もしかしたら、全く別の結末が待っているかも知れません。いずれにせよ実に楽しみですね。

次回

 残すところあと2話。恐らくは本質的なクライマックスバトルは次回でしょう。どうこの状況を打開するのか、目が離せません。

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