SirMilesのマニアックな日々

快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー #51「きっと、また逢える」

 いやあ、最後の最後まで「参りました」です。

 私の予想では、ドグラニオの金庫を開けるまでがパトレンジャーの仕事で、7人揃ってからドグラニオ打倒だとばかり。見事に、勿論良い意味で裏切ってくれました。

 蓋を開けてみれば、魁利たちは金庫内に散らばるコレクションを回収することで「援護」はしたものの、エピローグを除けば完全にパトレンジャーのターンでした。VSを謳う今シーズンならではの完結編、素晴らしかったですね。

ノエル(そしてコグレさん)のために…

 自分たちの目的を果たした快盗。一応脱出への道を探ってはみたものの(あまり必死ではないところが「らしい」感じ)、その生死は圭一郎たち警察に預ける形となります。

 当初の宣言どおり、誰か一人でも残って目的を果たすという強い意志は、「3人残ったけれどももう命は惜しくない」という形に帰結しました。前回の「動」に対して今回が「静」の雰囲気を湛えているのは、直立不動で恐るべき能力を発揮するドグラニオと、主に飛び道具で応戦するパトレンジャーのバトルシーンによるところも大きいですが、魁利たちが「爽やかな諦念」で事態を静観している点もかなり影響しているかと思います。

 しかし、「快盗」なる肩書を体現すべく、最後の「仕事」にかかるあたり、正に「逆転劇」の妙味!

 魁利が例のコレクション台帳を所持しており(私は完全に忘れてました)、そこにドグラニオの金庫内にあるコレクション群を集めることで、ルパン家の宝物庫へ次々と転送。つまり、ドグラニオの金庫からは順次コレクションが失われていく格好です。

 魁利たちの考えは、これでドグラニオが殲滅されても、所持していたコレクションが一つも欠けることはないというものでした。つまりは、ノエルたちの目的も果たせるというメッセージ。同時に、コレクションの力でその威容を保っていたドグラニオも、その老いさらばえた「本来の身体」に気付くことになるわけです。

 徹頭徹尾、ロジカルに収斂していくドグラニオの滅び! エピローグも含めて、奇跡などないと言い切る凄まじい論理主義に頭が下がりました。何しろ、ドグラニオの金庫は最後の最後まで結局開かないのですから…。

警察の涙

 魁利、透真、初美花をドグラニオの金庫から助け出すことは不可能と知った圭一郎、咲也、つかさ。彼らのとる行動は…。

 とその前に、多数のコレクションの力を駆使して圧倒するドグラニオに立ち向かうパトレンジャーの勇姿に注目。

 マスクオフを伴う素面名乗りは、その例年以上となる「変身前後の一致性」を証明しました。倒されても何度でも立ち上がって挑戦する彼らの姿は、往年の東映ヒーローが見せるヒロイズムを体現し、徹底的な論理主義に束縛されている世界観の中で、唯一不屈のメンタリズムこそがヒーローの信条とも宣言するかのようでしたね。

 そして、コレクションを失って弱体化したドグラニオに対し、怒濤の攻撃を仕掛けるシーンでは、これまで商業面の要請(大人の事情)に縛られて登場不能と噂されていたスーパーパトレン1号が満を持して登場。他の二人もダイヤルファイターの能力を駆使したりと、本来「取り替えっこ遊び」が主眼だったはずのVSビークルの真骨頂を、土壇場でやっと実現しました。この辺りは正に「待った甲斐があった」とも言えるようなアクションシーンになっており、非常に皮肉に映ったのも確かなところです。

 さて、その3人がかりで放ったスーパーパトレン1号の砲撃を以てしても、結局ドグラニオの金庫は開かないまま。万策尽きた圭一郎は、ヒルトップ管理官の至極真っ当な命令(いわば「見殺しの責任をとる」ということなので、管理官にとっても進退を懸けた発言でもありました)を受け、トリガーに指を掛けつつドグラニオに近付きます。

 マスクの下の圭一郎は、魁利たちとの思い出が去来して号泣しており、それは咲也とつかさも同様であろうと思われます。このシーンは、今回の「静」の側面を最高潮に体現した凄まじいもので、回想やイメージシーンをも交えて結構尺が長いにも関わらず、その緊張感が持続していました。

 そこにツッコミどころを与えないのが、ドグラニオが本来は「老いぼれ」であるという設定。疲労で動けなくなったが故に、圭一郎の逡巡の間が違和感なく展開できていました。ここも賞賛ポイントの一つですね。

1年後

 圭一郎が放った銃弾の音。それは恐らく威嚇射撃でした。ドグラニオは殲滅されることなく拘束され、国際警察の特別な拘禁室に入れられることに。理由は詳細には語られませんでしたが、その措置は当然、何らかの手段が見つかり、機が熟した時に魁利たちを救出できるのではないかという考えからでしょう。

 一方、ドグラニオの拘禁により、ギャングラーも勢いを失っているという設定でしたが、雰囲気的にドグラニオを救出するといった目的意識を持ったギャングラーは皆無であることを伺わせます。最後に登場したギャングラー怪人・カーゼミーにしても、単に出てきただけで、ドグラニオとは何の関係もありませんでした。ここでも、ギャングラーの「誰もが好き勝手」な特殊性が徹底されており、いわばドグラニオ以外は本当に倒されるための敵だったと言えるわけです。

 このカーゼミーは当然のごとくコレクションを所持していましたが、それまでのコレクションはノエルが一人で頑張って回収していたんでしょうね。

 そこに現れる快盗…!

意外な救出劇

 1年後を描くエピローグでは、普通に圭一郎によって魁利たちが救出された後の話を展開するんだろうな…と思っていたのですが、これまた見事に裏切られました(笑)。何と、魁利たちは1年間も閉じ込められたままだったんですね。その間の生存戦略(何を食べるか)等々は想像しようもありませんが、いわば「異世界」なので、時間の流れが外界と違っていたのかも知れません。

 そして彼らを救出したのは、劇場版に登場したジャックポットストライカー。金庫に侵入し、持ち主の意志を自在に操るという能力で、ドグラニオの金庫から魁利たちを脱出させました。ここでも、持ち駒をフル活用する姿勢が垣間見られます。

 一方、そのジャックポットストライカーが都合良く「ポッと出」を果たしたわけではない、つまり奇跡や偶然ではないというロジックが、最後の最後まで貫かれます。

 これは本当に全く予想していませんでしたが、何と勝利、彩、詩穂の3人が、コグレさんにスカウトされて快盗になっていた!!!!

 3人は快盗としてジャックポットストライカーを見つけ出し、魁利たちの救出に一役買ったというわけ。3人がライトをバックに歩み寄る姿も物凄く格好良くて、主役食っちゃったという…(笑)。半分呆気にとられている間に、場面は進んで感動の再会へ。特に魁利が1人の少年へと戻るシーンは感動の嵐でしたね。ルパンレンジャーのアイコンたる彼もまた、望まざる快盗だったんですね…。

 余談ですが、勝利たちの立ち姿があまりにも格好良かったので、この3人が快盗をやっている間のスピンオフなんかも見てみたいところ。男性1人に女性2人の快盗戦隊もシビれませんか??

最後までVS

 救出された魁利たちは、やはり快盗でした!

 完全なる素面名乗りを決め、こちらも変身前後で抜群の一致ぶりを存分にアピールし、最終バトルへとなだれ込みます。

 魁利たちが快盗から足を洗っていない理由は、国際警察の装備品となっているルパンコレクションを奪取するという目的を果たしていないから…なのですけど、最後のバトルは、完全に久々に再会したライバル同士がニヤニヤしながら戦っている印象(笑)。

 途中、ドラマの盛り上がりと共に紆余曲折ありましたが、結果的に「ルパン三世」の世界観(ルパン VS 銭形)に帰結していくあたり、実に鮮やかでした。ノエルの願いは果たされないままテレビシリーズは幕引きとなりますが、それはまたのお話に取っておくということで…。

バトルフィーバーロボ!

 今回、カーゼミーが持っていたルパンコレクションは、球体タイマーのようなガジェットで、公式サイトを見るまで全くモチーフが分かりませんでしたが、よーく眺めて見るとバトルフィーバーロボの意匠が。

 最終話のコレクションが八手戦隊の嚆矢というのも、何だか感慨深いものがありますね。

次週からはスペシャルコンテンツ!

 というわけで、「見たか」シリーズをやめてユルめに始めたつもりの当シリーズ記事でしたが、どういうわけか結構な物量になってしまいました。まあ、抜群に面白いシーズンだったので仕方ないですね(笑)。駄文にお付き合い下さいまして、ありがとうございました。

 次週からは、「スーパー戦隊最強バトル」なるスペシャルコンテンツが開始されます。開始時期をずらす措置なんでしょうけど、平成の終わりに相応しい試みだと思いますね。当ブログでも追いかけますので、またまたよろしくお願いいたします。

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