SirMilesのマニアックな日々

騎士竜戦隊リュウソウジャー 第16話「海に沈んだ希望」

 カナロ登場編は今回で一応落着といったところ。陸と海の間にある溝に関しては、その落としどころも鮮やかでしたし、良い感じで「第二章」の幕開けを飾ったと思います。

 ガチレウスまさかの退場には驚きましたが、登場話数の少なさの割には、大きなインパクトを残してくれましたね。

ガチレウス

 今回は冒頭にてクレオンを褒めたかと思いきや、すぐさま抹殺するという恐ろしさを見せ(クレオンはスライム系(!)だったのですぐに復活)、感情移入の欠片も許さない徹底的な悪役として描かれました。

 その勢いはクライマックスまで持続。途中、コウとカナロの連携攻撃によって致死的なダメージを受けたものの、自己防衛機能によって「蛹」ようなの状態となり、力を蓄積した後はいきなり復活と共に巨大化。

 巨大戦では、キシリュウオーファイブナイツを海に誘い込み、自らは巨大な高速潜水艇へと変形。その機動力で追い詰めるという、実に格好良い特撮のつるべ打ちに震えましたね。

 海中の描写はワイヤーワークとCGの合成でリアリティも抜群。ハイスピード撮影によって動きはスローになりつつも、徐々に追い詰められるリュウソウジャーの危機感はハイテンポで高まり、これまでの巨大戦の中でも屈指の迫力に満ちていました。

 右胸が弱点という設定は、「ギャバン」のサイダブラーを例に取るまでもなく、上原正三先生の常套句であり、荒川さんのリスペクトが感じられるとかそうでもないとか(笑)。まあ、そこを意識されたかどうかは分かりませんが、とにかく久し振りのシチュエーションではありましたね。

モサレックスとカナロ

 今回はモサレックス〜キシリュウネプチューンが初陣を飾ります。そしてそこに至るモサレックスの「氷解」が本話のメインプロットとなります。

 コウたちも与り知らないリュウソウ族の歴史。それは、陸のリュウソウ族の中の好戦的な一派が、地上の支配権を主張して戦いを繰り広げ、それに反発した一派が海へ逃れ、海のリュウソウ族のオリジンとなったというもの。モサレックスはその出来事を目の当たりにしており、それが原因で陸のリュウソウ族に対して良い感情を抱いていないわけです。

 コウに共闘を持ちかけられ、さらにその熱く燃える使命感を目の当たりにしたカナロは、同じくコウたち(特にメルト)にシンパシィを持つオトにも強く影響を受け、モサレックスの主張に疑問を持つようになります。というより、ここは逡巡をすっ飛ばして即座にモサレックスを説得する決意を固めていました。このあたりのハイテンポ振りをどう捉えるかは難しいところですが、私としては「リュウソウジャー」の作風にマッチしたライトな感覚で良かったと思います。一応、前回の前フリもありましたしね。

 むしろ、モサレックスの説得に時間を掛けていたのがいいですね。びしょ濡れになりながら懸命に訴えかけるカナロの熱演が素晴らしかったです。海のリュウソウ族の未来は、海のリュウソウ族だけが自分勝手に考えるのではなく、陸のリュウソウ族と手を取り合って切り開くものだという、実にポジティヴな考え方に帰結しているところが見事ですね。

オト

 前回どころじゃない愛嬌を振りまいていて、荒川さんと坂本監督の趣味性も存分に透けて見えるところが素晴らしい(笑)。

 ただし、今回は小悪魔的な面よりも純粋な面の方が強調されていて、陸の文化に触れる初々しさが光る演出になっていました。アスナとの会話では姉妹のような雰囲気が感じられ、微笑ましさが爆発してましたね。

 そして、騎士らしさを持つ、要はレディへの礼儀を弁えたメルトを特に気に入ったと見え、エピローグでは子孫を作らないかと持ちかけるという暴挙(?)も! オトも婚活キャラであることを端的に示しつつ、危うさを描くところも趣味性全開でしたね…。

キシリュウネプチューン

 ほぼモサレックスの単体変形で出現するロボ。ガチレウスの把握しているデータにないロボで一発逆転を狙う展開は、正に特撮ヒーローの王道的展開でした。いわば、パワーアップ合戦の類型なわけですが、分かっていても燃えるものがありますよね。

 海へ空へと縦横無尽に駆け巡る様は、地に足の付いた感覚を強くするキシリュウオーとはまた違う魅力に溢れていましたね。

まさかのシュシュトリアンネタ

 このネタのインパクトで他の要素が吹き飛ぶ寸前でした…。

 フライドチキンに感動したオトが、差し入れた尚久に「フライドチキン男と呼んでいいですか?」とかなり意味不明の問いかけをするシーン。

 蛇足だとは思いますが、とりあえず説明申し上げると、尚久を演ずる吹越さんは、不思議コメディシリーズの最終作「シュシュトリアン」にフライドチキン男の役で出演されていた経緯があります。不思議コメディシリーズは柴田理恵さん等、ワハハ本舗の人脈に彩られており、その一環だったものと考えられますね。

 今回、吹越さんの「コケーーッ」というオリジナル準拠の叫びはアドリブだったそうで、「分かる人にしか分からない」ネタをここでぶっ込んでくるか!! とのけぞってしまいました(笑)。オトも「うたう!大龍宮城」への関連性が深いと言えば深いですし、これからも色々とネタが登場するかも知れません。個人的には不思議コメディシリーズは飛び飛びでしか見ていないので、見逃す可能性大です…。

次回

 モサレックスのお話が続きます。「絶対に分かり合えそうにない二人」がどう接近するのか楽しみです。騎士竜もかなりキャラが立ってきましたね。

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