SirMilesのマニアックな日々

魔進戦隊キラメイジャー 12話〜FINAL

 完全に書く書く詐欺になってしまいました。ずっと放置のまま、あっという間に最終話…。実にダメですね。

 それはさておき、複雑な伏線等もなく、非常に綺麗で明瞭なストーリーテリングが、令和の時代にあって実に鮮烈でした。文句なしに「面白い」と思える、ネガティヴな心情に包まれることのない、良い意味で乾いた筋運びと演出が、このご時世へのアンチテーゼとして効いていたと思います。

追加戦士の妙味

 こんなところから振り返らなければなりません(笑)。

 クリスタリア宝路という、不条理の塊キャラが追加戦士でした。人間でありながらキラメイストーンでもあり、充瑠たちと同年代の見た目を持ちながら無鈴の兄、そして養子とはいえマブシーナの兄…というムチャクチャな設定を、その輝くオーラで納得させる凄いキャラでしたね。

 その素性が明らかになる度に驚かせてくれました。

 「昭和の男」というネタは、たまにフィーチュアされる程度の味付けでしたが、過去の戦隊への言及ネタなんかは強調されなくて正解だったかも知れません。何しろ次回作がダイレクトですからね(笑)。

 また、妹が弱点であると同時に強みでもあり、仲間の存在が徐々に彼を変えていくプロセスは、正しく追加戦士のそれでした。その設定の特別感も際立っているので、良い意味で目立ち、良い意味で充瑠たちの引き立て役もこなす完成度の高さに脱帽です。

女幹部登場

 今シーズンで最も驚いたのがヨドンナの登場です。

 眼光鋭い、いかにもな美少女が演じるボーイッシュキャラという、こちらも多要素の集合体。分かりやすいセクシー系女幹部ではないのが、ある意味今どきという感じでしたね。素面の敵キャラという時点でも充分過ぎるほどのインパクトなのに、人気が出ることを確信して仕掛けてくるあたり、キャスティングも演出も勢いに溢れていて素晴らしい。

 最終話では、ちゃんと悪役として散っていくのがいいですね。ガルザもですが、理由はどうあれ明確に悪行に走った者たちは落としまえを付けており、東映ヒロイズムの体現を感じます。

 キラメイジャーに直接倒されたわけではないですが、「サンバルカン」でのヘドリアン女王を例に挙げるまでもなく、結構そういうパターンは出ているので、個人的には戦隊の歴史の重みまで感じてしまいました。

レギュラー陣

 今シーズンのレギュラー陣は、実に個性的で目立たない人物が一人も居ませんでしたね。戦隊は同種のキャラが多人数で登場するコンテンツなので、匙加減が実に難しいと思いますが、「キラメイジャー」は本当に全員がキャラ立ちしていました。

 また、序盤から終盤まで、設定の変化が非常に少ないのも近年では珍しいですね。宝路がその分変化していくキャラとして存在していましたが、充瑠からして戦いへ挑む姿勢にこそ成長が見られるものの、中身は全然変わっていなくて安心させられるんですよね。

 充瑠が類い稀なるひらめきを持ち、クリスタリアの王族と夢の中で繋がれるのも、単なる偶然あるいは奇跡として語られ、生来の特別な血筋といったものも一切排除されることになり、市井との繋がりが最後まで担保されました。視聴者の世界と地続きという印象は没入感を確実に増幅したと思います。

 為朝は参謀格として、こちらも最初から最後まで変わらず存在感を発揮。確かに当初はリーダーを巡って揉めたりしてましたが、基本スタンスには一切変化がありませんでした。ヨドンナ絡みで味付けされた「彼女ができない人」というネタは、随所でキャラ崩しとして効きつつも、やはり頼りになるサブリーダー、いわばアオレンジャーのポジションは不動でしたね。一方で、e-Sports要素はあまり派手にフィーチュアされず残念。絵面的にやや難しいものがあったのかも知れません。

 瀬奈は、敢えてヒロイン要素を彼女から取り上げることで、強烈な個性を発揮するキャラになりました。役割は完全に斬り込み隊長で、素のままではほぼ弱さを見せることのない、特殊なヒロインでしたね。わざわざ弱さをフィーチュアするために5人に分裂させるとか、かなりトリッキーなプロットでも対応してくる凄いキャラクターでした。作品を離れるとアンニュイな表情を見せる文学系少女になるあたりも、ギャップ萌えを喚起しまくってましたね(笑)。走りまくるシーンへの努力には本当に脱帽です。

 時雨。凄い人です(笑)。クールな剣豪…役を得意とする役者という設定からして凄まじいものですが、序盤からギャグ要員をほぼ一手に引き受ける懐の深さ。それでいて決めるシーンではしっかり決める格好良さを持ち、ここぞというときに恐ろしく頼りになるのが鮮烈でしたよね。そしてコメディリリーフの一面が最も良く出たのが、涙もろいという点。随所で感情の盛り上げとオチに生かされ、彼の特殊さとオーソドックスなヒーロー像との往復に笑わせて頂きました。

 小夜さんは、大人を強調した、これまたヒロインとしては特殊なキャラクターでした。やはり瀬奈と同様弱さを見せることがほとんどなく、常に自信に満ちていて、他のメンバーから頭一つ抜きん出ている雰囲気でしたね。医師という設定もインパクト高めでしたが、劇中では限定的な描写だったのはちょっと残念です。ただ、意外にも年頃の女性としての心情を描く機会に恵まれており、細やかな心情描写がすこぶる似合うヒロインでした。そして作品を離れると少女性が強調されるというギャップ(笑)。キラメイヒロインがいかに特異だったかがよく分かりますね。

 後見人は今回、無鈴、マブシーナ、オラディン王に巧く役割分担されました。知恵者、実質的なヒロイン、豪放痛快な年長者という布陣でしたが、それぞれにマッチしたエピソードが効果的に配され、戦隊メンバーに負けない個性を発揮し続けていました。素晴らしい。

 キラメイストーンたちも素晴らしい個性を発揮していましたね。今シーズンは正義側のキャラクター過多寸前だと思いますが、ちゃんとそれぞれの発言が記憶に残ってますからね。凄いことです。

敵キャラ

 クランチュラは生き残りましたね。「リュウソウジャー」におけるクレオンに近いポジションだったのもあり、生き残りは妥当と言えるでしょう。勿論、彼ならば悪辣なキャラのまま倒されるという結末にも違和感はありませんから、これは「キャラが転がった」のだと思われます。アクターは女性、ボイスは男性というのも面白い試みだったと思います。

 ガルザは、終始明るいムードの「キラメイジャー」にあって、唯一悲劇の人でした。このキャラクターも本当は結末を予定されていなかったのではないかと思える節があります。終盤に突如「悪に仕立て上げられていた」ことが判明。そこに繋がる伏線はほぼなかったものの、妙に納得させられる描写でしたね。やはり親族からの愛憎入り混じった心情が、細かく描かれたからでしょう。

 ヨドンナが登場するまで、敵は実質この二人のみで、妙にキャラの立った邪面師たちが饒舌に立ち回るという、古き佳き特撮の図式が、ヨドン軍の特徴でした。

最終話

 驚かされましたね。難易度の高い名乗りを素面でやってのけるのも、最後の最後まで頭と身体を使って勝負するのも、巨大戦ではなく等身大戦で終えるのも。

 最も驚いたのは、後見人(マブシーナ)がメンバーの回想をするシーンです。昭和の戦隊だ…(笑)。エピローグで振り返りとして挿入されることの多かったメンバーの回想。「ダイナマン」ではチームを救出すべく母艦を操縦する夢野博士が回想するという、超絶に熱いシーンがあるのですが、それを思い出しましたね。近年はシーズン終了後も色々展開が待っているので、別れの回想というシーンは作れなくなってしまいましたが、まさかこういう形で実現するとは。

 3ヶ月後のエピローグも楽しいものでした。「実はあれからこうなったんです」という驚きよりも、緩い近況報告の雰囲気がいかにも「キラメイジャー」らしくて実に良い感じ。それぞれの本職から急いで集まった感じの出で立ちがいいですね。時雨だけキラメイジャーのユニフォームで笑わせてくれる辺りも実に良いです。

 とにかく綺麗にまとまったという充実感もすこぶる高く、時事的なトラブルこそありましたが、幸せなシリーズだったと思います。

そしてゼンカイジャー

 凄い飛び道具を出してきたな…という印象ですね。どんな展開になるか想像もつかないので、凄く楽しみです。

 ブログは恐らく、この体たらくだとちゃんと書けることはないと思いますが…。

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