Mission 23「意志を継ぐ者」

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 ヨーコの母親の存在に、初めて踏み込んだお話。陣(これまで当ブログで「マサト」と呼称していましたが、劇中と乖離し始めたので、「陣」の呼称に変えます)のキャラクター設定を巧く利用して、縁の人物を描く展開が見事でした。
 ストーリー自体は、いつもながら割と地味なのですが、アバターを活動させる行為が陣を消耗させる可能性に言及する等、今後の展開に向けての準備が盛り込まれており、それなりの重要回になっています。珍しい陣とヨーコの素面コンビネーションも見られ、この二人が設定上もキャスト自体の年齢も10歳程しか離れていないにも関わらず、陣の実年齢である40歳を実感させる目線が印象的で、軽妙ながら貫禄のある陣の特異なキャラクターが、遺憾なく発揮されていたように思います。

 このところ、公私共にやけに多忙な日が続いているので、感想らしい感想が書けません。いつもご覧になっている方々には申し訳ございませんが、当分ボリュームが大幅ダウンしますので、よろしくご理解下さい。

 今回のトピックは、3点。

 まず、ヨーコが17歳になった事。そして、陣がヨーコの母親と強い信頼関係にあった事。最後に、陣のアバターが「死」の状態に陥った際、亜空間に居る本人に多大なダメージが及ぶ事。

 ヨーコの誕生日は、司令室内でのセレモニー(?)と、屋上でのバーベキューという、なかなか豪華なものでした。ヨーコを演じる小宮さんの実年齢とのギャップが縮まった事で、よりキャラクターと演者の距離が縮まり、更に良い効果を生んでくれる事を期待したいですね。

 なお、私の中での印象的な「バーベキューのシーン」は、「ウルトラマンタロウ」でウルトラ兄弟の人間体が地球に集い、バーベキュー・パーティをするというシーン。有名なテンペラー星人編での一幕ですが、記念的なシーンの撮影とあって、この時のお酒は、かなり良い銘柄だったようです(笑)。「人間体のウルトラ兄弟が地球でバーベキュー・パーティをする」という奇抜で楽しいシチュエーションこそが、「タロウ」という作品を象徴しているのではないでしょうか。

 ともあれ、ヨーコが誕生日を迎えた日に、陣がヨーコの中に息づいている母親のスピリットを感じ取るという展開が用意された事で、ヨーコの精神的成長をも描く事が出来たわけです。しかもその事を陣がヨーコに告げる事により、ヨーコ自身も成長を実感するという、綺麗なリングにして見せた手腕は素晴らしいと思います。

 また、母親の思い出に乏しいヨーコにとって、陣の話は非常に興味深いものだった筈。途中から、陣に対するヨーコの口調が、「〜です」と丁寧な言葉に変化した辺りは、陣を母親と同格の「大人」として意識した証拠として受け止めて良いと思います。

 陣がヨーコの母親と強い信頼関係にあったというトピックに関しては、ヨーコの母親がメガゾードのパイロットであった事、シングルマザーであった事を含めて、結構な衝撃だったのではないでしょうか。

 ヨーコの母親であるケイは、上野なつひさんが演じていますが、これがまた実に凜とした格好良さ。パイロットスーツが似合うとは陣の弁ですが、視聴者にもそれが実感出来るハマり具合でした。また、テストパイロットという業種が、組織あるいは研究機関のイメージに深みを与えてくれたように思います。

 ケイはシングルマザーとの事でしたが、陣があれこれと世話を焼き過ぎたと告白している事から、仕事上のパートナー以上の感情を抱いていた可能性もあり、この辺りが掘り下げられると嬉しいですね〜。

 そして、陣のアバターが「死」の状態に陥った際、亜空間に居る本人に多大なダメージが及ぶというトピック。

 陣は登場当初、いきなり爆死と復活を見せて度肝を抜いたわけですが、不死なるアバターのインパクトは絶大であると共に、ある種の危険性を垣間見せました。その危険性とは、何度死のうと復活するという「無敵性」であり、扱いによっては、「ゴーバスターズ」の作品構造そのものを破綻させる要素でした。現在の処、その辺りは巧妙に処理されていて危険性を感じさせない作りになっているものの、こういった要素は後々露呈した時には「手遅れ」になっている事も多いわけで。

 今回、その「復活」が有限である(「あと二、三回では死にはしない」とは陣の弁)とされ、無敵性に歯止めがかけられました。これは確実に、物語へ悲壮感を与える要素となり得るので、今後の展開にやや影を落としていく事になるでしょう。現に、今回のエピローグはヨーコの爽やかな笑顔で終わるのではなく、陣の少し寂しそうな後ろ姿が消えていくというシーンで締め括られました。

 元々「ゴーバスターズ」は一種の悲壮感に支配されたムードを有している為、よりそのムードを深めてしまう事に関する今後の影響度はよく測れませんが、とりあえず近作ではユーモラスなシーンも多く盛り込む作風へと変化しつつある(今回も、ジシャクロイドの影響でくっついてしまう面々のコミカルな行動や、そのジシャクロイド自体に「ケロロ軍曹」のドロロが投影されていたりします。声が草尾さんだけあって...)ので、杞憂かも知れません。

 とにかく、今後の陣の動向には注視したい処ですね。

 最後に、個人的に感激したシーンを一つ。

 スタッグバスターが後方宙返りの後に、両手でパンチを見舞う技が登場。これは、シャイダーパンチそのもの!! ギャバンの劇場新作に併せて、青いメタリック・ヒーローを意識した!?