Mission 36「ゴーバスターライオー ガギーン!」

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 サブタイトルはぶっ飛びな雰囲気。しかし、中身は割と粛々とした感じで、バディロイド達を中心とした絆の再確認といった内容。

 ストーリー自体は、ゴーバスターライオーの合体ギミックである、ライオー+ゴリラ+ラビットから逆算した内容(なので、ニックは「ストライキ」に今一つ乗れない様子にされている)でしょう。しかしながら、「逆算」をあまり感じさせない筋運びだったのは、良かったのではないでしょうか。

 以前程の執拗さはありませんが、そこそこメカニズムに対するエクスキューズというか、具体的には陣とリュウジがライオーやライオアタッシュについて熱心に研究するシーンが挿入される等、段取りが成されていたのも良い感じ。訓練なしで合体してしまったのは、リュウジの段取りが完璧だったが故なのか、それとも、戦闘でゴーバスターオーのコンバインオペレーション自体の熟練度が上がっていて、転用が容易だったのか。その辺をスパッと省略してしまう辺り、水木さんのシャウトに影響された感も(笑)。

 逆に言えば、「ゴーバスターズ」当初の狙いは、この「メサイアカード編」でかなり「通常の戦隊」へと「補正」されて来ているように感じます。

 その「補正」は、「メサイアカード編」では等身大戦と巨大戦があまりシンクロしていない感覚に顕著でしょう。

 今回も、等身大戦が終わった後に巨大戦を持ってきているだけでなく、等身大戦でライオアタッシュのデビュー戦を見せ、巨大戦でゴーバスターライオーのデビュー戦を見せるといった、ステージを明らかに二分させた構成で見せています。これは正解で、二つのステージを混在させると、確かにストーリー上はスリリングに、かつリアリティ溢れるものになると思いますが、新ガジェットや新ロボ個々の印象は弱まると思われるわけです。

 まだ判断するには時期尚早ではありますが、年末商戦に向けたアイテム投入と、「メサイアカード編」の相性は、なかなか良いのではないかと感じます。

 「メサイアカード編」の初編については、ギャバン編を挟んでガラッと各種描写がアッサリ目に変化してしまった事で、強烈な違和感を感じてしまったわけですが、慣れというものは恐ろしいものでして(笑)。アッサリ描写の中に、由緒正しい戦隊の匂いを感じ取り、強力無比なヴァグラスと、対抗すべくパワーアップを繰り返していくゴーバスターズのスピード感に長所を見出せるようになりました。

 この、パワーアップを繰り返す(つまりはほぼ毎回がパワーアップ編)構成は、正に年末商戦に向けてのアイテム攻勢にピッタリであり、一方で、近年のスーパーヒーロータイムの特徴である、極力マーチャンダイジングの要請を感じさせないドラマ性を、完璧ではないものの実現しています。

 故に、「ゴーバスターズ」前半のエクスキューズ偏重主義が好みだった方々にとっては、物足りなく感じられるかも知れないし、逆に難解なタームに辟易していた層にとっては、テンポの良い作風への変化は歓迎すべきものとして映っていると思います。

 今回は、そのエクスキューズ偏重主義の放棄ともとれるシーンがありました。それは、ライオアタッシュがあまりにも高性能過ぎて、森下君と仲村君が自分たちの存在意義に疑義を持ち始めるというシーン。オペレータの二人に関しては、以前にも同様のシーンが何度か散見されましたが、それは主役陣の働きに対する劣等感といった次元での、メンタルな話だったのに対し、今回はジョブに関する決定的な代替可能性が根底にあります。サラリと流されはしたものの、かなり恐ろしいシーンだったと思います。

 今後、この二人の処遇は一体どうなるのでしょうか? 以前のように、存在意義を再確認するようなエピソードが用意されるとは(何回も同じ事をやっているように見えるので)考えにくいですし...。

 さて、この恐ろしいシーンは結局ダシとして扱われ、バディロイドの存在意義論へと発展する事により、今回のストーリーが運ばれていきます。ただ、バディロイドの存在意義は既に強固に担保されている為、今回の場合は、単なるライオーへの嫉妬心の爆発という、実に人間臭いものであり、「論」等と呼べるようなものではありません。この辺りは、逆にバディロイド達の親しみやすさという点で大成功であるし、今更ヒロム達との絆云々を蒸し返されて既視感に苛まれるよりは、よっぽどライトで爽やかな作風の方が歓迎されるべき時期でしょう。

 その証拠に、バディロイド達の言動は、コメディの域を逸脱しないものとして展開されており、パワードカスタム化出来ない事で危機に瀕しているにも関わらず、「あいつらしょうがないな」程度で戦闘が継続。裏を返せば、本当に本当の危機に際しては、信じた仲間がちゃんと来てくれるという、強固な絆が隠されていると言っても過言ではありません。

 ニックだけ、反感の爆発に乗れないのは、冒頭に示した通り、「逆算」によるものだと思いますが、ニック本来の性格設定と巧くマッチしていました。逆に、温和なゴリサキは「切れると怖い」という、相棒のリュウジの熱暴走に通ずる描写で巧く立ち回っていましたね。ウサダは...相変わらず困ったヤツですね(笑)。

 自分としては、というか世のお父様方としては(笑)、サービスカット満載のエスケイプに大満足。殆どのアクションを水崎さん自身が演じており、ブルーバスターとのアクションでは、遂に圧倒的な劣勢を見せてくれました。表情が実に素晴らしい!

 次回予告を見ると、エスケイプが変身していたわけで、もしかするとサービスカット満載状態は今回が見納めか...!?

 というわけで、次回を刮目して待て(笑)!