第25話「海賊とニンジャ」

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 お待ちかね! ハリケンジャーのオリジナルキャスト三人を迎えての豪華前後編。

 歴代オリジナルキャストの出演するエピソードに際しては、いつも「先輩ゲスト編」という括りで話を始めますが、今回は、ナビィの占いが関与しないとか、オリジナル「ハリケンジャー」の敵がほぼそのまま登場する等、典型的な「先輩ゲスト編」とは全く異なる構成となっているので、敢えて典型との比較は行いません。とりあえず「ボウケンジャー」編にほど近い構造だという程度でいいと思います。

 それよりも、再登場したハリケンジャーの面々の、反則モノのカッコ良さに痺れましょう。

 ちょっとプライベートが忙しいので、ややアッサリ気味となりますが、続きの方に今回の見所をまとめてみました。

 冒頭は、総集編的な性格を持つシーンでした。

 鎧によるスーパー戦隊の歴史の講義という体裁で、テンポよく大いなる力の収集具合をまとめています。先の、ゴセイジャーと共演した劇場版では、いくつかの大いなる力を得た事になっており、TVシリーズでは具体的にどの戦隊の大いなる力を得たのか、ネタバレ防止の意味もあって、一部を除き、言及を避けていた節がありましたが、今回、それが具体的に示されることになりました。

 まとめると、ゴレンジャー、ジャッカー、デンジマン、ゴーグルファイブ、ダイナマン、バイオマン、ターボレンジャー、ダイレンジャー、ボウケンジャー、ゴーオンジャー、ゴセイジャーの11戦隊の大いなる力を、劇場版で入手したという事でした。何でこんな事を有難がっているかというと、要するに、私は劇場版を観ていないわけでして(笑)。

 こうして俯瞰すると、商品化された「大いなる力」と、そうでない「大いなる力」では、結構扱いに隔たりがある事に気付きます。当然と言えば当然ですが、まぁ自分の贔屓の戦隊の扱いが弱いと、結構テンションも下がるわけでして。仕方ないとは思いますが、商品化されているのは、やはり近年の戦隊でマーチャンダイジングの成績が良かったものであるようです。初期戦隊でまだ入手していない「大いなる力」は、バトルフィーバーやサンバルカンあたり。チェンジマンに至っては、豪快チェンジすら未登場です。もしかすると、何か面白い展開があるかも知れませんね。

 さて、いつものように、ハカセとアイム以外は「勉強」に嫌気がさしていて、期待通りの行動をしてくれるのですが、ここでマーベラス、ジョー、ルカという「ハリケンジャーの色」チームと、ハカセ、アイム、鎧のチームに別れており、基本的にこのチーム編成で話が進んでいきます。キャラクターを非常に巧く生かした構成ですね。ハリケンジャーの色を意識したにしても、偶然にしては出来すぎなチーム編成が凄いです。

 対するザンギャック側も「先輩ゲスト」が登場。

 と言っても、オリジナルの「Jr.」である為、設定上ご本人ではないのですが、造形物はほぼオリジナルと同一な上、キャラクターボイスもオリジナルと同一とあれば、やはりご本人登場として扱っていいでしょう。

 今回登場したのは、サンダールJr.とサタラクラJr.の二人です。池田秀一さんと島田敏さんという事で、否が応にもシャア・アズナブルとパプテマス・シロッコを想起させますが、島田敏さんの持ち味は、どちらかというとハイテンションなコミカルキャラというイメージがあるので、シロッコとは程遠いです(笑)。逆に、サンダールのシャア振りが際立っていますね。

 サンダールは、「ハリケンジャー」でも相当の手練者で、最強の敵というイメージが強く、池田秀一さんの声がピッタリとハマる強敵でしたが、今回のJr.は呆気無く敗退する役で、やや不満でした。余裕をかまして敵を翻弄し、状況をイチイチ客観的に語るあたり、シャアのエッセンスを巧く取り入れたサンダールの良い処を継承していただけに、残念です。狙い過ぎなセリフも聞かれず仕舞いでしたし...。「見せてもらおう。海賊どもの戦力とやらを」とか、「チィーッ!」とか、「当たらなければどうということはない」とか、アカレッドに「海賊戦隊は伊達じゃない!」と言ってもらうとか(笑)、色々期待してしまっただけに、落胆も大きかったです。

 まぁ冗談はこのくらいにして、続いて今回の真打とも言うべき、ハリケンジャーの登場です。

 ハリケンレッド=椎名鷹介は、相変わらず派遣社員として働いているようですが、気配を察知した時の表情を見せた時点で、既に当時の塩谷瞬さんとは明らかに違う「漢」の雰囲気が醸しだされていました。あのワンカットだけで、鷹介がここまで成長したという事をズバリと見せてしまう辺り、塩谷瞬さん自身の成長振りを感じられます。

 ハリケンブルー=野乃七海は、アイドル演歌歌手からスターを経て、女優業も展開。長澤奈央さんは、特撮TVドラマでの露出が多く、毎年特撮TVドラマで姿を見かけるのですが、見かける度に凛とした美しさに磨きがかかっており、今回の登場でも、その輝きを遺憾なく発揮しています。こちらも鷹介同様、熟達した「くの一」といった雰囲気を醸し出しているのが凄いです。

 ハリケンイエロー=尾藤吼太は、オリジナルに引き続き、介護師として働いているシーンが登場。特徴的な髪型は影を潜め、ややおとなし目のイメージになりましたが、ある意味最もオリジナルと同じ雰囲気を漂わせているのが、この吼太でしょう。山本康介さんは「仮面ライダーアクセル」への出演もあったそうですが、私は観ていないので、久々に山本さんを見た感があります。オリジナルの吼太そのままの雰囲気を再現しているのは、凄いとしか言いようがありません。

 この三人が、お馴染みのコスチュームに身を包み、颯爽と現れるシーンは感涙モノ。先輩としての風格もビシビシと漂っており、正に見習い忍者だった三人が免許皆伝となり、さらなる鍛錬を忘れていなかったという背景が、透けて見える完成度でした。

 ストーリーとしては単純で、サタラクラJr.の「ボキ空間」に捉えられたマーベラス、ジョー、ルカを救出するには、ハリケンジャーの力を使いこなす必要があるという流れ。この流れを踏まえ、鷹介達ハリケンジャーは、レンジャーキーを返すようハカセ達に迫るわけです。しかし、鎧はマーベラスが命がけで収集したレンジャーキーをそう簡単には渡せないと拒否します。

 この鎧の言い分は非常に的を射ていて感心しました。「レンジャーキーを渡せない」という事自体が宣言出来ないと、このドラマの対立構造を生み出せない。しかし、その宣言に裏打ち出来るだけの理由があるかと言えば、この場合、もう「マーベラスの努力の結果を容易く渡せない」という事に収斂するしかないわけです。

 ゴーカイジャーは地球を守る事をポリシーにしているわけではないので、「手に入れた物を奪われる」事に激しい拒否反応を示して当然なのですが、これをそのまま鎧が言ってしまうと違和感があります。しかし、今回のようにマーベラス個人を立てて換言するという方法によって、ごく自然に、しかも鎧のマーベラスに対する思いも表現しており、実に見事です。

 他の注目すべきトピックとしては、風雷丸が登場。この風雷丸、オリジナルの風雷丸とはかなりスタイルが異なりますが、一応オリジナルキャストである宮田浩徳さん。宮田さんと言えば、戦隊のナレーターでもお馴染みですよね。風雷丸は旋風神と轟雷神を繋ぐ役割(要するにスーパー合体用のパーツ)を果たした重要なキャラクターですから、再登場への感慨はひとしおです。

 ここで豪快チェンジについて。今回は、ハリケンジャーを意識して、三人戦隊繋がりとなっていました。

 まずはライブマン。変身シーンが懐かしいワイヤーフレームのエフェクトを伴っていて、オリジナルの再現となっていました。イエローとブルーの男女が入れ替わった状態なので、アクションの見せ方にオリジナルとの差異が見られ、面白い雰囲気となっていました。

 続いては、アバレンジャー。こちらはオリジナル通りの男女構成になっている為、再現度も高め。ただし、出番はかなり少なく、個性的なアクションを堪能するとまでは行かず。

 三人戦隊と言えば、サンバルカンが挙げられますが、残念ながら今回はチェンジしませんでした。

 というわけで、思いっきり引っぱった状態で後編に続きます。ハリケンジャーについての思い出等、濃い話は後編の方にまわしますのでお楽しみに!

 追記:豪快チェンジを一つ忘れていました。ストーリーに関わる大事なチェンジ、鎧によるボウケンシルバー。サガスナイパーでビッ栗ミサイル製造工場を探し当てるという、豪快チェンジならではの巧い使い方でした。