epic25 「ノスタルジック・モネ」

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 モネが最年少という設定を活用したエピソード…と思われます。これまで、アグリとモネが兄妹という関係にある以外は、特に護星天使達の家族の存在に関して触れられる事がありませんでしたが、遂に「母親」という存在を出して来たなという感じです。

 正直な処、「母親」を出したにしてはインパクトが弱い気もしますが、まぁ結局は偽物だったので仕方ない処でしょう。一方、護星界への郷愁や母親への思慕が渦巻くモネの心情描写は、なかなか素晴らしいものがありました。普段は殆ど悩むことなく突っ走るタイプのモネだからこそ、苦悩の深さが伝わるという展開もいいです。

 また、兄であるアグリが、モネに対して苛立を隠せない様子なのも巧い。劇中では明確にされていませんが、アグリにも少なからず護星界への郷愁があり、それ故、モネの態度が癪に障ったのだと容易に想像出来ます。ただし、アグリはモネよりも年長者であり、護星天使としての使命感は非常に強いので、その郷愁や思慕といった感情を強く抑え込んでいるのでしょう。今回も弱音を吐くような事はありませんでした。その綻びが苛立という形で表面化したものと解釈できそうです。

 で、何度か問題にしている件に関して。

 やっぱりアグリとモネは実年齢が透けて見える!

 勿論、実年齢の知識については一生懸命抑止しつつ見た上での話ですけど、何も予備知識のない方が見ると、どう見えてるんでしょうか。

 私は容姿の面も含めて、アグリはアップのカットなんかだと結構(場合によっては童顔のアラタよりも)幼く見えるし、モネ(というかみっきー)は20歳という実年齢よりも随分大人っぽく見えると思います。老けて見えるという意味ではないですよ。

 なので、子供っぽく母親に甘えるシーンなんかは、可愛いのは可愛いんですけど、ちょっと違和感があったり。この辺は仕方ないんですけどね。

 では、詳しい話は続きにて。

 今回、膜インが使った幽魔獣は、妖精のサラワレテ居(サラワレテイル)。妖精ってUMA?やっぱりネタ切れかい?というツッコミは置いといて、妖精というモチーフにしては、非常に植物的なデザインが個性的です。普通は蝶やカゲロウ等、線の細い昆虫がモチーフになる印象ですけど、これはこれでアリだと思います。ただし、ウチの子は何のUMAか分からないと評しておりましが。

 ネーミングソースは、「フェアリーテイル」らしいと言う事ですが、語感からすると「スワロウテイル」っぽいですね。ただし、「スワロウテイル」は特にSFでもファンタジーでもないので、やっぱり妖精絡みの「フェアリーテイル」なのでしょう。

 このサラワレテ居は、他人に寸分違わず外見を擬態出来、声帯模写も完璧。その上、特殊な金粉を浴びせる事により、相手の深層の記憶を増幅させる事が出来るので、相手は完全に擬態を本人だと信じこむといった具合。

 この能力を利用して、モネをゴセイジャーより離脱させ、パワーアップを果たしたゴセイジャーの戦力を一気に弱体化させて潰そうというわけです。

 なかなか狡猾で素晴らしい作戦ですけど、この流れは特撮ヒーロー番組で何度も登場したシチュエーションなので、分り易いのがいい処。しかし、分り易いシチュエーションなのに、母親役に、いとうまい子さんをキャスティングするという技によって、一瞬、視聴者も騙されそうになるというのが見事なのです。

 このいとうさんの演技、包容力のある優しげな雰囲気と、正体を表す際の狂気のギャップが物凄く、キャスティングは大成功だったのではないでしょうか。公式サイトでは、みっきーに雰囲気が似ているという点に言及されていましたが、私はそれほど雰囲気が似ているとは思いませんでしたね。

 さて、今回は上記モネ周辺を含めて、割と完成度も高く、充実していたと思います。

 膜イン自ら出撃するあたりに、スーパーゴセイジャー誕生への幽魔獣側の危機感も感じられますし、サラワレテ居の露出を極めて少なくする事で、本当にモネの母親を正体不明にしている処等、構成や演出が際立って巧いです。

 モネの異変に、アグリよりゴセイナイトが先に気付くというのも巧い。ゴセイジャー達は互いを信頼し切っている事が、裏目に出ているわけです。アラタ達もモネの様子がおかしいことに気付きはするものの、モネの使命感を露程も疑っていないので、まさか敵の術中にはまっている等とは当初考えもしない。アグリに至っては、モネの態度を単なる甘えの発露と受け止めてしまい、仲間・肉親である事による視野狭窄を露呈してしまっている。ここに「外部」のゴセイナイトが切り込む事で、モネの異変が認知されるという展開が巧いのです。しかも、ゴセイナイトはモネの態度ではなく、サラワレテ居の金粉の気付くという、徹底した物質主義(いい意味で)。メンタルの介入がないので、実にクールです。

 モネがエリやアグリに相談(?)し、やがて自分が進むべき道を見出し、サラワレテ居の幻惑を打ち破るくだりも熱いですね。ここではメンタル面を前面に押し出しています。特に、母親への思慕と葛藤するモネの姿が、いじらしくも力強い。正にランディックの秘めたる力といった雰囲気です。業を煮やしたサラワレテ居が、キレて演技を諦めてしまうあたりは、ちょっと強引で笑えましたけど。

 クライマックスにおける、モネとゴセイナイトのタッグもクール。相手に飛び込んで行く果敢なバトルスタイルをこれでもかと誇示するモネと、冷静な判断力と正確無比な射撃能力で援護するゴセイナイト。このコントラストは本当に抜群の魅力を放っていました。

 ちょっと残念だったのは、モネの誘惑に失敗した事を知った膜インが、早々に退散してしまった事。誘惑の失敗・成功の如何に関わらず、モネ不在には変わりなく、充分4人+1人を圧倒するだけの実力を持つ膜インが退散する理由付けに乏しかった気がします。スーパーゴセイジャーになるタイミング等を、もっと調整すれば違ったかも知れませんね。