第37話「イルカの日」

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ストーリー

 天馬と愛は、辰平が出演するイルカのショーを見に来ていた。イルカのリーダー格ミックと辰平は親友。辰平にとって、ミックは先生でもあるという。そんなミックの元へイルカと話すことが出来るという寡黙な少女マユが会いに来た。その頃、異星人が水族館の職員を超音波状の衝撃波で襲っていた。現場に居合わせた辰平は装着、異星人を追うが逃げられてしまう。異星人はミックを見つめていた・・・。京南大学病院で、洸は搬入された職員の内耳が損傷していることを告げる。

 水族館で続々と人が倒れるという事件が起きた。御園木は、イルカが異常な超音波を発して人々を襲っているという見解を示す。一方その発生源である、辰平が勤める水族館シーパラダイスに取り残されたマユを助けるべく、辰平はミックの元へ赴くが、ミックこそが発生源だったのだ! その時、マユの叫びによりミックは異星人を追い出した。ミックには異星人=ゴルフィン星人が乗り移っていたのだ。辰平と異星人の壮絶なバトルが始まる。

 苦戦する辰平に合流する天馬と誠だったが、超音波攻撃に苦戦を強いられる。しかし、マユが確信したとおり、イルカたちは超音波を発し、ゴルフィン星人の超音波を妨害。勝機を得たギャンズは、大海嘯切断を放つ!

解説

 仁に続き、これまであまり目立った活躍の場がなかった辰平編が遂に登場! 辰平のキャラクターにあった爽やかな作風で、第3シーズンに一石を投じる。辰平の職場である水族館、水族館で働く辰平がたっぷりと見られるのが、当エピソード最大の特徴だが、普通このあたりのディテールは省略される傾向にある中、イルカのショーや辰平とイルカの交流が、随分と贅沢に描写されていることに驚く。ショーではちゃんと天馬と愛が観覧しているし、辰平は本当に調教師をやっているかのような丁寧な演出が光る。

 ストーリー自体は第3シーズンの中でもとりわけオーソドックスな筋運びであり、古き良きヒーロー番組のプロットのようで微笑ましい。当エピソードをご覧になった方々にわざわざ説明するまでもないとは思うが、感情移入を拒み、悪巧みに終始するゴルフィン星人、イルカの処分という強硬手段に出ざるを得ない苦悩する政府、動物が利用される敵の作戦、救われた動物がヒーローを援護するクライマックスと、見ていて嬉しくなってしまう要素が沢山。それでいてグランセイザーらしいのは、辰平の「職場」が舞台になっているからだろうか。職業が前面に出てくるのがグランセイザーの特徴の一つだ。

 アクションは辰平中心。素顔のアクションも、辰平の荒削り振りが生かされていて実にリアル。適わぬと見るや、通常より速いテンポで装着ポーズをとるなど緊迫感のある演出だ。装着後のアクションも充実しており、タリアス、ゴルビオン、ギャンズという珍しい組み合わせで行われる。イルカの援護で一気に形勢逆転し、ギャンズの大海嘯切断が決まるカタルシスは特筆。辰平に決着を譲る誠と天馬の余裕にも注目。グランセイザーが確実に強くなっていることを表現したのではないだろうか。