#15 反抗の凱歌 その1

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 戦闘シーンは割と派手目ながら、かなり静かで地味な動きを見せた今回。

 恐らく、クーデター派の動きに「静かなる迫力」を与える演出だったのではないでしょうか。


 新要素としては、クーデター派の画策が軌道エレベーター占拠というものだったこと。

 そして、マリナと刹那の本格的接近。

 もう一つがマスラオのトランザム。


 サブタイトルから「歌」メインで来るのかと思いきや、それは刹那の「もう一度、子供達の歌を聞かせてくれ」というあたりに留まっています。これは妥当な措置。

 結局、「反抗」はクーデター派の動きにリンクしますが、「凱歌」はリンクしません。


 で、無理矢理意味を探ってみました。


 多分、「反抗」は刹那自身による従来のポリシー(戦うことでしか戦いを止められない)への疑問を暗喩しており、「凱歌」はそれを果たして帰ってきた時に聞く子供達の歌ということではないでしょうか。


 さて、今回は派手な動きはあまりないので、基本的に時系列で追って見ます。ところどころ整頓しようと思いましたが、整合性重視で羅列。

 冒頭は刹那 VS サーシェスの続き。

 トランザムでサーシェスのアルケーガンダムを圧倒しつつも、マリナと子供達の歌にトドメの一撃を遮られる刹那。ここまでは前回のラストで描かれてます。


 なお、刹那だけでなく、クラウス&シーリン、サーシェスにまで聞こえていたマリナと子供達の歌は、全てトランザムによるものだったことが判明。

 ダブルオーライザーのトランザム特性を巧く活用した場面と言うべきか、演出先行での後付け設定かは、見る者の好意的解釈の度合いに委ねられるものと(笑)。


 アルケーガンダムは破壊されましたが、サーシェスは飛行ユニットで脱出。


「何故俺は、戦いを...」

刹那

 ここで、これまで頑なに曲げることの無かった刹那のポリシーが、揺らぎはじめます。



 ここで場面はイノベイターのアロウズ派遣組へ。


 デヴァインは、


「私は怒りに震えている。ブリング・スタビティの不甲斐なさにだ」

デヴァインとヒリング

と言い、リヴァイヴは、


「イノベイターが倒されるなど!」

リヴァイヴ

と言っていることから、ブリングはお亡くなりになったようです。イノベイター最初の退場者。

 デヴァインがブリングと同じ置鮎さんなのは、かなり適当な感ありですが(笑)。


 なお、私はずっと「ディヴァイン」だと思ってましたが、「デヴァイン」らしいです。

 エンドクレジットには「デヴァイン・ノヴァ」とありました。

 「Devine Nova」は「神・新星」ですが、イノベイターの名前の中では、随分SFな名前ですな。


 それにしても、「ガンダム00」は「ヴ」が多いですね。

 「v」を現していることは分かります。「ドライヴ」とか「リヴァイヴ」とか。さすがに「リヴァイヴァル」は煩いのでやめたようです(笑)。


 「ヴ」を使うと舶来風になるけど、使いすぎるのはちょっとなぁ...。



 一方、リジェネと王留美は事態を静観中。


「ティエリア・アーデが僕たちと敵対する道を選んだらしい。それはとても素敵なことだと思わないかい?」

「ええ、とても」

リジェネと王留美

 リジェネはどうなのか分かりませんが、少なくとも王留美はイノベイターにもソレスタルビーイングにもシンパシィが無いようです。

 両者が敵対することで、変革が加速されると考えているのでしょう。


 蛇足ながら、「変革(change)」と言えば、某国新大統領のキャッチフレーズになってますね。

 「ガンダム00」は一歩先取りしてたわけです。



 ここでまた場面は変わり、カタロンに身を寄せるマリナの元へ降り立つ刹那が描かれます。


 傷付いてマリナの腕の中に倒れ込む刹那。

刹那とマリナ

 一気に接近です。


 ミレイナの乙女の勘が当る日も近い。何故なら、以前の刹那ならば子供達の歌が聞こえようと傷ついていようと、トレミーへの合流を何とか考えた筈ですから。

 まぁ、傷の状態が悪く、何とか休息できる場を求めたということも言えますけど。



 またここで場面転換。今度はトレミーです。


 ロックオン=ライルの肝入りで、カタロンの補給部隊と合流できることになり、合流ポイントへと航行中。


ラッセ「情報をくれたカタロンに感謝しなきゃ、な」

ロックオン「言っとくよ」

アニュー「ライルにも」

フェルト「フフッ...」


 この会話が私には今ひとつ理解出来なかったのですが、これだとアニューはライルがカタロンと通じていることを知っていて、なおかつフェルトにもその素性がバレているように思われます。

 アニューとは急接近中なので、何もかも話している可能性はなきにしもあらずですが、フェルトに関してはよく分かりません。

 ラッセは何も知らないようですね。


 ミレイナはガンダム補修に勤しんでいます。単なるオペレータ要員ではなく、両親と同様に技術屋的資質がすこぶる高いようですね。

 沙慈とマリーが手伝うのは、最近の定番(笑)。


 一方、ティエリアとイアン、スメラギといった「ブレイン組」は、状況の分析を。


「セラフィムの特性に気付いたかしら」


と言うスメラギ。

 セラフィムガンダムには、やはりナドレ同様の特殊機能が隠されているようです。楽しみですね。


 ダブルオーライザーならば戦況を打開できるのだが、とするイアンに、ティエリアは、


「刹那は必ず戻ってくる。僕は、信じている。」

ティエリア

と、完璧なる高感度アップ発言。

 ファースト・シーズンとセカンド・シーズンで最もキャラが変わったのは、この人でしょう。...ルイスもか。



 ここでさらに場面転換。今度はハーキュリーとの会話を思い出すセルゲイが。

セルゲイとハーキュリー

 アロウズを甘く見るなというセルゲイの言葉に、


「いくらアロウズとは言え、手出しが出来ない場所はある」


と応えるハーキュリー。


「まさか、軌道エレベーターを!」


と驚くセルゲイ。実に重厚なシーン。さすがはベテラン同士の会話です。


 セルゲイは軍規に逆らわない人間だと知るハーキュリーは、セルゲイをクーデターには敢えて誘いませんでした。

 ハーキュリーは目を瞑ってもらう為だけに、セルゲイに会いに来ており、長年の友人として頼んでいると言います。


 気になる会話を一つ。


「そうでなければ(軍規に逆らっていれば)ホリーも」


とハーキュリー。


「言うな!」


とセルゲイ。

 ホリーとはセルゲイが「見殺しにした」とされる奥さんのことか。

 未だにセルゲイの過去はよく分かっていませんが、ハーキュリーは当然のように当時を知っているようですね。


 去り際、ハーキュリーは軍隊の在り方に関して自分の理想を語ります。


「軍隊とは国民と国益を守る為、対外勢力の抑止力になるものだと。だが、誤った政治の下で軍は正しく機能はしない。私は正しき軍隊の中で、軍人として生きたいのだよ」


 これは理想論の極致ではなく、実際に善良なるシビリアン・コントロールの重要性は、現在の世界情勢を鑑みると当たり前のことであり、逆に当たり前だからこそ、当たり前でない世界を描く「ガンダム00」では痛烈な皮肉として響くのではないでしょうか。



 クーデター関連は続き、今度はクラウス&シーリンとクーデター派使者の会談シーン。

クラウス

 連邦のクーデター派は情報漏洩を完全に封じるべく、協力要請をしたカタロンにさえ、事前情報を何も開示しないとしています。

 クーデター派の動きを見て、カタロンが協力するか否かを判断して欲しいと言う使者に、クラウスはソレスタルビーイングの協力も要請すると約束。

 ここでも、クラウスの「信じている」という発言が登場。


 連邦クーデター派は、カタロンを信頼していないわけではなく、あくまであらゆる可能性を考えて情報提供しなかっただけだと考えられます。

 それ程、作戦には絶対の自信を持っていたことが伺われます。

 クラウスも、そこまで見越して信用したのではないでしょうか。

 クラウスの審美眼というか、人を見る目は大したものです。


 なお、クラウスの思惑である「ソレスタルビーイングへの協力要請」とは別に、ハーキュリーはもっと狡猾に(と自分を嘲りつつ)ソレスタルビーイングを「利用」する意図がありました。

 それは後ほど。



 さて、今度はアロウズ。大攻勢の前の一息が描かれます。


 アンドレイはルイスが女性らしく振る舞わないことを疑問視。

アンドレイとルイス

 沙慈との過去を断ち切ったことで、復讐心も捨てられるのではないかと言うが、ルイスは聞く耳を持ちません。


 ルイスって、結構ガンダムシリーズには珍しい女性キャラだと思います。

 大抵、レコア・ロンドやカテジナ・ルースのように、敵側の男に狂わされておかしくなっていくのに対し、ルイスには特段憧れの対象となる男はいませんし、個人的な復讐心のおもむくままに生きている感じです。


「恋の手ほどきなら、この俺様に任せな...って、無視かよ!」

アンドレイとパトリック

と、カウンター的な笑いを挟んだところで(笑)、イノベイター達がそれを見て「人間って不便ね」と嘲笑するシーンが。


 ガンダムシリーズには強化人間とかコーディネイターとかが登場しますが、ここまで人間であることを自ら否定するキャラクターは初かも知れません。

 なお、イノベイター総力戦の様相を呈しながらも、リジェネは参加せず。


「あの子変わってるから」


というヒリングの弁からして、基本的にイノベイターは戦闘を好む性質を持っているようです。


 艦にカティが到着。ビリーはカティと行動を共にしたいと進言します。

ビリーとカティ

「ソレスタルビーイングが滅びるところを、この目で見たいんです。司令からも了承を頂きました」

「その願いはすぐに叶う」


「決着を付けるぞ、クジョウ」


と、カティは小細工ではなく物量にものを言わせた作戦をとることに。


 ここ、ごく自然な流れのように見えますが、毒が2つ。

 1つは、「技術屋」という言葉に見えるように、カティにとって技術仕官が戦場にやって来るなど有り得ないということ。

 もう1つは、ビリーがホーマー・カタギリ司令との血縁であることを利用して、ここにやって来たらしいことが透けて見えること。


 前者には、戦術というマクロな視点と技術というミクロな視点が相容れないことを知っていて、少々邪魔に思っているカティの心情が出ています。

 後にビリーがトランザムの使用を指摘した際、カティが「分かっている」と一言だけ応えたことからも、それは伺えます。


 後者には、ビリーのある種の厭らしさが見えます。

 クジョウに対する色々な思いも、言い換えれば独善的であり、戦争そのものをどうこう思っているわけではなく、あくまでクジョウを潰したいという動機のみで動いている。

 ビリーを、かなり歪んだキャラクターとして描きはじめているものと思われます。


 なお、ハーキュリーはアロウズの殆どの戦力がトレミー殲滅作戦に向けられたという情報を得て、


「悪いが利用させてもらう。ソレスタルビーイングを」


とクーデターのチャンスを見出しました。

 ハーキュリーの中では、発展的協力をソレスタルビーイングに求めるのではなく、あくまで利用するという立場に居ます。

 連邦の軍人であることにかわりはないので、当然と言えば当然ですね。今後は分かりませんが。



 さて、後半は後のないトレミー防衛戦へと突入です。