狡猾なる戦争屋 アリー・アル・サーシェス

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 ガンダム00唯一の完全なる悪役。

 それがアリー・アル・サーシェス。


 刹那を少年兵に仕立てるべく洗脳し、ロックオンの家族をテロで殺戮。

 絹江を容赦なく口封じし、ラグナからまんまと金をせしめて消し、トリニティを嬉々として始末する。


 常に悪態をつくと思いきや、紳士的な振る舞いも見せ、セルゲイには敬意を表する面も。


 この男、危険。

 それがアリー・アル・サーシェス。


 血液型はO型。

 7月11日生まれの35歳。

 サーシェスの劇中で垣間見られた経歴を追ってみると、まずクルジスの反政府ゲリラ「KPSA」のリーダーとして活動。この頃、ソラン少年(刹那)に戦闘術の訓練を施しています。なお、KPSAは自爆テロによってニール(ロックオン)の肉親を殺害しています。

 その後、モラリアのPMCトラストに所属する傭兵として活動。ただし、これは活動に支障がない程度の身分の確保に過ぎないと思われ、ゲーリー・ビアッジという偽名でAEUの外人部隊にも参加。

 あらゆる場でガンダムと対峙します。

 その間にも、アザディスタンのマスード・ラフマディを拉致して内紛を画策したり、常に戦争のある場に身を置いています。


 「戦争が好きで好きでたまらない、人間のプリミティヴな衝動に準じて生きる最低最悪のろくでなしです」


とは、絹江に対して明かした自らの本性ですが、これには一流の皮肉が込められていますね。



 演ずるは藤原啓治さん。

 この方がアテると、これだけの憎まれ役にどこかしら憎めない味が加わり、よりキャラクターを魅力的に仕上げていきます。


 さすがです。


 悪態も紳士的な態度も、同じキャラクターの言動として破綻しておらず、一流のワザを見せてくれます。



 モビルスーツ遍歴は、サーシェスカスタムのPMCイナクト、モビルアーマー・アグリッサ、そしてガンダムスローネツヴァイ。

 どれに乗ってもガンダムを一時は圧倒し、遂にはガンダムそのものに乗って正規のガンダムマイスター以上の能力を発揮。サーシェスがいかに豊富な戦闘経験を積んだプロフェッショナルかが伺えます。



 最終的にはアレハンドロ・コーナーに雇われていたようですが、アレハンドロは世界を戦乱の渦に叩き込み、そこから生まれる新しい世界を掌握しようとしているようなので、戦乱の渦中でしか生きられないサーシェスとは、利害の一致があったということでしょう。



 サーシェスが果たす劇中の役割は、勿論「必要悪」なのですが、本質としては、「性善説」を体現するソレスタルビーイングと対極にある「性悪説」を体現する者でしょう。


 同じ武力行為を旨とする者でも、ガンダムマイスターとサーシェスが対峙した際には、完全に対極のイデオロギーを有したものとして描かれます。


 ガンダムマイスターと人革連など大国の連中が対峙しても、このように鮮やかなイデオロギーの対極ぶりは見られません。


 即ち、サーシェスは倒されることでカタルシスをもたらすキャラクターということになるでしょうか。


 ...いや、とてもカタルシスがあったとは言えませんけど...ね(ロックオン...涙)。