ブレイブ26「ビックリ!ガブティラにんげん」

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 後半戦開始のゴングを打ち鳴らす、新キャラ登場編。

 新キャラとは、勿論エンドルフの事ですが、このエンドルフの声が元メガブルーの松風さんという事もあってか、実にニヒルで格好良いキャラとなっています。しかも、残虐非道で仲間にすら牙を剥くという典型的な「危険人物」。基本的にカオス以下それなりの結束を見せていた(とはいえ、個々が好き勝手にやってはいましたが)デーボス軍を引っ掻き回すキャラクターとして、充分期待出来る造形です。

 一方で、キョウリュウジャー側には、パワーアップ譚の前哨として、ダイゴ不在というシチュエーションを作り、あまり作戦参謀的な印象を持たれる事のなかったイアンをしっかりと前面にフィーチュアして、カリスマ的なダイゴとは異なる頭脳派リーダーとしての側面を強調。特に戦闘中の的確な指示には、イアンの「真の実力」を垣間見る事が出来ました。

 まずはエンドルフですが、このキャラクターの原形は「デンジマン」のバンリキ魔王ではないかと思います。

 いわゆるナンバー2(ドゴルド)とウマの合わない、ならず者のような雰囲気。巨大化と縮小を自在に行って(どちらもラッキューロに指示している処が今回の良さ)強さを見せつけ、特に巨大戦で必殺拳を白羽取りする辺りはバンリキ魔王の正統な後継者たる存在感。これは個人的に嬉しい描写でしたね(笑)。

 また、新入り扱いでドゴルドの下に付きながらも、指示を全く無視して気怠そうに実力を発揮する様は、ベーダー城にてその実力を誇示しつつ常に酒を飲んで寝転がっているバンリキ魔王とはスタイルが異なるものの、「誰の指図も受けない」という点ではよく似ています。

 「デンジマン」では、このバンリキ魔王の存在が、敵組織であるベーダー一族の凋落を加速させる事になりますが、今回はどうでしょうか。

 エンドルフとバンリキ魔王が決定的に違うのは、出自です。エンドルフがあくまでデーボス軍という種族(?)内で誕生した戦騎であるのに対し、バンリキ魔王はベーダーとは関係ない宇宙の用心棒。従って、エンドルフはデーボス軍に対して一定の波乱を巻き起こす事にはなると思いますが、恐らくバンリキ魔王のようにベーダー乗っ取りを画策して破滅に導くような存在ではないでしょう。しかしながら、「身内」であるが故の恐ろしさは、ある意味バンリキ魔王以上であるとも言えます。

 前述の通り、ドゴルドには一切従う様子はなく、アイガロンは巧く利用される始末。ラッキューロは戦いを愉しむ為の巨大化と縮小の道具にされてしまっています。

 アイガロンに関しては、先の戦いからの復活によって、しばしば暴走状態に陥るという設定が付加されており、より危険なキャラクターに変質しましたが、エンドルフはそれにも増して危険な雰囲気に彩られており、完成度の高さには感服します。

 ちなみに、「バトルフィーバー」のノロイ怪人と、エンドルフって、造形が何となく似てますよね(笑)。自分を痛めつけて戦いを有利に運ぶところまで含めて。恨みから呪いの藁人形を連想していった結果、同じようにモチーフに辿り着いたのだと思います。

 アイガロンの暴走がフィーチュアされている事で、必然的にアイガロンを仇敵とするイアンもクローズアップされていくのが巧い処。

 イアンのアイガロンを憎む気持ちは、エンドルフを潤しつつ、自ら冷静さを捨てて戦隊を危機に陥れるというダブルの効果を呈します。今回は、イアンが参謀格の自覚を持つに至るプロセスを描くという側面もあるので、このくだりにおける危機感がかなり強調されていました。ここからイアンが憎しみを克服し、冷静さを取り戻していくにつれ、ダイゴ不在でエンドルフ有利という戦況は変わらずとも、防戦一方の状況が見るからに改善されていく描写は見事です。

 しかも、我を失って「ガブティラ人間」になってしまったダイゴがアイガロンの腕に噛み付き、イアンの心に火を灯すというくだりの「熱さ」。ダイゴは意志を失っても本能的に仲間を守ろうとし、イアンがそれを理性で理解する。この対比されたキャラクター性が有機的に繋がって、見事にイアンを参謀格へと押し上げる流れが非常に良いです。

 勿論、そこへ至るイアンの苦悩も適確に過不足なく描かれています。ダイゴ不在となった折、イアンは皆よりリーダー代理に指名されるわけですが、イアン自身はそのような器ではないと固辞。アミィがそこに共感を寄せるシーンが素晴らしく、激戦の束の間の静寂といった趣があります。

 ちなみに、参謀格のサブリーダーというキャラクターは、「ゴレンジャー」におけるアオレンジャーを原形として、「ゴーグルファイブ」のゴーグルブラックで一つの完成を見ます。

 アオレンジャー=新命明は、演じる宮内洋さんの意向やスケジュール調整もあってか、頭脳派の作戦参謀というよりは、超A級パイロットかつ格闘技のエキスパートという側面が強く、作戦立案時にリーダーであるアカレンジャー=海城剛と議論する事はあっても、あまり作戦そのものを牛耳っているようには見えません。

 一方、ゴーグルブラック=黒田官平は、将棋部の部長という設定が知的な感性を匂わせつつ、演じる春田純一さんが当時JACに所属していた事もあって超絶アクション担当となり、生身で危機に陥りまくるという特異なキャラクターでした。しかしながら、ゴーグルレッド=赤間健一とのコンビは「大人」の雰囲気そのもので、他のメンバーに敬称で呼ばれる二人の存在感は、正に頼れるリーダーとサブリーダー像そのものでした。

 イアンは、むしろ「チェンジマン」のチェンジグリフォン=疾風翔のようなプレイボーイ系ムードメーカー兼サブリーダーの後継ですが、今回明確にされた頭脳派の面は、前述のゴーグルブラックや、「ジュウレンジャー」のマンモスレンジャー・ゴウシ辺りの要素を継承していて、より多面的です。

 さて、今回は弥生がバイオレットに変身するシーンが用意されていましたが、興味深いのは、弥生の変身自体を全く特別扱いしていない処で、ごくごく自然に登場させています。

 今回の弥生は、ダイゴを「ガブティラ人間」にしてしまった張本人ではあるのですが、彼女の心情よりもイアンの資質がクローズアップされている為、扱いは思いの外軽いものとなっていました。前半戦での変身後の活躍は、いわゆる「安全な場所へ」要員であった上、後半戦では変身後の活躍がなく、プレズオーをダイゴの代わりに出撃させるという重要な役割をサラッと描いているに過ぎません。

 弥生の活躍に期待すると肩すかしを食らってしまいますが、私としては、弥生がイアン達から一歩距離を置いている絶妙なポジションに惹かれました。これは「デカレンジャー」におけるスワンに近いのではないかと。今の処、弥生はちょっとマッドサイエンティスト的な味付けをされている特異なキャラクターですが、これから先、いざという時に頼りになるキャラクターへと成長するのではないかと期待しています。

 次回は一週SP枠で空いた後の週となります。いい処で引っ張りますな...。