第1話 ウルトラマンマックス誕生!

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

ストーリー

 謎の赤い光球が地球の軌道上を周回している…。

 そして日本・龍厳岳。キャンプを楽しむ一家は、突然巨大地震と噴火に襲われ、命からがら逃げ出す。少年ショウタは、龍厳岳の洞窟で怪獣の巨大な目玉を目撃していた。信用してもらえず、一人で証拠を掴みに言ったショウタ。龍厳岳からは巨大な怪獣・グランゴンが出現した。ボランティア組織に参加していたトウマ・カイトは、ショウタが龍厳岳に行ったのを知り、現場に駆けつける。

 DASHのトミオカ長官は、直ちに出動を命令。DASHはダッシュマザーで出撃する。ダッシュマザーからダッシュバード1・2を射出し、フォーメーション・β7を展開。グランゴンを追い詰めるも、カイトの救助行動のために作戦変更を余儀なくされる。しかし、フォーメーションγ3による冷凍弾攻撃により、グランゴンは粉砕、翔太も無事に保護された。ミズキはカイトに苦言を呈するが、カイトは「誰かを守りたいという思いはDASHに負けてない」と言い捨てる。

 ベース・タイタンでは、ヨシナガ教授による仮説が隊員たちに説明されていた。生態系には調節機能があり、特定の種が増えすぎると天敵が現れ、個体数が制限される。人類の繁栄は一線を超え、怪獣と言う試練が与えられたのである。そして、グランゴンに続いてラゴラスが出現した! DASHは直ちに出撃する。さらにグランゴンが溶岩の中から復活! 2匹は互いに闘争を始める。超高温怪獣と超低音怪獣の激突! その衝撃でDASHは地上戦を余儀なくされてしまう。近くに位置する病院の危機に、ミズキは躍起になるが、ダッシュバードは墜落してしまう。

 それを目撃したカイトは、ミズキを救助し、ダッシュバードに乗り込む。カイトは先月、DASHの入隊試験を受けたが、最終試験で落ちていたのだ。カイトは何とかダッシュバードを飛ばし、怪獣を攻撃し始めた。しかし、ラゴラスの冷凍光線が被弾!

 すると、地球の軌道上を周回していた謎の赤い光球が飛来、カイトを包んだ。異空間の中で、光の巨人がカイトに話しかける。地球の衛星軌道から文明を監視するうち、自己犠牲を厭わないカイトに共振する個性を感じ、一心同体となって地球を守ることを提言した巨人。巨人の手から放たれたマックススパークを手にしたカイトは、光に包まれ、巨人と一体になった!

 赤き巨人は、グランゴンとラゴラスをその強大なパワーで一蹴する。2匹の光線を跳ね返した巨人は、左手から放つ強力な必殺光線でグランゴンとラゴラスを木っ端微塵に粉砕した!

 晴れてカイトはDASHの新入隊員として迎えられた。功績が評価されての大抜擢だった。カイトは光の巨人「ウルトラマンマックス」に救われた、と語った。ミズキは、そんなカイトに一言礼を言うのだった。

解説

 ウルトラマンネクサスの後を受け、遂に新シリーズ開始。ネクサスのダークかつアダルトな雰囲気溢れる大河ドラマ構成から一転、王道回帰が図られた今作は、とにかく爽快感を重視したエピソードを頭に持ってきた。

 開始2分からいきなり怪獣の全身像を拝めるという驚速展開。すぐにDASHの基地内が描写され、すぐさまダッシュマザーで出撃、ダッシュバード射出で作戦展開。その管制をエリーが完璧にやってのける。DASHというチームのあり方がこの数分間で過不足なく表現されているのが凄い。

 そのあとオープニング。懐かしいシルエット描写が嬉しい。底抜けに明るい主題歌は、ネクサスの後ゆえに賛否両論渦巻いていたが、私的にはOK。このぐらいふっきらなければ、マックスのイメージが損なわれる可能性がある。

 怪獣は、グランゴンとラゴラス2体がフィーチュアされるという豪華編となったが、第1話にグランゴンのような四足歩行タイプが現れるのは、実はシリーズ中では珍しいこと。大抵ラゴラスのような首の長い二足歩行タイプなのが通例だ。グランゴンがDASHにあっさり倒されてしまった場面は、DASHの強さをアピールしたが、その後にちゃんと復活して二大怪獣対決となり、ファンの欲求をあらゆる面で解決してしまう。この幕の内弁当のような構成は、今後のあらゆる展開を期待させるに充分だ。

 DASHの描写は、これまたネクサスのナイトレイダーの後を受けたため、随分と懸念されたが、湾岸に浮かぶリアルなイメージが抜群なベース・タイタンを始め、隊員の規律正しい行動や、コクピットのユニットがダッシュマザーにドッキングする発進シーンのあまりのカッコ良さ、作戦コードの発令など、あらゆる面でそれまでのチームの集大成のようなイメージを展開し、それを高次元で成立させている。健全なチームというイメージも、科学特捜隊やUGMなどの直系チームを彷彿させる。

 一方、主人公であるカイトは、ボランティア出身という一風変わった設定により、誰かを守りたいという信念に説得力がもたらされている。DASHの最終試験で不合格になったというエピソードがちょっとした笑いを誘うが、そのためにダッシュバードを操ることが出来たと言う、無理のない筋運びがうまい。ちょっとツッコミを入れるとしたら、「関東ボランティアネット」が「KBN」と略されていたが、ボランティアって「V」では…。

 そして、ウルトラマンマックス。まず赤い光球という姿がM78星雲出身者としてのアイデンティティを備えている。カイトに話しかける異空間は、初代ウルトラマンのコンタクト場面そのもの(ただし、カイトは命を落としたわけではない)。マックスが言った「共振する個性」という言葉は、高度な知的生命体であることを思わせる抜群のセリフだが、これは帰マンの「勇敢な行動に感動した」というセリフと同等のものだろう。ウルトラマンとその依代となる人間のコンタクト・シーンとして、素晴らしい出来栄えだったと評価したい。

 マックスのバトルシーンは、平成の各シリーズと特に変化はないように見えた。実際、ウルトラマンで全く別種のバトルシーンを演出しようとしたら、映画「ULTRAMAN」やネクサスのメタフィールドのような要素で展開するしかない。「王道」ならではのバトルシーンというのは、やはり「怪獣プロレス」が究極なのかもしれない。ただ、必殺光線はタロウのストリウム光線でエネルギーを集めるシーンを彷彿させ、ある種の懐かしさを覚えた。この「美麗一歩手前」で「力強さ」を表現するあたりがなかなか心憎い。タイマー音が初代マンに近い効果音になったのにも注目。

 ネクサスの後を受けたことで、何かと批判の対象になりがちだったマックス。私はこのファースト・エピソードで充分に興奮させていただいた。物語の枠が決められていない分、色々なエピソードが展開される期待も。さて、ファン諸氏の評価は!?

オマケ

 息子は、この初回放送に噛り付きで夢中になっていた。

 マックススパークのCMで、密かにセブンの変身シーンの効果音が使われていた。本編でもあの「ビュルルーーーーン」という音が鳴り響く??