第28話 邪悪襲来

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ストーリー

 遥か銀河系の彼方、緑溢れる惑星に凶獣ルガノーガーが降り立ち、その平和な惑星を木っ端微塵に破壊してしまった。その惑星の少女リリカは、間一髪脱出を果たす…。

 DASHでは、お正月に際してコバ、エリー、ショーンが書き初めに奮闘。のんびりとした雰囲気が司令室内を漂う。その頃、カイトは関東ボランティアネットワークに「里帰り」、久々に子供達と会っていた。その子供達の一人・アツシが山で行方不明になり、探すことになったカイト。一方、ボランティアに参加しているリリカもアツシを探していた。リリカは超能力で気を失っていたアツシの怪我を治す。その行為は、エリアJF884における未知のエネルギー反応としてエリーに感知され、ミズキはカイトと合流することに。その頃、リリカはルガノーガーの襲来を密かに予感していた。

 子供達を眺めるミズキは、みんな楽しそうだと呟く。するとカイトは「時々、寂しい気持ちでいっぱいになるんだ」と答える。子供達は災害によって孤児となったのだ。カイトとリリカは会話の中で、互いの素性を知ることになる。リリカがルガノーガーの飛来を感知したのをキッカケに、自分の故郷のことを語るリリカ。リリカは、何故話してくれたのかというカイトに対し、人間の内側を見抜く力を持った子供たちの目が、カイトを見るとき輝いていたから、と言う。さらに、太陽のような強い光を感じたからだとも付け加えた。少し慌てたカイトは、内緒にするようリリカに頼む。

 一方、エリーは宇宙からの通信をキャッチ。一ヶ月前にある惑星から発せられた通信と思われ、一部を解析したところ「我等…壊滅…邪悪…ルガ…注意」となった。ルガノーガーは確実に地球へと接近しつつあった。監視衛星を破壊したルガノーガーを迎撃すべく、DASHは直ちに出動。ルガノーガーがカイトのいる方面に飛来する予測を受け、子供達は直ちに避難行動を開始した。カイトは「もう俺たちのような思いは誰にもさせない」と決意する。カイトも災害孤児だったのだ。そして遂に、ルガノーガーは飛来を果たした。

 迎撃を開始するダッシュバードだが、あらゆる攻撃に対する耐性を持つルガノーガーには歯が立たない。カイトもダッシュドゥカで援護するが、負傷してしまう。そこへリリカが現れ、カイトの負傷箇所を超能力で治癒させた。その時、ダッシュバード2が放ったミサイルがルガノーガーによって弾かれ、ミズキや子供達の隊列に向かって飛び始めた! カイトはウルトラマンマックスへと変身して、間一髪ミサイルをキャッチする。そのミサイルを地面に突き立てたマックスは、すぐにルガノーガー迎撃に向かう。

 しかし、ルガノーガーの体表はいかなる攻撃もはね返し、マックスは苦戦を強いられる。尻尾によって不意を突かれ、エネルギーを吸収されたマックスは、絶体絶命の危機に際し、自らが地面に突き立てたミサイルを投げつけて形勢を逆転、マックスギャラクシーでルガノーガーを粉砕した。

 その夜、夜空を見上げる子供達の中で密かに決意を固めるカイトに、リリカは「これからも地球を守ってね、ウルトラマンマックス」と耳打ち。カイトは慌てふためくのだった。

解説

 怪獣デザインコンテスト最優秀賞・ルガノールが、ルガノーガーとして登場する新春イベント編。ルガノーガーの強大さ、ユニークさを強調すべく、ストーリーは怪獣モノ・異星人譚としても王道を行くシンプルな内容となった。

 一方で、リリカの可憐さ、爽快感あふれるカイトの正義感、異星人の素性を内包する者同士の理想的に明るい作劇など、シンプルな中に見所の多い佳作としての存在感も。DASHにおける正月の描写がなされる楽しいシーンも挿入され、全体的に明るい作風となっている。つまり、基本中の基本的なマックスの作風に忠実なものとして組み立てられているのだ。

 ところが、ここで突然カイトの設定に関するトピックが現れる。カイトは災害孤児だったというセリフだ。思えば第1話に、「お兄ちゃんのパパとママは?」と訊かれたとき答えに窮するカイトの描写があった。あのシーンに答えが用意されたということに、少々の衝撃を覚えた。年末年始のエピソードで、立て続けに初期篇への返球が行われるとは、制作陣もなかなか面白い仕掛けを用意したものだと感心する。

 さて今回の見所は、まず第一にルガノーガーであろう。冒頭の惑星破壊シーンにより、その強大さを印象付けたルガノーガーは、イイ意味で子供らしい発想に溢れたパワフルなデザイン。ふんだんに光線の合成が用いられて、破壊シーンをド派手に演出し、スター怪獣の素養を魅せた。胸の反射板状構造、強力な破壊光線、尻尾の突起でエネルギー吸収と、恐らくコンテストのデザイン段階にて、設定として書き込まれていたであろう特徴の数々が、すべて印象に残るよう演出されているのも素晴らしい。

 続いては、やはりリリカ。故郷を失うという極度に悲劇的なストーリーを持ちながら、災害孤児やボライティアの前向きな姿勢に共感して行動している明るいキャラクターとして描かれる。同様の経歴を持つ第25話「遥かなる友人」のキーフとは、異星人であるという素性を隠すか否かで全く異なる道をたどり、結果的にカイトと深い友情を結ぶという、幸せな役どころである。ただし、ここではルガノーガーを知る人物、カイトの古巣に関わる人物という域をワザとはみ出さないように企図されているらしく、異星人と地球人の関わりはテーマとしては重視されていない。むしろ、リリカが出会った人間が、温かく優しい人間だったというところに、ウルトラの一面でもある地球人性善説が感じられる。

 リリカとカイトの会話には、秘密を持つ者同士でしか成立しないユーモアが盛り込まれており、特にエピローグで「ウルトラマンマックス」と呼ばれてカイトが慌てるシーンは微笑ましい。ミズキのヤキモチが見られなかったのは少々残念だが、今回ミズキは完全に脇役なので仕方ないだろう。リリカの思いと呼応するかのように戦いに赴くカイトはカッコ良く、ダッシュドゥカの武装初登場も相まって、ヒーローらしい行動が描写されていたように思う。

 ウルトラでは、年始に「お年玉編」と呼ばれる比較的派手なエピソードを制作してきた伝統があるが、今回も伝統に則った、極めて派手で正統派の娯楽編になっていたのではないだろうか。

オマケ

 オープニングで「ルガノーガーデザイン・鈴木敦(怪獣デザインコンテスト最優秀賞)」のクレジットが登場。デザインした鈴木敦くんにとっては、素晴らしい記念になったと思う。

 さて、冒頭の書き初めの描写では、アクリル板(またはガラス)に筆書きするところを下から捉えるという面白いアングルが登場。このシーンのエリーの動きも面白く、ユーモア溢れる場面だ。ショーンが「書道は心だ」と説くのも可笑しい。バシッと正月に相応しい装いをしているコバとショーンに、出動の指示をためらう隊長も、人柄がにじみ出て二重丸なシーンだ。ショーンの「サムライボーイ」も久々に登場。

 なお、ボランティアの一員役で登場した伊藤久美子氏は、東宝の「超星神グランセイザー」での、セイザーパイシーズ・魚住愛役。前作のピット星人に続いて、グランセイザー女優が登場することとなった。

 蛇足ながら、年始を意識してか、サブタイトルの「邪悪襲来」の文字が、金文字で筆書きっぽいものとなっていた。