Final Episode 絆 -ネクサス-

 18年前、アメリカコロラド州…。一人の研究者が闇に囚われた。そして現在、3万人もの人々がビーストを認識したことに対し、レーテを再び起動させようと考える松永たちTLT上層部だったが、来訪者の力は弱まっており、レーテの起動によってポテンシャルバリアは威力を失うことになると吉良沢に忠告される。

 再び18年前。幼い海本は、来訪者の意志を伝えるコンタクティであった。来訪者たちは自らの手で故郷を爆破していたという。

 レーテ再起動の頃、凪はストーンフリューゲルに触れてエボルトラスターを手にする。凪が次期デュナミストだったのだ。その時を待っていたかのように、石堀は突如詩織に凶弾を浴びせる!! 続いて次々と他の隊員を襲う。それを阻止したのは凪。デュナミスト・凪を前に石堀は遂に正体を現わす。石堀こそがアンノウンハンドだったのだ!

 石堀はセクション-0を訪れ、レーテに接近する。対峙する吉良沢に対して石堀はこう名乗った。「ダークザギ!」 それに反応するように海本は思い出した。「ザギが復活したとき、この星も滅亡する」かつて自らがそう預言した際、傍らで絶望を露わにしていた人物・山岡一…。山岡と同じ容貌を持つ石堀はダークザギの拠代であり、すべて山岡のデータと、関係者の記憶は改ざんされていたのだ。石堀は、凪がデュナミストになることを予知し、ファウストやメフィスト、リコや溝呂木を使い、光の力を強化すると共に凪に深い闇を植えつける作業を続けてきたと言う。すべてはダークザギの復活のために。18年前、凪の両親を殺害したのも、凪の憎しみをレーテの恐怖と同調させて光の力を闇の力に変換するためだったのだ! かくして罠に落ちた凪はレーテの前でウルトラマンへと変身し、その光の力を奪われてしまう。ダークザギは復活した!! 孤門は凪を助けるべく漆黒の闇に飛び込んでいく。

 地上に降り立ったダークザギは新宿に大いなる破壊をもたらし始めた。それは世界中のビーストを活発化していく。和倉隊長はただ一人出動していった。

 孤門は漆黒の闇の嵐の中で、凪に呼びかける。「諦めるなぁぁっ!!」 その言葉に目を覚ます凪。孤門と凪が手を取り合った瞬間、まばゆい光がウルトラマンを復活させた。孤門と凪は新宿に降り立つ。孤門の手にはエボルトラスターが。ダークザギを迎撃する和倉隊長を援護すべく、次のデュナミストとなった孤門はウルトラマンへと変身する! 「絆…ネクサス!」

 「もしこの戦いでウルトラマンが勝利したならば、運命を変えられるかもしれない」 吉良沢の希望は果たして成就されるのか?

 しかし、ダークザギの力はやはり強大であった。「立て孤門!お前は絶望の淵から何度も立ち上がった。だから俺も戦えた」姫矢の言葉が脳裏に響き、ウルトラマンは赤いジュネッスへと変化する。そして、「負けるな孤門!俺も孤門のおかげで、最後まで戦えた!ウルトラマンとして」憐の言葉がよぎったとき、ウルトラマンはさらにジュネッスブルーへと変化。次々とそれぞれのジュネッスの能力で立ち向かうも、なおも苦戦を強いられる。

 レーテの崩壊によって、記憶を取り戻した新宿の人々は、かつてウルトラマンが新宿を救ったことを思い出し、ウルトラマンへ希望を託す。人々の熱い思いは、ウルトラマンに更なる変化をもたらす。その姿は、翼を有した神々しいまでの光り輝く巨人であった。その絶大な光の力が、ダークザギを圧倒する! 宇宙空間へ追放されたダークザギは、ウルトラマンの放つ光の奔流の前に、なす術もなく四散するのだった。

 1年後、ビーストの襲撃は弱まりつつもまだ続いていた。しかし、ナイトレイダーを認知した人々に、もう絶望はない。一人の少年を救った孤門が力強く呼びかける。「諦めるな!」

解説

 ネクサス大団円!! 最終回でそのシリーズの価値が決まると言っても過言ではないキャラクター・ドラマの世界。語り継がれる伝説の作品群は、やはり最終回の感動の深さによって人々の記憶に永らく刻まれてきた。そして、また新たに伝説の仲間入りをするシリーズが完成した! いきなりの大げさ発言をしてしまったが、それだけ感動が深かったことをお伝えしたいがため。

 まずは、気を取り直して本エピソードについて少々。すべての謎が氷解していく疾走感と、重厚な人間ドラマとが両立する充実感は、ネクサスが積み上げてきた数々の要素の成果であり、非常に高いレベルで達成されている。エボルトラスターを手にする凪、正体を現わす石堀、明かされるアンノウンハンドの目的…。初っ端から飛ばしまくる怒涛の展開でありながら、ナイトレイダーの面々のキャラクター描写がしっかり成されている。特に詩織の「やーだぁ」という笑顔とその後の凶弾に倒れる描写は衝撃的で、あれが別の人物だったらもっとインパクトは弱かったように思う。

 今回の特筆事項は、何と言っても石堀の悪役ぶりであろう。冷静で高い能力を持ちながら、その能力をあまりひけらかさない好人物として描写されてきた石堀の変貌は、以前からの噂や憶測がありながらも、ファンにとって相当な衝撃だったことは想像に難くない。しかしながら、それらが全て策略の中の演技だったことについては、全く違和感がない。このあたりの演出の丁寧さには感服せざるを得ない。

 さらに、一人での孤独な出撃を余儀なくされた和倉隊長の哀愁漂う決意の姿。これには多くのファンが感動したのではないだろうか。ここまで悲壮感を秘めて出撃していった隊長は、この和倉が初めてだろう。殆ど勝機はないが諦めない精神は、孤門を育てた和倉隊長という存在をより際立たせた。ウルトラマンにチェスター墜落を救われ、孤門だと気付くシーンも鳥肌モノだ。

 続いて凪。凪は姫矢や憐との共闘を経て、憎しみを克服してきたのだが、実は最大のトラウマからは脱しきれていなかったという展開が壮絶。凪が憎しみの赴くままデュナミストとして変身するシーンや、男性型ウルトラマンの声が女性という衝撃度の高いシーンを彩ってくれたが、デュナミストとしての扱いが少々軽すぎたのは残念。凪が孤門に救われるシーンでは、思わずウルトラマンAの北斗と南が、次元を超えてウルトラタッチするシーンを思い出した。

 そして、ウルトラマンネクサスの主人公・孤門一輝。大方の予想通り、彼はデュナミストだったわけだが、最後の最後で光を手にして戦うという燃えに燃える展開の上に、姫矢の呼びかけや憐の呼びかけに応じて次々と異なるジュネッスへと変化していく爽快感が凄い。孤門が数々のデュナミストを見てきたことが、孤門の成長を促すと共に、最強のデュナミストへの覚醒に繋がったと解釈できる名戦闘シーンだ。それはNプロジェクトの祖「ウルトラマンノア」の登場に繋がる。

 劇中では、「ウルトラマンノア」の呼称は当然なく、あれは大勢の人々の希望を受けて発動した孤門のジュネッスだと解釈していいだろう(人々の記憶が甦るシーンでの沙耶の表情がいい)。最強の光の巨人の姿が、光の起源「ノア」を復活させた姿だというのは非常に説得力がある。ノアの登場も以前からファンの間で噂されていたが、土壇場まで私は半信半疑だった。そのため、その登場シーンはその映像、盛り上がり、音楽の相乗効果で震えがきた。これほどウルトラマンの姿が神々しく見えたのは初めての経験だった。そのあまりの神々しさに、孤門の存在を忘れそうになったが、瞬間、挿入されたリコの「孤門君ならきっと守ってくれる」という言葉で、孤門の存在を改めて「ノア」に重ねることができた。このシーンは非常に計算されつつも深い感動を呼び起こす名シーンだった。

 エピローグで、ちらっと映る姫矢と憐。2人とも生きていた! しかも、姫矢は撮影器具のストラップらしきものを肩にかけており、ジャーナリストとして活動を再開しているかのような描写が嬉しい。憐は大学にでも通っているのだろうか? いずれにせよ、元気な姿が「ラファエル」の効果を証明した。1年後も、まだビーストが殲滅されていないという幕引きは衝撃的ながらも、ナイトレイダー存続(沢山のユニットが活動している描写が秀逸)と孤門のデュナミストとしての戦いの継続を示しており、もしかすると今後の展開が? という淡い期待を抱かせる。詩織がちゃんと復帰しているのも嬉しい。

 最後の、少年に向けた孤門のセリフ「諦めるな!」は、かつて孤門が溺水したとき、何者かが手を差し伸べた場面にリンクする。つまり、孤門はあの時「宇宙人」ではなく、真木以前のデュナミストに助けられていたのだと解釈したい。「諦めるな!」と呼びかけられた少年もデュナミストかも知れず、このように光の絆は次々と受け継がれていくのだということを示した場面だと思う。

 終わりに、このネクサスというシリーズを見終わって思ったことを一言。ネクサスは確かに「失敗作」だったかも知れない。視聴率やマーチャンダイジングにおいては、かなりの苦戦を強いられたのはファンならば知っていることだ。「打ち切り」「短縮」というネガティヴな言葉が常に付きまとっていたのは、作品のカラーに妙にシンクロしているようでもあった。しかしながら、「失敗作」はイコール「駄作」ではないことは、シリーズ全体を見てきたファンならば誰もが感じるところではないかと思う。

 商業的な危機に際しても、その路線を迷うことなく、ポリシーを貫いたウルトラマンネクサス。作品的にも商業的にも成功作続きの平成ウルトラマンシリーズの中において、鬼子扱いされることも今後は度々あるかも知れないが、その作品価値は燦然と輝き続けるに違いない。