T・レックス (T.Rex) ヒストリー

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 「グラム・ロックの狂宴を主催した偉大なるポップ・アイコン」


 「グラム・ロック(またはグリッター・ロック)」の代表格として永遠に色褪せない伝説、マーク・ボラン=T・レックス。

 T・レックスの前身はティラノサウルス・レックスというグループで、マーク・ボランとパーカッショニストのデュオであった。ティラノサウルス時代のシンプルかつサイケデリックでミステリアスなアコースティック・ロックは、現在聴くとより強烈に響くこと間違いなし。さながら呪文のようなボランのヴォーカルや、ひたすら同じようなリズムを叩き続けるスティーヴ・ペリグリン・トゥックまたはミッキー・フィンのパーカッション。実にトランス誘発感に溢れた音楽である。

 ところが、「T・レックス」と名を変える前後から、ボランは手持ち武器をエレキ・ギターに変え、よりキャッチーでギラギラとした、シンプルなハード・ロックを奏でるようになる。音の印象は変化したが、繰り返されるシンプルなリズムや不可思議な高揚感は、まさにティラノサウルス時代のものを受け継いだものだと言える。

 T・レックスの音楽は、一度虜になったら最後、ドラッグになるのだ!

第1期 エレクトリック・ウォリアー、颯爽登場!!

 マーク・ボランが、華やかなりしグラム・ロック・ムーヴメントの導火線に点火した、「T・レックス」から、T・レックスの頂点を如実に語る「グレイト・ヒッツ」までを第1期とする。

 この時期は、まさにグラム・ロック・ムーヴメントの誕生からその頂点へと至る時期と一致している。マーク・ボランが、グラム・ロックの象徴であることは歴史が証明している。

 作品は、「T・レックス」、「電気の武者」、「ザ・スライダー」、「タンクス」、「グレイト・ヒッツ」。シンプルなボラン・ブギーは、作品を経るごとにどんどんゴージャスに、華やかになっていく。

第2期 華麗なるボラン・ワールド。そして...。

 グラム狂乱の時代に終焉が訪れる。「ズィンク・アロイと朝焼けの仮面ライダー」から、T・レックス最後の煌き「地下世界のダンディ」までを第2期とする。

 「グレイト・ヒッツ」の頃、すでにグラム・ロック狂乱の時代には翳りが見え始め、一躍大スターとなったボランはシングル・ヒットの落ち込みに焦りを感じていたようである。ボランが放った「ズィンク・アロイと~」はそれまでのボラン・ブギーとはかなり異なるアルバムだった。

 その後ボランは再起を賭け、往年の(というのもヘンではあるが)ボラン・ブギーを彷彿とさせる作品や、意欲的なリズムの導入を試みた作品を送り出す。そしてパンク全盛時代の聴衆が、ボランをパンク界のゴッド・ファーザーとして認識するようになる頃、既にボランの命は風前の灯火であった...。

 作品は、「ズィンク・アロイと朝焼けの仮面ライダー」、「ブギーのアイドル」、「銀河系よりの使者」、「地下世界のダンディ」。一枚ごとに作風が違う。この時期のボランの焦りと余裕が入り混じった、不思議な4枚だ。

未発表音源から知る、ボランのクリエイティヴ・エナジー

 マーク・ボランの死後、数多くのアウトテイクを含む未発表音源がリリースされた。

 「ザ・スライダー」以後の音源を管理しているウィザードから、3枚組のアンソロジーがリリース。日本ではバラ売りとなったが、その編集センスやクォリティは素晴らしいものだ。

 数あるアウトテイク編集盤から私が選択したのは、マーク・ボラン&T・レックス名義の「神秘の軌跡」、「神秘の軌跡II」、「神秘の軌跡III」。「ザ・スライダー」~最終作までの時期のアウトテイクを中心に編集されている。