タンクス、つまりThanksの変音語を冠したこのアルバム、さながら「大ヒット御礼」といった趣である。ジャケットに戦車（タンク）が散りばめられており、Tanksという意味もあるようだ。とにかく沢山の短い曲が畳み掛けられるように連なり、その各曲が個性を放つという贅沢極まりないアルバムである。
では、このアルバムは前々作、前作と比してどうなのか。答えは「リズミック・ボラン・ブギー」とでもしておこうか。シンプルなブギー・サウンドに意欲的なリズムを導入し、いわゆる「横ノリ」を感じさせるアレンジメントが光る。代表曲を挙げれば、二種類のリズムを聞かせる「テマネント・レディ」、印象的なギターのカッティングが光る「カントリー・ハニー」あたりだろう。これは「グレイト・ヒッツ」を除いて次作となる「ズィンク・アロイと～」へと繋がる重要な要素でもあるのだが、ここではまだ華やかなスパイスとして実に効いている。
勿論、人工物っぽいヤバさは全開。「エレクトリック・スリム」や「マッド・ダーナ」あたりは、むしろ最高潮であろう。そんな中、人工物系と、従来のアコースティック系の音とが静かに融合を果たすのが、「ライフ・イズ・ストレンジ」だ。
ボーナス・トラックを除いた最後の曲「レフト・ハンド・ルーク」はこのアルバムでは異色の一曲。スロー・テンポに乗って淡々と歌うボラン、中盤からゴスペル風に盛り上がり、コーラスがうるさいぐらいに鳴り響く。あたかもグラム終焉に対するはなむけのように聴こえるのは私だけか。
- 原題
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Tanx
- 邦題
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タンクス
- パーソネル
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Marc Bolan - Vocals and Guitars
Micky Finn - Hand Percussion Congas and Vocals
Steve Currie - Bass
Bill Legend - Drums
Howard Kaylan & Mark Volman - Backing Vocals
※ ジャケットにクレジットが明記されていないので、独自に再構成しました。コーラスの2人は参加していないという話もありますが、参加しているように聞こえるので入れてあります。
- 曲目
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- Tenement Lady (テネマント・レディ)
- Rapids (ラピッズ)
- Mister Mister (ミスター・ミスター)
- Broken Hearted Blues (ブロークン・ハーテッド・ブルース)
- Shock Rock (ショック・ロック)
- Country Honey (カントリー・ハニー)
- Electric Slim & The Factory Hen (エレクトリック・スリム)
- Mad Donna (マッド・ダーナ)
- Born to Boogie (ボーン・トゥ・ブギー)
- Life is Strange (ライフ・イズ・ストレンジ)
- The Street & Babe Shadow (ザ・ストリート・アンド・ベイブ・シャドウ)
- Highway Knees (ハイウェイ・ニーズ)
- Left Hand Luke (レフト・ハンド・ルーク)
- Cadillac (キャデラック)
- Free Angel (フリー・エンジェル)
※ 14, 15 はボーナストラックです。
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