Bolan's Zip Gun (ブギーのアイドル)

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ブギーのアイドル

 ソリッドな前作から一転、可愛らしいコーラスで幕開ける本作は、ボラン・ブギーの原点を省みるような、そんなシンプルかつドライな感覚に溢れた作品だ。

 全体に明るい曲が多く、「電気の武者」や「ザ・スライダー」の頃に見られたある種の毒々しさはほぼ失われていて、そこが本作の評価が低めである原因だろう。ただし、その毒々しさが受け入れられない人には絶対的にオススメできる作品。ボラン・ブギーの良いところが抽出されているし、プロダクションも「ズィンク・アロイと~」ほどではないが、かなり緻密。ボラン流正真正銘のポップ・ミュージックになった曲群が、楽しさを喚起するだろう。

 「売れていないが傑作」的ナンバーが多いのも特徴。オープニングを飾るどことなくほのぼのした「ライト・オブ・ラヴ」、ズンチャカ・リズムが正にボラン・ブギーの「シンク・ズィンク」、正統派ボラン流ハード・ロックでありながら、何となくグルーヴィな「ジップ・ガン・ブギー」など、聴いているだけでワクワクする曲が並んでいる。そのオリジンを黄金期に求めることはできるが、よりシェイプアップされたそれらは、確実に変化を遂げている。

 蛇足だが、邦題「ブギーのアイドル」は秀逸だ。「ボランズ・ジップ・ガン」とするより遥かにインパクトがある。こういう奮ったネーミングが、是非とも日本の洋楽界に復活して欲しいものだ。

原題

Bolan's Zip Gun

邦題

ブギーのアイドル

パーソネル

Marc Bolan - Vocals and Guitar

Micky Finn - Hand Percussion

Steve Currie - Bass

Dino Dines - Keyboards

Davey Lutton - Drums

Gloria Jones - Clavinet and Vocals

Paul Fenton - Additional Drums on "Solid Baby"

曲目
  1. Light of Love (ライト・オブ・ラヴ)
  2. Solid Baby (ソリッド・ベイビー)
  3. Precious Star (プレシャス・スター)
  4. Token of My Love (トークン・オブ・マイ・ラヴ)
  5. Space Boss (スペース・ボス)
  6. Think Zinc (シンク・ズィンク)
  7. Till Dawn (ティル・ドーン)
  8. Girl in the Thunderbolt Suit (ガール・イン・ザ・サンダーボルト・スーツ)
  9. I Really Love You Babe (アイ・リアリー・ラヴ・ユー)
  10. Golden Belt (ゴールデン・ベルト)
  11. Zip Gun Boogie (ジップ・ガン・ブギー)
  12. Satisfaction Pony (サティスファクション・ポニー)
  13. London Boys (麗しのロンドン・ボーイ)

※ 12、13はボーナストラックです。