第四十一幕「贈言葉」

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 正真正銘、ことはがメインのエピソード。最年少という設定であることはメインのエピソードは、千明のそれと同様に作り易いのか、傑作になり易い印象がありますが、今回も例に漏れず傑作エピソードでした。


 今回のメインテーマは、ことはが姉の代わりにシンケンイエローになったという設定の、決着にあります。実のところ、この設定自体が本編にあまり生かされることはなく、ことは自体は最年少でありつつも、実力は高く描写されていましたし、多少ドジな面があるにしろ、それは純粋性の描写の為の手段といった感覚でした。つまりは、ことは自身が姉の代替であるという印象自体、視聴者の間では認識されていなかったわけです。

 今回はそれを逆手にとり、ことはが姉からの手紙によって消沈してしまう様子を見せ、決してそうではないという感情を視聴者と共有するという構成が採られており、そこに丈瑠周辺の事情を絡ませることによって、丈瑠メインの回を設けることなく丈瑠の問題をも解決するという、なかなか大胆な方法が試みられています。さらには、ことはの意識的な成長も織り交ぜられ、満足度はすこぶる高いです。

 そこには、少々配慮を欠いた言い方をするならば、ことはが策を弄する等といった「頭脳労働」を経ずとも、ことはの真っ直ぐな姿勢自体が丈瑠に影響を与える様子が盛り込まれていて、シンケンジャー6人誰もが不可欠であり、逆にことはの姉・みつばにことはの代わりは出来ないということを結論として見せています。この重層的なテーマの訴求は、実に巧みで興味深いです。


 丈瑠の苦悩があっさり解消されたことについては、少々物足りないと感じる向きもあるかもしれませんが、丈瑠のことを人一倍心配していることはが苦悩する姿は、丈瑠に「全てを飲み込む」覚悟を決めさせるに充分でした。丈瑠の強さへの希求は、いわばかなり自分勝手に近いものであり、それをズルズルと引き摺っていくよりは、何らかのきっかけであっさりと解決した方が、当然ヒーローらしくなります。しかも、そのきっかけがことはだったなんて、実に爽やかでいいじゃないですか。


 というわけで、ことはの魅力全開の今回の見所は、当然ことは中心になりました。

 冒頭は、前回の血祭ドウコク大暴れを経ての、各々の感じ方を披露。


流ノ介「ドウコクに封印の文字が必要だということが分かった」

千明「俺さ、正直丈瑠が封印の文字使えなくても、アヤカシみたいに倒せるんじゃないかな、って思ってた」

流ノ介「実は私も...慢心だった」

源太「いや、倒せねぇとは言いたくねぇけどな」

茉子「外道衆の動きも気になるよね。ドウコクとアクマロが対立してるみたいだし、薄皮太夫も」


 敵ボスをチラリと登場させて、ヒーロー側の慢心を認識させる。随分とシビアな構成になりました。このところ、「シンケンジャー」は新アイテムラッシュとあって、パワーアップ劇の連発になっていましたが、それを単なるパワーインフレに持っていかないようにする、極めて理知的な展開だと言えるでしょう。要するに、単純なアイテム増加のパワーアップでは、血祭ドウコクに抗うパワーを持ち得たとは言えないことにしたわけです。

 ここでの注目は茉子で、血祭ドウコクの強さに対する懸念に加え、外道衆内部の動きをも警戒しています。圧倒的な血祭ドウコクのパワーを目の当たりにしつつも、さり気なく動向に気を配るあたりが素敵です。なお、茉子は内心、丈瑠の様子も気にかけていました。


 この会話の中に、ことはは居ませんでした。その頃、ことはは眠っている丈瑠の傍に付いていました。

ことは

 前回、ことはに丈瑠を任せるという状況を作り出していましたが、ここまでちゃんと繋がっているのが何気に凄い。ここでことはのモノローグ。


「殿様、あんな無茶しはるなんて...。やっぱり、何か違う。茉子ちゃん、何か気付いてはるみたいやのに、何でうちに言ってくれへんのやろ...」


 前回、ことはの前で、茉子が丈瑠について発言したのはただ一言「立入禁止」だけでした。恐らく、ことははこの難解な例えを聞き、余計に気になってしまったのではないでしょうか。茉子は過去に、ことはへ悩みを打ち明けたりしていましたから、決してことはに隠し事をしているわけではなく、丈瑠の異変を心中にしまっておいたのは、単に丈瑠の立場を考えた上での配慮です。しかし、ことはにとっては茉子の「隠し事」が、一種の不安要素になってしまったようです。

 彦馬はここで、ことはの姉・みつばからの手紙を渡します。

ことはと彦馬

 文面から察するに、みつばからの手紙はかなりの頻度で来ていたらしく、今回もことはは嬉しそうです。その文中には、以下の一節がありました。


「ことはは侍の中で一番年下やし、優しくておっとりしてて...きっと、怪我したり、辛いこともあるやろなぁって。それでも、きっと頑張ってるシンケンイエローを思うと、もう一年になるのに、今もすぐに駆けつけたくなります」


 幼い頃を思い出すことは。

みつばと幼いことは

 しかし、この一文が丈瑠の件と重なりあって、ことはの心中に暗い影を落とすことになります。それが表情に出始めた時、そこに流ノ介達がやって来ます。ことはの様子に気付いてか、何をしていたのかと問う一同。ことはは、姉からの手紙を読んでいたと答えます。それを聞いた源太は、


「そういやぁ、結構年の離れた姉ちゃんがいるって...あれ?じゃ、何でことはちゃんがシンケンジャー?」


と、途中参入メンバーらしい質問。これは当初の設定を再確認するのに効果的なくだりです。


「ホンマは、お姉ちゃんがなる筈やってんけど、体弱いから。うちは、お姉ちゃんの代わり」

「え?...そっか、じゃ、もしかしたらシンケンイエローは、年上のお姉さまだったかも知れないってことか」


 思わず表情の変わることは。それを察知し、源太を諌める千明がいい感じです。とりあえず、ことはは笑顔を作ってその場に対処します。その笑顔を見た茉子も、さすがにことはの心理を見抜けなかったようで、


「良かった。何でもなくて」


と一安心。流ノ介は密かにことはを心配していたようで、


「いや、ドウコクにショック受けてるんじゃないかってな」


と一言。これが、流ノ介の意図とは裏腹に、さらにことはの心情に追い討ちをかけます。あからさまに動揺したことはは、


「え?ごめんなさい...大丈夫」


と取り繕います。明らかに挙動不審なのですが、残念ながら一同はことはの異変に気付きません。景気付けに寿司をおごるという源太の言葉に大喜びし、早速ゴールド寿司へと向かいます。

 一番年下だから、皆が自分のことをいつも心配してくれる...もし、みつばが侍になっていたらどうだったろう...。ことははそんな事を考えていました。


「きっと、うちなんかより皆の役に立って...そやわ。きっと、茉子ちゃんもお姉ちゃんになら、殿様のこと話してる。うちやから、心配させへんように...うち、甘えてるわ...」

ことは

 ことはの出した結論は、今の丈瑠の状態に程近いものでした。丈瑠は十臓の「弱くなった」という言葉を耳にして、自分の、ひいてはシンケンジャーの強さの根本を顧みることなく、自分を責めるという状態に陥りました。ことはも同様で、物事の本質を見誤った結果、自分で自分を追い詰めてしまうのです。それは、後の戦いで露呈してきます。


 さて、六門船には、今回のアヤカシであるスナススリに指示を出す、筋柄アクマロの姿がありました。指示を了解し、早速出かけていくスナススリ。そこに骨のシタリがやって来ます。


「お前さん、一体何を企んでるんだい?」

「地獄というものがホントにあるのか、あるのであれば、どれほどの絶望や嘆きなのか。それを味わいたいのでござります」

「...何だって?」

骨のシタリと筋柄アクマロ

 事あるごとに「この世」に執着する姿が見られた外道衆にあって、筋柄アクマロは何と「地獄」に興味を持っていたことが判明しました。骨のシタリは、この筋柄アクマロの真意(?)に戦慄を覚えたらしく、


「こいつは頭がおかしいよ。ドウコク、お前さん、このまま終わりじゃないよね...」


と思わず血祭ドウコクの復活を待ちわびるのでした。

 前回、筋柄アクマロの口から外道衆の本質が語られましたが、外道衆とは、境界上に成立した者達であるからして、筋柄アクマロのように境界線を越境したところにある「地獄」に憧憬を抱いても違和感はありません。ただ、少なくとも筋柄アクマロ登場以前の外道衆が、「陽の当たる場所」を求めているイメージで描かれていたのとは対照的です。


 街に出てきたスナススリは、おもむろに人々に砂をかけ始めました。砂をかけられた人々は、突如のたうち回り始めます。


 一方で、ゴールド寿司でのくだりは続いています。ことはは、考え事をしていて寿司に手をつけていません。それを源太が指摘した刹那、先程スナススリに砂をかけられた人々がゴールド寿司に乱入。ことはの手付かずの寿司や、源太が仕込んでおいたシャリ等を貪り始めます。慌てて止める源太達でしたが、その勢いは一向に止まりません。

源太

 外道衆の仕業だと睨んだ流ノ介達は行動を開始し、次々と砂をかけ続けているスナススリの前に立ちはだかります。

スナススリ

 このスナススリ、最近のアヤカシの中では群を抜いて気持ち悪いデザインだと思います。ただ、象の鼻のような器官を上下に動かすのは可愛らしいですけど。そのスナススリに、何をしているのかと問うと、


「アクマロ様の命令で、この地に餓鬼地獄を作るのさ。何を食っても飲んでも、飢えは強くなるばかり!俺の砂を浴びた奴らは、死ぬほどの乾きに苦しむのだ」


 筋柄アクマロの「作戦」を端的に説明しています。ただ、地獄が見たいから「餓鬼地獄」を作ってみるという、単純明快なロジックではありません。筋柄アクマロのこと、餓鬼地獄は何かの目的に至る導入に過ぎない筈です。


 変身して迎撃行動に移るシンケンジャー。

一筆奏上!一貫献上!

 華麗かつ重厚なアクションでナナシ連中を倒していきます。「シンケンジャー」は後半の後半に至った現在でも、毎回アクションにハッとさせる要素を織り交ぜてきます。今回は、多少の泥臭さを混ぜていると言えば良いでしょうか、地に足の着いたリアルな立ち回りを披露しています。恐らく、スーパーシンケンイエローによるクライマックス戦との差別化を意識したものと思われます。

 そんな中、ことはは集中力を欠いているのか、千明に助けられたりして、やや精細を欠いています。ことはは、苦戦の原因を自身の「甘え」だと考え、その「甘え」を払拭すべく、一人でスナススリに立ち向かって行きます。

スナススリ VS シンケンイエロー

 こういった行動が、近々の丈瑠の状況と重なっています。丈瑠の「弱さ」とことはの「甘え」は、ここで物語的に同義となり、それを払拭すべく起こした「無茶な行動」という結果が、同じベクトルを示しています。

 ことはは、スナススリにダメージを与えられぬまま、爆弾を投げつけられて変身解除という事態に陥ります。スナススリの容赦ない攻撃は続き、ことはを庇って、流ノ介と茉子がその砂を浴びてしまいました。

流ノ介と茉子

 二人は水と食べ物を欲して絶叫。特に茉子の「水ぅ~」という絶叫が鬼気迫ります。

 続いて、千明と源太の奇襲がスナススリに炸裂しますが、スナススリは千明と源太にも砂をかけ、二人を飢餓状態に陥れてしまいます。かなりの危機感を煽りつつも、思わずダイゴヨウに噛み付く源太がコミカルです。

源太とダイゴヨウ

 千明と源太の奇襲が功を奏し、スナススリにダメージを与えることが出来ましたが、結局スナススリは、シンケンジャーに重大な被害をもたらしました。スナススリは、痛みをこらえて一旦退却します。水切れでないのが、パターン破りっぽくていいですね。


 六門船では、筋柄アクマロが「飢えの苦しみが土地に刻まれること」に満足気な様子を見せていました。筋柄アクマロはスナススリに、「ついでにもう一つ餓鬼地獄を作れ」と指示を出します。この「ついで」がなかなか意味深長で、ここでは明確にされていませんが、この「もう一つ」の餓鬼地獄は、「あの場所」に作るよう指示されているのでした。


「土地に刻む...?アクマロの奴、ホントに何を...」


 骨のシタリは、筋柄アクマロの真意をはかりかねており、その裏に渦巻く企みを警戒しています。外道衆内部の緊張感が一気に高まってきました。


 一方、志葉家では飢える流ノ介達で大騒ぎ。彦馬の指示で、4人共黒子によって縛り上げられてしまいます。


「我慢せい!」


という、やや理不尽な叱咤を飛ばす彦馬。それを、物陰からことはが見ています。


「皆、ごめんなさい。うちが無茶したから...」

ことは

 ことはに気付く彦馬。今更ながら、彼の「気付き力」は大したもので、丈瑠だけでなく、他の侍達のこともしっかり見ている事が分かります。


 その夜、ことはは一人笛を吹いて心を静めていました。途中、口の端の傷に痛みを感じ、吹くのを止めてしまいます。

ことは

 そこに、彦馬がやって来ました。


「気に病むことはない。逆の立場であれば、お前も誰かを庇ったであろう。今は傷を治し、対策を練るのだ」


 傷の痛みと共に、ことはは、思わずみつばからの手紙を握りつぶしてしまっていました。彦馬はそれを見て、


「折角の手紙が...。姉上というのは有り難いな。こうして心配をして」


と微笑みながら手紙を延ばすのでした。優しい父親を思わせる表情が非常に印象的です。

彦馬とことは

「でもうち、お姉ちゃんの代わりが出来てへん。殿様や、皆が優しくしてくれんのに甘えてたんです」

「どうかな。皆がそれ程、お前を甘やかしているとは思わぬが」


 彦馬の見解は、視聴者の見解と一致しているでしょう。ここで、ことはは自分の心にある「引っかかり」を彦馬に打ち明けます。


「うち、最近殿様の様子がヘンやなと思ってて...」


 丈瑠も、この会話を物陰から聞いていました。


「でも、茉子ちゃんも気付いてはるみたいやのに、うちに心配かけへんように、何も...。きっと、今までにもこんなんが沢山あったんです。うちが気付かへんだけで。でも、今日気が付けて良かった。皆に付いて行くだけじゃなくって、お姉ちゃんやったらしてたこと、うちも...。お姉ちゃんも、うちがお姉ちゃんの代わりに頑張ってるって思ってくれてるし、もっともっと頑張らな」


 これを聞いた彦馬は、ふと手紙に目を遣ります。その時既に、丈瑠は寝室に戻っていました。

 「姉の代わり」という部分は、後で彦馬によって否定される部分であり、ことはが本質を見誤った結果導出されたものです。しかし、他の部分に関しては、ことはの向上心を如実に示したものです。「もし、みつばだったら」と考えることで、ことはが更なる成長のきっかけを掴むという展開は、丈瑠の陥っている状況とかなり異なります。それはやはり、丈瑠の心に響いて当然ということでしょう。


「志葉家十八代目を背負うとは、その全てを飲み込んでこそ」


 彦馬の言葉を思い返した丈瑠は、


「中途半端な覚悟程、みっともないものは無いな」


と少しだけ微笑むのでした。

丈瑠

 丈瑠、復活です!


 翌朝、再びスナススリが出現します。その場所は何と、筋柄アクマロが薄皮太夫の三味線を使って何かを行おうとした、「クロイワ海岸」。何となく、餓鬼地獄の本意が見えてきました。


 スナススリ出現の報を受けるも、流ノ介、茉子、千明、源太は飢えと渇きに苛まれていて動けません。この状況で一応動けるのは丈瑠とことは。ことははともかく、丈瑠はまだ傷が癒えていない状態での出陣になります。まず、丈瑠が飛び出し、ことはが遅れて出て行きます。彦馬はことはを呼び止め、


「ことは!良いか、いつまでも姉上の代わりだとは思うな」


と、やや厳しい口調で諭すのでした。


「でも、うちはホンマに...」

「姉上の手紙、悪いが目を通させてもらった。姉上は一言も、自分の代わりになどと言ってはおらんぞ。お前がそう思うから、そう読めるだけだ。どの言葉も、代わりではない、お前自身を思ってのことだ」

彦馬とことは

 同じ文章でも、心の状態で受け止め方が変わってしまう。今回のテーマはそんな処にはありませんが、強い印象を残す指摘なので、あえて強調しておくのも良いかと思います。


「頑張ってる、シンケンイエローを思うと...」


という、みつばの想いのこもった一文を想起することは。そして、


「誰の代わりでもない、お前にしかなれないシンケンイエローだ!」


という彦馬の力強い励ましを得て、ことはは目覚めます。


「うちしかなれへん...うちしか、シンケンイエローに!」

一筆奏上!


 クロイワ海岸には、スナススリに立ち向かう丈瑠の姿がありました。

シンケンレッド VS スナススリ

 さすが丈瑠。的確な攻撃を仕掛けてスナススリにダメージを与えますが、傷が完全に癒えていない為、苦戦を強いられます。スナススリは横柄にも、戦う前から負け云々といった暴言を吐いており、緊迫感あるシーンながら、これがなかなか楽しいのです。


 そこにことは登場!


「殿様、ここはうちが!」


 先の戦いでは集中力を欠いていて、全く決め手に欠けていましたが、今回は壁のモヂカラで砂を回避する等、タクティカルな戦い方が目を引きます。

シンケンイエロー

 しかし、スナススリ自体飛び道具の多い強力なアヤカシであり、やはりことは単体で対抗するのはかなり厳しい。そこで丈瑠は、インロウマルをことはに投げ渡します。すぐさまスーパーシンケンイエローに変身することは。ワイヤーアクションが冴えに冴えており、流麗な飛行アクションには眼を見張るものがあります。

 「真・猿回し」で牽制し、スーパーモウギュウバズーカに最終奥義ディスクをセット。「外道覆滅」でスナススリの一の目撃破です。

スーパーシンケンイエロー


 二の目に際し、折神で駆けつける流ノ介達!回復したらすぐに飛んでくるという、スピード感がたまりません。

 全員集合したところで、いきなりサムライハオーを出すも、スナススリは跳び回って攻撃し、頭突きで翻弄といった健闘を見せます。


 ここでサムライハオーの合体機構を逆手にとった戦法が登場。ことはが猿折神を分離させ、スナススリの動きを止めます。

スナススリ VS 猿折神

 その隙に、丈瑠はサムライハオーを大ジャンプさせ、「ダイシンケン大回転斬り」を炸裂させます。CGによる合成カットであるとは言え、巨体が大回転する様は強烈です。

スナススリ VS サムライハオー

 丈瑠は、ちゃんと「ことはちゃんに捧げる勝利の一本締め」に参加しており、迷走からの復活を小出しに納得させています。


「お姉ちゃん、うち、もうお姉ちゃんの代わりって言わへん。それも甘えなんやって分かった。シンケンイエローとして頑張る。殿様や、皆と一緒に」


 ことはの向上心は、素晴らしいものがあります。「甘え」というワードを自らの戒めとし、更なる高みへと登っていくのです。


 志葉家への帰路、丈瑠は突如、


「源太、雑誌に掲載されたらしいな。食わせろ」


と言います。

丈瑠

「は?」


と呆気にとられる源太。千明も、


「何だよ、最近機嫌悪かったくせに」


と丈瑠を小突きます。そして、


「実は、私もずっと気になってはいたのですが」


と迫る流ノ介に対する、丈瑠の答えは、


「...腹をこわしてた」


という、粋なものでした。真相を知る茉子は暫く固まってしまいましたが、ことはが促し、いつもの風景に戻っていきます。

千明、流ノ介、茉子、ことは、丈瑠、源太

 個々人それぞれの思いやりが、爽やかな余韻を残すエンディングでしたね。