SirMilesのマニアックな日々

快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー #26「裏のオークション」

 夏休み編ということなのか、意図的にちょっと弾け気味の、本流から外れた挿話を展開してくる時期ですね。今回は初美花とノエルのカップリングで、ノエルの主役回とも言えるエピソードを打ってきました。

 全編、快盗本位で流れつつ、非合法オークションの落とし前は警察に付けさせる(ただし、役割は完全に裏方扱い)という、巧いチーム配置が光ります。警察側にとってはやや中途半端で不満もあったものの、ノエルが双方に華を持たせるというのは良い結びで、今回が本流ではないことを利用した「特に対立のない展開」が心地良いですね。

グリスト・ロイド

 リス怪人ですね。殆ど例を見ないモチーフではないかと思いますが、どうでしょう??

 ネーミングの元ネタは、多分「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のドクことクリストファー・ロイド氏だと思われますが、そこが特にストーリーやキャラクター付けに影響しているというわけでもなさそうですね。

 松ぼっくりを両腕に配し、どんぐり状のハンマー(?)を武器にするという、字面にすると可愛らしいヤツですが、ビジュアルは結構醜怪な面構えで、モチーフの消化方法に関する妙技を見せつけられました。

 結論から言うと、このグリストこそが落札直後のルパンコレクションを奪い去った「犯人」だったわけで、人間態の真っ当な紳士風オークショニアは見事なミスリードでした。「顧客」として登場した4人の方が怪しいビジュアル(うち1人の、いわゆる外タレさんはデヴィッド・ボウイに似てて格好良いですけど)なのも、ミステリの常套句でしたね(笑)。

小切手

 今回の最も恐るべきガジェットは、コグレさんの持つ小切手でしょう。

 私はてっきり、グリストに渡した小切手自体も無効になるよう展開していくものと思っていましたが、結局商品代もオークション再開催の演出に用いられた手数料も、ギャングラーの手に渡ったまま終了してしまい、この程度は痛くも痒くもないというコグレさんの感覚が、空恐ろしかったですね。初美花が失神しそうになるのも分かります(笑)。

 アルセーヌ・ルパンの財力の凄まじさを感じさせる…というより茶化したようなパロディ感覚が楽しい一編でした。

ノエルの立場は

 今回は完全に快盗として動いています。勿論、「おこぼれ」を警察に渡して目配せをすることも忘れていませんが。

 特に今回は、非合法オークションの開催を察知した手段、ジムを本部権限で動かすといった点で、快盗としての活動を円滑に運ぶために、警察の立場を利用している感覚になっており、正にルパンコレクションの回収こそがノエルにとっての最終目的と言わんばかりです。そこは恐らく本当でしょう。今後、ノエルがそのポジショニングを何らか翻すことがあるとすれば、その「手段」が両チームの非難の対象になるとか、そういった面ではないかと予想していますが…。

オークション

 まずは初美花のドレスがいいですね! 普段着、快盗姿という二つの装いでは、当然快盗姿にエレガンスを感じられるわけですが、今回のドレスはそれを軽く飛び越えるものでした。用立てたのがコグレさんだったのかどうかは描かれていませんが、もしかすると経費として小切手を切った可能性も(笑)。

 オークションに参加する顧客の怪しさは、前述の4人以外のモブも充分満たしていて、様々な雰囲気のキャラが揃っていましたね。

捜査

 ここが今回の白眉。

 快盗でありながら、警察のような捜査をするという、エックスたるノエルならではの筋書き。初美花に記憶を頼りにした似顔絵を描かせて、それを元にジムへ照会を命ずるという、両方の立場を駆使できなければ実行できない行動でした。

 こんな感じで、プロットとしてノエルのポジショニングを納得させられるのはいいですね。似顔絵を頑張って描き終える初美花のひたむきさも実に素晴らしい場面でした。

 それにしても、今回はルパンコレクションがルーブル美術館所蔵品だったわけで、結局表向きには忽然と消えたことになってしまいます。透真の案のように、コグレさんが模造品を手配して美術館に返した可能性は、なきにしもあらずですが、果たして…??

ルパンコレクション

 今回は本当に美術品のような人魚像で、これまでのコレクションとは少し趣が異なるものでした。

 人魚ということで、候補は二つ。一つはチェンジマーメイド、もう一つはマジマーメイド(マジブルーの巨大変身)。公式サイトの「渚」の文字でほぼチェンジマーメイド(渚さやか)に確定。本体をよーく見ると、台座が思いっきりチェンジマーメイドの頭部を模していたので、完全に確定です。

 これまでガジェットをモチーフにしていたルパンコレクションですが、キャラクターのシンボル自体がコレクションになっているというのは、初ではないでしょうか。そういった意味でも異色ですね。

次回

 またまた透真のキャラ崩しか!?

 かなり制作陣に可愛がられていることが分かるエピソードですね。咲也とのカップリングは意外性たっぷりなので、要注目です。

 

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