SirMilesのマニアックな日々

騎士竜戦隊リュウソウジャー 第44話「試されたキズナ」

 「絆」という言葉が陳腐化して久しいですが、まだ特撮界隈ではそれなりに輝きを保っているような気がします。特にウルトラでは顕著に思えるのですが、目的を同じくする複数ヒーローを擁する戦隊でも、それはまだ有効なタームとして機能するわけです。

 今回の美点は、そのテーマを大上段に構えるのではなく、細かい描写を連続させて主人公の成長した関係性を浮き彫りにしたことでしょう。

ヤバソード

 新たにエラスから生まれ出たドルイドン。正直意外でした。ガンジョージが量産されるものと思ってましたので(笑)。やはりマイナソーの代わり、いわば進化獣に対するメカシンカ、次元獣に対するバイオ次元獣といったような、後半戦を盛り上げるパワーアップ版怪人群と見做して良いかと思います。

 そして、マイナソーの代わりが現れるようになったということは、クレオンの敵側としての役目も終わってしまったということになります。やはり、これから先の展開でクレオンが何らかの鍵を握っていそうですね。

 ところで、このヤバソードですが、誕生直後という面がかなり強調されて非常に気持ち悪いキャラクターになっていました。強大な戦力を持っていたり、勝手に巨大化したりといった面では他のドルイドン達と共通しているものの、圧倒的に知性が欠けているあたり、かなり不気味です。私としては、割と嫌いなタイプの怪人でしたね(笑)。

プリシャスのチーム

 チームと言いつつ、そこに個人へのリスペクトは欠片もないあたり、プリシャスらしい悪辣さ。ガンジョージの1体も自爆戦法を強いられていましたし、エラスから誕生した直後の稚拙な知能を利用しているのは明らかです。

 そんな中、サデンがどう従わされているのか、明確になりました。やはり心臓を握られていましたね。そして、なんとサデンは…。

マスターブラック

 五人のマスターのうち、唯一人の生き残りとなったマスターブラック。サデンに化けてドルイドンとして暗躍していたという設定になっています。匂わせる描写が正体を明かす直前まで出て来なかったので、かなり意外でしたね。

 何のためにそんなことをしたのか、それは次回以降に譲っていますが、物凄い驚愕設定といったサプライズはないと思います(笑)。ただ、バンバを手ひどく打ちのめした過去や、その去り際の発言等に整合性を与える説明は期待できそうですね。

 このあたりは刑事ドラマが好きな坂本監督、「キョウリュウジャー」で行き当たりばったり感満載の連続サプライズに見事なエクスキューズを用意していたように、安心していても大丈夫なのではないかと思います。少なくともガイソーグ絡みよりは納得できそう。

 ここで「キズナ」ですが、バンバとマスターブラックの間には双方向性のある関係は見られません。ここでまたコウが持ち前のポジティヴ・シンキングで事態を解決していくのかも知れません。コウこそ、外部とのリンクを次々に果たしていく人物ですからね。

それぞれのチームワーク

 サブタイトルの「キズナ」は、主にこれらチームワークの描写に込められています。

 コウとメルトがアイコンタクトのみで互いの考えを読み取り、華麗な連係プレーでオトちゃんを救出するのを皮切りに、トワが逸るバンバに冷静になるよう促す成長振りを見せつけたり、コウとアスナが互いに背中を預けるという描写が観られたり…といった具合に、熱いカットやシーンが連続します。このあたりは集団ヒロイズムの練度の高さを充分に感じられますね。

 そして、極め付きはオトちゃんです。

オトちゃん巨大ロボに乗る

 「次郎くん怪獣に乗る」じゃないですが、今回一番の衝撃。

 未だ、テレビ版では騎士竜に素面キャストが乗り込んでいない中にあって、初搭乗がオトちゃんという快挙。しかもトレース型操縦なのでアクションもあるという! 色々と危機的状況で重い雰囲気を湛えたエピソードながら、この一連のシーンにはかなりのカタルシスがありました。

 いっそのこと変身まですればいいのに…と思いましたが、それはそれでやり過ぎかも知れませんね。ギリギリの線で理性を効かせているのは、今シーズンの美点の一つかと思います。

次回

 色々と謎解きの一端が垣間見られそうです。マスターブラックの変身もあるとのことで、期待してしまいますね。

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