第12話「再会 プロジェクト・アギト」

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 こう来ましたか!と思わず膝を叩くアギト編。しかし、オリジナル・アギトの要素をこれでもかと詰め込んではいるものの、それについてあまり説明がなされていない為、オリジナル未見の場合は面白味が半減するかも知れません。

 ただ、オリジナル・アギトを知らなくても、一応ちゃんと話としてまとまっており、巧く整理されているので分かりやすい筋運びにはなっています。


 今回最大のトピックは、八代刑事の再登場。ただし、クウガの世界の八代藍とは別人の、八代淘子。

 そして、この世界の警察が未確認生命体=グロンギと戦っているという設定になっているのも大きな特徴です。これが、オリジナルへのオマージュとして何を意味しているのかを、紐解いてみる必要があるかと思います。


 オリジナル・アギトは、冒頭に「未確認生命体」という単語が登場し、クウガと連続した世界観を匂わせています。また、前半に登場する仮面ライダーG3は「未確認生命体第4号(≒クウガ?)をモデルにした」とされています。

 ただ、アギトの時間軸は、わざとクウガのそれと微妙にずらして作られており、必ずしもクウガの世界と同一ではないということになっています。これは、新世代ライダーの幕開けを高らかに告げた前作をリスペクトしつつ、全く新しい仮面ライダーを作ろうとした姿勢の現れだと私は考えます。つまり、「仮面ライダーアギト」は、「未確認生命体は居たのにクウガは居なかったかも知れない物語」なのです。

 ディケイドにおけるアギトの世界は、この曖昧さをパロディ的に導入したものです。したがって、アギトの世界にはグロンギが存在し、しかもオリジナル・クウガ後半の「神経断裂弾」が登場するのです。ただ、この世界にはクウガは存在せず、モデルのいないG3-Xが開発されています。

 というわけで、この世界は「クウガのいないクウガの世界」と呼ぶことが出来るかと思います。それは、オリジナル・アギトの世界で描かれなかった部分の再描画とも言えるかもしれません。


 さて、アギトの世界の登場人物は、主人公の芦河ショウイチ、八代淘子、そして、八代の先輩刑事。目立ったキャラクターはこの3人だけです。


 芦河ショウイチ役は山中聡さん。劇場版「仮面ライダー響鬼」にキラメキ役で出演されています。無精ヒゲを伸ばした、かなりオリジナルのライダーと印象が異なる衝撃的な人物像ですが、それなりにカッコいいのだからさすがです。

 この芦河ショウイチの名、オリジナル・アギトをご存知の方ならばピンと来ると思いますが、「津上翔一(アギト)」「氷川誠(G3-X)」「葦原涼(ギルス)」から取られています。本編から察するに、G3-Xの開発に関わっていたかも知れないこと、エクシードギルスに変身すること、予告ではオルタリング(アギトのベルト)を巻いていたことを考えると、この名前の妥当性が高まります。


 八代淘子役には、クウガの世界における八代刑事役だった佐藤寛子さんが再登板。八代藍と性格がリンクしつつも、オリジナル・アギトにおける小沢澄子に近い、よりアグレッシヴなキャラクターになっています。

 この「淘子(とうこ)」というネーミング、恐らく小沢澄子を演じた、藤田瞳子(とうこ)さんの名前から取っているのではないかと思います。焼肉を食べるシーンがあるかも(笑)。


 話は、グロンギ対策、八代とユウスケの出会いという流れが主体になっている為、G3-Xが前面に押し出されています。G3-Xのメタルヒーロー的な「装着」という特殊性は、10年を経た今も異彩を放っており、今回、ユーモラスな場面にもシリアスな場面にも効果的に用いられています。ここに海東が絡んでくるのですが、あまり事が複雑にならないよう、きっちりと整理されているところが素晴らしいです。

 一方で、士と夏海はショウイチとの出会い担当になっており、G3-X周辺で動いている印象。しかしながら、グロンギ語での呼びかけやエクシードギルスとの対戦など、見せ場も多く、満足度は高くなっています。


 では、今回も見所を解説していきたいと思います。

 アバンタイトルはクウガの世界のおさらい。

 勿論、ユウスケと八代刑事の関係、そしてクウガの世界の特徴を再確認しておく為です。


 本編の冒頭は、未確認生命体第47号メ・バヂス・バと警察の攻防戦。

 神経断裂弾といった、オリジナル・クウガの後半のテクノロジーが登場します。クウガの世界では、基本的に未確認生命体対策が確立されておらず、クウガ=未確認生命体第4号=ユウスケが頼みの綱でしたから、クウガの世界はオリジナル・クウガの前半をモチーフにしていたことになります。

 とりあえずここで、アギトの世界なのに、何故グロンギ?と思わせておく狙いがあります。


 アギトの世界の光写真館は、何と人里はなれた場所にあるという、あんまり商売が成立しそうにない佇まい。

光写真館

 ユウスケがテレビを見ると、警察とメ・バヂス・バの攻防戦の様子が中継されていました。ユウスケはグロンギの存在に驚き、

「俺が居た世界と全く同じだ」


と思わず新聞に見入っています。

ユウスケ

 士もクウガの世界に逆戻りしてしまったのかと錯覚します。その時、中継映像にG3-Xが登場。

G3-X

「何じゃ?アリャ」


とユウスケ。

 確かに、クウガの世界ではテクノロジーによる仮面ライダーなど存在する余地はありませんでした。しかも、ユウスケはG3-Xを「あんなロボット」と称しています。素直な反応ではあると思います。

 G3をすっ飛ばしてG3-Xが登場した理由は、劇中では不明瞭ですが、恐らく前バージョンにあたるG3は過去に運用されており、オリジナル・アギトのように、コンペティションによって採用された新テクノロジーであるG3-Xが、運用開始された直後の話であると考えていいと思います。

 運用開始間もない故か、G3-Xの装着員はパワーを制御できず失敗ばかり。オリジナルでの装着員である氷川誠が冷静で誠実な人物像をウリにしていたので、ペコペコと謝る様子が何とも可笑しいです。


 そこに、班長と呼ばれる八代藍そっくりの女刑事が声を荒げ、


「G3-Xが、最高傑作だってことを証明して!」


と言います。

八代淘子

 この刑事は、クウガの世界の八代藍とは別人で、八代淘子という名前。名前の由来についての勝手な推測は、冒頭に書いたとおりです。

 八代はすぐさまGX-05の使用許可を出します。これは別名「ケルベロス」と呼ばれる重火器であり、オリジナル・アギトでは、この武器を用いてG3-Xがアンノウンを撃破することもありました。

 しかしながら、メ・バチス・バを撃破することはできたものの、パトカーも破壊してしまいます。装着員は平謝り状態であり、オリジナル・アギトにはなかったユーモアです。こういった作劇法もあるのかと思わせてくれた、「リ・イマジネーション」の成果の一つです。


 八代は、過剰なパワーを持つG3-Xについて、マスコミから批判されている様子。その様子はテレビで引き続き中継されています。


「アネさん?」


と、怒鳴りまくっている八代を見て驚き、喜ぶユウスケ。士は、


「これではっきりしたな。ここはお前が居た世界と似てるだけで、違う世界だ。だから八代刑事も生きている」


とこの世界がクウガの世界でないことを悟るのですが、ユウスケは八代刑事が気になって仕方がなく、


「それでも、アネさんはアネさんだよ!」


と言って出かけていきます。

 ファイズの世界では、ユウスケの活躍の場が皆無でしたが、今回を見る限り、特にユウスケの存在感が低下したわけではなく、安心しました。

 八代藍の死によって、ユウスケは多くの人々のために戦う男になったわけですが、やはり原点たる八代刑事その人が(例え別人でも)現れたとあっては、彼女の為に動いてしまうのは仕方のないことでしょう。


 さて、士はこの世界では「郵便屋さん」に。まず、転居先不明の「芦河ショウイチ」への手紙を届ける役目が、士に与えられています。

士と夏海

 何で「郵便屋さん」なのか、よく分かりませんでしたが、封書を見た途端に納得かつ拍手。

芦河ショウイチ宛の封書

 オリジナル・アギトでは、「津上翔一」宛の手紙が事の発端になっており、ある意味キーアイテムでした。こんな要素を取り上げるとは、なかなかのファインプレーです。


 さて、ここでさらに場面転換。

 ユウスケは八代に遭いに、警視庁の未確認生命体対策班へとやって来ます。

 一応、未確認生命体対策班の在所は機密事項であるらしく、警備担当者は白を切りとおしますが、ユウスケはクウガの世界にて対策班の周辺を熟知していた為か(?)、あっさりと見つけ出します。

 この時のユウスケと警備担当のやりとりが、ちょっとしたユーモアを醸し出しています。


 ユウスケが念願の八代刑事に近付いた時、ちょうどG3-X装着員が逃亡しようとしている最中でした。


「確かにグロンギは倒しましたけど、被害は凄いしマスコミにも叩かれるし、もう無理です!すみません!勘弁して下さい!」


と八代の慰留を何とか振り切ろうとする装着員。何となくオリジナル・アギトの尾室を彷彿させる、情けない感じがいい味を出しています。

 世間ではG3-X見直し論が渦巻いており、G3-X運用もここまでかという雰囲気なのですが、八代はG3-Xに執念を燃やしており、装着員を一般からも広く募集すると言います。

 ユウスケは、その場ですぐさま装着員に志願します。

ユウスケと八代の先輩刑事

 オリジナル・アギトでも、翔一が調整前のG3-Xを装着するくだりがありましたから、民間人を装着員とする措置は、オリジナルを踏襲しているとも言えるでしょう。


 八代は装着員を選抜する為に、苛酷なテストを実施。といっても、ルームランナーを高速で運転させてとにかく走らせるというものでしたが。

 次々と候補者が脱落する中、残ったのはユウスケと、何と海東。

海東とユウスケ

「おいおい八代。いきなり飛ばし過ぎだぞ」


と八代の先輩刑事。


「これくらい、彼なら簡単に...」


と八代。まぁ、ここで少し鋭い人なら、「彼」が「芦河ショウイチ」なる人物であろうことが予想出来る訳です。ディケイドの各々のライダー世界は、シンプルが信条ですから、数少ない登場人物の中の、芦河ショウイチの名には容易に辿り着くことが出来ます。


 ロッカールームで海東は、


「お互い頑張ろう。でも、僕の邪魔はしないで欲しいな」


とユウスケに言います。海東の真意を理解できないユウスケが端のロッカーを使おうとすると、八代が突如現れ、そこを使うなと言います。

 この時点で断言はできませんが、話の流れからして、そのロッカーが芦河ショウイチのものだった可能性は高いです。


 その後、最終テストとしてユウスケはG3-Xを装着。ところが、満足に制御できないまま倒れてしまいました。

 続いて海東が装着。すると、軽くボクシングスタイルでステップを踏み、華麗にキックを繰り出した上、バック宙まで披露。正式な装着員は文句無しで海東に決定します。


 さて一方、士は「芦河ショウイチ」宛の封書の住所地を訪ねて来ます。「転居先不明」とされていながら堂々とやって来るあたり、いつもの適当な士の行動ですが、それがいつものように、ちゃんと物語のベクトルに一致します。

 士は勝手に廃墟と化した建物の中に入り、そこでねじれたリンゴを見つけ、夏海に投げてよこします。

ねじれたリンゴ

 オリジナル・アギトでは、アギトへの覚醒途中に超能力を身に付けるという設定がありましたから、これはその辺りを由来とするネタです。

 そして、超能力関連は続き、士と夏海は突如サイコキネシスに襲われます。


 現れたのは芦河ショウイチその人。

芦河ショウイチ

「俺に近付くな」


と士に警告します。後の描写を考慮すると、ショウイチは「化け物」になってしまい、アンノウンと関わりを持ってしまった為、世捨て人となったのだと思われます。

 このショウイチ、冒頭の名前の由来もさることながら、オリジナル・アギトの登場人物のハイブリッドになっており、本当の津上翔一(沢木哲也)のようなミステリアスな雰囲気や、木野薫(アナザーアギト)の屈強さといった要素も見られます。


 ショウイチの元へは、アントロード フォルミカ・ペデスも現れます。なるほど「プロジェクト・アギト」とは、劇場版「PROJECT G4」のタイトルを踏襲しているわけですね。アントロードは劇場版オリジナルのアンノウンです。

 士は、ディケイドに変身してアントロードを迎撃します。

士

 ショウイチはそれを見て、


「変身か?」


と驚きます。今のところ、鳴滝がショウイチにディケイドのことを吹き込んだ様子は見られません。もしかしたら一切かかわっていないのかも。

 士は、アントロードとグロンギ語で会話しようとしますが、当然通じません。


「グロンギじゃない!?」


と気づく士は、アントロードが頭上から武器を取り出すのを見て、


「光の輪...確かアンノウンだったな。とりあえず倒しておくか」


と、ようやくアンノウンの存在を認知します。

アントロード

 士はアントロードを撃破。「こんなものか」と余裕綽々でしたが、


「一体ばかり倒したからって何になる。奴等に目を付けられたら大変なことになるぞ」


とショウイチから警告を受けます。ショウイチは、渡された1年前の手紙を破って士に返し、「二度と近付くな」とさらに警告。

 そこにバッファローロード タウルス・バリスタが出現。爆発を起こして士達を襲撃します。

バッファローロード

 士が顔を上げるとショウイチは姿を消し、バッファローロードも去ってしまいました。

 このバッファローロードが、本作オリジナルのアンノウンです。アンノウンは高次の存在という設定なので、全体的に(「仮面ライダーX」の神話怪人的な)神々しい感じが漂っていましたが、バッファローロードもその例に漏れることなく、素晴らしく神話的な雰囲気を漂わせるデザインになっています。


 さて、光写真館に場面は戻り、ちょっとしんみりとしたシーンになります。

 それは、「ユウスケとの別れ」。無論、ユウスケがここでリタイアするとは考えられないので、一時的なものではありますが、結構キャスト陣の雰囲気作りが良く、寂しい感じが漂います。


 ユウスケは、一応G3-Xの装着員に補欠合格しました。ということで、八代の傍に居られることになったわけです。

 ユウスケは、士や夏海達との旅が、もう一度八代に遭う為の旅だったのだと結論付けており、


「たぶん、ここが終点。俺の居場所だったんだよ」


と言います。


「八代の為、この世界に残る...か」

士

「ずっと一緒に旅すると思ってました」

夏海

 何となく寂しげな士と夏海の表情が素晴らしい。どちらかと言うと、この主人公ペアは感情をあまり表出させないタイプなので、こういった微妙な表情をしたときに凄く映えると思います。ユウスケ登場編の最終回かと思わせる程の雰囲気作りです。


 ユウスケが光写真館を後にし、トライチェイサーに乗ったところで、夏海が出てきます。

夏海とユウスケ

「今回は、八代さんとうまく行きそう?」

「そんなんじゃないって。それに、この世界の八代さんには、なんか、忘れられない人がいるみたいだ」

「男の勘?」

「...俺は、アネさんを守れなかった。でも今度は...」


 ユウスケの「今度は」という言葉にグッと来ます。

 が、私のイチオシは夏海の「男の勘?」です。夏海役の森さんは凄くスタイリッシュでキュートなんですが、夏海というキャラクター自体があまりフェミニンな部分を感じさせないキャラクターでした。

 この「男の勘?」というセリフには、そんな夏海の女性の部分が突出して現れているように思えます。今回はショウイチに捕まったりしてますが、夏海の女性らしさがちょっと強調されている気がします。


 一方の士はというと、破られたショウイチの手紙を勝手に読み、


「だいたい分かった」


と呟くのでした。

 この「だいたい分かった」のセリフ、実は士の設定事項の中に明記されており、「ディケイド」放映前から様々な媒体で紹介されています。ところが、私の記憶が確かならば、少なくとも本編ではこれまで登場しなかったように思います。ここに来て、ようやく出てきたわけですが、やや唐突...かな?


※追記

 第1話で登場しているようです。印象薄いので、初出かと思いました。


 ここからは、士関連とユウスケ関連が同時進行。まずはユウスケ関連を飛ばして、士関連から話を進めます。


 士と夏海はショウイチを探し出し、ようやく会うことが出来ました。


「感謝しろ。今日から俺が、アンノウンから守ってやる」

「士君が、人を守る!?」


 士の突然の発言に、夏海も驚きます。どうやら、ショウイチ宛の手紙を勝手に読んだ士は、彼の事情を「だいたい」分かり、彼を守ろうと決意したようです。それもまた、士一流の気まぐれでしょう。なお、元々人を守ることを信条としているキャラクターに当たるのは、ユウスケです。

 ショウイチは、そんな士を一笑に付し、


「ふざけるな!」


と腕からギルスフィーラーギルススティンガーを伸ばし、夏海を絡め取ってしまいます。

夏海とショウイチ

「残念だが、そのナツミカンは、絞っても美味しいジュースにはならないぞ」


と士。こういう緊急事態でも、夏海をダシにして冗談を言ってしまうのが士流です。こんな目にあっても、士は、夏海よりショウイチを守るつもりなのですから、夏海の心境は察するに余りあります(笑)。


「俺を守るだと?この化け物を!」


とショウイチは嘲笑し、雄叫びをあげてエクシードギルスに変身!

仮面ライダーエクシードギルス

 何と、今回この世界の主役ライダーであるはずの「アギト」は出てきません。一応、ギルスはアギトの変異種なので、アギトといえばアギトですが。

 このギルスがエクシード仕様なのは、巷の噂ではギルスのスーツが現存していないからだとか。まぁ、G3-Xと併せて、後半登場キャラで揃えているという統一感はあるかと。


 一方、海東は未確認生命体出現に際し、G3-Xで出動することに。ユウスケはその戦いぶりを見学するよう命じられます。

 現場到着と共に、G3-Xで戦い始める海東ですが、使い勝手の悪さからすぐに脱ぎ棄てて、ディエンドに変身。八代の指示は無視し、ディエンドでグロンギと戦います。

海東

「うん、こっちの方がしっくりくる」


と海東。すぐにドレイクとデルタを呼び出してメ・ギノガ・デとズ・メビオ・ダを迎撃します。

仮面ライダードレイクと仮面ライダーデルタ

 G3-Xの映像送信は切断されている為、八代は戦況を把握できませんが、海東は接触不良だと誤魔化して、順調にグロンギに対処中であると報告します。

 メ・ギノガ・デは、ドレイク、デルタ、ディエンドの同時攻撃によって瞬殺。

 同行したユウスケに海東は、


「黙っていてくれるね。別に誰が損する訳でもない」


と一言。海東の狙いは「その世界のお宝」であり、G3-Xが彼のお眼鏡に適うものではないということは、脱ぎ捨てられたユニットが物語っています。しかし、G3-Xとなって八代達と関わることで、その「お宝」に近づくことは出来るようです。


「一体あなたは...G3-Xを馬鹿にするんですか」


とユウスケ。八代が開発したG3-Xですから、ユウスケにとっての「お宝」は、正にこのG3-Xなわけです。前回は価値観の相違を士と海東の間に置いて見せましたが、今回はユウスケと海東の間に置いているんですね。


「さぁね。ほら、もう終わりだ」


と海東。ユウスケが目をやると、ズ・メビオ・ダは2体のアントロードに襲われて消滅してしまいました。この世界のアンノウンはアギトに覚醒した者だけでなく、グロンギをも襲うようです。


 一方、エクシードギルスはアンノウンの呼び声に苦悶していました。恐らく、アントロードに反応する彼の本能が「呼んでいる」と感じさせているものと思われます。

 士はディケイドに変身し、


「獣には獣か」


と、更に「FORMRIDE KIVA GARULU」でキバ・ガルルフォームに変身。

仮面ライダーキバ・ガルルフォーム VS 仮面ライダーエクシードギルス

 暴れるエクシードギルスを抑制すべく格闘しますが、エクシードギルスは士を振り切ってアンノウンの元へと走り去ってしまいます。


 ところで、「化け物には化け物」という海東の言がありましたが、士の「獣には獣か」という言葉も同じような響きを持っています。しかし、ショウイチが自らを「化け物」と称しているのに対し、士はそれを「獣」と称し、自らも「獣」に変身して戦っている為、海東のような蔑視は一切含まないものと考えるのが妥当です。


 ここで両サイドが合流。

 アンとロードと戦うディエンドの前に、エクシードギルスがやってきます。


「あいつは、ギルス。アギトに成れなかった者だ」


とユウスケに紹介する海東。オリジナル・アギトでの活躍そのままを踏襲したワイルドなアクションで、アントロードを撃破します。当時衝撃的だったかかと落とし「ギルスヒールクロウ」も炸裂。

 惜しむらくは、ギルスの特徴だったクラッシャー(口吻)の開閉ギミック付マスクが用いられなかったこと。「ギルスヒールクロウ」を決めた後は、是非ともこれで雄叫びを上げて欲しかったのですが...。ちょっと残念ですね。


 GM-01 スコーピオンを構え、エクシードギルスを狙うユウスケ。その前に士が現れます。

ユウスケ

 ちゃんとG3-Xの装備を使っているのが嬉しいですね。


海東「どういうつもりかな?士」

士「俺はこいつを守る」

ユウスケ「何で?」

海東「そこをどきたまえ、士」

士「丁度いい。海東、お前の邪魔も出来るらしいな。だったら大歓迎だ」

海東「そうか。なら、仕方ないな」


 士は海東を至極嫌なやつだと思っており、彼の邪魔が出来るに越したことはないと考えています。そういう意味では、海東も士も「イヤなヤツ」としてはお互い様なのが面白いですね。

 今回ばかりは、ユウスケは八代のことで頭が一杯なので、士の行動を理解(あるいは曲解)出来ません。かといって海東側に立っているわけでもなく、この時点での3人は「それぞれの物語」に分かれたままということになります。


 士は海東と戦おうと戦闘態勢をとりますが、不意にエクシードギルスによってディケイドライバーをはぎ取られてしまい、変身が解除されます。ブレイドの世界やファイズの世界での描写と思いっきり被っていますが、ディケイドもまた、ベルト主体のライダーであるということです。ディエンドはどうやったら変身解除されるのだろうか?とふと疑問に思いましたが。

 そして、ディエンドの「ATTACK RIDE CROSS ATTACK」が士に炸裂する...!?

士

というところで終了。

 生身の士にデルタのキックが炸裂するかも、という衝撃シーンです。これは凄いところで引っ張ってしまいましたねぇ。

 予告を見る限り、海東の求める「お宝」のヒントもありましたし、ちゃんとアギトも登場するようなので、益々楽しみです。