Mission 26「小さな強敵!司令室SOS」

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 屈指のコメディ編!を期待したのですが、私が疲れているのか(笑)、あんまり笑えなかったような。ただ、「過剰な期待に対しては、そんなに...」という程度で、何の予備知識もないままであれば、これはこれで充分面白いのではないかと。
 実は私、黒木司令官が暴れまくるのを期待していたのですが、実際に色々な面で大活躍だったのが仲村さんだったので、少々肩透かしを食らってしまったわけです。

 とはいえ、いつも「(メガゾードが)来ます!」ばかり言ってる仲村さんにスポットが当てられ、彼女の控えめな性格と、キレた時のギャップが存分に描写されたのは、良かったと思います。しかも、従来今一つ伝わりにくかった、森下くん&仲村さんの能力が、あのような形ではあれ活写されたのは、大きな収穫だったと思います。「ゴーバスターズ」の制作方針である、人間を描くという事が、一つの達成を見たわけです。

 それにしても、ゴーバスターオーのコンバイン・オペレーションのタイミングを、手計算で導き出すという展開には恐れ入りました。仲村さんも森下くんも、職種はエンジニアではない筈なのですが、特命部のオペレータには、優れたエンジニアリングと物理学の知識が必要であるらしく、今回のように、膨大な手計算を限られた時間でこなすだけの力量が必要...って、そんなバカな(笑)。

 まぁ、映像化されてしまったので、いくらバカな事であっても、既成事実になったわけでして、とにかくリアルな世界観の上で、コミカルに誇張された能力を描くという事が、いかに危険であるかという一つのサンプルではありました。しかしながら、こういう言い方は卑怯ですが、所詮はスーパー戦隊シリーズであって、登場人物全てが超人的であってもいいのです。昔は、何の身体的バックボーンも持たない人間が、高所からポンポン飛び降りても良かったわけで、時が過ぎ、そのようなフィジカルに荒唐無稽な描写が控えられるようになっても、何らかの能力については、やはり超人的であっても、何ら問題はないと思う次第。

 ただ、それを、ヒーローである主人公達でなく、サポート役のオペレータに与えてしまったのは、実に珍しく新しいのではないでしょうか。主人公には、ワクチンプログラムに由来する特殊能力が既に与えられており、これ以上の特殊能力の付与は「重荷」。頭脳的な能力を主人公以外に割り振り、「万能型ヒーロー」を回避して様々な人間模様を作っていく段取りが、図らずもコメディで誇張された折に表出して来たと見るべきでしょう。

 その辺りの理屈を抜きにした時、オペレータ二人の頑張りと、それを見守る司令官の図が、コミカルで楽しく、その中に組織の強固さを描出していて興味深い限りです。例え日常的に行われているあらゆる業務が不可能になっても、出来る事があり、その出来る事を最大の力でやっていくという、強いメッセージ性。しかしそのメッセージがありながらも、黒木司令官の「出来る事」がケシゴムロイドの捕獲であるという振り切った展開だったが故に、説教臭くならずに済んでいます。

 そのケシゴムロイドが、今回をコメディたらしめるキャラクターなのですが、ごく小さい敵キャラクターに翻弄されるという図は、コメディになるか、逆にサスペンスになるかに二極化する傾向にある気がします。またまた今週も頭の中からサンプルを抽出する事が出来ませんが、「小さい敵」というのは、それだけで可愛らしくなる要素を有しています。例えば「デンジマン」の子供型ジュクラーといった、醜怪なデザインでありながら子供の友達を装うだけの可愛らしさを持ったもの。他にも枚挙に暇が無い程のサンプルがあると思います。逆に、「小さい敵」には、正体不明となるパターンも多く含まれます。こちらは、目視困難な敵に恐怖するというパターンであり、やはり多くのサンプルに恵まれているのではないでしょうか。

 今回のケシゴムロイドは、可愛くも正体不明、しかも、データというデータを次々と消していくという、デジタルデータに囲まれた生活を送っている現在の我々からすれば、恐怖すべき存在として登場しました。ただ、画面作りや演出からは、「可愛い」部分を強調している事が伺われ、やはり今回がサスペンスではなく、コメディとして制作された事が分かります。

 このケシゴムロイドを巡って、コミカルな面を見せてくれるのが、黒木司令官。冒頭でも述べた通り、もう少し派手に大暴れして頂きたかった処ではありますが、モップを手に、華麗な太刀さばき(?)を披露する司令官は、問答無用の格好良さと些かの格好悪さに彩られ、その特異なキャラクターを大いに際立たせていました。話の流れ上、司令官は気を失ってしまうという結末を迎えてしまうのが残念でした。「バトルフィーバー」の鉄山将軍や、「サンバルカン」の嵐山長官のように、主人公そっちのけで敵を成敗してしまう司令官像も見たいですね。

 エピローグでは、メタロイドとメガゾード消滅によって、自然にデータが回復するのではなく、しっかりと人間の手でデータを回復させた事に言及している点が、組織運営の底力を感じさせて良かったですね。一方で、ヒロムの無頓着かつ傍若無人振り、デリカシーのなさが突出していて、特異なレッド像を確立しています。これまでも周囲に無頓着なレッドは何人か存在していたと思いますが、ヒロム程「我が道を行く」人物はかつて居なかったのではないでしょうか。2クールを消化しつつあるこの時期においても、まだヒロムの性格がこうであるという事は、ヒロムとはこういう人物であると確定したと見なして良いのではないでしょうか(笑)。

 次回もコメディ要素が高めのようで。厳しすぎる残暑を、爽やかに笑い飛ばしたい処です...。