第11話「真剣大騒動」

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 待ってましたとばかりのシンケンジャー編ですよ。
 これまで、先輩ゲスト編には満遍なくレッドのオリジナルキャストが出演してきたので、今回は殿が...と思いきや、何と登場したのは姫! これには驚きました(前回での予告も含めて...ね)。一応レッドのオリジナルキャストには間違いない。

 それにしても、姫役の夏居瑠奈さん、当時と比べてやっぱり大人っぽくなりましたねぇ(しみじみ)。丹波もちゃんと出てきて、当時のままコミカルなやりとりを見せてくれました。殿が出てこなくても、シンケンファンは嬉しかったのではないでしょうか。

 ストーリーとしては、先輩ゲスト編の例に倣い、極めてシンプル。

 姫=志葉薫が何で「レンジャーキーを返せ」と言っているのか、根拠はまるで不明ながらも、何となくキャラの佇まいで納得出来てしまったり、剣の達人であるジョーと姫の勝負を見せ場にする等、一種のサービス編としての完成度は一級です。

 その上で、薫を「付かず離れず」のポジションに置き、ジョーの因縁話とワルズ・ギル初出陣、ゴーカイジャー初の本格的敗北という、1クール終了におけるイベント編として仕立て上げているのはさすが。薫の存在感は相当なものですが、あくまでゴーカイジャーをメインとしている点で、高く評価出来ると思います。

 「シンケンジャー」は近年における超人気作だったので、「ゴーカイジャー」側も相当なプレッシャーだった筈。今回のてんこ盛り状態は、ある種の「もがき」すら感じられますが...。

 続きの方でその辺りを。


 てんこ盛り状態その1。ジョーのトレーニングシーン。

 ハカセとアイムを見学者にする処も巧い上、つまずいたハカセを助けるのではなく、そのハカセが潰しそうになった花を守るジョーという構図が、全く以て凄い。この1シーンだけで、ジョーの凄腕と、その秘めたる優しさを描き切っています。

 てんこ盛り状態その2。巨大戦でレジェンド戦隊の必殺技連発。

 これはゴールデンウィークにおける販促の意図もあると思いますが、今回はクライマックスに巨大戦を置いていないので、冒頭でちゃんと見せておこうというサービスが嬉しい処。

 てんこ盛り状態その3。ワルズ・ギルのヘタレっぷり。

 今回のギャグ担当。ワルズ・ギルには物凄い既視感があったのですが、これは正に「ダイナマン」のメギド王子! まぁ、メギドはここまでダメではありませんでしたけど。それにしても、「親父にもぶたれたことないのに!」のパロディが出てくるとは思いもよりませんでしたね(笑)。部下にも信頼されていないようで、かなり往年のロボットアニメ的な味付けが感じられます。「皇帝のバカ息子」とジョーが呼ぶのも実にいい感じ。内情を知っている者だけが発せられるセリフとして印象的です。

 てんこ盛り状態その4。薫とマーベラスのスーパーアクション。

 実は、薫が本格的立ち回りを披露するのは、「シンケンジャー」を差し置いて今回が初めて(!)。スタンドインを巧みに用いたカット割りで、薫の流麗かつ志葉丈瑠のそれをも彷彿させる素晴らしいアクションを見せています。対するマーベラスの避け方もいちいち決まっていて素晴らしいです。小澤さんのアクションのポテンシャルを垣間見られて、とても良いシーンだったと思います。横断幕に姫の黒子衆、丹波の口上、色々と目頭を熱くさせます。

 てんこ盛り状態その5。薫とジョーのスーパーチャンバラ。

 最初の絶妙な間合いは、正に「シンケンジャー」のそれ。今回は「シンケンジャー」の匂いが、全体的に非常に希薄なのですが、ここだけは「シンケンジャー」です。両者のスーパーテクニックを演出するカットが、これまたいちいち決まっています。ケレン味とスピード感を両立させるアクションの組み立ては、「シンケンジャー」のノウハウを活かしつつ、「ゴーカイジャー」的だとも言えるでしょう。ジョーは侍ではありませんから、「シンケンジャー」の匂いに支配されているこのシーンは、主役を薫として組み立てているようです。ここでは、山田さんのアクションがかなりフィーチュアされており、満足度の高いシーンになっています。

 てんこ盛り状態その6。ゴーカイジャー5人の素面アクション。

 1クール目で、ここまで素面アクションがフィーチュアされたのは久々ではないでしょうか。パワーファイター系のマーベラス、足も結構高く上がっていてなかなかです。武器+足技で魅せるジョーは、難易度の高い「旋風脚」を綺麗に決めていますね。マーベラスを超えるパワーファイター振りを魅せるルカは、途中のスタンドインを感じさせない機敏な動き。変身後と同様のトリッキーな動きを魅せるハカセ、実は一番難易度の高いアクションを見せていて凄い。そしてアイムはエレガントなアクションを披露。スカートをヒラヒラさせるアクションが、実にフェティッシュで可愛らしいです。それぞれのアクションを見せ、一人ずつ変身&名乗りを行う構成も二重丸でした。

 てんこ盛り状態その7。ゴーカイジャー変身後のワイヤーアクション。

 「ゴーカイジャー」はワイヤーというより、珍しいロープアクションをフィーチュアしていたので、今回のワイヤーアクションは、新鮮に映りました。しかも、派手な動きを演出するより、地味に用いてメリハリを付ける感じにまとめられていたので、実に上品な仕上がりでした。後述しますが、ワイヤーアクションは、ゴーカイチェンジ後でも効果的に使われていました。

 てんこ盛り状態その8。ジョーとバリゾーグの因縁。

 「シド先輩」なる人物とバリゾーグが同一人物である事が判明します。進藤学さんといえば、「セイザーX」での熱演が印象に残ります。「仮面ライダーOOO」に出演中の三浦涼介さんと共に、ニチアサに「セイザーX」進出というわけです(笑)。専業の声優さん中心のザンギャックのキャスティングの中、一際異彩を放っていたバリゾーグでしたが、この為だったわけですね。旧知の人物が敵になるパターンは、それこそ使い尽くされた感がありますが、ジョーもザンギャック側だったという新鮮な設定があるので、様々な展開を来たい出来ます。

 てんこ盛り状態その9。前後編に相応しい危機。

 皇帝直属という設定のデラツエイガー。これが「単なる強い敵」だと面白くも何ともないんですが、とりあえずジョーの動揺という部分が強調された事により、ゴーカイジャーの強さをスポイルすることなく、危機敵状況を作り出した点が優れています。それに、ジョーを庇いつつ、負傷を押してワルズ・ギル達を銃で撃退するマーベラスが素敵過ぎます。遺憾ないキャラクター性の発揮がいいですね。

 てんこ盛り状態その10。豪快チェンジ。

 いつも別項でまとめている事項を持ってきただけですが(笑)、折角なので流れの中でまとめてみます。

 まずはジュウレンジャー。それぞれの個人武器も登場して、当時のアクションを再現しています。イエローが女性なのは、ある意味「パワーレンジャー」に忠実かと。ここでのジュウレンジャーの扱いはやや可哀想な感じで、いわゆるヤラレ役になっています。ただし、吹っ飛ばされるアクションにワイヤーを巧みに用いていて、ビジュアル的には侮れません。

 続いて、ダイナマン。スーパーダイナマイトが今になって再現されるとは! しかも、ブルーのホリゾントではない、実景をバックにしたスーパーダイナマイトは、鮮烈なイメージを与えてくれています。もっと爆発しまくるアクションも観たかったですが、それはいつかの機会を期待して...。ちなみにこの記事、「ダイナマン」を見ながら書いてます(笑)。ゼノビア登場前後は、いつ見返しても面白すぎますな。

 そして、ギンガマンも登場。特徴的な腰を落とした走り方や、「炎のたてがみ」の登場等、オマージュに溢れたアクションを展開。ただし、これも基本的にヤラレ役。ここでの見せ場は、ワンカットで車の上に落下するレッド。ワイヤーを駆使しつつ、自由落下に見せるテクニックが素晴らしいです。

 てんこ盛り状態その11。細かいキャラクターの機微。

 これも、いつもは別項でまとめている事項ですが(笑)。今回は特にエピローグでの動きが素晴らしいので、ここにまとめてみます。

 まず、「人として当然のことをしたまでだ。勝負となれば容赦はせぬ」とマーベラスの傷の手当をする薫。「シンケンジャー」で描かれていた侍のポリシーを、巧く再現したシーンだと思います。一方で、レンジャーキーをこっそり持ち出そうと提案する丹波が、実に可笑しくていいですね。本当に名キャラだと思います。

 そして、ジョーを心配するルカ。ルカが他人の心配をする事など、これまで殆どありませんでしたが、今回ばかりは緊急事態という事なのか、ふとルカの本性が出た感じがしますね。心に引っ掛かる巧いシーンでした。

 最後に挙げたいのは、ジョーの可愛い字で書かれた置き手紙!

 というわけで、てんこ盛り状態をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

 前編が盛り上がり過ぎると、後編はイマイチという事が起こり得るのですが、「ゴーカイジャー」に限ってそんな事はないと思うので、期待しましょう。

 おまけ。

レジェンド戦隊

 「ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦」のCMが熱かったので思わずパチリ。以下、年代順。

 アカレンジャー=海城剛・誠直也さん。やっぱり圧倒的で凄い存在感の元祖レッド。
 ビッグワン=番場壮吉・宮内洋さん。当時の派手な衣装が今でも似合う。
 デンジブルー=青梅大五郎・大葉健二さん。アンパンの持ち方がシュリケンジャー。
 ゴーグルブラック=黒田官平・春田純一さん。超実力個性派俳優の原点は戦隊にあり。
 ダイナピンク=立花レイ・萩原佐代子さん。ユリアン共々近年多忙な美しい憧れのご婦人。
 レッドワン=郷史朗・坂元亮介さん。当時から全く年を取らない最強レッド。
 レッドターボ=炎力・佐藤健太さん。爽やかレッドの嚆矢は今でも爽やか。
 リュウレンジャー=天火星亮・和田圭市さん。 稀代のアクション系レッド健在。
 デカピンク=胡堂小梅・菊地美香さん。当時のウメコのまま可愛い。
 ボウケンレッド=明石暁・高橋光臣さん。復権型レッドのオーラは未だ発散中。
 ゴーオンイエロー=楼山早輝・逢沢りなさん。超可憐なアイドルヒロインはスマイルに色気が。
 シンケングリーン=谷千明・鈴木勝吾さん。やんちゃグリーンはそのままに少し大人の雰囲気が。
 シンケンゴールド=梅盛源太・相馬圭祐さん。威勢のいい寿司屋はますます元気がパワーアップ。

 凄いメンバーだな、これは...。