第18話「恐竜ロボットドリルで大アバレ」

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 仲代先生キターーーー...というほど「アバレンジャー」を見てなくてすみませんm(_ _)m

 サブタイトルだけを見ると、アバレンジャーの大いなる力を入手する「先輩ゲスト編」ですが、実際は鎧がメインなので、これまでの「先輩ゲスト編」とは大きく趣向を異にします。

 前回が鎧の顔見せだとすると、今回はゴーカイジャーへの仲間入りのプロセスになります。結果的には、ズルズルと引っ張らずに割と簡単に仲間入り出来たわけですが、鎧はマーベラス達に比べて身体能力という点で明らかに劣っており(演者の池田さんは凄い身体能力を披露してますが)、一応「海賊見習い」という肩書きとしての加入です。

 今回は、非常に単純明快かつ爽やかなストーリーに終始していましたので、特に深読みする要素はないと思います。また、大変プライベートな話で恐縮ですが、梅雨特有の体調の悪さに辟易しておりますので、続きの方は、ちょっと文章を短めに...。


 マーベラスが仲間を選定する基準として明言したのは、「自分にない何かを持っている事」。5人は能力的に重なっている部分も多くありますが、それぞれマーベラスにはない個性を持っています。明確に列挙するのは大変難しいのですが、例えばジョーには剣の腕前、ルカには狡猾さ、ハカセには頭脳(あまり発揮されていませんが...)、アイムには可憐な中に秘めた豪胆さ...多分他にも色々とありますが、ステロタイプな部分だけ捉えると、こんな感じになるでしょう。

 では、鎧には何があるのか。

 示されたのは、「マーベラスにない発想」でした。

 鎧は「ザンギャックを敵に回すという事は、全宇宙を敵に回すという事」というマーベラスの言葉に対して、「ザンギャックを倒して全宇宙を平和にする」と答えました。マーベラスの辞書には、宇宙平和などと言う言葉は無かった筈。スーパー戦隊ファンらしい鎧の発想は、マーベラスの興味を引くのに充分だったのでしょう。

 ここで再び思い出させられるのは、ゴーカイジャー自身は地球平和の為に戦っているのでもなんでもないという事です。制作サイドのコメントでは、「ゴーカイジャーがいかにしてスーパー戦隊となっていくかが見所の一つ」という事でしたが、鎧の存在は、その方向性をグイっと牽引するものなんですね。このテーマを推し進める為に、「スーパー戦隊の権化」たる鎧を投入したわけですが、それは安直とか直截的といった評価よりも、ストーリーを円滑に走らせ、かつドライヴをかけるという効果の方が重要だと思います。

 ただし、ここで一気にゴーカイジャーがスーパー戦隊の王道に変化してしまうと、「ゴーカイジャー」というコンテンツが持つ多くの魅力的な要素がスポイルされる可能性があるので、鎧をきっかけに緩やかに変化していくという戦略ではあるかと思います。

 さて、今回の問題は、鎧が子どもを助けて交通事故に遭うという、超王道ヒーローなシーンを経て、夢の中で大いなる力を授かるというシーンです。子どもを助けて生死の境をさまようとか、病院のベッドで意識がないままヒーローと会話するとか、突如完全復活して看護師さんを驚かせるとか、どこのウルトラマンだよというツッコミが出来るのですが、このシーンには、「ゴーカイジャー」の世界観の成り立ちに関する示唆が色々と盛り込まれています。

 一つ目は、「大いなる力を授ける者」も存在する事。これまでは、マーベラス達自ら大いなる力を獲得して来ましたが、鎧に関しては「与えられて」います。勿論、鎧がそれを受け取るだけの精神性を有していたからにほかなりませんから、本質的にはマーベラス達の事象と変わらないとも言えます。

 二つ目は、本作の「スーパー戦隊」が、観念的な物を具象化したものではないかという事。ゴーカイセルラーは正真正銘物理的な「物」ですが、ゴーカイセルラーを受け取るという「行為」は、物理的なものではなく非常に観念的です。この、精神世界で受け取った物が具体化しているというシチュエーションは、特撮TVドラマではよく見られる光景ですが、今回の場合、仲代壬琴はどう見ても現実世界の住人っぽくなく、現実世界で仲代壬琴がゴーカイセルラーを手渡し、それを鎧が夢に見ていたという事は考えにくい。つまり、ゴーカイセルラーは観念的な世界の物が具象化した物という事になります。考えて見れば、レンジャーキーも同じような出自を持っています。

 三つ目は、レジェンド戦士の生死に関して。今回登場したアバレキラー=仲代壬琴、ドラゴンレンジャー、タイムファイアーの3人に共通するのは、恐竜型(ドラゴンシーザーに関しては疑問ですが)のロボを操り、そして劇中で命を落としているという事。つまり、鎧の夢の中に現れた三人は、正に冥界からの再訪者というわけです。では、レジェンド大戦にはどうやって参加していたのか。これに関しては、例えばシュリケンジャーやブラックコンドルなんかも当てはまるわけで、様々なエクスキューズが用意されているか、あるいは完全に曖昧にされているものと思われます。

 このレジェンド大戦への死亡者参加については、私は「戦う魂」の説を採ります。

 レンジャーキーというガジェットがありますが、あれは、いわばスーパー戦隊ヒーローの力を凝縮した物ですよね。しかも、バスコはレンジャーキーから戦士を実体化させる事が出来ていました。つまり、死してなお地球を守る「スーパー戦隊の魂」が、その「スーパー戦隊の力」と合わさった時、実体化も可能なのでは。本作における「スーパー戦隊の力」はどうも「地球が有する力」と解釈されている(即ち「ウルトラマンガイア」と酷似している)ようなので、例え本人が冥界の住人になったとしても、地球に浮遊している力自体は不滅だと言えそうです。

 こんな感じで、問題のシーンについてアレコレ述べましたが、「ゴーカイジャー」の根底に流れる「前提」を見つめ直すようなシーンだったような印象がありますね。

 ところで、この辺りで、「アバレンジャー」の思い出を語るべきなんですが、残念ながら、私は「アバレンジャー」を途中で挫折してしまったクチでして...。

 確かに最初は、色々と挑戦的な設定に驚いたり新鮮さを感じたりしましたが、アバレキラー当人の参加で挫折しました。というのも、当時は平成ライダーが「ライダー同士の戦い」全盛期であり、「なにも戦隊でやらなくても...」と思ってしまったのが一つ。

 そして、「クウガ2」を狙った制作体制が見えた時、「クウガ」の浮遊感のある主人公のポリシーは、あれ一作だったから成立したという論を持つ私にとって、ちょっと入り込めない感じがあったのが一つ。

 かく言う私も、最終編見たさに、アバレキラーが仲間になる辺りからは、喝采を送りつつ観ていたわけですが(笑)、やはりこれといった思い出話は出来そうにありません。

 この辺で、今回のアクションについて一言。今回は何と言っても、鎧の生身アクション! バック転を決め、そこから回し蹴りを放つ、角材を棍棒の如く振り回す等々、アクション畑と言ってもいい程のダイナミックさ。ゴーカイセルラーをマーベラスに奪われているという状況だったので、戦果は芳しくありませんでしたが、非常に素晴らしいアクションでした。

 そして豪快チェンジ。

 マーベラス達五人がシンケンジャーにチェンジした事で、鎧もシンケンゴールドのキーを所望。ところが、「顔に漢字のある戦士」という事でマーベラスが取り出したのは、キングレンジャーだったというギャグが繰り広げられます。確かにキングレンジャーは「王」の字ですけど、あれはウンモ星人のUFOを意識していたと思います(笑)。

 気をとりなおしてシンケンジャー勢揃いとなると、オリジナルを意識したサカナマルの超高速アクションが再現され、オリジナルのファンも満足。

 続いて、シルバー系で統一。ゴーカイシルバーはそのままで、ボウケンシルバー、ガオシルバー、ゴセイナイト、ゴーオンシルバー、メガシルバーが登場。ゴセイナイトをシルバー系として持って来るのはなかなかいいアイディアですねぇ。

 豪獣神。タイムレンジャーの大いなる力として、マシン系の「豪獣ドリル」、ジュウレンジャーの大いなる力として、恐竜系の「豪獣レックス」、そしてアバレンジャーの大いなる力として、人型の「豪獣神」に三段変形。ルカも「驚異の三段変形」とか言ってましたね(笑)。この豪獣神、大獣神のシルエットを基本に、アバレンオーの特徴である四肢のデザインラインを織り込み、タイムロボのいかにもロボット的な機能性と、ブイレックスロボの重量感ある脚部を盛り込んだ、素晴らしいデザインです。レックスが「ジュウレンジャー」の守護獣ティラノサウルスのように、直立型に近いのも嬉しいですね。全体的にスマートながら、力強さを感じさせるアクションを随所に取り入れているのも見事。これは大変魅力的なロボですよ! 豪獣ドリルが飛来する際に、「タイムレンジャー」のエフェクトが使用されていたのもいい感じでした。

 最後に各キャラクターの言動について。「ドンさん」と呼ばれるハカセが、妙に先輩風を吹かすのが笑えましたね。これは次回への引きにもなっているようです。あと、鎧がアイムに抱きつくという凄まじいカットが、日本全国のアイムファンの顔を引きつらせたとか...(笑)。

 鎧はやっぱり色々と引っ掻き回してくれそうですね。楽しみは尽きません。