第2話「この星の価値」

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 今回も面白かったですね。

 レジェンド大戦やゴレンジャーを擁した第1話のテンションを、どう持続するのか気になっていましたが、こう来ましたか。まだ2話分しか消化していないので、早計ではありますが、この手法は良いですよ、実に。

 その手法とは、あんまり多くを語らないという事。

 この辺り、明らかに前作とは趣が異なります。では、その辺を踏まえて続きの方に。


 もうお気付きだとは思いますが、今回のテンションの高さは、ドラマパートが異様に少なく感じられる事が要因でしょう。このノリに近いのは、「ゴーグルファイブ」とか「ダイナマン」であり、もうとにかく全編アクションで押してやろうという「気概」です。

 しかしながら、ドラマパートが少ない割には、言いたい事がちゃんと表現出来ているので、満足度が高いわけです。

 何故か。それは、マーベラスが余計な事を語らず、行動で示しているからです。地球を守りたいと思っている少年が、無茶をしてザンギャックと戦おうとする。それを止める事もなく、むしろ面白がるかのようにチャンスを与えるマーベラス。二人が語り合う時間はほぼ皆無なのに、少年は、自分がレジェンド戦隊の力を行使する事自体を誤りだと気付き、マーベラスは地球を守る価値の断片を見出そうとする...この一連の流れは、本当に見事であり、一から十まで喋り尽くすことなく、テーマ性が伝わって来ます。

 特に、「海賊なら価値を自分で見つけろ」という少年のセリフは、テーマをダイレクトに言ってしまっているにも関わらず、全然嫌味も説教色もなく、名台詞にノミネートされるべきだと思いますね。

 特撮は、やっぱりバンク撮影を兼ねている関係もあって、異様に完成度が高いです。オープンセットをふんだんに使えるのは、季節的なメリットもありますけど、特撮の雄である円谷系が、ほぼCGに移行してしまったのに対し、戦隊は執拗なまでにミニチュアの精度を高めてきている気がしますね。スケール感とかが気持良く無視されたりしているのも戦隊ならではで、ゴーカイガレオンなんか、もっと遡って「アクマイザー3」を想起させてしまいます。CGとの連携も、マンガチックでありつつ、より親和性を高めてきています。

 ただなぁ、やっぱりゴーカイガレオンを立派な帆船にしちゃったのは間違いじゃないかなぁ(笑)。普段のと合体ミニチュア(というかトイも)のギャップが有り過ぎるんですよね...。嘘でも帆が縮むシーンが欲しいです。

 さて、小ネタも沢山。

 冒頭、ナビィが「どうするどうする君ならどうする」と言っているのは、「デンジマン」のエンディングテーマの引用。この手法は、「アバレンジャー」でも用いられていましたが、パターン化するかは不明です。このテのネタは、いずれ苦しくなるので、あんまり力を入れないで欲しいですね。

 そして、少年がシンケンレッドに変身。これは、ある意味ヒーローの固定化を否定するシーンでした。誰でも変身自体は出来るという趣向は、レンジャーキーの販促という面でも、かなり良かったのではないでしょうか。

 誰でも変身出来るという点では、黎明期の戦隊のポリシーである「強化服」に近くなったと言えるでしょう。「ゴレンジャー」では、変身(転換)に訓練やコツがいるものの、キレンジャーに交代劇がありましたし、「バトルフィーバー」に至っては、交代劇以前に服として着こむ(背中のチャックを自ら上げている!)シーンがありました。その後、「サンバルカン」や「バイオマン」に交代劇があり、強化服さえあれば、誰でも戦隊ヒーローになれるかも知れないという含みが感じられたものです。まぁ、殆どがキャストのスケジュール等に由来するものでしたが。

 ところで、このシンケンレッド、ちゃんと等身の低いアクターさんが演じていて、都合、本家、姫、少年と、3パターンのスーツが登場しているんですよね。なんだか、造形物に異様な気合が入っています。

 そして、ゴーカイチェンジでは、これまた面白い趣向が。デカレンジャーは落ち着いた射撃風景が本家を彷彿させ、ハリケンジャーはゴウライジャーを加えた5人編成となり、障子の影で超忍法を表現するなど、当時のファンにはたまらない趣向。都合、ハリケンジャーはイエローとブルーの男女が入れ替わり、クワガライジャーをアイムが担当していました。極め付きは、全員レッドになるという趣向。レンジャーキーの色によって変身の可否を決めているのではなく、誰でもどの色になれるという事が示され、前述のシンケンレッドと同じポリシーを示しています。ここでは、マジレッドとゲキレッドにスカートがついており、図らずも姫シンケンレッドの感覚を継承しています。

 その他、マーベラスの回想に古谷徹さんが声を担当する「アカレッド」の35周年記念バージョンが登場(?)したり、次回への引きとなる「マジレンジャー」のマジレッド・小津魁が登場したり、大きなお友達が喜ぶ仕掛けをふんだんに取り入れています。

 それにしても、橋本淳さんは「男」の顔つきになりましたねぇ。当時、私は曽我町女王が出たこともあって、「マジレンジャー」をかなり真剣に観ていたので、感慨もひとしおですよ。

 というわけで、来週は曽我町女王の話で盛り上がる事になると思いますので、お楽しみに(笑)。